ジョンの固有結界が解けた今、部隊側に傾いていた天秤は一気にモンスターへと傾くこととなった。
多くの巨体を持つモンスターたちが群れながら進むその様は、まるで巨大な壁が迫ってくるかのようであった。
迫り来る大多数の巨影に、正対することとなった前衛の集団は、皆盾の隙間からその両目を見開く。
モンスターの巨腕によって生み出される圧倒的な暴力が、構えられた盾を構えた者ごと、地面を抉って吹き飛ばす。
「――ベート、ジョン、前へ援護だ!」
「ちッ、何やってやがる!?」
「ウソダドンドコドーン!?」
崩された防衛線。多大な魔力の消費による疲れを癒せぬまま、ジョンは遊撃を務めていた
それまで前衛に守られていた魔導士たちが青ざめるのと、一匹のフォモールの攻撃が振るわれるのは、同時だった。
「あ……奴、オワタな……。可哀想に……」
誰かが憐れむように呟いたその瞬間、フォモールが周囲のモンスターを巻き込みながら吹き飛ぶ。
巨体が吹き飛んだことによる土煙から出てきたのは、全身から溢れでるほどの闘気をみなぎらせた
彼は憤った。それは自分が攻撃をされたからでもなく、彼の背後で腰を抜かした、もし彼が助けなければ悪くすれば死んでいた
「モンスター、お前に足りないものは、それは~ 情熱思想理念頭脳気品優雅さ勤勉さ!
そしてェなによりもォ------- トメィトゥへの愛が足りない!!」
ただひたすらにトマトに拘り続けた戦士は、目の中に親指を突っ込まれ、そのまま殴り抜けられて死んだフォモールを見据えながら説く。
凶悪な獣面であったフォモールの顔面は、彼の一撃のもとに破壊され、今や愉快なオブジェクト。
時間が経ち、その巨体が魔石へと変貌を遂げると、興味を失ったのか少年は次の標的の元へ走り出す。
「雑草っているよなあ……あのトマトに蔓延るゴミ屑の雑草共だよ! あの草は我我巨大で頭のいいトマト農家にところかまわず攻撃を仕掛けて戦いを挑んでくるなあ! 巨大な敵に立ち向かう雑草……これは『勇気』と呼べるだろうかねェ。雑草どものは『勇気』とは呼べんなあ。
それではモンスター!『勇気』とはいったい何か!? 『勇気』とは『トマトの味』を知ることッ!『至高』を我が物とすることだあッ!
人間讃歌は『トマト』の讃歌ッ!! 人間のすばらしさはトマトのすばらしさ!! いくら強くてもこいつらモンスターは『トマトの味』を知らん! 雑草と同類よォーッ!! 」
何かよくわからない事を叫びながら、ジョンはモンスターを
実は、ジョンは幽波紋、スタンドというものを持っている。
彼のスタンドは、冷気と圧倒的で強大な力をもった『ガチルノ』。
マッチョマンのような肉体に、間抜けな顔、そして少女趣味な青いワンピース。外見が異常なほど気持ち悪いことを除けばとても優秀なスタンドなのである。
そんなガチルノの鍛え上げられたかのような剛腕が振るわれる度に、何匹ものモンスターが吹き飛んでいくのは、まさに圧巻の一言であった。
無論、スタンド使い以外にはスタンドは視認することは不可能なため、傍から見れば不可視の攻撃でモンスターを屠っているようにしか見えない。
「アイズ!」
そんなトマト農家の少年につづくのは、長い金の髪の女剣士である。
風の音ともに、銀の剣閃が瞬く。
そして、一撃必殺のち一気に残りのモンスターを全滅させた。
「ちょ、アイズ、待って!?」
アマゾネスの少女の制止の声を振りきり、未だ大挙して攻めかかってくるフォモールの大軍へと突っ込む。
盾を構え直し、体制を整えた前衛たちを飛び越えながら。
……すげぇという、小並感のような呟きが、とある者の唇からこぼれ落ちた。
ジョンの攻撃には、少しばかり見劣りするが、少女の激しい剣舞は凄まじかった。
斬撃を連続で繰り出して、自らに近づくモンスター全てを滅っしていく剣撃の嵐。
その踊りのような剣技で、向かってくる巨腕をすり抜け、胴を、首を次々と斬り飛ばしていく。
そんな最中、後方では、今まさに長大な呪文の詠唱が完成に至らんとしていた。
「【汝は業火の化身なり】」
「【ことごとくを一掃し、大いなる戦乱に幕引きを】」
ハイエルフの女性の莫大な魔力が高まっていく。
「【焼きつくせ、スルトの剣――我が名はアールヴ】!」
次の瞬間、弾ける音響と共に魔法円が拡大し、ジョンたちの、全てのモンスターたちの足元まで広がった。
全戦域が効果範囲内。
白銀の杖を振り上げ、エルフの魔導士、リヴェリアの『魔法』が発動する――
「【レア・ラーヴァテ――】!?」
「あらゆるものをぶっ壊せ、屠冥刀!」
ことはなく、代わりにジョンの持つ刀から溢れた魔力の奔流がこの場の空間をぶっ壊した。物理的にも場の空気的にも。
一振りの黒い刀から湧き出る黒い光線がモンスターごと地下迷宮の壁を破壊していく。
勿論のこと、ジョンは屠冥刀に少ししか魔力を与えていないため、これでも被害は少ない方なのだ。
しかし、その威力は凄まじく、当たった先からモンスターたちは跡形もなく消し飛んでいく。
この時の皆の心を代弁するならば、こう答えるであろう。
――どうして最初に使わんかった!?
この場に居る『冒険者』の顔はいろいろと疲れきっていた。
今回、スタンドとしてガチルノを出しましたが、知らないという人も居るかも。そういう方は画像検索してみな。きっと吹く。