スピード規制は守る 作:カバ
――――私は一体、何をしてんだろう?
私が酒を飲み始めたのは、国が定めた規則より二年も早かった。
切欠はマカオ達に勧められたのも理由にあるが、本当の理由は自身の不甲斐無さを誤魔化す為。
当時は私も六歳の子供だったのに、今年でもう十七の大人。
(ホント、私は何やってたんだか……)
そう自虐の笑みを浮かべる彼女の名は『カナ・アルベローナ』。
今年のS級昇格試験に選ばれた魔導士だ。
ギルドの皆が憧れ欲す、称号を得る
だが彼女の心中に、喜びの感情は浮かんでいなかった。
「……………はぁ」
三回。それは、彼女が今までS級昇格試験に挑んだ回数。
皆が焦がれる試験に三回挑み、彼女は成果を挙げていなかったのだ。
最初に選ばれた時は、それはもう嬉しかった。
しかし、いざ試験に挑んでみれば、結果はエルザだけが受かる形で終わった。
その結果に彼女は、"仕方ないか"と自分を納得させた。
"何故?"と問われれば、それはカナ自身がエルザの強さを良く理解していたからだ。
力量、意思の強さ、気高さ。どれを取っても自分はエルザに負けていると彼女悟った。
だがそれは、一種の救いでもあった。
何故なら、自分が受からなかった言い訳が立つからだ。
"相手がエルザだったら仕方ないよね?"……と。
彼女はこうして心の平静を保った。
二回目に選ばれた際、彼女の中に最初程の勢いはなかった。
それは、相手がミラだったからだ。
ミラはカナやエルザに比べたら、最近ギルドに入って来た新人の方だ。
だがその力量は、一年前にS級に上がったエルザと見比べても遜色なかった。
そして試験の結果は、ミラが合格して自分が落ちる結果となる。
まだ、まだ、カナの心は折れなかった。
"エルザと同等の実力を持つミラなら、自分が負けても普通だよね"……と。
まだ、彼女は大丈夫だった。
そして、運命の三回目。自分の他に選ばれた参加者は、正体不明のミストガン。
……………いける。顔を見た事もなければ実力さえ分からない相手だったが、それでもエルザやミラ以上ではないだろうと高を括った。
彼になら、自分は勝てるかも知れないと希望を抱いた。
そして結果は、ミストガンだけが受かった。
――――『カナ・アルベローナ』の心は、もう既に壊れかけだった。
「カナ!」
「……………ジェット?」
カナの目の前に、一人の青年が姿を現す。
それは今回の
――――
――――彼らが語り合うのは、感動もない、普通の御話
――――だが、知って欲しい
――――