ガンダムブレイカー to entertain hopes 作:みなび
赤と白を基調としたガンプラが目の前にある。ビルドストライクとビルドバーニングのミキシング機だ。その、あまりにも普通な発想と普通なカラーにミサは何も言えなかった。
「練習始めようか!」
「え、感想は?」
「さ、大会まで長くはないよ!」
Iフィールドが干渉し、お互いの機体が切り結び合う。
アザレアが一度距離をとり、背面のバズーカをノゾムの機体、ビルドホープの足元へと放ち、ビルドホープが後退した。爆発が起き視界が悪くなった瞬間を突きアザレアが突撃し、肉薄したが、既にノゾムに読まれていた。ビキニングガンダムのバックパックからサーベルを六本両手で抜き放ち振り下ろした。
アザレアがビームサーベルとシールドでそれを防いだが、シールドが一本をガードしきれずに肩を切り飛ばされた。
「やるようになったね!」
ノゾムの成長速度は異常だ。商店街で随一の強さを持つミサをこの短い練習時間で苦戦させるところまで来ているのだ。否、それどころか
「それはどうも!」
ビルドホープがバックステップをしながら左手のサーベル三本を投擲し、アザレアが回避のために機体を横へ大きく跳ばせた。さらに跳んだ先にも右手のサーベル三本を投擲した。アザレアの空中での制動は間に合わず、シールドで二本受け、腰部に一本刺さってしまった。着地しようとするも腰部の損傷によってバランスを崩す。
「やばい!」
「今なら!」
思考よりも先に手が動き、腰部のビームサーベルを抜き放ちバルカンを放ちながらアザレアに接近する。アザレアが背部バズーカを放つが乱射しているバルカンに当たり空中で爆発してしまった。そのままアザレアのコクピットをビームサーベルが貫き、ついにノゾムが初勝利を納めたのだった。
「キミほんと成長速いねぇ。嫉妬しちゃうよ。」
「それなら嬉しいな。ところで、他のチームメンバーは見つかった?」
ミサが探すと言ってはいたが、未だに一人も増えていない。タウンカップという小規模な大会ではあれど、二人だけで出場しても優勝は厳しいだろう。
「それがさっぱりでね…もしかしたら二人だけで出場することになるかも…」
タイガーはノゾムとの戦いの後、ゲーセンに来ていない。それでもまだ悪評が残っているのだ。さらに言えばこのチームは資金がない。勝とうとする人物がいても入ってはくれないだろう。
「二人だと厳しいだろうね…」
「だねぇ。まあ嘆いてても仕方ない、さあ、今度はタッグの練習だよ!」
「イエスマム!」
冗談めかした返事をして、二人は気分を変えてシミュレーターへ入っていった。