問題児たちが異世界から来るそうですよ?~誰も知らぬ死物の物語~ 作:shin-Ex-
ですが次回からは・・・・・
それでは本編どうぞ
「わぁ・・・・・うふふっ」
「楽しいか?」
「ええ!とっても!」
ちょっとしたものを見てはまるで小さな子供のようにはしゃぐ飛鳥に微笑ましそうに尋ねるシナナ。そんなシナナに飛鳥は笑顔で答えた。
「二足歩行のキャンドルスタンドに浮かぶランタン・・・・・カボチャのお化けはいないのかしら?ハロなんとかっていうお祭りの・・・・」
飛鳥は近くのキャンドルスタンドとランタンを見つめながら呟く。
「シナナくんは知っている?」
「ハロウィンの"ジャック・オー・ランタン"のことか?まあそこまで珍しいものでもないから知っては・・・・・と、そういや飛鳥は俺とは違う時代から来たんだったな」
飛鳥の問に答えたシナナは思い出したようにハッとした。
「そういえばそうだったわね。私は戦後間もない時代から呼び出されたの。だから私にとってシナナくんは未来人よ」
「まあもっと言えば俺の居た世界は皆とはだいぶ違う歴史を歩んでいるから風潮とかはかなり違うがな」
彼が元いた世界は飛鳥達の世界とはかなり毛色が違う。それでも一応は平行世界の範囲内ではあるが。
「それでもシナナくんの時代ではハロウィンは珍しいものじゃないのね・・・・・」
「まあな。飛鳥はハロウィン好きなのか?」
「・・・・どうかしらね?私は生まれと力のせいで寮制の学校に閉じ込められていたから」
「・・・・・・」
表情を暗くし、寂しそうに言う飛鳥を、シナナは切なそうに見つめる。シナナもまた、この世界に来る前には長年投獄されていたのだ。気持ちがわかるのだろう。
「だからハロウィンのことを小耳に挟んだ時はとても素敵だと思ったわ。『トリック・オア・トリート』・・・・とても可愛らしくて素敵じゃない?私も仮装して、大人たちに苦笑いされながらお菓子をもらいたかったわ」
「大きかカボチャを被りながら?」
「ええ。だけど今の私なら魔女でもいいわ。似合うと思わない?」
「ああ。飛鳥になら絶対に似合う」
魔女の仮装をする飛鳥を思い浮かべながらでたその言葉は心の底から出たものであった。
「ありがとうシナナくん。私・・・・箱庭に来て本当に良かったわ。こんなに素敵な場所に来ることができて・・・・・皆に、なによりシナナくんに出会えたんですもの!」
本当に嬉しそうに笑顔を浮かべて言う飛鳥。彼女にとって、箱庭という場所は何よりも楽しい場所。そしてそこでであった仲間達はかけがえのない存在となっているのだ。
「そっか・・・・・・・それはなによりだ」
「シナナくんはどう?」
「俺か?そうだな・・・・・・来てよかったと思ってるよ。箱庭での生活は毎日が充実しているからな」
(ただまあ・・・・・・来なければ良かったとも思ってるけどな)
シナナにとって確かに箱庭での生活は充実したものであった。だが、それでも来なければ良かったとも思っており、その後悔は日に日に大きくなっていっている。
その原因は・・・・・・良くも悪くも飛鳥にあった。
シナナは飛鳥に好意を抱いている。だからこそ飛鳥の存在がシナナの生活に彩りを与えているといってもいい。だが・・・・・だからこそ心苦しいのだ。いずれ消えてしまう自分が飛鳥と接しているという現実が・・・・辛くて辛くて仕方がないのだ。
(まあ・・・・・それも俺が今幸せを感じている証拠か。それはともかくとして・・・・・)
「飛鳥、ハロウィンは元々収穫祭だっていうことは知ってるか?」
「え?」
突然尋ねられて子首を傾げる飛鳥。
「ついでに言うとだ、"ノーネーム"の裏手には莫大な農園跡地がある」
「ええ・・・・・それは知っているわ」
「なら話は早い・・・・・農園を復活させていつか俺達のハロウィンをするっていうのはどうだ?」
「それって・・・・私たちのコミュ二ティでハロウィンのギフトゲームを主催するということ?」
シナナの提案に飛鳥は目を輝かせながら聞き返した。
「ああ。土地を復活させればコミュ二ティも大助かり。それに俺達も"主催者(ホスト)"は経験しないとな」
「それは素晴らしい提案だわ!とても楽しそう!」
「そうだな。私もそう思う」
「だろ?・・・・って、ん?」
「あら?」
二人以外の聞き覚えのある声を耳にするシナナと飛鳥。二人が声のする方へと振り向くと・・・・・そこにはレティシアが居た。
「まったく・・・・・二人共探したぞ?」
「あはは、まあそうだろうな。でも思ったよりも早かったじゃないか」
「必死で探していたからな。それにしても・・・・・黒ウサギではないが君達の問題児加減にはたまに頭が痛くなる」
レティシアはわざとらしく溜息を吐きながら言う。どうやら今回の脱退云々について呆れているようだ。
「うっ・・・・そのことについては反省しているわ。ごめんなさい」
先程シナナに諭されたのが効いたのか、飛鳥は素直に謝罪した。
「で、でも脱退に関してはシナナくんは関与してないわ。私はともかく、シナナくんのことは責めないであげて」
「む、そうなのか?」
「まあ・・・・・脱退って言葉が意味するところはわかってるつもりだからな」
「そうか・・・・・ならシナナはお咎めなしだな。飛鳥は後で黒ウサギから説教があるかもしれないから覚悟しておけ?」
「・・・・・・わかったわ」
自分達が悪いとわかっているので、飛鳥は素直に受け入れることにした。
「でもまあ、俺も黒ウサギとジンに説教するつもりだけどな」
「え?どうして?」
「いや、だって祭りのこと秘密にしてたわけだし。俺は脱退の件には関与してないから・・・・・俺が説教する分には問題ないだろ」
ニッコリとものすごくいい笑顔を浮かべながら宣言するシナナ。清々しいまでの笑顔は悍ましささえ覚えさせる。
「そ、そうか・・・・・程々にな?」
「ああ。程々に追い詰めるさ」
((・・・・・どうあがいてもトラウマ確定な気がする))
二人の予感はおそらく的中していることであろう。
「まあ、今はともかくこの祭りを楽しむことに専念させてもらおう」
「そうね。レティシアも一緒に行く?」
「ん?それは嬉しい申し出だが・・・・・・いいのか?二人の邪魔をしてしまって」
「邪魔?邪魔ってどういうことかしら?」
レティシアの言っている事が何を意味するのかわかっていないようで、飛鳥は首を傾げる。
「・・・・・・シナナ、お前も苦労しているな」
レティシアは同情の篭った目でシナナを見ながら言う。
レティシアは二人のデートを邪魔するのはどうかと思って聞いたのだが・・・・・・飛鳥はあまり意に介した様子はない。それは飛鳥がシナナへの想いを自覚していないからにほかならないためだ。
それ故にレティシアはシナナに同情しているのだが・・・・・・
「あはははは。どうだろうな?」
「?」
とうのシナナはというと大して気にした様子を見せない。シナナの普段の態度からして飛鳥に好意を寄せているというのはわかりきっていること。にも関わらず、自身の想いが中々通じないことに不満を抱いている様子は一切ない。それどころか、むしろ・・・・・・レティシアの目にはシナナがそれを望んでいるようにも見えた。
(まさか・・・・・・何か理由がある?)
シナナが態度とは裏腹にどこか飛鳥との仲が進展することに消極的であることに、レティシアは何か理由があるのではないかと考え始める。
「ま、とにかくせっかくだから3人で回ろうか」
「そうね。行きましょうレティシア」
「あ、ああ。わかった」
シナナの一言を切欠にして、三人は祭りを見てまわろうと歩み始める。
そして、これを最後にレティシアがシナナの消極さを考える機会はなくなってしまった。
現時点でのシナナの心境について
現時点で、シナナは飛鳥に好意を抱いてはいても、飛鳥の恋人になりたいなどとは微塵にも思っていません
故に、飛鳥と一緒に居るのは楽しいけれど、どこか消極的な面を見せることも多々あります
果たしてこの心境に変化は訪れるのでしょうか・・・・・
それでは今回はここまで
次回もまたお楽しみに!