二人分の亡骸をV·サー·タワーの麓に埋める。
「明、紅奈...せめて...せめて安らかに眠ってくれ...」
この事実は茜が戦闘終了直後に言った。
妹達は揃って泣きじゃくり、姉サイドも下唇を噛みしめていた。
おそらく虚夜の作戦はこうだ。
まずは3人で様子見と思わせてアクエリウスの転送能力で大量展開。
少数しか展開していなかったこちらに対して俺を茜に専念させて
一転突破を狙う算段...それがしかも茜と逆方向に持っていくことで
俺が行くまでの時間を稼ぐ。遂には...人質を、ブランを捕らえるのが
今回の虚夜の算段だろう。茜を取り戻しにくる俺の心理まで完全に読まれた。
しかもそれで怪我をして治療している間に明を倒すことでよりブランへの
注意を向けさせないようにさせた...くそっ...
「全部読まれた...何もかも全部...ここはあいつの手のひらの上の...
ダンスホールだったのかよ...」
明と紅奈の墓の前で俺はただただ踞るしかなかった。
情けなさ過ぎる。妹を亡くし、彼女を人質に取られる。
これ以上最悪な状況は無いだろう。
「影さん...いーすんさんが呼んでます...」
ギアが呼びにきた。もちろんのこと声は震えている。
「悪い...ほっといてくれよ...」
突き放さずにはいられない。大事なものは必ずこぼれていく。
必ず失われる。気づくのが、遅すぎた。
「...残念ですが、放っていくわけにはいきません。」
「いーすんさん...」
俺は後ろから新たな声、いーすんと呼ばれている妖精、
イストワールの声を聞いた。そして、さらに俺の心は崩されていく。
「影さん。あなたには、やはり天界の血が流れています。」
このイストワールの一言と、そのあとの説明によって。
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昔、天界に住まうある男がいた。
その男は妻帯者であり、既に子供を授かっていた。
ある時男は下界に降りた。そこで一人女と出会った。
ほどなくして男は過ちを犯した。
下界で会った女とも子供が出来たのだ。俗に言う不倫、浮気である。
男は焦った。が、次の行動はもっと考えつかぬ物だった。
天界に戻り、二人目の子供を授かったのだ。
そして男は単身赴任という言い訳と共に、
二人の娘を妻に預け下界へ降りた。
そしてそこで生まれた子供と過ごし、5年が経ち、
事故でその男は死んだのであった。子供だけを残して。
「そしてその子供というのが...影さんです。」
「...だから何さ...その話の流れだと...俺は
ネプテューヌとギアと片親が同じだって事だろ...?」
「そういう事です。」
「...なんだよそれ...なんでこのタイミングで話すんだよ、もっと前にか、
もっと後に話してくれよ!なんでだよ、明がいなくなったからか!?
ブランが今ここにいないからか!?そんな話...事実でも時期が悪い!」
「...確かにそうですが...今伝えなくては影さんは恐らく転化と似たような
現象を起こしてしまうと茜さんが言ってましたので。」
茜が...つまり領域把握で読み取ったということだろう。
「負の感情の蓄積による能力の暴走...いや、能力の反転が
天界人には起こります。特殊な血筋ですので。」
だからか...だから俺の鎧装装着には力を増幅させるのにストレスを消費
させるのか...茜は全部知ってたのか...?
--なんだろう、もう、誰も、信用出来ない。
俺の心の中で何かが壊れた音がした。
そして、こう言った。
「もう、どうにでもなっちゃえよ、こんな、
こんな世界なんて、さ...」
ほんともう、どうでもいいや。
壊れちゃったよ影君...
捧げたのは命と心。
次回、「髪の毛/微かでか細い希望」
髪の毛座ってのもあるんです。
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そろそろ企画大放出二弾やろうかな...