うだるような暑さ、高校生になって二度目の夏休みに俺は家の前のコンクリートに対して水打ちを行っていた。
「ふぅ……これをやるとやらないとじゃ家の周りの気温が全然違うからな。冷房に頼りたいところだけれど……あの人に怒られるし……」
あの人、というのはうちの隣に住んでいるいわゆる幼馴染。俺と違い元気で明るく、活発な性格故か冷房のかかった部屋で堕落していると毎年のように部屋に潜り込んできてはしかりつけてくる。
「お、いたいた。おーい司くーん!」
水打ちもひと段落し道具を片付けていると遠くから俺を呼ぶ声が響いてくる。司というのは俺の名だ、姓は天道。この辺では比較的珍しい苗字でほとんどの人が俺のことを名前で呼ぶ。
俺を呼んだ声の主が近づいて来る。細い手脚に女性にしては高い身長、短く切った赤髪が特徴の女性。幼馴染の九条茜、ちなみに胸は決して豊満とは言い難い。
「司くん今すっごい失礼なこと考えたでしょ……」
「さ、さぁ。なんのことだか」
妙に勘の鋭い人でもある。彼女は大きな荷物を一つ抱えていた。
「茜さんは合宿の帰り?」
「もー、茜さんーなんて他人行儀な。昔みたいにあかねぇでいいのにー。まぁいっか、そうだよー今年も楽しかった!」
あかねぇは大学の2年生でフェンシングのサークルに入っている。もともと運動神経のよかった彼女は成長速度が速いとおばさんに聞いたことがある。
「司くんも何かスポーツやればいいのにー」
「いや……俺はそういうのは別にいいよ、生徒会のこともあるしね」
スポーツが苦手というわけではない、一応人並みには出来ているつもりでいる。しかし部活動をやるかと聞かれると既に生徒会に半ば強引に加入させられていること。また自分の時間が更に削られることを考えるとどうしても部活動に入る気力は起こらない。
「あぁ、生徒会……でもそうはいっても生徒会の時の話をする司くんは楽しそうに見えるけどなー」
「まぁ大変だけど楽しくないわけじゃないからね」
「司くんが高校生活を楽しんでるようでなによりだね!ってそうそう!聞いてよ司くん!」
合宿の荷物を地面に置いてあかねぇは少し機嫌悪そうな声をあげる。水打ちしたばかりで濡れているわけだが、それは黙っておこう。
「兄さんったらいつの間にか女の子と住んでるのよ!」
あかねぇには7つ年上の精神科医をしている兄がいる。名前は彰。
「彰さんが?別にあの人ももういい年だし彼女くらいいてもおかしくないと思うけど……」
「違う違う!司くんと同い年くらいの女の子なのよ!えーとこう……全体的に白くて目とかが赤くなる生まれつきのやつあるじゃない?」
「もしかしてアルビノ……?」
「そうそれ!そりゃ兄さんに彼女が出来るのは私も嬉しいけどさすがに未成年はちょっと……」
そんな風に、いつも通りの夏休みが滞りなく過ぎて行く……はずだった。
「ね、ねぇ司くん……あれ見て」
あかねぇが急に指差した先にあったものは……
「なんだあれ……隕石……?」
スカイツリーの方向に向かって落ちていく、大きい隕石。
この隕石が、俺達の日常を急速に非日常へと引き込んでいくとはこの時誰も思わなかっただろう。
元はと言えば描いていただいた女の子のキャラを活躍させて見たいなと思いかこうと思った作品です。どれくらいの長さになるのか、そもそも完結するのかどうか、その辺はまぁゆるりとご覧ください。とりあえず最初はプロローグという感じなので短めですが許してください