グシオンリベイクが
まだ多くのガンプラが残っている中でグシオンはもう満身創痍だった。いやグシオンだけじゃない、あのバカのサンシャイニングも板場のトライバレットもだ。
まるで長い連戦を勝ち抜いてきたみたいな形だが、バトルが始まってまだ10分くらいしか経ってねえ。
「(それもこれも、全部あのガンプラのせいだ!)」
バトルが始まってすぐ、ビギニングを見つけてバトルをふっかけた。だけどコイツはアタシだけで手に負える相手じゃなかった、だからバカや板場の機体まで巻き込んでバトルを続けていた。
「なんだってんだよ、あのガンプラ....くっ!」
飛び込んできたビギニングガンダムをグシオンハルバートで受け止める。
受け止めた隙に板場のトライバレットのビームマシンガンを放つ。するとビギニングはシールドを外してグシオンをぶん殴った。
「シ、シールドで殴るだとぉ!?」
アタシが体勢を崩した時、ビギニングはマシンガンをかわしてビームサーベルを構えて突っ込んできた。
「ちっ、やらせるもんかよ!」
負けじとグシオンハルバートでビームサーベルを受け止める。
次の瞬間ビームサーベルが消えた。
グシオンハルバートが宙を薙いだ。そしていつの間にかビギニングはグシオンの懐の中にいた。
やられる、ヒヤッとしたモンが背中に走った。
『クリスちゃん!』
あのバカの大声が響いた。そして同時に横からサンシャイニングがこっちに来てるのも見えた。
とっさに操縦桿を引いてグシオンを後ろに下げる。
今は退く、それ以外に考えられない。グシオンをこれ以上傷つかせるわけにいかない、それに初陣で何にもできずに負けるなんてのは真っ平御免だ。
それに後ろから別の敵が来てるとわかれば相手も別の行動に出るはず。そう思っていた。
けど、ビギニングのファイターは退くとわかっていたみたいに突っ込んできた。風を超え、まるで嵐みたいなスピードだった。
「なっ...!?」
すぐにかわそうと操縦桿を握ろうとしたが、指が操縦桿を捉える事はなかった。そこにはもう黄色い操縦桿はなかった。次いで周りのモニターも全部消えていく。
グシオンが
*******
「ひゃあぁぁ....なになんなの、あのビギニング。ものすっごい強かった....」
「お疲れさま響。」
「これくらいでへばってどうすんだよ。
「そりゃそうなんだけど、ほら、ガンプラバトルって頭使うからさ〜、余計に疲れた気分だよ〜.....」
結局、全員あのビギニングにやられ、今はショップからすぐ近くのガンダムカフェとやらで休憩中だ。
今も手の力が抜けないのは、初めてのバトルで緊張してたのかもしれない。
「いやほんと。あのマニューバは全国....ううん世界レベルでも通用するくらいだった。なんであんな実力者がこんな大会に参加してたんだろ。しかもあのビギニング、見た目は無改造だけど、スミ入れとつや消しだけであそこまで性能上がるわけない、ってことは純粋なファイターとしての実力があったってこと....?」
確かにあの動きは凄かった。とっさに盾を投げるとか普通は思いつかない。つまり、よほど戦い慣れてるってことだ。きっとあのファイターもかなり長いことガンプラバトルをやっているんだろう。
「きねクリ先輩、初めてのガンプラバトルはどうでした?」
「え、そうだな....」
楽しかった...と答えるのに詰まってしまう。
だってそう言えば嘘になっちまう、アタシのせいでグシオンを堕としちまったわけだ。それに対する後悔の念は強い。
だけど....
「楽しくは....なかったかな。グシオンの初陣が負け戦だったわけだ。やっぱりアタシにゃ向いてなかったってことだよ。
けど、アタシが作ったガンプラがアタシの思い通りに動いた。負けたのは悔しい、けど宇宙を飛び回るグシオンを見れた。それで充分だ」
そう言ってグシオンを手に取る。撃墜されたけど、別にパーツが折れたり割れたりしたところもなく全くの無傷だった。
本当に無事で良かったと思う。これでパーツの一つでも壊れていたらと思うと....いや、そんなの考えたくねえな。
「ふふ、やっぱりクリスはとってもグシオンが好きなんだね」
「あったり前だ、手塩込めて作ったのはかわいいって言うだろう?」
だからこそ思ってしまう。もうちょっと操縦のテクがあればこいつをもっと活かせたかもしれない。同時に活かせれるように強くなろうと思える。
「じゃあ、改造してみたらどうですか?」
「改造だって?」
そういえば雑誌にも書いてあったな、ガンプラを自分好みに改造して君だけのガンプラを作り上げようって。でもノーマルのグシオンにすら慣れてないアタシにいきなりそういう上級テクは....
「否定なしってのは肯定ってことで!
大丈夫大丈夫、物は試しですよ!早速行ってみましょうって!」
「お、おい!引っ張んなよ!」
そうして半ば無理やり連れて行かれた。もちろん「えー!お昼は!?」って言ってるバカも一緒にだ。
*******
板場たちに連れられてやって来たのはGミューズだ。ここには無料で使える製作室がある。そこでグシオンを改造できるらしい。もちろん渋々顔で付いてきたバカには後で飯をおごるって言っておいた。
「あのなあ、アタシはガンプラバトルを始めたばっかりなんだから無改造のガンプラで慣れておく方がいいんじゃないか?」
「必ずしもそうとは限りませんよ。ちなみに先輩は今日どんなバトルをしようとしてたんですか?」
「質問に質問を返すな。んで、どんなバトルって言われてもなあ。
グシオンは狙撃型だし、アニメみたく狙撃兵って感じか」
「全然ダメですよ先輩!」
いきなりダメ出しを受けちまった。そりゃアニメでしかグシオンの動きは見れないんだから、同じような動きをするのが常識なんじゃないのか?
「いいですか、ガンプラの達人であるメイジンカワグチが言ってました。『ガンプラは自由だ!』と。
ガンダムの原作という名の壁に囚われずに自由にガンプラを作ってもバチは当たらないんですよ!」
「そ、そういうもんなのか?」
「もちろんです!きっとあのビギニングの人も同じですよ!そして、バトルスタイルに合うように改造を施す、それが真の意味でガンプラを大切にするんだと思います!」
なるほど、アタシもノイズと戦う時はイチイバルをその時に応じた形に変えて戦う。それと同じで、アタシがグシオンに合わせるんじゃない、グシオンをアタシに合わせるのか。
「じゃあ改めまして、グシオンリベイクで戦ってなんか戦いづらいな〜って思った箇所あります?」
「そうだな、けど強いて言えば....ライフルが使い辛かったな。リロード遅かったし」
「だったら武器をマシンガンとかの連射タイプのに変えましょう。ここなら改造パーツやガンプラのパーツ販売もやってますから、先輩に合ったパーツがあると思いますよ」
「ふっふーん、それならちょうどイイ物があるんだよ〜!」
そう言ってあのバカはバックの中からガンプラの箱を取り出した。
「ジャーン、ガンダムヘビーアームズ改。これなら改造パーツとしても十分じゃないかな」
「それって今日先輩にプレゼントしようとしてたガンプラ?」
「うん、クリスちゃんが使うならこれしかないって思ったの!でも今のクリスちゃんにはグシオンがあるから、だからこれを改造に役立てて!」
箱絵には2門のガトリングを構えミサイルをぶっ放してるヘビーアームズの姿があった。確かにコイツはアタシのバトルスタイルとそっくりな戦い方をしている。
「ああ、大切に使わせてもらうぜ!」
「よーし、パーツも揃ったことだし作業はじめましょっか!」
『おーっ!』
早速作業が始まった。
まずはヘビーアームズを組み立てる。1人で作ったら小一時間ほどかかるガンプラでもこれだけの大人数で組めばそれほど時間はかからなかった。次に使うパーツを決め、逆にグシオンから取り外すパーツと交換する。
「さて、次は塗装に入りますよ!」
最後に一度分解して買ってきた塗料でグシオンの色を変える。今回は赤をベースに白を差し色ーーちょうどイチイバルと同じような配色ーーに塗り替える
乾いたら塗装を剥がさないよう注意しながら組み立てつや消しのスプレーをふりかけて完成だ。
「うん!これで完成!」
「これが、新しいグシオンリベイク....」
ついにアタシの、アタシだけのオリジナルガンプラが完成した。改造した割に前のグシオンとの変更点は少ない、武器は2連装ビームガトリング、両足のミサイルポッド、そしてマシンガンサブアーム付きのバックパック。ちょいと武器を取っ替えただけの改造なんだがシルエットがまるで違う。前のグシオンは汎用機っていう見た目だったけど、こっちのグシオンは砲撃戦主体って感じだ。
「新しく生まれ変わったグシオン。だったらグシオン
「グシオンリヴァースか....」
グシオンリヴァースを手にとっていろんな角度から見てみる。
さすがアタシのガンプラだ、どんだけ見てもまったく飽きない。ああ、早くコイツを動かしてみたい。そんな時はどうすればいいかなんて答えは簡単だ。
「よっしゃ、ガンプラバトルするぞ!行くぞバカ!」
「もっちろん、行こ行こー!」
さっそくバトルの筐体に向かおうとしたその時ー
「ちょっと待つデース!」
どっかで聞いたことのある声に呼び止められたのだった。
第4話完
さて次回こそ、次回こそはちゃんとバトルします!
そして唐突なのですが次回が最終回デス。はたしてクリスちゃんはグシオンリヴァースでの初ガンプラバトルで勝利を掴めるのか!
次回、戦姫絶唱しないフォギアGP
最終話「クリスちゃん大勝利!新たなバトルへレディゴー!」
.....そこ、ネタバレ次回予告って言っちゃダメ