Fate/if 運命の選択   作:導く眼鏡

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マークス「最近出番がないのだが」
レオン「出番の出の字すら未だに見えない僕達の前で言う事かな?」
リョウマ「やはり卑劣な暗夜より我が白夜王国だな、カムイもそう言っている」
マークス「貴様ぁ!!」
リョウマ「やるならば受けて立つぞ。一騎打ちでな」
マークス「いいだろう、我が剣の露と消えるがいい!」
リョウマ・マークス「うぉおおおおおおおおおおおおお!!」
カミラ「あらあらうふふ」
エリーゼ「お兄ちゃんばっかりずるいよぉ!」


第13章:仮初に潜む者

「慎二がマスターじゃなかった!?」

 

朝開口一番で士郎の叫び声が屋敷に響き渡る。

話題の内容は、アーチャ-のマスターだと思っていた慎二が実はマスターではなかったというものだった。

 

「えぇ、あの魔導書はサーヴァントの行使権を代理させる代物……つまり、慎二は本当アーチャ-のマスターじゃなかったのよ」

「じゃあ、アーチャーが慎二に従う形だったのは……」

「慎二がアーチャ-のマスターだと錯覚させる為だろう。本命のマスターを目立たないようにするか、慎二を囮に裏で本当のマスターが暗躍するのが目的と言った所か」

 

遠坂が出した結論と、そこから導き出されるセイバーの推測も充分に理解出来る。

しかし、そうなると新しく疑問に思う所も出てくる。

 

「けど、それじゃあアーチャーの本当のマスターは一体誰なんだ?」

「それが分かれば苦労はしないわよ。ただ、見ず知らずの人物にアーチャ-のマスターを代理させるなんて事はしないでしょうから、慎二の関係者に絞っていいでしょうね」

 

サーヴァントを召喚したという事は聖杯戦争の参加者として選ばれたという事だ。

見ず知らずの人物にマスター権を譲位ならば最初からサーヴァントの召喚等行わないし、間違って召喚してしまったならば教会に行けばいい。

少なくとも、マスター権を譲るならばそれを求める知人を優先するはずだ。

そして、慎二のような人間が見ず知らずの人間にサーヴァントの所有権を求めに行くとも思えない為、アーチャ-の本当のマスターは慎二と面識がある、もっと言えば慎二とそれなりに交流のある知人で間違いないだろう。

 

ここで問題となるのは、慎二と接触しそうな人物が誰なのかという事になる。

サーヴァントを召喚する為には令呪が必要だ。

聖杯に選ばれなれば令呪は宿らない。聖杯が令呪を宿す人物の定義が曖昧である為にそちらから特定するのは困難だ。

しかし、慎二と接触のある人物に絞るならば話は大きく変わる。

慎二は取り巻きの女性こそそれなりにいるものの、彼自身は魔術回路がない為魔術を使えないらしい。

その為、そんな彼をマスターとして仕立て上げるならばそういう事情を知っている相手である必要がある。

では、慎二を仮初のマスターに仕立て上げたのは誰なのか?

 

「まずは、慎二の身内。これが一番可能性としては高いと思っているわ。間桐の血は衰退していると聞いているけれど、それでも何の魔術回路もない一般人がマスターになって、戦いから逃げる為に慎二に譲りましたなんて線よりは魔術師の世界に足を踏み入れている上に、慎二は間桐の人間。間桐はアインツベルンと遠坂に並ぶ始まりの御三家だから……うん、何かしら仕掛けていてもおかしくはないわね」

「けど、慎二の身内って桜だろ? 桜が聖杯戦争に参加するなんて、考えられ……」

 

考えられない、そこまで言おうとした時に士郎は桜の家にいた、一人の老人について思い出した。

あの老人と対峙した時、得体の知れない気配を感じた。もし慎二を仮初のマスターに仕立てる人物がいるとするならば……

 

「なぁ遠坂、慎二を仮のマスターにしそうな人物に関して、心辺りが「士郎ー?」って、この声は!?」

 

遠坂に桜の家で見かけた老人に関して伝えようとした時、聞き覚えのある声が玄関から聞こえてきた。

この能天気かつ、毎日のように聞き慣れた声の主、そしてそれが意味する事……それは……

 

「はぁ、それじゃあこの話はまた後でしましょう。まずは慎二と接触していそうなアーチャ-のマスター候補の調査をして、また進展があったら……衛宮君、どうしたの?」

「…………た」

「?」

 

 

 

 

 

「やばい……朝飯作ってなかった」

 

この後、虎の絶叫が響き渡ったのは言うまでもない。


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