問題児たちが異世界から来るそうですよ?~誰も知らぬ死物の物語~ 作:shin-Ex-
それでは本編どうぞ
「瑠々・・・・・やはり箱庭にいたか」
先程までは表情を驚愕に染めていたシナナであったが、それはほんの束の間のこと。今はどこか懐かしそうな表情を浮かべていた。
「やはりってことは予想してたのかよコノヤロ~」
「ああ。あの紅い巨人の右脚についていた紋章を見た時からな。あれはお前の紋章だ」
「ああ、ディーンのかぁ~。ディーンすっげえだろ~?あれ結構な自信作なんだよね~。まあ精霊達にかなり手伝ってもらったんだけどな~」
瑠々は嬉々としてディーンを自慢する。一から全て自分が作ったわけでなくともあれは瑠々の作品。瑠々にとっては自分の子供もどうぜんなのだ。
「あ、あの・・・・・・いいかしら?」
シナナと瑠々が会話を弾ませていると、飛鳥が恐る恐ると声をかけた。
「ん~?なんだ~」
「あなた・・・・・瑠々っていうの?」
「そうだぞ~。それがどうかしたか~?」
「その・・・・・シナナくんに瑠々って人にアクセサリーを作ってもらったって聞いていたから」
「それで気になったってことか~。んじゃシナナから色々聞いてるかもだけど自己紹介したほうがいいかな~?」
「お願いするわ」
「・・・・・・・あんまり余計なことは言うなよ?」
シナナは瑠々に余計なことは言わないようにと釘をさした。
「言わない言わない~。それじゃあ・・・・・・はじめまして久遠飛鳥さん~。私は瑠々。彫金師の虚野瑠々だよ~。よろしく~」
「ええ、よろしく・・・・・って、え?虚野?」
「・・・・・はあ」
飛鳥は瑠々の名字に疑問を抱き首をかしげ、シナナは呆れたように額に手をあてた。
「え?聞いてないの~?私は虚野十六夜の伴侶・・・・・嫁なんだよ~。だから虚野姓なんだ~」
「伴侶・・・・嫁・・・・・・?」
飛鳥は一瞬自分の耳を疑い、呆けてしまう。
だが、数秒後には・・・・・
「・・・・・ええっ!?」
わかりやすく驚いてみせた。
「だから余計なこと言うなって俺釘さしたよな・・・・・?」
「余計なことじゃないよ~。大事なことでしょ~」
「・・・・・そうかよ」
痛みなの感じないはずなのに頭痛がするように錯覚するシナナ。あのシナナをここまでにするとは瑠々は相当にゴーイングマイウェイな破天荒な子のようだ。
「ちょ、ちょっと待って。それってつまりあなたは虚野十六夜とけ、けっこ・・・・・」
「結婚してた。お互い14の時だね~。あ、これ証拠のエンゲージリングね」
瑠々は自身の左手薬指にはめられた銀の指輪を見せびらかすかのように示す。
「・・・・・・・結婚してたの?」
飛鳥はシナナをジト目で見つめる。
「そんな目で見るなよ・・・・・・結婚してたのは虚野十六夜だ。俺じゃない」
「そうそう。その証拠にシナナはエンゲージリングつけてねぇだろ~」
瑠々の言うとおりシナナの指にはエンゲージリングはついていない。いや、虚野十六夜であったときはつけていたのだが・・・・・・死物となってからは外しているのだ。
「そ、そうなの・・・・・・ならいいわ」
(・・・・え?いいって・・・・・なにが?それになんで私ホッとして・・・・・)
自分でいいと言っておきながら、飛鳥はなぜ自分が安心しているのかわからなかった。
どうやら、まだ自分の気持ちには気がついていないようだ。
「まあ、話は色々したいところだけどこれ以上はおいておこうか~。1週間もあれば話なんていくらでもできるしな~」
「1週間?どういうことだ瑠々?」
シナナは瑠々の口にした1週間という期間がなんなのか気になり尋ねる。
「ゲーム再開までの期間だぞ~。能力・・・・・箱庭ではギフトだな。ギフトを使ってこことよく似た平行世の審議決議の結果を覗いて見てわかってな~」
「そういえばシナナくんから異界を覗く能力を持ってるって聞いたわね・・・・・・中々便利なのね」
「まあな~。ただ成約もあるけど・・・・・それについても今度気が向いたら話すということで、いい加減本題に入るか~。とりあえずおさらいするが飛鳥はラッテンに、シナナは・・・・・・蘭々に負けて捕まったわけだ~」
(蘭々?)
飛鳥は自分の知らない名前の出たことに、そして一瞬、蘭々の名を出した時瑠々の表情が儚げになったのが気になった。しかし、話の腰を折らない方がいいだろうと判断し、口に出すことはしない。
「ああ・・・・・・正直今のままじゃ対抗することはできないだろう。俺では蘭々の足元にも及ばない」
「・・・・・私もね。一瞬なら私のギフトで動きを縛ることができるけれど単純な力では敵わないわ」
シナナも飛鳥も自分の戦うべき相手にはまったく敵わないことをきちんと把握していた。
「まあ格上相手なのは間違いないもんな~。ただ、お前達二人が勝てないとゲームの勝利も厳しいのも事実。だからこの1週間で勝てるようにならないといけない」
「でもどうすれば・・・・・たったの1週間で簡単に強くなんて・・・・・」
「その為に二人はここにいるんだよ~。まず飛鳥には試練を受けてもらう」
そう言いながら、瑠々は飛鳥の背後にある門を指差す。
「なんでこんなところに門が・・・・?それにこれは
門には
『ギフトゲーム"奇跡の担い手"
プレイヤー一覧
・久遠飛鳥
クリア条件
神珍鉄製の
敗北条件
プレイヤー側が上記クリア条件を満たせなくなった場合
宣誓
上記を尊重し、誇りと御旗の下ギフトゲームに参加します』
「私の名前が・・・・・これって一体?」
「あすか」
困惑する飛鳥の耳に、現れた小精霊の声が聞こえてくる。
「あなた・・・・・これはどういうことなの?」
「私から貴女におくりもの。どうか受け取ってほしい。そして・・・・・偽りの童話"ラッテンフェンがー"に終止符を」
周囲に小さな光がぽうっと灯る。その光は数多の小精霊が発しているものであった。
「これは・・・・・あなたの仲間?」
「私達は"群体精霊"。ハーメルンで命を落とした130人の御霊。ある願いのために幾星霜も待っていました」
「願い?」
「もはや叶わぬ願いと諦めていたけれど131人目の同士が"奇跡の担い手"となり得るあなたを連れてきてくれた。語りましょう、1284年6月26日にあった事実を。そして偽りのハーメルンの正体を」
小精霊の一体が門に触れると、重音を鳴らしながら門が開く。
門の奥には・・・・・・紅の巨人"ディーン"があった。
「捧げましょう、星海竜王から授かりし鉱石で鍛え上げた我らの最後のギフトを・・・・・どうか貴女の"威光"で鋼の魂に灯火を」
「私が・・・・・・この巨人に?それが試練?」
飛鳥は真っ直ぐにディーンの姿を見つめる。
「そうだよ~。これが君が手にすることができるかもしれない力。試練を受ける受けないは飛鳥の勝手だけど・・・・・・できれば皆の思いを無下にして欲しくはないかな~」
「・・・・・・受けるわ。この子達の思いを受け取るために・・・・・何より私自身の為に。私は試練を受け、ディーンを従えてみせる」
飛鳥は決意の秘めた瞳で真っ直ぐに瑠々を見据えながらそう答えた。
「飛鳥・・・・・・頑張れよ」
「ええ。必ず・・・・・・やり遂げてみせるわ」
シナナの激励に力強く返事を返し、飛鳥はディーンに手を触れた。
「飛鳥・・・・・・」
「彼女が心配~?」
「いいや・・・・・まったく心配していない」
「信じてるから~?まだ出会ってそんなに月日もたってないのに~?」
「月日の長さは関係ない。ただ信じてる・・・・・それだけだ」
「・・・・・・そっか~」
シナナのその言葉に、瑠々は満足げに笑みを浮かべてみせた。
「さて、それじゃあ次はシナナの番だね~。といっても、シナナには特別してもらうってことはないんだけど~」
「だろうな」
シナナは死物・・・・・すでに肉体的強化は見込めない。かといって戦闘技術を高めるのもほぼ無意味だ。それで1週間やそこらで蘭々を超えるのは不可能なのだから。シナナはそれをわかってるからこそ特に驚いていなかった。
「だが、そうなると俺はどうすればいいんだ?」
「君には・・・・・新たな力を得るために力を失ってもらうよ~」
「力を得るために力を失う?」
「そう・・・・・・君に与える力は新たなる武器。そして失う力は君が今持つ全ての武器。今君の持つアクセサリー全てを使って蘭々に勝つための超強力な武器のアクセサリーを作るってことさ~」
「・・・・・・なるほど、そういうことか」
蘭々との力の差を埋めるためにはもはや武器に頼るしかない。そこで瑠々はシナナの持つ全てのアクセサリーを使って新たな武器のアクセサリーを作ろうというのだ。
「当然今まで使ってたアクセサリーは全部使えなくなるね~。そして新しくできた武器も使えるのは1度きり。あ、言っておくけど1個たりとも出し惜しみしちゃあダメだよ?蘭々相手だとそれが命取りになる可能性が高いからね~。とまあ、はっきり言ってすんごいハイリスクなんだけど~・・・・・・どうする?」
瑠々がシナナに尋ねる。重大な決断を迫るものであるが、いたずらっぽい笑みを浮かべていることから瑠々はシナナが何と答えるのかわかっているのだろう。
「瑠々・・・・・頼む」
シナナは100以上はあろうかというアクセサリーを全て取り出し、瑠々に差し出した。
「・・・・・OK。とびっきりの武器を作ってやるよ~」
ニヤリと笑い、瑠々はアクセサリーを受け取る。
こうして、シナナと飛鳥は新たなる力を得ることとなった。
瑠々について
瑠々と虚野十六夜は夫婦でした
わかくして結婚し、それなりに幸せな生活を送っていましたが、若くして瑠々が死んでしまったためにその幸せは長くは続きませんでした
そして、瑠々は蘭々と関係があるのですが・・・・・・それはいずれ
それでは今回はここまで
次回もお楽しみに!