問題児たちが異世界から来るそうですよ?~誰も知らぬ死物の物語~ 作:shin-Ex-
もちろんシナナさんが戦うことになるのですが・・・・・
それでは本編どうぞ
「具現『
「シナナ?それ・・・・・」
上空に魔王一行の姿を捉え、すぐさま
「魔王のお出迎えに行ってくる・・・・・・お前もどうだ十六夜?」
シナナが振り返るとそこには十六夜を始め、飛鳥、レティシア、ジン、黒ウサギといってノーネーム一行が居た。
「そうだな。そろそろ降りてくるようだし・・・・・いくか」
「私も付き合おう」
レティシアもまた、シナナと十六夜と同行しようと名乗りをあげる。
「それじゃあ俺、シナナ、レティシアの3人は魔王のお出迎え。御チビ達は白夜叉を頼む」
「白夜叉がどうかしたのか?」
「ゲームが始まるのと同時に封じ込まれてしまったの。十六夜くんの力でも破れなくて・・・・・」
シナナの問いに、飛鳥が答えた。
「となるとゲームの制約で封じられたって可能性があるな・・・・・・それじゃあその辺りは飛鳥達に任せる」
「ええ。わかったわ」
「任せて」
「よし、二人共行くぞ」
十六夜とレティシアにそう促すシナナ。
すると・・・・・
「待ってシナナくん」
飛鳥がシナナを引き止めた。
「なんだ飛鳥?」
「その・・・・・・もう大丈夫なのよね?」
飛鳥は不安そうな表情でシナナに尋ねる。先程のジャックとのやり取りでシナナはもう兵器として戦おうとはしないだろうとは思ってはいるが・・・・・・それでも心配であるのだろう。
「大丈夫だよ。心配かけてゴメンな飛鳥。このゲームが終わったら埋め合わせするから」
「・・・・・絶対よ?」
笑顔を浮かべるシナナを見て、大丈夫だと判断した飛鳥はニコリを微笑みながら念を押した。
「ああ。絶対だ」
「お~い、いちゃつくのはそれくらいにしてくれ」
「なっ!?十六夜くん!別に私達はいちゃついてなんか・・・・・」
からかい気味に言う十六夜に対して、飛鳥は慌てて反論する。もっとも、顔が赤らんでいるのであまり説得力はないが。
「でもまあ、確かにそろそろ本格的に気合入れないとな・・・・・今度こそ行ってくるよ飛鳥」
「気をつけてねシナナくん」
「了解」
軽く手を振って返事を返すシナナ。そして魔王達の下へと向かおうと翼を羽ばたかせようとした・・・・・・・
その瞬間
「久しぶりだな・・・・・・愛しの十六夜」
「「「!?」」」
その場にいた全員が、聞き覚えのない・・・・・いや、シナナだけは聞き慣れた女性の声が耳に入る。
声のした場所には・・・・・・黒いフード付きコートを身に纏う女性がその場にいた。
「さあ・・・・・行こうか」
女性はシナナに殴打を放ち、シナナはその場から猛スピードで弾き飛ばされる。それに伴って女性もシナナと同じ方向に飛び立って行った。
「シナナくん!?」
「ちっ・・・・・・皆、俺のことはいい!自分の役割を果たせ!」
連れ去られて行くシナナに向かって手を伸ばしながら名を叫ぶ飛鳥。対してシナナは、舌打ちを打ちながらも自分に構わず自分の役割を果たすように告げる。
そしてそのほんの数秒後・・・・・・シナナの姿は飛鳥達の視界に映らないほど遠くに離れてしまった。
ゲームを行っていた会場から数百メートル離れた地点で、ようやくシナナは地に足をつけることができた。
「随分と遠くまで飛ばしてくれたじゃないか。これじゃあ皆と合流するのに時間がかかりそうだ」
「合流の必要なんてない。お前は私と共に居ればいいのだからな」
シナナがその地に降り立ってほんの数秒後に、女性も姿を現す。
「そういうわけにはいかない・・・・・・・と、言いたいところだが。お前が相手となると厳しいか」
シナナは女性を真っ直ぐに見つめ、苦笑いを浮かべながら言う。
「まさかお前がいるとは・・・・・・予想外だったよ。いや、別の意味では予想通りだったんだが」
シナナはその女性が誰なのか知っていた。そして、その女性の登場は予想外であるが同時に予想通りであった。
予想外というのは、敵側に居るのは別の人物だと思っていたから。
予想通りというのは、その人物が箱庭に来ており・・・・・・・自分の敵として立ちはだかるであろうと思っていたから。
「久しぶりだな・・・・・・・蘭々将軍」
「ああ・・・・・本当に久しぶりだ」
シナナに名を呼ばれ、女性はフードを脱ぐ。フードの下に隠れた顔は端正で整っており、さらに絹のようにすべらかなプラチナブロンドをポニーテールに結っている美女のものであった。
蘭々・・・・・・その女性はシナナが箱庭に来る前に最後に言葉を交わしていた人物。『シナナ』という人格が芽生える前、死物兵器であった時の仲間であり、生前、『虚野十六夜』の友人であった。
もっとも・・・・・それは蘭々の思いとは異なっているが。
「会いたかった・・・・・・会いたかったぞ十六夜」
恍惚とした表情で、頬に手を当てながら言う蘭々。
そう・・・・・蘭々は『虚野十六夜』に好意を寄せているのだ。
「・・・・・・悪いけど今の俺は虚野十六夜じゃない。今はシナナと名乗っているからそう呼んでくれないか?」
「いいや・・・・・・私にとってお前は十六夜なんだ。それ以外の何者でもない・・・・・・お前は私の愛おしい十六夜だ」
シナナはもう自分は十六夜ではないというが蘭々は聞く耳を持たず、妖艶な笑みを浮かべてシナナの事を十六夜と呼び続ける。
「・・・・・・しばらく見ないうちに少し性格が変わったんじゃないか?俺の知っている蘭々将軍はもっと凛々しかったと思うが?」
「変わったんだよ私は。お前を・・・・・・十六夜を失ったことでな」
蘭々は先程までとは打って変わって、寂しそうに表情を暗くさせる。
「あの時私は十六夜を送り出した。そうすることがお前のためだと思っていた。だが・・・・・・お前のいない日々は寂しかった。心細かった。毎日毎日お前の事を夢に見て、お前がいないという現実に絶望した」
蘭々にとって『虚野十六夜』のいない日々はよほど苦しかったのであろう。小刻みに身体を震わせながら、自らの身体をギュッと抱きしめていた。
「そして私は十六夜がいない日々が耐えられなくなって・・・・・・自害した。お前のいない世界に未練など欠片も存在しなくなってしまったからな」
「蘭々将軍・・・・・・」
自害した聞き、シナナは哀しげに表情を歪ませる。自分のせいで死なせてしまったというのが辛いのであろう。
「その後だ・・・・・・私は箱庭に召喚され、肉体を与えられた。克臥狂治と共にな」
「・・・・・その召喚者は今回襲ってきた魔王の一派なのか?」
「いいや違う。それどころか召喚者については私も詳しくはわからない。奴等は、ただ自分達に従うようにとだけ言ってきたからな。無論初めは得体の知れない者達に従うつもりなど毛頭なかったから反発していたのだが・・・・・そいつらは私に言った。従っていればいずれ『虚野十六夜』に会えるかもしれないとな」
「それで従ったのか?」
「ああ。今の私にとっては十六夜だけが全てだからな。今回あいつらに協力しているのも命令されたからだ」
あいつらというのは言うまでもなく、今回襲撃してきた魔王一派のことであろう。
「そしてとうとう・・・・・とうとうお前と、十六夜と再会を果たすことができた!ようやくお前と・・・・・・この時を私は待ち望んでいた!」
待ち望んだ『虚野十六夜』との再会・・・・・・よほど嬉しいのであろう。蘭々は満面の笑顔を浮かべていた。誰が見てもわかるほどの・・・・・・狂喜の笑顔を。
「さあ十六夜・・・・・・私の下に来てくれ。もう二度と離さない。いつになるかはわからないが、お前のタイムリミットが来るその時まで・・・・・・私の傍にいてくれ」
縋るように蘭々はシナナに向かって手を伸ばす。
だが・・・・・・
「・・・・・・悪いが蘭々、その申し出を受け入れることはできない」
シナナが・・・・・・その手を掴むことはなかった。
「十六夜・・・・?なぜだ十六夜!なぜ私を拒絶する!私はこんなにもお前を想っているというのに・・・・・なぜ!」
「俺は・・・・・・今の俺は"ノーネーム"に所属するシナナだ。俺の残された時は"ノーネーム"の皆と共に費やすと決めた。今の俺にとって一番大切なの居場所は・・・・・・"ノーネーム"なんだよ」
もしも彼が『虚野十六夜』のままであったのなら。その手を掴んでいたかもしれない。だが、今の彼は"ノーネーム"のシナナ。彼の居場所は・・・・・・"ノーネーム"なのだ。
「それが・・・・・・お前の答えだというのか?」
「そうだ。この答えは何があっても揺るがない」
「・・・・・・・嫌だ。そんなの嫌だ!私はお前と共にありたい!たとえどんな手段を使おうとも!」
『虚野十六夜』に拒絶されたことによって激昂を顕にする蘭々は、白銀の長剣を抜く。
「タイムリミットを縮めることになるだろうが仕方がない・・・・・・力ずくでお前を私のものにしてみせる!」
「そういうわけにはいかない。たとえ蘭々将軍が相手だろうと俺は・・・・・・シナナとして戦い、抗う!」
シナナは生前の友であり、かつての仲間であり・・・・・・最強の『人間兵器』である蘭々と戦う覚悟を固めた。
"ノーネーム"のシナナであるために・・・・・・そこに一筋の勝機も存在しないと知りながらも。
蘭々について
蘭々は虚野十六夜と同じ国の軍に所属し、虚野十六夜とはいわゆる幼馴染でした
幼い頃から虚野十六夜に想いを寄せていましたが、ある理由により虚野十六夜が生きていた時には思いを告げることはしていません
現在、彼がシナナとなってなお、蘭々はシナナを虚野十六夜と呼び、我が物にしようとしています
それでは今回はここまで
次回もまたお楽しみに