問題児たちが異世界から来るそうですよ?~誰も知らぬ死物の物語~   作:shin-Ex-

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さて、この小説もいよいよクライマックスです

今回含めてあと3話・・・・・どうなるのかどうか最後までお付き合いを

それでは本編どうぞ


終わりはすぐそこに

ペスト率いる"グリムグリモワールハーメルン"とのゲームを終えた翌日・・・・・シナナは人気のない部屋黒ウサギを呼び出していた。

 

「シナナさん、こんなところに呼び出してどうしたのですか?」

 

「少し話があってな」

 

「お話ですか?」

 

「ああ・・・・・」

 

シナナは少しの間目を閉じ、そして意を決したように語り始める。

 

「・・・・タイムリミットだ」

 

「え?」

 

「俺は・・・・・今日消滅する」

 

儚げな笑みを浮かべながら・・・・・シナナはそう告げた。

 

「きょ、今日消滅って・・・・・そんな!まだ時間はあるはずです!前はあと2年はあるって・・・・・」

 

「こっちに来てからダメージを受けすぎてな。特に蘭々との戦いでごっそり持っていかれた」

 

蘭々から受けた攻撃はほんの数回だ。だが、その数回でシナナの残り時間の大半を奪ってしまったというのだからどれほど蘭々の力が強大であったのかが伺い知れる。

 

「どうにも・・・・・ならないのですか?」

 

「ああ・・・・・抗うことはできない。俺は・・・・・シナナという存在は今日限りで消滅し、無かったことになるんだ」

 

「・・・・・・」

 

どうにもならない仲間との別れ・・・・・・それがすぐに訪れてしまうと知り、黒ウサギはポロポロと大粒の涙を流していた。

 

「・・・・・すまないな。本来なら別れの辛さを誰よりも知っている黒ウサギにこんなこと告げるべきではなかったのかもしれないが・・・・・意味はなくなるとしても話すことがけじめだと思って」

 

「・・・・・わかっています。シナナさんのお気持ちはわかっているつもりです。ですから・・・・・大丈夫です」

 

(黒ウサギ・・・・・)

 

本当は大丈夫などではない・・・・・・そんなことシナナにはわかりきっていたことだ。それでも、黒ウサギの気持ちを尊重して何も言わなかった。

 

「最期に・・・・・礼を言わせてくれ。俺を箱庭に召喚してくれてありがとう。お前のおかげで俺は短かったが充実した日々を過ごすことができた。心から感謝している・・・・・ありがとう黒ウサギ」

 

「シナナさん・・・・・私こそです。今までコミュニティの力になってくれてありがとうございました」

 

これが最期だからと、互いに微笑みを浮かべながら――――黒ウサギは涙を流していたが――――感謝の言葉を伝え合うシナナと黒ウサギ。

 

「それじゃあ・・・・・さよなら。"ノーネーム"行く末が希望で溢れる事を願っている」

 

そう告げて、シナナは部屋を出て行った。

 

「・・・・・さようならシナナさん。私の大切な・・・・・仲間」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よう、シナナ」

 

シナナが最期にやるべきことを果たそうと目的地に向かっていると・・・・・・それを遮るようにして十六夜が現れた。

 

「十六夜・・・・・・何か用か?」

 

「ああ。まあちょっとな・・・・・今いいか?」

 

「少しだけなら大丈夫だ」

 

「そうか・・・・・・・回りくどいのは嫌いだから単刀直入に聞くが、お前・・・・・今日消えちまうんだな?」

 

十六夜は真っ直ぐとシナナを見据え、いやにトーンの低い声で尋ねた。

 

「・・・・・・流石十六夜だな。その通りだよ」

 

否定したところで無駄だと判断し、シナナは潔く白状した。もっとも、十六夜には既に知られてしまっていると分かっていたのだが。

 

「"ノーネーム"のこと任せたぞ。お前はコミュニティの中心なんだからな」

 

「・・・・・・どうにもならないのか?」

 

「え?」

 

十六夜に激励の言葉を投げかけるシナナであったが、帰ってきた言葉はシナナの予想とは違うものであった。

 

「どうにもならないのか?お前はもう消えちまうしかないのか?もう一度自分に死霊魔術をかけることはできないのか?」

 

普段の彼らしくもなく、みっともないとも思えるようにシナナに訴え掛ける十六夜。

 

「・・・・・どうにもならないよ。タイムリミットを迎えてしまったら死霊魔術をかけることも不可能だ。もう決して覆ることはできない」

 

「・・・・・・そうか」

 

もう打つ手がないと分かり、十六夜は俯く。手を力強く握り締め、血が滲むほどであった。

 

「お前がそこまで凹むとは思わなかったな。もっとタフなやつだと思っていたんだが」

 

「・・・・・・兄貴だと思ってた」

 

「あ?」

 

「お前のこと・・・・・頼れるがどこか抜けてる兄貴のような存在だと思ってた。そんなお前が消えちまうのに・・・・・何とも思わねえわけないだろ」

 

十六夜がシナナに対して初めて吐露する心内。

 

十六夜にとっていつしかシナナは兄のような存在となってしまっていたようだ。

 

「・・・・・・そうか。俺のことそう思っていてくれたのか。素直に嬉しいよ。俺もお前のことは・・・・・手のかかる弟みたいに思ってたからさ」

 

「・・・・・・」

 

「俯くな十六夜。さっきも言ったとおりお前はコミュニティの中心なんだ。皆お前を頼りにし、お前の作った道を信じてついてきてくれている。お前は堂々としていなければならない・・・・・・重荷かもしれないがそれが『逆廻十六夜』の生き様だ。俺はお前だからこそ・・・・・・信じてるんだからな」

 

ぽんと十六夜の頭に手を置きながら言うシナナ。それは正しく兄が弟に思いを託す光景のようであった。

 

「もう一度言う・・・・・"ノーネーム"のことは任せたぞ」

 

「・・・・・おう」

 

ぶっきらぼうながらも、しっかりとシナナの目を見ながら返事を返す十六夜。

 

そんな十六夜を見て、シナナはもう大丈夫だと言わんばかりに笑みを浮かべた。

 

「俺はもう行くぞ十六夜。最期に飛鳥と行くところがあるんでな」

 

「お嬢様とか・・・・・なあシナナ、もう一つだけ聞いてもいいか?」

 

「なんだ?」

 

「・・・・・お嬢様にはなんにも言わないつもりか?何も言わずに・・・・・消えるのか?」

 

十六夜はシナナが飛鳥に抱いている想いに、そして飛鳥がシナナに抱いている想いを知っている。それ故にこのまま何も告げずにいていいのかと気になっているのだ。

 

「・・・・・・・それでいいんだよ。告げたとしても意味はない。どうせ俺は・・・・・『シナナ』は無かったことになるんだからな」

 

十六夜の問いかけに儚げな微笑みを浮かべながらそう答えて、シナナは去っていった。

 

「・・・・・いいわけねえだろ。大馬鹿野郎が」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シナナが十六夜と話をしていたのと時を同じくして、飛鳥は耀のもとに訪れていた。

 

「どうしたの飛鳥?」

 

「春日部さん・・・・・・以前あなたは言ったわよね?私がシナナくんのことをどう思っているのか・・・・・そしてシナナくんとどうなりたいのか。その答えを見つけるようにって」

 

「・・・・・うん。言ったよ」

 

「私・・・・・ようやく見つけたわ。その答えを」

 

ずっとずっと気づけたなっか気持ち。瑠々と話をしてようやく自覚した大切な想い。

 

「私は・・・・・・シナナくんが好き。シナナと恋仲になりたい。それが私の嘘偽りのない確かな気持ちよ」

 

飛鳥は・・・・・耀の前でそれを言葉にして出した。

 

「そっか・・・・・とうとう自覚したんだね」

 

「その言い方からしてやっぱり春日部さんは気がついていたのね」

 

「飛鳥を見てればすぐにわかったよ」

 

「そ、そんなに私ってわかりやすかった?」

 

「うん」

 

きっぱりと答え、頷いてみせる耀。そんな耀を見て、飛鳥は少々凹んだ。

 

「じゃあその・・・・・・シナナくんが私のことをどう想っているのかも知っているのかしら?」

 

「当然。シナナに至っては飛鳥よりもわかりやすいから。むしろどうして飛鳥が気がつかなかったのか疑問に思うぐらい」

 

「私どんだけ鈍感なの・・・・・・」

 

そしてさらに自分の鈍感さに凹む飛鳥。まあ、仕方がないことではあるが。

 

「それで?両想いだって気がついたわけだけど飛鳥はどうするつもりなの?」

 

「・・・・・・シナナくんに告白するわ。私の想いを包み隠さずに」

 

魔王とのゲーム再開前に決めていた・・・・・・ゲームに決着がついたら告白しようと。シナナに想いを告げようと。

 

「これからシナナくんと用事があるから・・・・・・それが終わったら告白するつもりよ」

 

「そっか・・・・・・飛鳥」

 

「なに?」

 

「・・・・・頑張ってね」

 

ニコリと微笑みを浮かべて飛鳥を励ます耀。耀のことを大切な友人だと思っている飛鳥にとっては、何よりの激励であった。

 

「ありがとう春日部さん。それじゃあ行ってくるわね」

 

「行ってらっしゃい」

 

耀に見送られ、飛鳥はシナナの下へと向かった。

 

「とうとう・・・・・・なんだね。シナナ、飛鳥を幸せにしなくちゃだめだよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

間もなく訪れる終わりの時

 

シナナと飛鳥

 

二人の物語の結末ははたして・・・・・




十六夜の心情について

本編中からは察するのは難しいと思いますが、十六夜はシナナの事を兄のように思い慕っていました

それは彼が『虚野十六夜』であったとかそういうことではなく、単純に頼りがいがあるところからそう思っていたのです


それでは今回はここまで

次回もまたお楽しみに!
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