問題児たちが異世界から来るそうですよ?~誰も知らぬ死物の物語~   作:shin-Ex-

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今回からゲーム開始です

それでは本編どうぞ


幽鬼の前に立ちはだかる死物兵器

『"創造主たちの決闘"第一ゲームのプレイヤーは"ノーネーム"の春日部耀と"ウィル・オ・ウィスプ"のアーシャ・イグニファトゥスです!創作系のギフトを競い合うこのゲームで果たしてお二人はどのような戦いを見せてくれるのか!!』

 

黒ウサギのアナウンスが会場中に響き渡り、観客達は歓声を轟かせる。

 

(・・・・・・立ち居振る舞いからしてあの女の子の実力はそこそこといったところか)

 

歓声など一切耳に入っていないかのように気にとめないシナナは、冷静にアーシャを分析していた。

 

(まあ、あの子の相手は耀がするとして、俺が気にしておく必要があるのは・・・・・・あいつだな)

 

シナナは視線をアーシャのすぐ傍に漂うカボチャに視線を移す。

 

「ねえ、その火の玉って・・・・・」

 

シナナが視線を移すのと同時に、耀が口を開く。

 

「はぁ?何言ってんのオマエ。コイツをそこらの火の玉なんかと一緒にすんなし。コイツは我らが"ウィル・オ・ウィスプの名物幽鬼――――――ジャック・オー・ランタンさ!」

 

「ヤホホホホ!」

 

アーシャは自慢げにジャックのことを耀に紹介し、ジャックは不敵な笑みを浮かべてみせた。

 

・・・・・・尤もジャックの笑みは掘られたものであるため表情は常に笑顔であるのだが。

 

「それにしても・・・・・あんた達運がいいね。私の晴れ舞台の相手をできるんだからさ。泣いて感謝しろよ?この名無し」

 

『アーシャさん!ゲーム開始前の挑発行為は控えるように・・・・!』

 

馬鹿にしたような笑みを浮かべて耀を挑発するアーシャに黒ウサギは注意を促す。

 

だが・・・・

 

『いいぞ!やッちまえ!』

 

『"名無し"に身の程を分からせてやれ!』

 

アーシャの挑発に促されてか、観客から"ノーネーム"に対してヤジが飛ばされた。

 

このような晴れ舞台に"ノーネーム"が立つことを不満に思っている者も少なくはない。このようなヤジは決して珍しいものではないのであろう。

 

(やはり"ノーネーム"は風当たりが厳しいですね・・・・・耀さん、シナナさん。どうか気を強く・・・・・)

 

耀と命を心配した黒ウサギは二人に視線を向けた・・・・・のだが。

 

「ってあれ!?」

 

黒ウサギが心配するまでも無いようであった。

 

耀は飛鳥に向かって手を振っており、シナナはどうでもいいといった感じで知らん顔を決めこんでいたのだから。

 

まあシナナも耀もかなり神経は図太く、この程度で取り乱すほどヤワではないのだ。黒ウサギの心配は杞憂に終わったようだ。

 

「ははっ!大した自信だねーオイ。なに?それ私達に対する挑発か何かですか?」

 

「うん、そうだよ」

 

「なっ!?」

 

からかう目的で聞いたことにキッパリと肯定されてアーシャはカチンとなった。"ノーネーム"に挑発されたという事実がよほど屈辱なようだ。

 

『な、なんと早くも互いに火花を散らしているご様子・・・・・そ、それでは早速ゲームを開始させていただきます!白夜叉様どうぞ!』

 

黒ウサギが冷や汗を拭いながら宣言すると、白夜叉にスポットライトが当てられた。

 

「うむ、では主催者(ホスト)としてゲームの舞台を展開させていただこう。さて・・・・なにがでるか――――なっ!」

 

カッ!

 

白夜叉がギフトカードを翳すと、シナナ達4人はゲームの舞台となる空間に飛ばされる。

 

木々が生い茂り、日の光が殆ど届くことのない薄暗い場所であった。

 

『ゲームの舞台は箱庭の南側にある"アンダーウッド"の樹木の大空洞となりました!それではゲームのルール説明です!』

 

黒ウサギが言うとシナナ達の手元にギアスロール現れ、会場のモニターにギアスロールの内容と同じ文章が表示される。

 

 

ギフトゲーム"アンダーウッドの迷路"

 

 

勝利条件

・プレイヤーが大樹の寝の迷路より野外にでる

・対戦プレイヤーのギフトを破壊

・対戦プレイヤーが勝利条件を満たせなくなった場合(降参含む)

 

 

敗北条件

・対戦プレーヤーが勝利条件を一つ満たした場合

・上記の勝利条件を満たせなくなった場合

 

 

『以上!"審判権限(ジャッジマスター)"の名においてここにゲーム開始を宣言します!』

 

黒ウサギの合図をもって、ゲームが開始された。

 

「・・・・ねえ。貴女って"ウィル・オ・ウィスプ"のリーダーなの?」

 

ゲームが開始されて早々、耀はアーシャに尋ねた。

 

「え?あ、そう見えちゃうの?嬉しいなぁ♪」

 

アーシャは耀にリーダーだとみなされたと思い、嬉しそうに表情を綻ばせる。

 

「けど残念なことにこのアーシャ様はリーダーじゃ・・・・」

 

「そう」

 

耀は最後まで聞くことなく、出口を探しに走り出した。シナナも耀の横に並走する。

 

「んなっ!?こ、この~~~!!とことん馬鹿にしてくれるってわけかよ!いくぞジャック!」

 

耀の言動によって頭に血を上らせたアーシャがジャックのに乗って二人のあとを追った。

 

(さて、ジンの情報が確かならあのアーシャって子とカボチャの正体は・・・・)

 

「こんな狭い通路を先行なんてされたら・・・・後ろから狙い打つしかないよなぁ!馬鹿にしてくれた礼だ名無し!!」

 

アーシャは先ほどから挑発をしていた耀に向かって炎塊を放った。しかし耀はその炎塊を後ろを振り向きもせず軽々と躱してみせた。

 

「なっ!?私の炎を身もせずに避けた・・・・!?どんなギフトを使ったんだ・・・・・!?だ、だったら先に補佐の男から始末する!」

 

いともたやすく自分の炎を耀に躱され、アーシャは動揺した。そして今度はシナナに向かって炎塊を投げつけたが・・・・・

 

「は、はぁ!?」

 

アーシャは先ほど耀に躱されたとき以上に驚愕していた。まあ無理もないであろう。なぜならシナナは・・・・炎塊をモロに直撃し、皮膚を焼かれたにもかかわらず意にも介していないのだから。

 

そのうえ、その火傷でさえすぐさま治ってしまっているのだから驚かない方が無理な話だ。

 

「・・・・・どうやらジンが言っていた通りのようだな」

 

「そうだね」

 

シナナと耀はジンの言っていたことを思い出していた。

 

 

 

 

 

『無人の場所で突如として生まれる青白い炎は死者の魂だとする"ウィル・オ・ウィスプ"とさまよう死者の魂が幽鬼となる逸話"ジャック・オー・ランタン"だといわれています。彼らの名がもつ伝承にはそれぞれの共通した点があります。それは『永遠に生と死の境界を彷徨う魂を哀れに思った悪魔が炎を与える・・・・』というものなんですがこの伝承から"ウィル・オ・ウィスプ"のリーダーは・・・・・"生と死の境界を行き来できるほどの力をもつ悪魔"――――と推測されます』

 

『・・・・・そのリーダーを相手取るとしたら厄介だな』

 

『でも・・・・リーダーじゃなかったら』

 

『勝算はあります』

 

 

 

 

 

 

 

 

「くっ・・・・この!」

 

耀とシナナに向けて炎塊を乱発するアーシャ。しかしそれは全く通用することはなかった。

 

『伝承』ではない『現象』としての"ウィル・オ・ウィスプ"の正体とは大地から溢れた可燃性のガスや物質の類が起こす自然発火だ。例え人間にとって無味無臭のガスだとしても・・・・・ギフトで強化した耀の鼻であれば発火前に気がつくことができる。故に耀は炎塊を回避することができるのだ。

 

そしてシナナに関して言えば、そもそも躱す必要がない。たとえ身を焼かれようとも、死物であるシナナには痛みというダメージが伴わず火傷はすぐに回復する。たとえ直撃しようとも妨げにはならないのだ。

 

もっとも・・・・・・タイムリミットを縮めることにはなるが。

 

「・・・・駄目だ。私の炎じゃあいつらを仕留められない・・・・!このままじゃ・・・・・くそっ!」

 

アーシャは苦虫を噛み潰したように表情を悔しさで歪めながらジャックから降りた。

 

「・・・・・悔しいがあとはアンタに任せるよ。本気でやっちゃって―――――ジャックさん」

 

「・・・・・わかりました」

 

「え?」

 

「失礼お嬢さん」

 

突如としてジャックは耀の前方に回り込み、耀に拳を振り下ろす。

 

そして・・・・・

 

「させないよ」

 

「シナナ!」

 

その拳を、ギリギリで反応したシナナが受け止めた。

 

「おや、防がれてしまいましたか・・・・・・まあいいでしょう。早く行きなさいアーシャさん。この二人は私が足止め・・・・」

 

「一人の間違いだろ」

 

「なにっ!?」

 

アーシャを先に行かせようとするジャックであったが、シナナの殴打を受けて怯んでしまった。

 

「行け耀。こいつは俺に任せろ」

 

「う、うん。わかった」

 

シナナに促され、耀は先を急ぐ。

 

「くっそ、仕方ない。ジャックさん!私は行くからそいつはよろしく!」

 

「ええ。すぐに追いかけますので急ぎなさい」

 

数舜遅れて、アーシャも出口に向かって駆け出す。

 

「すぐに追いかけるね・・・・・・それは俺を早々に片付けるってことか?」

 

「ええ。そう受け取ってもらっても構いませんよ」

 

シナナの問いかけに答えると同時に、ジャックの周りに豪炎が燃え盛る。それは先程のアーシャの炎とは桁違いだ。

 

 

「私は"生と死の境界に顕現せし大悪魔"――――ウィラ・ザ・イグニファトゥス制作の大傑作ギフトのジャック・オー・ランタンでございます。それなりの実力を備えていると自覚しております」

 

("ウィル・オ・ウィスプ"リーダーが作ったギフト・・・・か)

 

箱庭に来て日が浅いとはいえ、"ウィル・オ・ウィスプ"リーダーが作ったギフトとなれば相当に強力であることはシナナでも理解することができた。

 

だが・・・・・

 

「それがどうした?」

 

そんなことはシナナにとってなんの関係もないことだ。

 

「・・・・は?」

 

「お前が何者で、どれほどの力を有していようと関係ないんだよ。俺のやるべきことはたった一つ・・・・・・目の前の敵を倒し、潰すだけだ」

 

(!?こ、これは・・・・・・・)

 

刹那・・・・・シナナの身にまとう空気が変わり、ジャックは戦慄した。

 

先程までとは全く違う・・・・・・まるで凍りついてしまうかのように冷たい声。目の前に居る敵・・・・・ジャックのみを映しているが、生気を感じさせない虚な瞳。そして・・・・・・そこにいることさえ幻かと思わせてしまうほどに希薄でありながら、恐怖を感じずにはいられない存在感。

 

その瞬間ジャックは悟る。シナナは・・・・・・生きている人間ではないことに。

 

「あなたは・・・・・一体何者ですか?」

 

恐怖で震える声で、ジャックはシナナに問う。

 

「俺は・・・・・・・ただの死物兵器だよ」

 

ジャックの問いかけに短くそう答え、シナナは・・・・・・ジャックに向かって攻撃を仕掛けた。

 

 

 




今回も説明はなしです

次回もまたお楽しみに!!
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