スピード規制は守る   作:カバ

20 / 20
エレメント4 登場

 幽鬼の支配者(ファントムロード)の支部。その最上階にて、二人の人物が対峙していた。

 

「――嗚呼(ああ)!! 悲しいッ!! 偉大なマスター・ジョゼの御心を理解できない者達で溢れ返る、この世の不条理が悲しすぎるッ!!!」

 

(――聖十大魔道(ワシ)相手に気配を覚らせずに背後を取るか……こりゃあ厄介じゃのぉ……)

 

 背後に突如として現れた敵の存在に対峙しながら警戒する。

 マカロフは先程までジョゼの思念体と会話を繰り広げていた。そんな会話の最中、ジョゼは誘拐した家族(ルーシィ)を人質としてマカロフの前へ突きだす。彼女の出現にマカロフの注意は大きく乱れる。しかしジョゼ本体の下に何者かが乱入し、その影響で思念体が消滅する。

 いまマカロフの目の前に姿を晒し喚いている男は、ジョゼの思念体が消えた後に現れた。

 

 彼の名はアリア。その正体は別名『大空のアリア』と呼ばれる、エレメント4の頂点に立つ男。

 

「――お主が噂のエレメント4と呼ばれる者か……ジョゼは何処だ?」

 

「……私はマスター・ジョゼの命により、貴方を倒す任務を言い渡された。ですが私の失態によりそれは不可能となってしまいました。悲しい事です……」

 

 アリアはマスターの質問に答えず、自身の失敗を嘆く。

 しかし、その様な事はマスターにとっては如何でもいい。

 

 得たい情報は、(ジョゼ)の居場所ただ一つ。

 慈悲として最後の警告を発する。

 

「――聞こえんかったのか? ジョゼは――何処だ?」

 

「私では貴方に勝てない。故に、この場は一度引かせて頂きます」

 

 

 

 ――ドゴォ!

 

 

 

 巨大化した腕がアリアの立っていた場所を抉る。

 

「ジョゼの居場所を吐けっ!!」

 

「――悲しいですか? 彼女(ルーシィ)が我々に捕まえられた事が?」

 

 腕に押しつぶされたと思われたアリアは、何事も無かったかの様に別の位置へ立つ。

 そんな一触即発する雰囲気の中、

 

「――マスター!!」

 

 彼等の下にエルザが現れる。

 彼女はすぐ傍に居たアリアを注意深く警戒しながら、マスターへ駆け寄る。

 そして自身が得た情報を手早く伝える。

 

「ミラから連絡が入り、ルーシィが奴等(ファントム)に攫われたとの事です。ルーシィを救出するべく、ジョットが奴等(ファントム)の本部に襲撃を仕掛けた様です」

 

「ッ!? ――そうかッ!! ジョゼの異変(アレ)はジェットの仕業か!!」

 

 エルザが齎した情報を瞬時に理解し、現状を把握する。

 彼女達の会話を聞いていたアリアがまた涙を流す。

 

「悲しいッ!! 神は幽鬼(われら)に微笑まないのかッ!! 何故、妖精(かれら)にだけ恵みを与えるのかッ!!」

 

 エルザはそんなアリアを鋭く見据える。

 

「マスター……彼奴はエレメント4の一人ですか?」

 

「ああ、じゃが気を抜くなよエルザ。奴は気配を悟らせない事に長けておる。ワシも危うく背後を突かれる所だった。ジェットの乱入が無かったら、無事では済まなかったかも知れん」

 

 マスターは敵の厄介さに表情を歪ませる。

 それを見たエルザが一歩前へ進む。

 

「――マスター、あの男の相手は私が勤めます。ですので、ジョゼの下に向かったジェットに力を貸して頂けませんか?」

 

「――エルザ、任せても良いか?」

 

 マスターの言葉にエルザが笑う。

 

「――この程度の相手、手早く済ませます。残党の討伐も私が皆の指揮を取り、対処致しますので安心して下さい」

 

 彼女の言葉を聞いたマスターは先を急ぐ為に駆けだす。

 その後姿にエルザは告げる。

 

「後、勝手ながらナツ達を幹部(エレメント4)討伐に向かわせました。マスターはジョゼだけに集中を……」

 

「――オマエ達の想い(バトン)は、必ずワシが形にしよう」

 

「――ご武運を、マスター」

 

 マスターはその場を後にする。

 その間、アリアは先程とは打って変わり黙りこくるのみだった。

 エルザはそんな彼に問いを投げる。

 

「マスターを通して良いのか? オマエ達にとってマスターの存在は邪魔な筈では?」

 

 彼女の言葉に黙していたアリアは素直に答える。

 

「私の力量程度では巨人(マカロフ)の不意を突くがやっと……歩みを緩める事すら至難の業。傲慢な考えは、自身の身を滅ぼすのですよ、妖精女王(ティターニア)

 

「……成る程、確かに他の者とは違うようだな。オマエを倒すのには少々時間が掛かりそうだ」

 

 エルザは自身が打倒する者の(つよさ)を改めて理解する。

 

 エルザvs大空のアリア。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃、先鋒として本部に向かうナツ、グレイ、エルフマンの三名は、

 

「ジェットーーーッ!!! オレも戦わせろォーーーッ!!!」

 

「オイ!! オレ達はジョゼと戦う為に向かってる訳じゃねぇんだぞ!! 聞いてんのか!?」

 

「漢、エルフマン!! 友の為に助太刀に来たぞーーーッ!!!」

 

 幽鬼の支配者(ファントムロード)の本部に向けて爆走していた。

 ナツは後ろから煩く言うグレイに対して挑発する。

 

「何だよグレイ。オマエ、まさかビビってんのか? 情けないヤツだなぁー」

 

「ふざけんなッ!? ビビってるとかそんな次元の話をオレはしてんじゃねぇんだよ!! オレ達の目的は先行したジェットと捕らえられたルーシィの救出及びじーさんの邪魔にならない様に幹部(エレメント4)を倒す事なんだよ!!」

 

 グレイの言葉にナツは何気なく返す。

 

「元凶のジョゼをオレ達で倒しちまえば、じっちゃんを待たなくても良いだろ?」

 

「……………………はぁ」

 

 ナツの発言にグレイは呆れて物が言えなかった。

 彼はナツ(バカ)を相手にするのを止めて、視界に映りだしたファントムの本部へ目を向ける。

 

「――アレが連中(ファントム)の本部か……」

 

「オレが一番乗りだァ!!」

 

「いや、ジェットが乗り込んでるから一番じゃねぇだろ?」

 

 ナツの発言にエルフマンがツッコミを入れる中、

 

 

 

 

 

 ――ズガガガガッ!!!

 

 

 

 

 

 本部の最上部付近の壁が物凄い音と共に崩壊する。

 

「「「ッッッ!!??」」」

 

 三人は遠く離れていても感じる、邪悪な魔力に背筋が凍える。

 ナツは崩落した壁の奥に見知った影を見つける。

 

「――ジェットッッッ!?」

 

「ッ!? ジェットだとッ!! いま奥の方で薄っすらと見えたのがそうなのか、ナツ!」

 

「オレは見えなかったぞッ!! 一体、どんな状況だったんだ!!」

 

 ナツの言葉にグレイとエルフマンが騒ぎ立てる。

 彼等にナツは信じられない様子で語る。

 

「信じられねぇ……あのジェットが傷を負ってた」

 

「「ッ!?」」

 

 二人はナツの言葉に緊迫した雰囲気を出す。

 

「……ヤベーな、アイツが傷ついた所なんてここ数年で見た事あったか?」

 

「オレが記憶している中では無いな」

 

「それだけ、状況が悪いって事か……」

 

「――クソがッ!! いま行くから待ってろよッ!! ジェット!!」

 

 三人はこれまで以上の速さを以て、本部へと急ぐ。

 そして漸く本部内部へと侵入する事に成功した三人だったが、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――火竜(サラマンダー)の異名を持つ君は、エレメント4が一人『大火の兎兎丸』が相手をしよう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――私はジュビア……『大海のジュビア』。マスターの命により、ここから先には行かせない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――マスターの手を煩わせるのは感心しませんな? 『大地のソル』もお相手をしましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 三人の幹部(エレメント4)が立ち塞がる。

 だが、そんなの彼等には関係無い。

 妖精の尻尾(フェアリーテイル)を害する者を、ただ討ち果たすのみだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――オイ、ちょっと道を教えろ。勿論ただじゃねえ……熱い拳、百発分で買い取ってくれや」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――女を甚振る趣味はねぇんだ。傷物になりたくなかったら、大人しく道を開けな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――漢なら……傷つく友の代わりに身体を張るのは当然だァ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ナツvs大火の兎兎丸、グレイvs大海のジュビア、エルフマンvs大地のソル。

 上級者同士の戦いが始まろうとしていた。

 

 ――そして、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――ガハッ…………!」

 

 ジェットがジョゼの魔法で倒れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ジェットーーーッ!!」

 

 ルーシィが縛られた状態で声を上げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――予想以上に手応えがありませんねぇ……ハハハハハッ!! 無様だなァ!! オイッ!!」

 

 地に伏せるジェットをジョゼが侮辱の笑みで嗤い続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――マスター・マカロフが到着するまで、あと僅か……

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。