問題児たちが異世界から来るそうですよ?~誰も知らぬ死物の物語~ 作:shin-Ex-
サブタイではギフトのことに触れてますがそれについては詳しくはまだ判明しません
それでは本編どうぞ
「何をやっちゃってくれてるんですかぁぁぁぁぁぁ!!」
十六夜を連れ戻し、合流した黒ウサギはガルドとのいざこざを聞いて絶叫した。
「ちょっと目を離した隙に他コミュニティに喧嘩を売るってどういうことですか!?しかもゲームの日取りは明日って・・・・一体どういう思惑があっての事なんです!?」
「「「ムシャクシャしてやった。今は反省しますし非常に申し訳ない気持ちで一杯です」」」
「黙らっしゃい!!」
打ち合わせをしたのだろうかと疑うほどにように同時に言い訳をするシナナ達問題児に黒ウサギは激怒した。
「別にいいじゃねえか。見境なく喧嘩売ったわけじゃねえんだから許してやれ」
「そうはいきません!十六夜さんは面白ければいいと思っているかもしれませんが、このゲームで得られるのはただの自己満足だけなんですよ!この"契約書類(ギアスロール)"を見てください!」
黒ウサギは十六夜に契約書類(ギアスロール)を見せた。内容は相手側が勝利した場合は相手の罪を黙認してこちらが勝利したら相手は罪を認めコミュニティを解散し、法の下に正しい裁きを受けるといったものであった。
「なるほど・・・・確かにコミュニティに実質的に利益になる報酬は得られないな」
ガルドの行った事は間違いなく違法行為。時間さえかければ必ず罪は暴かれる。
「そうです。だって人質の子供たちはもう・・・・・」
「そう。人質は既にこの世にいないわ。そこを責め立てれば必ず証拠は出るでしょう。だけど時間をかけてしまえばあの外道に逃げられる可能性があるわ。だからあの外道に時間を与えたくないの」
箱庭の法は都市外では働かない。そこまで逃げられたら法によって裁くことができなくなってしまう。
「それはわかりますが・・・・・でも・・・」
「それにね黒ウサギ。私は道徳云々より、あの外道が私の活動範囲で野放しされることも許せないの。ここで逃せば、いつかまた必ず狙ってくるに決まっているわ」
「確かに・・・・逃げられれば厄介かもしれないですけど」
「僕も同じ気持ちだよ黒ウサギ。あんな悪党を野放しにするわけにはいかないんだ」
ジンもまた飛鳥の言い分に同調する。
「ジン坊ちゃんまで・・・・もう、わかりましたよ!」
コミュニティのリーダーはジンだ。そのジンが決定したことなのだから忠義を尽くす黒ウサギが逆らえるはずもない。
「まあ腹立たしいのは黒ウサギも同じですし。"フォレス・ガロ"程度なら十六夜さんがいれば楽勝でしょう」
「何言ってんだ?俺は参加しねえよ?」
「だ、ダメですよ!コミュニティの仲間なんですからちゃんと協力しましょうよ!」
「そういうことじゃないさ黒ウサギ」
「え?シナナさん?」
いやに神妙な面持ちで黒ウサギを見ながらシナナは口を開く。
「この喧嘩は俺達が売ってヤツらが買った。それなのに十六夜の手を借りるのは無粋だ」
「シナナくんに同感よ。私も十六夜くんを参加させる気なんてなかったわ」
「・・・同じく」
飛鳥と耀もシナナと同じ考えらしい。
「ヤハハ!なんだよわかってんじゃねえか!というわけで俺は参加しないことで決定な」
「・・・・ああ、もうわかりましたよ!好きにしてください」
結局黒ウサギが折れて納得することになった。
「まあでも安心しろよ黒ウサギ。大丈夫だから」
「大丈夫・・・・というと?」
「なに・・・・・・ガルド程度の奴なんて今まで掃いて捨てるほど潰してきたから。この手で・・・・・な」
「「「!?」」」
ゾクリ・・・・と、その場にいた一同は背筋が凍りつくような感覚に襲われた。それはあの十六夜とて例外ではない。
(まただわ・・・・・本当にあなたはなんののシナナくん?)
(すごく寒い・・・・恐い)
(こいつは・・・・・・まさか俺以上か?)
問題児三人はシナナの放つ威圧感に圧倒される。
三人とてシナナに引けを足らない素質の持ち主であるが・・・・・シナナは三人とは生きてきた環境、培ってきた経験が違うのだ。
「絶対とは言わないがよほどのことがない限りは負けることはないだろう。だから安心しな」
「は、はい・・・・・わかりました」
「というわけでこの話は一旦ここまでな」
シナナは威圧を抑えながら言う。
「そ、それじゃあ今日はコミュニティに帰りますか?」
ひとまず話がまとまったところでジンが提案してきた。
「ジン坊ちゃんは先に帰っていてください。黒ウサギは皆さんのギフトの鑑定を"サウザンドアイズ"にお願いしに行きます」
「"サウザンドアイズ"?コミュニティの名前か?」
「YES。"サウザンドアイズ"は特殊な"瞳"のギフトを持つ者達の群体コミュニティです。箱庭の東西南北・上下層の全てに精通する超巨大商業コミュニティでこの近くにも支店があるんですよ」
「ギフトの鑑定っていうと・・・ギフトの力と起源を調べてもらうっていうことか?」
シナナが黒ウサギに尋ねる。
「その通りです。自分の力の正しい形、名前を把握していた方が引き出せる力はより大きくなります。皆さんも自分の力の出所は気になるでしょう?」
黒ウサギが尋ねるとシナナを除く3人は複雑な表情を浮かべた。それぞれ思うところがあるらしい。ただ誰も何も言わないので異論はないらしい。
(ギフト鑑定となるとあのことも皆にバレるかもな・・・・・・仕方がない。腹をくくるか)
シナナはシナナである決心をしていた。
ギフトを知られるということは・・・・・自分の正体、実態を知られる可能性があるということ。
それは彼が敢えて話していなかったことであるが・・・・シナナは覚悟を固めたようだ。
「それじゃあ案内頼むぜ黒ウサギ」
「はい!ついてきてください!」
十六夜に促され、黒ウサギの案内で一同は"サウザンドアイズ"のコミュニティへと向かった。
「シナナくん」
"サウザンドアイズ"のコミュニティへと向かう道中、飛鳥がシナナに声をかけた。
「ん?なんだ飛鳥?」
「ギフトの鑑定の話になったとき少し様子がおかしかったけれどどうかしたのかしら?」
「へえ・・・・・俺のことよく見てくれてるんだな。飛鳥に見てもらえるなんて感謝感激だ。お礼に俺も飛鳥のことを・・・・」
「誤魔化さないで」
飛鳥は真剣な眼差しをシナナに向けながら言う。それだけ真面目に聞いていること言うことであろう。
「・・・・・残念。慌てふためく飛鳥の可愛いところが見れると思ったのにな」
「誤魔化さないでと言っているでしょ?」
「わかったよ、ちゃんと答える」
シナナは観念して飛鳥の質問に答えることにした。
「これから俺達はギフトの鑑定をしてもらいに行くわけだけど・・・・・正直に言って俺にはそれは必要ないことだ。俺は自分の能力を正確に把握しているからな」
「そうね・・・・・"
「まあそうなんだが・・・・・"
「え?」
「俺は他にも二つギフトを持ってる。"
「"
その事実は飛鳥にとって驚くべきものであった。
"
「そしてそのうち一つは今の俺の正体に、実態に関わるものだ。鑑定されればそれが皆に露呈されてしまう」
「それが嫌なの?」
「嫌というわけじゃないさ。ただその現実はおそらく飛鳥達にとって酷く滑稽で、グロテクスで、なおかつ悍ましく、えげつないものだ。知れば確実に俺を忌み嫌うことになるかもしれない」
「・・・・・そう思われることが嫌?」
「そうでもない。俺はな・・・・・・お前達にそう思わせてしまうことが嫌なんだ」
シナナどこか儚げな表情を浮かべながら飛鳥に言う。
嫌なのは忌み嫌われることではなく、忌み嫌わせてしまうこと。
シナナは自らがどう思われようとも構わないが・・・・・自分に対してどう思わせてしまうかを気にかけてしまうのだ。
「私達に思わせてしまうことが嫌・・・・ね。シナナくん・・・・・あなたはとんだ馬鹿ね」
「・・・・・・は?」
シナナは唐突に飛鳥に馬鹿呼ばわりされて一瞬キョトンとした。
「他の二人は会ったばかりだからどうだか分からないけれど、少なくとも私を見くびらないでちょうだい。貴方が何者であろうとも忌み嫌ったりなんてしない。私にとってシナナくんはシナナくんでしかないもの」
「飛鳥・・・・・・・」
「つまり・・・・・・シナナくんはそんな無駄なこと心配しなくてもいいの。そんな余計なことに気にしても疲れるだけよ」
「・・・・・くくっ」
まるで説教のように飛鳥に言われたシナナは、小さく笑みをこぼした。
「俺はお前を見くびっていたか・・・・・そいつは悪かったな。それとありがとう。おかげで少し気が晴れたよ」
「どういたしまして。それよりも、少し急ぎましょ。皆から少し離れてしまってるわ」
飛鳥に言われて、シナナが前を見ると、黒ウサギ達の姿が少し小さくなっている。話に夢中になって遅れてしまったらしい。
「ほら、行くわよ」
飛鳥はシナナの手を引いて、皆に追いつこうと並木道を小走りする。
(俺を忌み嫌ったりなんてしないか・・・・・・知る前だからこそ言えることだな)
飛鳥に手を引かれたシナナは、道沿いに植えられた木に咲く花を眺めた。
(桜に似た花だな・・・・・・醜く、無様に存在する俺には美しく、潔く散るお前が羨ましいよ)
シナナは醜い
シナナは無様だ
なぜなら彼は命なき死者・・・・・・
シナナは悍しき『死物兵器』なのだから
シナナの持つギフトについて
シナナの持つギフトは具現のみではなく、他にまだ二つあります
しかし、シナナはそれらをあまり多用しません
そのうちの一つはシナナが死物となることに大きく関わるもの、そしてもう一方は・・・・・・あまりにも強力すぎます
それでは今回はここまで
次回もお楽しみに