戦姫絶唱しないフォギアGP   作:ジャッジ

1 / 4
さてさて、クリスちゃんのガンプラライフのスタートです!


第1話「会い戦士(前編)」

「『ガンプラバトル。機動戦士ガンダムに登場するロボットたちのプラモデル(通称ガンプラ)を使って戦わせるゲームのことで、世界大会が毎年行われたり学校にも「ガンプラバトル部」が出来るほどの人気を集めている。』...か、ガンプラバトルねぇ。」

 

立花響(あのバカ)から渡された雑誌にはそう書いてあった。

奇跡の殺戮者、錬金術士キャロルが引き起こした魔法少女事変が終わって数日が経ちアタシ(雪音クリス)の通ってるリディアン女学院は夏休みに入った。

最初の2、3日は宿題に追われていたり、後輩どもの面倒みたりしてたけど、ようやくそれらが落ち着いてS.O.N.G.の方の出撃命令もないしで暇を持て余していた。

もちろん、出撃が無いのに越したことはない。けれどあんまり暇すぎてゴロゴロしてたら1日が過ぎちまった。

...ったく、何もしないで日が落ちていくのを見ると罪悪感が湧いてきやがる。

そんな時だ、あのバカがアタシの部屋に乗り込んできたのは。合鍵持ってるのは知ってるが、了解も取らずにズカズカ入ってくるとは、いよいよプライバシーの欠片も無くなってきたぜ...

コイツが言うには、お台場でガンプラバトルのイベントがあるから一緒に行こうって誘いだった。

てか、ケータイあんのになんでアタシの部屋に乗り込んできたんだ?

 

「どぉクリスちゃん!おもしろそうでしょ!」

 

コイツはキラキラした笑顔で返事を待ってる。

確かに、ガンプラバトルとやらになんの関わりの無いアタシでも人気なのは十分わかった。

けどそうかそうか、今のアタシが抱いてる感情ぶっちぎりにしてそれか。ならアタシが思ってることぜーんぶ言ってやるから覚悟しとけよ!

 

「そもそもアタシはガンプラってのがなんなのか知らない。ガンプラバトルも今知ったんだ、なんでいきなりそのイベントなんざに行かなきゃいけないんだっての!」

「ま、まあそうなんだけど...」

「それよりなんでケータイ使って連絡しないんだ!こんな事くらいメールとかで済ませれるだろ!文明の利器があるならそれを十分に活用しろってんだこのバカ!」

 

アタシは怒りに任せて持っていた雑誌を床に叩きつける。かなり大声で怒鳴ったからちょっとビビったらしく耳を塞いでた。

 

「ったく、そんなんでいちいちビビんなっての。んで?なんだって直接会いに来たんだ?」

「だ、だってすぐに返事聞きたかったし...それに夏休みに入ってからクリスちゃんに会えなかったし、久しぶりに会いたかったのもあるかな〜?なんちゃって。」

 

てへっと言ってごまかされた。ぜんっぜん可愛くねぇし、むしろさらなる怒りが湧いてきた。

それよりも...コイツ、なんでこっぱずかしい事を平気で言えるんだ?小日向は「それが響らしいところだよ」って言ってたが、こっちが恥ずかしくなるくらいの事を平気で言うか?

って今はそういう事じゃなくて、正直なところアタシはガンダムってアニメが嫌いだ。第一に戦時中ってのを舞台にしてるってのが好かない、もっとも100パーセント私情なんだけどな。

 

「どうかな?弓美とかがクリスちゃんも誘ってみようって言ってたんだけど...ひょっとして迷惑だった?」

「いや、そういう訳じゃないんだが...あーもう、しょうがねぇな!行きゃいいんだろ行きゃ!」

「本当!?ぃやったぁー!じゃあ明日9時に駅前でね!」

「あ、おい!」

 

そういうとダッシュで出て行っちまった、しかも持ってきた雑誌を置いて。アイツはほんっとにせっかちって言うか、止まる事を知らねぇって言うか...

しょうがねぇ、コイツは明日持って行ってやるか。改めて持ってみると、随分でかいし重いな。

 

「(そういや、他もページにゃ何が書いてあるんだ?)」

 

今思えば、あのバカが見せてきたガンプラバトルの説明しか見てなかった。試しにパラパラとめくってみると、新作のガンプラ情報やその作例、初心者向けのガンプラ講座、そして女の子向けのカワイイガンプラの作り方まで載ってあった。

そういや、あのバカが人助けと飯を食う以外に趣味があったとはな。ってことはこの初心者講座に書いてあることをアイツもやってるんだろう、それにしてもアイツにこんな細かい作業が出来んのか?ニッパーとかナイフ使うみたいだし。でも、アイツの手には怪我の1つも無かった。

つまり、あのバカにはこのガンプラ作りが出来るって事だな。アイツに作れてアタシに作れないわけがねぇ。

そうと決まったら話は早い。アタシもガンプラを作ろう、どうせならアイツに負けねぇ、アタシだけのカッコいいガンプラをな。

 

「じゃあ、ちょっくら行ってくるぜ。大丈夫だって、あんなちっさなナイフとかでケガとかしねぇから。」

 

仏壇のパパとママに手を合わせてからマンションを出る。幸いS.O.N.G.のシンフォギア奏者にゃ小遣いが渡される。仏壇買った時以外はほとんど使ってないから蓄えもかなりある。とりあえず、道具とガンプラを揃えるところから始めるとしよう。

へへっ、こうなったらとことんやってやる。目標はあのバカを超えるガンプラを作り事だ!

 

第1話「前編」完




これにて前半戦が終了、次回はクリスが初のガンプラ作り(の予定)!
次回、戦姫絶唱しないフォギアGP第2話「会い戦士(後編)」

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。