問題児たちが異世界から来るそうですよ?~誰も知らぬ死物の物語~   作:shin-Ex-

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今回はゲーム再開前日のお話です

どんどん終わりが近づいていく・・・・・

それでは本編どうぞ


決戦前夜

「はいこれ~。ボク特性の激強武器のアクセだよ~」

 

ゲーム再開の前日、シナナは瑠々からアクセサリーを渡される。

 

「剣か・・・・・・まあ確かに武器の中では一番使い慣れているな。だが見た目は普通の剣なんだが?」

 

確かにシナナの言うとおり、アクセサリーは何の変哲のない剣にしか見えなかった。

 

「優れた武器っていうのは見た目が派手とは限らないんだよ~。それにはシナナが持ってたすべてのアクセサリー・・・・・聖錬銀のエネルギーが全て込められている。武器としてはあらゆる世界で最高峰のものであることはボクが保証するよ~」

 

「あらゆる世界で最高峰か・・・・・・とてつもないな。だがまあ、これを使っても蘭々に勝てる確率は・・・・・」

 

「2割・・・・・いや、1割もないかな~」

 

「それだけあれば十分賭ける価値はあるか」

 

蘭々の強さをシナナは身をもって知っている。勝率が1割もあれば彼にとっては御の字なのだろう。

 

「まあせいぜい頑張りな~。あ、そうそう。ひとつ言い忘れたことがあった」

 

「なんだ?この武器が使えるのは一度だけというのならもう聞いたぞ?」

 

「じゃなくて~。その武器なんだけど・・・・・・・今のままじゃ使えないから~」

 

「・・・・・は?」

 

瑠々のまさかの一言にシナナは思わず唖然としてしまった。蘭々に勝つための唯一の希望である武器が使えない・・・・・・唖然するのは当然といえば当然だ。

 

「瑠々、それはどういうことだ?」

 

「単純な話だよ~。そいつにはまだ決定的に欠けているものがあるからね~」

 

「欠けているもの?」

 

「名前さ。名も無きものには魂は宿らない。故に名前は存在を決定づける重要な要素。それがないからその武器は使えないんだ~」

 

「つまり名前を付ければいいってことか?」

 

「そう。ただしなんでもいいってわけじゃあないよ~。それに相応しい確かな名前がいる・・・・・君のその『シナナ』という相応しい名前のようなね~」

 

「相応しい名前・・・・・・」

 

シナナはアクセサリーをジッと見つめ、名前を考え始める。

 

「・・・・・というよりそんな大切なことなんで今まで教えてくれなかったんだ?」

 

「ギリギリまで内緒にしたほうが切羽詰っていい名前が思いつくようになると思ってね~。まあこれはボクの持論なんだけど~」

 

「そうか・・・・・まあ、しっかり考えておくよ」

 

「ダサいのはダメだからね~」

 

「わかってる」

 

(でも俺、そういうの苦手なんだよな・・・・・・)

 

どうにもシナナは名前を考えるということが苦手なようで、若干困っていた。

 

(・・・・・一日かければ大丈夫だよなうん。それよりも・・・・・)

 

「瑠々・・・・・今更なんだが一つ聞きたいことがある」

 

「んにゃ?なにかな~?」

 

「俺は・・・・・・お前の妹の蘭々を殺そうとしてるんだぞ?そのことに思うことはないのか?」

 

「・・・・・」

 

シナナの問いに、瑠々の表情は神妙なものになる。

 

「俺は・・・・・お前の夫である『虚野十六夜』ではない。お前にとって縁もゆかりも無い存在『シナナ』だ。なのになんでお前は俺が蘭々を殺す手助けをする?」

 

シナナの言っている事はもっともであった。シナナは既に『虚野十六夜』とは別の存在となっているのだ。にも関わらず、そんなシナナに・・・・・妹の蘭々を殺そうとしているシナナの手助けをするのに疑問を抱くのは不思議ではない。

 

「・・・・・・ボクは"ラッテンフェンガー"に所属していて蘭々が手を貸している"グリムグリモワールハーメルン"から狙われている。それが理由って言ったら信じる~?」

 

「信じるさ。だが、それだけが理由ではないんじゃないか?」

 

「そりゃわかっちゃうよね~・・・・ボクが君に手を貸すのは蘭々を救いたいからさ」

 

瑠々はどこか悲しげに言葉を紡ぎ始めた。

 

「あの子は虚野十六夜に囚われてしまっている。既に存在しない男を未だに想い続け、追い求めてしまっている。仮に蘭々が勝ってシナナを傍に置くことができたとしても・・・・・・表層の幸せは得られても心の底からの充足感は得られず、苦しむことになるだろうね~。だったらもう、蘭々を救うには・・・・・・死なせてあげるしかない」

 

「・・・・・だから俺に手を貸したってことか?」

 

「そうだよ~。本当はボクの手でやるべきなんだろうけど戦闘の才はからきしだからね・・・・・仕方なしに君に託したということさ。これで納得した~?」

 

「・・・・ああ。十分すぎるほどにな」

 

瑠々は今でも蘭々を姉として愛していた。だからこそ瑠々は今の蘭々を見ていられないのだ。

 

このままでは蘭々は苦しみ続けてしまう。ならば・・・・・・死なせてでも救おうと。そう思って瑠々はシナナに手を貸したのだ。

 

「それじゃあ話はここまでにして・・・・・・飛鳥のところに行きなよ。決戦前日なんだからきっちり話はしておくべきだよ~」

 

「わかってるさ・・・・・・・瑠々」

 

「はいはい?」

 

「・・・・・ありがとう」

 

一言瑠々に感謝の言葉を述べた後、シナナは飛鳥の下へと向かった。

 

「・・・・・それはこっちのセリフだね~」

 

シナナの後ろ姿を見つめながら、瑠々はクスリと笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ディーン・・・・・明日はお願いね」

 

飛鳥はディーンに手を当てながら語りかける。既に試練(ゲーム)はクリア済み・・・・・・あとは明日の決戦を待つのみとなっていた。

 

「飛鳥、ここにいたのか」

 

「シナナくん」

 

シナナが現れ、飛鳥は表情を綻ばせた。飛鳥は先日の瑠々との話でシナナへの恋心を自覚してからは、シナナを視界に入れるだけでも幸せを感じるようになっていた。

 

「いよいよ明日だな・・・・・・調子はどうだ?」

 

「万全よ。そういうシナナくんは?」

 

「死物に調子も何もないんだが・・・・・まあ、精神的には落ち着いてるよ。瑠々からこれももらったし」

 

シナナは瑠々からもらったアクセサリーを飛鳥に見せる。

 

「あら?シナナくんの持っていたアクセサリー全部を使ったという割には小さいわね」

 

「聖錬銀は質量を変化させることができるからな。流石に持っていた全部をそのまま合わせた大きさだと持ち運びが不便だ」

 

「本当に変わった金属なのね」

 

「同感だな。ところで飛鳥・・・・・・少し話たいことがある」

 

「話?奇遇ね。私にもあるのよ」

 

どうやら二人共相手に話たいことがあるようだ。

 

「それじゃあレディーファーストで飛鳥から」

 

「わかったわ。それじゃあ・・・・・・」

 

飛鳥は目を閉じ、大きく深呼吸したあとに意を決したように言葉を口にする。

 

「ゲームに勝ったらあなたに伝えたいことがあるの。だから明日・・・・・・絶対に勝ちましょ」

 

それは本当はすぐにでも伝えたいことであった。だが、それでも飛鳥は今はまだゲームに集中すべき時だと判断し、ゲームに勝つまでは胸に秘めておくようだ。

 

「飛鳥・・・・・・それ俗に言う死亡フラグなんだが?」

 

「死亡フラグ?なにかしらそれ?」

 

飛鳥の居た時代ではまだそう言った言葉は存在していなかったため、飛鳥は首を傾げてシナナに尋ねる。

 

「なんというか・・・・・・重要な局面の直前にそういう先の事とかなにかしたいって言っちゃうと生き残れないっていうジンクスみたいなもんだよ」

 

「へえ、そんなのがあるのね・・・・・・だったらその死亡フラグっていうのは私とディーンがへし折ってあげるわ」

 

ニッコリと笑顔を振りまきながら飛鳥は堂々と宣言した。

 

「・・・・・・ははっ。確かに飛鳥なら死亡フラグなんてへし折りそうだな」

 

そんな飛鳥を見て、シナナも釣られて笑顔になる。それはある意味、飛鳥への信頼の表れともとれるものであった。

 

「それよりも、私の話は終わったわよ。次はシナナくんお願い」

 

「ああ・・・・・・・すまなかったな飛鳥」

 

「え?」

 

突然謝りだしたシナナに、飛鳥はなんのことだかわからずに疑問の声を出してしまった。

 

「すまなかったって・・・・・・何がかしら?」

 

「あの日の夜・・・・・飛鳥を泣かせてしまったから」

 

あの日とは魔王が襲撃してきた前日のことであった。

 

「ああ、あのこと・・・・・・もういいわよ。今ならどうしてあんなことを言ったのか理解できるもの」

 

「え?」

 

「あの時あなたがああ言ったのは・・・・・・もしも"ラッテンフェンガー"が敵だったら瑠々を倒さないといけないと思っていたからでしょ?虚野十六夜であった時の妻である瑠々の事を。"ノーネーム"のシナナして私達を守るためにはそうやって非情にならなければならなかった・・・・・・違う?」

 

「・・・・・・」

 

シナナは沈黙したが、それは肯定の意であった。まさかここまで理解されるとは思いもしなかったであろう。

 

「あなたは本当に優しい人ね。あなたのそういうところ・・・・・・嫌いじゃないわよ」

 

「・・・・・そうか。だがまあ、結局俺は・・・・・非情にならなければならないがな」

 

「・・・・・蘭々を倒すために?」

 

「ああ。あいつは・・・・・・倒さなければならない」

 

シナナの表情は酷く苦々しかった。無理もないことだ。シナナとて好き好んで虚野十六夜であった時の、そして死物になってから最も長く共にいた者を殺そうとしているわけではないのだから。

 

「・・・・・シナナくん」

 

飛鳥はそっとシナナの身体を抱きしめた。

 

「あまり自分を責めないで。そんなあなたを見ているのは・・・・・・辛いの」

 

「飛鳥・・・・・ありがとう。大丈夫だよ。俺なら・・・・・大丈夫だ」

 

「そう・・・・・ならいいわ。シナナくんの話はもう終わり?」

 

「ああ」

 

「それなら私は明日に備えて寝るけど・・・・・・今日はあなたの傍で眠りたいのだけどいいかしら?」

 

飛鳥は顔を上げ、シナナを上目遣い気味に見つめながら尋ねる。

 

「・・・・・・俺体温ないから温まるには適さないぞ?」

 

「それでもいいわ。私がそうしていたいの」

 

「そうか・・・・・・ならいいよ」

 

「ありがとう。行きましょう」

 

シナナと飛鳥は寄り添い合いながら寝床へと向かう。

 

(・・・・・・飛鳥がすぐ傍にいる状態で武器の名前考えられるかな?)

 

ただ、シナナは心の中でそんな事を思いながらも、柔らかな笑みを浮かべていた。




今回は説明なしです

それでは次回もまたお楽しみに!
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