ひまさく短編集   作:MTDKC

2 / 2
向日葵、私のおっぱい大きくしろ!

「は?」

 

 タイトル早々、この子は人の部屋で何を言っているの?

 

「ふふ〜んっ、私は昨日すんっげー事実を知ったんだ!」

「どういう事ですの?」

「女の子は他人から胸を揉まれると大きくなるんだって!」

 

 頭が痛くなってきましたわ。

 

「あのねぇ……そんなの迷信に決ま——」

「なんだよっ、向日葵ばっかりおっぱい独占してズルいぞ!」

「きゃあっ!?」

 

 櫻子がいきなり鷲掴みしてきました。

 

「何をするのよ!」

「あだっ——」

 

 思わず脳天に肘を落としてしまいましたが櫻子の自業自得ですし、悔いはありません。

 

 寧ろスッキリしましたわ。

 

「痛た……ハッ! 私とした事が向日葵のおっぱいを育てる手伝いをしてしまった……もう揉まないぞ!」

「あなたね……まあそれでしたら喜んで受け入れますけれど」

「よしっ、分かったら私のおっぱいを揉め!」

 

 全く、付き合うしか無いようですわね。

 

「はあ……そこまで櫻子が言うのなら別によろしいですけど、揉める胸があなたに有って?」

「あっ……え?」

 

 櫻子が私の顔と自分の胸を交互に見ては、何やら困惑しております。

 

「な、なんだよ! イヤミかー!」

「ああいえ、そう言うわけでは無くて……仕方ありませんわね」

「向日葵、なんで正座してんの?」

「いいから背中から上に座りなさい。正面から撫でるなんて恥ずかしくて無理ですので」

「わーいっ、じゃあ遠慮なくー!」

「うごっ——」

 

 櫻子が勢い良く私の膝に座り込んできたものですから、かなり痛かったんですの。

 

「この……少しは人の痛みを知りなさい!」

「あ痛っ! えへへー、ゴメンゴメンっ。悪気は無いから許してよー」

 

 ですが、それだけ嬉しいんですのね。

 なんだか怒る気も失せますわ。

 

「全く……では撫でてあげますけど、本当によろしいの?」

「さっきから撫でるって……やっぱりイヤミかよ!」

「コ、コラ櫻子っ! 暴れたら危ないでしょう!」

「ぎゃははははっ! くすぐったーい!」

 

 ただ脇をがっしり掴んだだけでこの反応のしよう。

 後が心配で仕方ありませんわ。

 

「はあ……はあ……笑い死ぬかと思った」

「ほら、早く済ませますから暴れないでね?」

「おうっ! あまり乱暴にするなよ向日葵ー!」

「分かってますから」

 

 私は余計な事を考える事なく、櫻子の可愛らしい胸を服の上から優しく撫でました。

 

「くふっ……あははっ……んんー……はぅ……ふぁ……」

 

 初めはくすぐったそうに笑っておりましたが、時が経てば甘い声を上げ始めるので、こちらも変な気分になりそうです。

 

「櫻子、痛くありませんの?」

「あにゃっ——う、うん……痛くない……」

 

 櫻子ったら、なんでそんなに可愛らしい声を上げますの。

 こちらの気持ちも考えて欲しいわね。

 

「あの……櫻子、そろそろ止めにしない?」

「あっ……やだ! こんだけじゃ大きくならねーし!」

「全く……我儘ですのね」

 

 そうね、私が気にしなければ良いだけなのですから平気ですわ。

 

「はあ……んん……」

 

 もう10分も火照った櫻子の胸を撫でていたのですが、妙に生々しい呼吸音が部屋中に広がり、そろそろ我慢の限界です。

 

「櫻子……」

「向日葵……」

 

 私達の声が重なります。

 

「あの……」

「あのさ……」

 

 呼吸のリズムも同じく。

 

「もう、止めにしませんこと?」

「そろそろ、やめて欲しいなーって……」

 

 考えまで同じだなんて。

 

「あっ、はい! そうですわね!」

「う、うんうん! もうやめ! これ以上しても無駄な気がしてきたし!」

 

 櫻子がそそくさと私の膝から立ち上がり、いつもの安心できる笑顔を咲かせてくれました。

 

「てゆーかもう昼じゃん、向日葵は何か食べたい?」

「あっ、そうですわね……オムライスとか?」

「よしっ、じゃあ作れ!」

「は?」

 

 相変わらずの櫻子に対し、思わず睨み付けてしまいましたわ。

 

「あっ、違う違う……作ってください、お願いします」

「はあ……たまには一緒に作りませんこと?」

「ええーっ、向日葵がひとりで作ったほうが美味しいに決まってるじゃん!」

 

 櫻子にそう言って貰えると素直に嬉しいのですが、それでも一緒に作りたいもの。

 

「櫻子は隣で見ているだけで良いですから、一緒に作りましょうよ」

「それ、なんか矛盾してる気がすんだけど……まあいっか!」

「ありがとう、櫻子っ」

 

 思わず笑顔を向けてしまいましたが、別に嬉しくなんてありませんから。

 ただ、櫻子が側にいれば暇では無くなるんですもの。

 

「ま、まあ今回は手伝ってやるし……いつも任せっぱなしだからな」

「はい、はい。さっさと台所に行きますわよ」

「なんだよ、その身籠ってない返事ー!」

「ちょっと櫻子! それを言うなら心の籠ってないでしょうが!」

 

 その間違い方だけは絶対に許しませんわ!

 

「あれ、そうだっけー……。あははっ、まあいーじゃん別に!」

「よくありません! 食事が終わったら国語の勉強を始めますから!」

「ええーっ、そんなの聞いてねえよー!」

「あなたが悪いんですからね!」

「知らねーし!」

 

 結局いつもの様に口喧嘩を始めてしまいましたが、きっと私達はこれでいいんです。

 

 ええ、きっと。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。