前回の「ハイスクールDxD 笑顔の英雄目録」は、
家で飼っていた黒猫・・・クロは実は妖怪の猫又と言う種族だった。そしてまさかの小猫ちゃんのお姉さんと言うことがわかった神道総護は二人の間にある深い過去を聞く。そしてこの物語は神道総護によって急速に進んでいく。
黒歌side
「・・・っとこれがあの時の出来事の真実にゃ。そしてこの後追っ手を全員返り討ちにしてたらいつの間にかSS級はぐれ悪魔になってたにゃ」
これが私がSS級はぐれ悪魔になった真実・・・と言ってもこれ以外にいろんな人に世話になったりしたけど・・・それはまた今度。
「・・・どう?白音・・・・納得できた?」
一応の確認・・・まあ納得がいかなくてもこれが真実だし・・・無理にでも納得してもらうしかないけどね。
「・・・・・私は・・・私はグレモリー家に転送させられた後、色々な人々に様々なことを言われ続けました」
・・・・・・・・・白音?
「・・・・・そしてある時期によっては私は死刑だというものも現れ、私はいつ死ぬのかと不安で不安で仕方がなかったのです。そして思いました・・・」
そして、白音はあり得ないことを口にした。
「・・・・・私は・・・姉様に捨てられたのだと・・・」
「・・・・・っ!?そんな訳ッ!」
「分かってますッ!!分かってるんですッ!!分かってる・・・・けど・・・そう考えることしかできなかった・・・そう考えることで現実から逃げることしかできなかった」
「・・・・・白音・・・」
「私は最低です・・・姉様を信じず、自分を信じきれず・・・母様との約束も守れない・・・こんな私が・・・なんで・・・」
「そんなこと無いッ!!」
「・・・姉様」
「私だって母様の約束は守れてないの・・・白音と一緒にいるって言う約束。私は白音を置いて逃げた。それは白音にとって苦痛だったなんて知らずに・・・」
・・・・・だから・・・・
「・・・・ごめんね・・白音・・・こんな不甲斐ないお姉ちゃんで・・・」
もう一度謝りたかった・・・・面と向かって・・・ちゃんと。
「・・・・・姉様・・・」
「後悔してたの・・・なんであの時ちゃんと連れて行ってあげなかったのかを・・・いつも考えてた。だからこそ・・・・ごめんなさい・・・私がもっとしっかりしていたら・・・」
「違いますッ!!姉様はちゃんと私のことを考えてくれていたッ!!考えてなかったのは私の方!!謝るのは私なの!!」
「・・・・・白音・・・」
「私の方こそごめんなさい・・・姉様のことを信じれなくて・・・一番大事な人を信じることができなくて・・・ごめんなさい」
「・・・・・白音・・・白音は私のことを許してくれる?こんな不甲斐ないお姉ちゃんを許してくれる?」
「はい・・・許します。だって私の大切な姉様だから・・・・姉様は私のことを許してくれますか?これまで姉様を信じきれなかった私を許してくれますか?」
「・・・・・許すに決まってるじゃない・・・だって・・・あなたは私の・・・大事な妹だから・・・」
そう言うと白音の目からは大きな涙の粒が一つ・・・また一つと地面を濡らしていく。それにつられて私の目にも涙が・・・・
「姉様ッ!!」
「白音ッ!!」
泣きながら抱き合う私たち。今まで逢えなかった分・・・しっかりと・・・お互いの今を知りあうようにしっかりと抱き合った。
・・・そうして抱き合うこと数分・・・不意に今の今までだんまりが気になって少し総護ちんの方を見る。すると、
「うぅ・・・・何て話だよ・・・グズッ・・・二人共・・・壮絶な・・・・グスッ・・人生送ってきたんだなぁ・・・」
泣いてたぁぁぁぁああッ!?なんか静かだなと思ったら泣いてのかにゃ!?
「・・・・・なんで先輩が一番泣いてるんですか?」
そして白音は1番言いにくいことを言ったぁぁぁぁああッ!?白音!?そこは触れちゃいけないところにゃ!
「そりゃ・・・仲直りができてよかったなって所もあるけど・・・二人のお母さん凄いなって思って・・」
・・・・私たちのお母さんが凄い?
「何でそう思うのかにゃ?」
「だって死ぬって分かってるんだぜ?怖いに決まってんじゃねぇか・・・その恐怖を2人に感じさせずに、自分より先に2人のことを気にする・・そんなこと普通はできないよ?・・・だから・・・凄え人だと俺は思う・・・それに・・・」
「「それに?」」
「・・・笑顔を信じる・・・これが一番心に響いた。泣く・怒る・苦しむ・・・そんなことをしてもらうより笑った方が一番いいに決まってる。俺の親友も言ってたしな・・・」
・・・・にゃんかその親友・・・母様と同じ気がするにゃ・・・根本的に・・・
「「それが私達の母様ですからッ!!」」
あっ!ハモった!やっぱり私と白音は一心同体ね!
「・・ぷっ・・・・まあいいや・・・色々とクロの話でおかしな所もあったけど・・・」
そう言って私達の手を取る総護ちん・・・そしてその手を重ね、その上に自分の手を重ねる。そして、
「お前らが仲直りできて・・・俺は嬉しい!」
笑顔で叫ぶ彼・・・その笑顔に私は・・・不覚にもときめいてしまった・・・・・母様が言っていた『心から笑いかけてくれる人を信じる』って事・・・・この人なら・・・神道総護なら信じてもいいかもしれにゃいにゃ。そう思ってその手を握り返そうとしたその時、
「な、なんだ!?」
「携帯が・・・・・紅く光って・・・」
総護ちんの携帯が突然紅く輝く・・・そしてその光は徐々に魔法陣の様な形を形成していく。その魔法陣の模様に見覚えがあるのか白音がぼそりと呟いた言葉に私は呆然とすることしかできなかった。
「・・・・・・これ・・・・グレモリー家の魔法陣!」
「って事は・・・・まさか!?」
総護ちんが何かを悟ったのと同時に、魔法陣がどんどん上に上昇していく。そしてその魔法陣の光から人型のようなものが複数形成されていく・・・そして魔法陣が消滅した先には・・・
「はぐれ悪魔黒歌!大人しく投降しなさい!」
白音の主・・・リアス・グレモリーと、その眷属たちがそこにいた。
総護side
やっといい感じでまとまりそうだったのに・・・「どうなったら人の携帯から出てくるの!?最近の悪魔って技術発達し過ぎだろ!・・・いや昔の悪魔も知らないんだけどさ・・・」
「万が一のことを考えてあなたの携帯に魔法陣のマーキングをしてたのよ」
・・・・何勝手に人の携帯にマーキングしてんのこの人たち・・あっ、悪魔か。
「・・・部長!一体何をしに来たんですか!?」
「最初に言ったじゃない・・・SS級はぐれ悪魔「黒歌」の捕縛・・・または討伐よ・・・」
「「「・・・・・・・・ッ!?」」」
・・・俺の聞き間違い・・・じゃなさそうだなぁ・・・。だって部長も朱乃さんも木場も物凄い気迫だもん・・・一歩でも動けば殺されてしまいそうな感覚・・・・・でも約1名クロの胸に物凄い気迫を放出してっけど・・・・ちゃんとしろよイッセー・・・
「・・・・例え誰であろうと・・・絶対に姉様は渡しませんッ!!」
「・・・白音・・・」
クロを守るように前に出る小猫ちゃん・・・そしてそれを心配するように見つめるクロ。
「小猫ッ!あなた何してるのか分かってるの?」
「えぇ分かってますッ!!私は・・・私はこの世にたった一人の・・・大切な姉を守ろうとしているだけですッ!!」
・・・・・・・・・ッ!?俺を含めこの場で小猫ちゃんが感情を爆発させるところを見たグレモリー眷属は驚愕の顔をする。
「姉様は・・・私のことを今まで守っていてくれました・・・なら今度は私が守る番です!!」
・・・・・姉様・・か・・・・・それなら!!
「・・・手伝わせて貰おうか小猫ちゃん・・・俺も・・・・大切な家族を守るためにッ!!」
そう言ってクロの前に出る俺・・・・相手は人間じゃない・・・なら俺は今持っている全ての力でみんなを止めるだけ!!・・・・でも・・・・ここは・・・
「小猫ちゃん・・・クロ・・・二人共そこの窓から逃げろ!」
二人が逃げる方が良策だ!そう思った俺は近くの窓へと二人を向かわせようとする。
「・・・・でも先輩は!」
「大丈夫!俺が持ちこたえてあげるから!此処から遠くへ逃げるんだ!」
「・・・・・相手は悪魔よ!どうやって勝とうと・・・きゃっ!」
「・・・・・先輩一人じゃ危険です!此処は私も・・・・えっ!」
一向に窓へ行こうとしない二人を俺は自分の胸へと引き寄せる。
「二人共・・・生命が1番力を発揮する時っていうのはな、自分の為に戦うときじゃないんだ・・・1番発揮するのは・・・何かを護ろうとする時。しかもその護るものが多ければ多いほどその力は強くなる」
「「・・・・・・・・・・」」
二人の顔を胸から離し、今度は2人の頭を撫でながら言う。
「・・・・・お前らの夢を・・・絆を・・・思いを・・・そして笑顔を・・・俺は守りたい・・・。だから行ってくれ!俺に護らせてくれ!お前達を!お前達の・・・姉妹の絆をッ!」
「・・・・・・・・・・先輩・・・・・・わかりました。行きましょう姉様!」
小猫ちゃんは俺の意図を汲み取ってくれたのかクロを連れて窓際までよる。するとクロが俺の方に向かって一言、
「死なないで」
と言って窓から飛び出した。・・・死なないで・・・・か・・・。
「・・・・祐斗!追いなさい!」
「・・・・・・・っ!?ハイ!!」
二人が逃げたことに焦った部長が木場に追うように指示を出す。すると木場がその場から消える。多分普通の人間じゃ目で追うことのできない速度で移動しているのだろう・・・・・普通の人間ならばの話だけど。俺は真横を通ろうとする木場の腹に一発蹴りを入れて吹き飛ばす。
「ガハッ!?」
まさか人間に蹴りを入れられるとは思っていなかっただろう木場。・・・しかし俺は生憎普通の人間ではないのだから。
「・・・・祐斗!?・・・総護!!あなた自分が何をしているのか分かってるの!?」
「・・・・すみません部長。俺はあんまり悪魔の事情は知りません・・・だけど俺はあいつらを信じます」
「どうしてそんなことが言えるの?まだ貴方は会って間もないはずよ!!」
どうしてって・・・・それは・・・
俺は目をつぶってあいつらのやりとりを思い出しながら言う。
「あいつらの目は本気だった・・・必死に相手を思う気持ちで満ち溢れたような顔をしてた。例え姉が罪人だとしても、姉を慕い・・姉を信じる気持ち・・・例え一度手離しても、妹を愛し・・・妹を信じる気持ち・・・それががひしひしと伝わってきた」
俺は心の中にあるものを全てぶつける!
「だから守る!あいつらを信じ・・・・あいつらの笑顔を守るために!それに・・・・」
・・・・例え・・・俺の目の前に立ち塞がるのが神であろうと魔王であろうと・・・・
「俺は・・・自分の信じた道を真っ直ぐ突き進むッ!!誰にも止めさせない!誰にも折られない!!自分自身の信じた正義の道を!」
俺が気持ちをぶちまける。すると俺の頭の中に一つの言葉が浮かんだ。
「これは・・・・これがお前の・・・俺の力の名前か!」
例え皆があいつらの事を拒絶しても・・・俺はあいつらを受け入れる。・・・そして俺の信じた道を行くッ!俺の・・・心の中の正義をッ!
俺は瞑っていた眼を開きこう叫んだ!
「さぁ・・・・「
黒歌side
「・・・姉様!大丈夫ですか?」
「うん・・・大丈夫よ白音」
あれからかれこれ1時間・・・私と白音はとある森林へと足を運んでいた。二人とも必死だったからどうやってここまで来たかは覚えてないんだけどね・・・そして何より、
「・・・・本当に追っ手がこにゃいにゃ」
あれから一度も追っ手が来る気配がない。本当にグレモリー眷属を足止めしているとしたら、彼は相当の強者にゃ。
「・・総護先輩は・・一応、一人で堕天使を撃退出来る力はある様ですし、神器所有者らしいのでどうにかなるでしょうが・・・」
「・・・やっぱり心配かにゃ?」
「・・・・はい。大丈夫でしょうか・・・・」
まぁ、あんなに堂々としてられるのも大物の証拠だし、
「・・・・信じて待つしかにゃいにゃ〜♡」
「・・・の割には姉様が1番心配してそうですけど?」
「にゃにゃ!?そ、そんな訳にゃいにゃ!」
「・・・本当ですか?」
「・・・・うう・・・・もう!白音の意地悪!」
「・・・・・・ふふ・・・すみません♬」
・・・・でも・・・こうしてもう一度楽しく話せるのは総護ちん・・・貴方のおかげにゃ。だから絶対に死なにゃいでね!まだお礼も言えてないんだから・・・
『あらあら・・・・姉妹で楽しそうね・・・黒歌!』
「・・・誰にゃッ!!」
突如森林に木霊する声・・・・油断した。白音との会話に集中しすぎて近付いて来ているのに気づかにゃいにゃんて・・・まだまだ修行が足りにゃい証拠かにゃ・・・さてと・・・それじゃあ・・・
「・・・・匂いや気配も難しいですね。どうします姉様?」
・・・私がしようと思ったことまで・・・本当に私達は息ぴったりにゃ。
「視覚も嗅覚も聴覚も感覚もダメなら・・・味覚でいくにゃ!」
そう言いながら私は自分を中心に魔力の結界を張り巡らす。すると、ある木の裏に魔力を持った生き物のような味がした。
「・・・・・・っ!・・・そこにゃッ!!」
私はそこに魔力の弾を撃ちこんだ。そして木と魔力の弾の衝突で爆風が巻き起こる。
「・・・・・やりましたか!?姉様!!」
そう言って近寄ってくる白音。・・でも・・・
「・・・・ごめんけど・・・まだ味がする!」
その言葉を聞いて身構える白音。それに合わせて私もまた手元に魔力を溜め始める。
「・・・・これは驚いたわ。どうやって私の場所を探し当てたのかしら?」
「今張った結界はちょっと特殊でにゃ・・・結界内の物を味として感知することができるの」
前に一度、味覚以外のすべての感覚を消す能力の相手と戦ったときに覚えた技。以外と汎用性が高いからいつも使ってるんだけど・・・・どの味が何なのかを徹底するために色んなものを食べてきたんだけどね。
「・・・・あれから強くなっちゃって・・・ますます欲しくなったじゃない。・・・・ねぇ・・・黒歌・・・白音?」
「・・・・・・まさかッ!?」
すると、突然強風が吹き荒れ、爆風を掻っ攫って行く。そして消えた粉塵爆風の先には私達の生活を狂わせた張本人・・・
「・・・・・リルシ・オセッ!!」
「・・・久しぶりね黒歌。そして白音」
「どうして貴方が此処に!?」
「どうしてって・・・・私がリアス・グレモリーに教えたのよ?「SS級はぐれ悪魔の黒歌がそっちの一般市民の家に潜り込んでいる」って」
「・・・・そんなッ!?」
私の居場所は最初から知られていた?にも関わらず襲ってこなかったのはなぜ?
「計算通りになったからよかったわ・・・・もし違ってたら・・・・皆・・・殺さないといけないから」
その言葉とともにリルシから濃密な殺気が放たれる。
「・・・・・なんて殺気なの!?」
「・・・・・押し潰されそうです!!」
これは・・・・きつ・・・いッ!
「これくらいの殺気で尻込みしてどうすんのよ・・・今まで私から逃げて来たんだから・・・もっと楽しませてちょうだい・・・よッ!!」
そう言って無数の魔力の弾を撃ち始めるリルシ。それを私は魔法壁でやり過ごそうとする・・・しかし、
「・・・・・っ!このままじゃ魔法壁が持たない!」
1発1発が濃密な魔力で練られていてどんどん壁を壊していく。
「・・・このままじゃッ!」
「姉様!!私が囮になります!!その隙に姉様は魔力を溜め込んでください!!」
「白音!?」
私が止める前に白音が魔法壁の後ろから飛び出しリルシ・オセの攻撃を避けながらどんどん距離を近づいていく。そしてついに、
「はあっ!!」
白音の一撃がリルシの体を捉えた。
「・・・・くっ!?」
「このまま畳み掛けます!!」
そこからは白音の猛攻。その攻撃は大木をへし折り、地面を陥没させ、1撃1撃が空気を振動させる攻撃。そして最後の1撃でリルシが大きく吹っ飛ぶ。
「・・・はぁ・・・はぁ・・・これなら・・・」
「いいパンチじゃない・・・・ちょっとびっくりしたわ」
「・・・・・・・・ッ!?」
しかし次の瞬間、リルシは服の埃を払いながらその場に立っていた。
「・・・・・あれだけ受けておいて・・・・無傷ですか・・・」
「残念だったわねぇ・・・・それじゃあ次は・・・私から行くわよ?」
そう言って自身の背後に無数の魔力の弾を作り出すリルシ。
「・・・・白音!?」
私は白音に声をかける。このままじゃ白音が・・・
「私は大丈夫です!姉様は魔力を溜め続けて下さい!」
そう言ってリルシから撃ち出される魔力の弾を躱し続ける白音。
「ちょこまかとッ!」
「・・・・・ッ!?・・・グハッ!?」
しかし、無数に放たれる魔力の弾を躱し続ける事にも限界は有り、少しずつ服や身体に擦り始め、遂に白音の身体に直撃した。
「白音ッ!?」
「やっと当たってくれたわね・・・さて・・・これからどうしてあげましょうか」
白音にどんどん近づいていくリルシ。このままじゃ白音は・・・・
「姉様ッ!!諦めてはダメです!!私はどうなってもいい!!でも姉様は・・・姉様は過去に決着をつけなきゃダメです!!」
「過去の決着?・・・ああ。私の夫を殺した事?確かにそんなことも「違うッ!!」ッ!?」
「確かに・・・そのこととも決着をつけないといけない・・・・でも・・・私の・・・本当の決着はッ!」
私は立ち上がり魔力の篭った右手をリルシに向けながら叫ぶ。
「やっと会えた妹を・・・今まで傷ついた妹を・・・これ以上悲しませない事よ!!」
私が叫ぶと同時に右手に魔力が溜まりきり、周囲を抉り始める。
「・・・・・・ッ!?この魔力は!?」
「いっけぇぇぇぇええええええええッッ!!」
私は右手に溜めた魔力をリルシに向けて放った。放った魔力はどんどん丸くなり、丸くなるたびに速度を上げ地面を抉り取っていく。
「・・・・ッ!?これはやばい!!」
私の魔力を危険だと気付いたリルシは咄嗟に横に逸れようとする。
「・・・・・・行かせると思いますか!」
しかし、白音がリルシの行く先に先回りし彼女の腹部に蹴りを入れる。
「・・・・・・・しまっ!!」
白音の不意の攻撃に反応できなかったリルシは魔力の弾の前に飛び出し、
「・・・・・・・クソォォォォォオオオオッ!!!」
悔しそうな声をあげながら魔力の弾に直撃。そして直後に爆風が吹き荒れ、粉塵が巻き起こり、私達も吹き飛ばそうとする。
「・・・・・きゃあ!!」
蹴りを入れた直後でバランスを崩していた白音は爆風に押し負けて運良く私の元へと吹き飛ばされる。
「・・・・・白音!!」
それを私はゆっくり優しく抱き寄せる。
「姉様・・・やっと終わりましたね」
「・・・・うん・・・・白音のおかげでね」
でももう魔力は殆ど底をついた。張った結果までもが形を保てず消滅するほどに。
「・・・・それでも・・・勝てたなら・・・」
「誰に勝てたって?」
「「・・・・・・・ッ!!??」」
聞き覚えのある声が粉塵の中から聞こえる。そしてまたもや突風で吹き飛ばされ・・・
「・・・んな・・・・あれだけの魔力を受けて・・・無傷!?」
その中から無傷の状態のリルシが現れる。
「・・・・いい攻撃だったわ。でもね・・・私の防御魔法の前では無意味のようね」
そんなっ!?私の最大の攻撃が効かないなんて・・・・
「私はね・・・・他者の力を奪い取り自分の力に出来るのよ。さっきの防御魔法も高位な魔術師から奪ったものよ」
そんな・・・不味い。もう魔力が残ってないし白音もボロボロ。このままじゃ・・・・ッ!!
「・・・・・・まぁでも。今まで逃げてくれた黒歌に免じていいことを教えてあげようかしら・・・」
・・・・・いい事?一体それって・・・・・
「・・・・・貴方達の里を襲ったの・・・あれ私だから」
「「・・・・・・・・・・ッ!!??」」
・・・・・・今・・・・・・・なんて・・・?
「最初は優しく言ったのよ?「村の女性1人を差し出せ」って。そしたら村の奴ら怒り出してさ、「家族は渡さん!!」とか言い出すからカチンときてね?ちょうど使いたい魔法もあったしちょっと襲ってみただけ」
「・・・・・・・・・・・・そんな・・・・・そんな事って・・・・」
笑顔で話すリルシを見た白音が絶望した顔で膝から地面に崩れ落ちる。白音のお陰で私はギリギリで正気を保てた・・・・・でも、
「そのあと困ったのよ?ウザかったから皆殺しにしたものの、私は猫又の最上種である猫魈の仙術の力が欲しかったからさ・・・でも数年経ったある日、噂で聞いたのよね・・・・・「猫のような姉妹がいる」って」
・・・・・・・・・っ!!私達のことを!?
「最初はただの冗談だと思ったわ。でも実際見てみるとあの時殺した猫魈と同じ気配だった。・・・あの時の私は悪魔なのに初めて神様に感謝したのよ?・・・・でも」
その言葉と共にリルシの顔から笑顔が消えた。
「順調だったシナリオがたった一つのことで消えていった・・・そう。貴方が私の夫の死体を見てからね」
「・・・・・まさか!あれもあなたが!?」
「・・・当たり前じゃない。アレもただの駒に過ぎないのよ」
平然と言い放つリルシ。
「貴方には・・・優しさというものがないの?」
「・・・あるわよ?」
「ならそれを何故「でも」・・っ!?」
「優しさを向ける相手が違うわ」
「・・・・・っ!?きゃッ!」
そう言うとリルシが手を前に掲げる。すると私の体が浮き始め、ゆっくりとリルシの方へと動き出す。
「・・・・一つだけ教えてあげるわ黒歌。・・・私が誰かに優しさを向けるとしたらそれは・・・・」
「・・・・ガハッ!!」
リルシの拳が私の腹をメリメリとへこましていく。しかも空中で操られているせいか後ろに飛ぶことのない。
「それは他の誰でもない・・・・私自身よ」
「・・・・・・・・っ!?」
その言葉と共にリルシは私を殴り始める。
「なぜ人に優しさを分け与えなければならないの?」
私は空中で固定されたまま一撃一撃を体に打ち込まれていく。
「優しさは分け与えるもの・・・それは間違い。優しさと言うのは・・・・自身に対して甘く、他人に対して苦く。自分の思い通りに動かし人を憂ませる・・・それが優しさよ」
そう言いながら殴り続けるリルシ。
「いくら優しさを分け与えたって、いくら優しさを貰えたって・・・その先に待つのは憂みなのだから」
「それは違う!!」
私は声を荒げながら、痛みをこらえながら叫ぶ!
「優しさは憂んでいる人の側でもう一人が寄り添っているから!辛い時、悲しい時にそばに大切な人がいることそのものが優しさなの!」
「・・・・・だから何!!私には寄り添ってくれる人がいなかったって言いたいの?ふざけないッ!?」
「・・・・・・・・・・・きゃッ!!」
私の言葉にリルシが反論した直後、リルシの頬を何かが掠める。その衝撃で私は地面へと落ちる。
「・・・・・・・・・・」
リルシは頬の掠った場所を触る。掠った所は肌が裂け血が流れてリルシの手を赤く染めていった。そしてリルシはゆっくりと何かが飛んできた方を向く。其処には・・・
「・・・・・これ以上・・・・姉様を傷つけさせません」
肩で息をしながら何かを投げた後の白音が立っていた。
「・・・・・・・し・・・・・ろ・・・・・・ね・・・・・?」
「姉様は喋らないでください!ここは私一人でやります!」
そう言いながら素早く構えをとる白音。だけどリルシは白音をずっと見つめている。そして遂に、
「・・・・・・・・・・・・・・こ」
白音の攻撃によって初めてリルシは激昂した。
「・・・・・こんの糞ガキャァァァァァアアアッッッ!!!」
「・・・・・・・・・ッ!?」
叫びながら白音の方へ手を向けるリルシ。するとさっきの私と同じように今度は白音が空中に固定される。そして、
「下級悪魔の雑魚の分際で私の大切な顔に・・・何傷つけてくれてんのよォォォォオオオオッッ!!」
リルシはそう叫びながら白音の顔を殴り飛ばした。
「正直な話、お前を生かしておいた理由なんて黒歌に言うことを聞かせるための道具にすぎないのよ!」
「やめて・・・やめてよ!」
「道具ごときが私の顔に傷を負わせるなんて・・・」
そう言いながら白音を殴り続けるリルシ。しかしその拳がふと止まった。
「・・・そうね。もう貴方は用済みなのよ。このまま姉の前で無様な死を晒せばいいわ」
そう言って手元に魔力を溜め出すリルシ。
「・・・・っ!やめて!それだけは!」
「嫌よ。やめないわ。この子は私の顔に傷をつけたの。その報いを受けてもらわなくちゃ」
「やめて・・・なんでも言うこと聞くから!」
「・・・・・無理ね」
私の声に耳を傾けず、彼女は白音に向かって手を向ける。
「・・姉様・・・・最後に一緒に入れて楽しかったです」
「やめて白音。お姉ちゃんを一人にしないで!私には・・・貴方が・・・」
「貴方が意地を張らなければこんな事にはならなかったのに・・・可哀想な白猫・・・・バイバイ」
そしてリルシは手元の魔力を白音へと撃ち出した。
「しろねぇぇぇぇぇぇぇえええええッッ!」
「消えなさい!私の野望のための道具!」
・・・やめて・・・やめてよ・・・これ以上・・・わたしを苦しめないで。
その時脳裏に浮かんだのはあの優しい笑顔の男の子・・・
彼に頼るなんて間違ってる。・・・これは私の問題なのに・・・・でもッ!!!
「・・・・私達の笑顔を守りたいんでしょう?・・なら助けてよ・・・・・・総護ぉぉぉおおおおッッッ!!」
「・・・まかせろ!」
「・・・・・えっ?」
その瞬間、金色の光が私の横を通り抜けていく。そしてそれはリルシの撃ち出した魔力の前で止まり・・・・あらぬ方向へと弾き飛ばした。
「なっ!?馬鹿な!?相当な練度の魔力を撃ち出したのよ!?一体誰が・・・・・ッ!?」
リルシは自分の魔力を弾き飛ばした人物を見て驚愕の表情を浮かべる。私はその声の主を見て・・・感動と安堵で目から涙が溢れ出した。
「お前が・・・俺の家族をここまでしたのか・・・」
そう言いながら一歩ずつリルシに近づく彼。
「お前が・・・俺の家族の過去を壊したのか・・・」
彼はリルシの目の前に来ると大きく拳を振り上げ、振り下ろした。
「・・・・・ッ!?ふざけるな!」
リルシは咄嗟に防御魔法陣を貼る。彼の拳と防御魔法陣が激突しゴツンッ!という鈍い音がなる。
「無駄よ!人間の貴方じゃ到底この魔法陣を壊すことはできないわ!」
リルシが叫ぶが彼は一向に力を抜く気配がない。それどころか鋭い眼光から先程見えた金色の光が漏れ出す。するとリルシの魔法陣にひびが入り出す。
「・・・馬鹿な!?」
「お前が・・・・俺の家族を泣かせたのかぁぁぁぁぁぁぁぉぁああああ!!」
そして遂に彼の拳はリルシの魔法陣を打ち抜く。
「うぉぉおおおおおおおお!」
そしてもう片方の拳で・・・リルシの顔を殴り飛ばした!
「グハッ!」
殴り飛ばされたリルシは後ろへと飛んで行く。
「俺はお前を許さない!家族を泣かしたお前をな!」
私は彼の顔に見覚えがあった。何故なら彼は先程私達姉妹を悪魔から逃がしてくれた・・・・
「・・・・総護ちん!」
私達の家族・・・・神道総護なのだから。
「ここからは俺のスーパーヒーロータイムだ!」
次回の「ハイスクールDxD笑顔の英雄目録」は、
「あれが・・・総護の力・・・」
黒歌と小猫を傷づけられ神道総護の怒りが爆発!
真の力で悪にその拳を叩きつける!
「俺の力は・・・お前みたいな悪をぶっ潰すためにある!」
次回「リルシVS総護 炸裂!怒りの鉄拳!」