問題児たちが異世界から来るそうですよ?~誰も知らぬ死物の物語~   作:shin-Ex-

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今回は創造主達の決闘開戦前まで進みます

それでは本編どうぞ


創造主達の決闘

『長らくお待たせいたしました!これより火竜誕生祭のメインゲーム"創造主達の決闘"決勝戦を始めたいと思います!』

 

会場中に黒ウサギの声が響き渡り、ギフトゲーム"創造主達の決闘"の開会が宣言される。その様子を、耀とシナナを除く"ノーネーム"一同は、"サラマンドラ"の当主サンドラとその兄のマンドラ、そして白夜叉と共に貴賓席で眺めていた。

 

『進行及び審判は"サウザンドアイズ"専属ジャッジでお馴染みの黒ウサギがお務めさせていたがきます♪』

 

「「「「うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」」」

 

黒ウサギが自己紹介すると会場中が沸き上がった。それほどまでに黒ウサギが審判を務めることに、観客は興味を惹かれているということであろう。

 

ただ・・・・・

 

「本物の月の兎だぁぁぁ!!」

 

「黒ウサギぃぃぃ!!」

 

「今日こそそのスカートの中を見てみせるぞぉぉぉ!!」

 

・・・・・その興味の一部は下心を孕んだものであるようだが。

 

「随分と人気だな。黒ウサギが審判ってだけでこうも盛り上がるものなのか?」

 

「当然です。ジャッジマスターである"箱庭の貴族"が審判ということは両コミュニティが誇りの下に戦ったとして箱庭の中枢に記録される名誉なんです」

 

十六夜の疑問にサンドラが答える。

 

「へえ、じゃあサンドラ・・・・様の誕生祭は見事に泊付きゲームに認定されたってことだ」

 

十六夜はサンドラを呼び捨てにしようとしたが近くにいたマンドラから鋭く睨まれたことによって様付けしながら言った。

 

「まあそれはそうとして白夜叉、春日部の相手は格上なんだよな?」

 

「ああ。通常は下位の外門のゲームには参加しないものだがフロアマスターから得られるギフトを欲して降りてきたのだろう。一筋縄ではいかんだろうな」

 

白夜叉の言うとおり相手のコミュニティは"ノーネーム"の相手となるコミュニティは格上。厳しい戦いとなるのは明らかである。

 

「・・・・優勝の目はあるのか?」

 

「はっきりと言えば万が一にもない」

 

非情かもしれないが白夜叉のいう事は尤もであった。耀とて強力なギフトを秘めているがいかんせんまだ未熟だ。ギフトを十全に使いこなすことはできていない。そんな耀の勝率は相当低いだろう。

 

ただ・・・・・

 

「まあ・・・・・それはあくまで耀が一人で戦っていたらの話だがの」

 

耀は・・・・一人で戦いに赴くわけでは無かった。

 

このゲームでは、補佐を一人まで付けることが許されている。そこで耀はシナナに補佐として参加して欲しいと頼み、シナナはそれを了承。二人でゲームに参加することとなったのだ。

 

「シナナの実力は折り紙付きだ。あやつがついていれば相手が格上だろうとそう簡単に負けることはないであろう」

 

「随分とシナナを買ってんだな」

 

「当然だ。私を決闘で下したのだからの」

 

「なんだと!?」

 

白夜叉の発言に、マンドラが声を荒げて反応を示す。その隣のサンドラも表情を驚きに染めていた。

 

「白夜叉を決闘で下す・・・・・・それほどまでにそのシナナという男は強いのか?」

 

「強い・・・・・というよりおぞましいと言ったほうがいいの。正直あやつとは二度と戦いたくないし何があっても敵に回したくもない。あやつがその気になれば容易に消されてしまうからの」

 

「消される・・・・・!?」

 

マンドラは白夜叉の言っていることが信じられなかった。白夜叉の力は人外魔境の箱庭であっても屈指のものであるのは間違いようのない事実。その白夜叉が消されるというのだから戦慄せざるをえない。

 

「ま、確かにあいつならそれぐらいのことはできるだろうな。ただ気になるのは・・・・・・おいお嬢様」

 

「・・・・・・」

 

十六夜に声をかけたというのに、飛鳥は全く反応しない。俯いていて、その表情はどこか暗かった。

 

「お嬢様?」

 

「えっ?あ、なにかしら十六夜くん?」

 

「それはこっちのセリフだ。随分と暗いがどうかしたのか?」

 

「・・・・・・別に何も」

 

「・・・・・シナナか?」

 

「!?」

 

シナナの名を耳にして、飛鳥の体はびくりと反応する。

 

「やっぱりか・・・・・・昨日あれから何かあったのか?」

 

「そ、それは・・・・・・」

 

「・・・・・何があった?」

 

言い淀んでいたことから何かあったのだと確信した十六夜は、飛鳥を問い詰める。

 

「・・・・・・・」

 

「答えたくないか?」

 

「・・・・・・・ごめんなさい」

 

ただ一言、申し訳なさそうに十六夜にそう答える飛鳥。彼女としても、昨日あったことは思い出したくもないのであろう。

 

「まあ無理に聞くつもりはないがな」

 

「シナナがどうかしたのかの?」

 

「あ?いやまあ単純にあいつのメンタルしだいだといつもどおりに戦えない可能性もあるからな。そこが気になっただけだ」

 

「そうか・・・・・だが、今朝見たときは普段どおりであったぞ?気にしすぎではないか?」

 

「でもねえだろ。お嬢様のこの様子からして何かあったのは確定的なんだ。それに・・・・・・」

 

十六夜の声はトーンを落とし、表情は神妙なものへと変わる。

 

「それに・・・・・・なんだ?」

 

「・・・・・いや、やっぱなんでもねえ。気にすんな」

 

「?そうか・・・・・」

 

(なぜか・・・・・わかっちまうんだよな。あいつの心が陰ってるのが。俺が虚野十六夜のオリジナルだからか?)

 

十六夜は気がついていた。シナナの心が陰っていることに、そしてシナナが・・・・・・苦しんでいることに。

 

(だがまあ俺じゃあどうにもできねえな。お嬢様ならあるいはと思ったが・・・・・こうなったらなるようになるしかないか)

 

自分ではどうにもできないと判断した十六夜は、成り行きに任せることにした。

 

その一方で・・・・・

 

(シナナくん・・・・・・私ではあなたに何もしてあげられないの?)

 

飛鳥は・・・・・・・どうすることもできない自分の無力さをひたすらに嘆いていた。

 

 

 

 

 

 

 

『それでは第一ゲームの参加者に入場していただきましょう!まずは"ノーゲーム"所属の春日部耀!そしてその補佐のシナナ!』

 

「と、呼ばれたか」

 

「そうだね」

 

舞台袖にて、ジンに"ウィル・オ・ウィスプ"に関する情報を聞かされていたシナナと耀は、黒ウサギに名前を呼ばれたので準備を始めた。

 

「対戦相手の"ウィル・オ・ウィスプ"については昨夜お伝えした通りです」

 

「うん、ありがとうねジン」

 

「魔王のこともある。二人共くれぐれも用心するのだぞ」

 

「わかってるさ。それじゃあ行こうか耀」

 

「うん。頑張ろうシナナ」

 

ジンとレティシアに見送られながら、シナナと耀は共に会場へと足を進める。

 

(シナナ普段どうりだ・・・・・よかった)

 

隣で歩くシナナが、普段通りであることに安堵する耀。

 

その考えが・・・・・・・間違っているとも知らずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これは・・・・・すごい人の数だな」

 

「そうだね。予選の時もすごかったけど今日はそれ以上」

 

部隊に上がったシナナと耀は、訪れている観客の数の多さに驚く。それほどまでに、このゲームは注目されているということだ。

 

『耀、シナナペアに対するは"ウィル・オ・ウィスプ"の・・・・・』

 

「ッ!?耀!!」

 

「えっ?」

 

黒ウサギが対戦相手の名を呼ぼうとしたその途中で、突然シナナは耀の手を掴んで引き寄せた。そして次の瞬間には耀の立っていた場所に炎が駆け抜ける。

 

「間一髪だったな」

 

「あ、ありがとうシナナ」

 

「いや、気にするな」

 

「あははっ!見て見て見たぁジャック?"ノーネーム"の女、補佐の男に助けられてる!」

 

シナナ達に向かい合うようにして舞台に上がった少女が、二人を見ながらおかしそうに笑い声をあげた。

 

「私は"ウィル・オ・ウィスプ"のアーシャ・イグニファトゥス様だ!さあ、素敵に不敵にオモシロオカシク笑ってやろうぜ!」

 

水色の髪を持ち、ゴスロリ服を着た"ウィル・オ・ウィスプ"の少女、アーシャが自らの名を名乗る。そのすぐ傍らには大きなカボチャの化物が漂っていた。

 

(こいつらが対戦相手か・・・・・・まあ、俺のやることは変わらない。立ちはだかるのなら・・・・・・倒すだけだ)

 

アーシャとカボチャに視線を向けるシナナ。

 

その目は・・・・・ひどく冷酷なものであった。

 

 

 

 




今回は説明はなしです

それでは次回もまたお楽しみに!
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