Fate/if 運命の選択   作:導く眼鏡

28 / 31
マークス「カムイ、暗夜高校に来るんだ!」
リョウマ「何を言うか暗夜高校め。カムイ、白夜高校に来るんだ!」
サクラ「その、白夜高校は和風な感じで落ち着きますよ」
エリーゼ「暗夜高校は洋風でオシャレだよ!」
タクミ「白夜高校には将棋部がある!」
レオン「暗夜高校にはチェス部がある!」
ヒノカ「白夜高校では天馬と触れ合えるぞ!」
カミラ「暗夜高校では飛竜と触れ合えるわ」
一同「カムイ、一緒に白夜(暗夜)高校に!!」




カムイ「スマブラ高校に行きます」

※執筆途中のものを誤って投稿していた為上げ直しました。


第15章:束の間の休息(後)

「待ち合わせ場所はここでいいんだよな?」

 

遠坂が突然、ランサーと一緒に映画館でデートでもしたらどうだと焚きつけた事がきっかけでランサーと駅前で待ち合わせをしていた。

現在の時刻は待ち合わせの10分前、士郎は周囲を見渡すがランサーの姿は見当たらない。

 

「約束の時間まではまだ時間はあるから、もう少し待ってみるか」

 

待ち合わせ時刻、待ち合わせ場所の照らし合わせを行ったが共に間違いはない事を確認した士郎はそのまま、ランサーが来るのを待つ事にした。

けれど何もせずぼーっと待つのも時間が勿体無いので、士郎は頭の中で考え事を始める。

 

(セイバーとの剣の稽古、あれで分かった事はいくつかある)

 

士郎は、セイバーとの稽古においてセイバーに一太刀すら当てる事が出来なかった。

当てる事が出来なかったというのは防がれたという意味でもなく、文字通り全て避けられたという意味だ。

そして士郎は、セイバーの攻撃をてんで防ぐ事が出来なかった。セイバーが本気を出した場合士郎が指一本動かす暇もなく士郎が気絶する程の攻撃にて強制終了させられる。

しかしあえてセイバーは、士郎が肉眼で追える程度の速度で尚且つ、最小限の動きを以てして士郎の攻撃を全て避けたのだ。

相手の攻撃を避けて自分の攻撃を当てる、それがセイバーの戦闘スタイルだ。サーヴァントの中でもダントツの速度を持つセイバーならではの戦闘スタイルと言えるだろう。

そして、稽古の後にセイバーは士郎の剣筋に対してアドバイスをしていた。

 

 

 

 

「ぜぇ……ぜぇ……また全く攻撃が当たらなかった」

「剣を振る時は決して、その攻撃が当たらなかった時・防がれた時にカウンターを取られるような迂闊な攻撃をしてはいけない。特にサーヴァント相手では尚更だ。どんなに敵の攻撃が強大だろうと、当たらなければいい。強力な相手と敵対する時は相手の攻撃を見切って避ける事を第一に考えろ。少年の場合、攻めるのはそれからだ」

「攻撃を避けるって言っても、反応出来ない攻撃をどう避ければいいんだ?」

「見てから避ける事が出来るならそれは凄まじいものだな。そんな事が出来るのはそれこそ人間を超えた存在、サーヴァント位のものだろう」

「サーヴァント位って、セイバーもサーヴァントじゃないか」

「話は最後まで聞け。俺は生前、つまりサーヴァントになる前はそこまで腕力があった訳でも頑丈だった訳でもない。それでも尚最前線で戦い続ける事が出来たのは、俺が敵の攻撃を避け続けて来たからだ。どんなに敵の攻撃が強大だろうと、当たらなければどうという事はない。では、本題に入るが大量の剣矢が飛び交う中、俺がどうやって敵の攻撃を避けて来たと思う?」

「それは……」

「勿体ぶらずに言うと、直感が半分と経験から来る読みが半分だ」

「直感と読み?」

「そうだ。直感は文字通り直感に過ぎず、眉唾物でしかない。だが嫌な予感がしたらすぐに回避行動をとれ。直感に従ってよければ大体の攻撃は避ける事ができる」

「直感って……俺にはそんな鋭い直感なんてないぞ」

「確かに、直感はそこまで劇的に鍛えられるものでもないから直感でよけろと言われてもどうにもならん。だから本命は後者だ」

 

そう言って、下ろしていた剣をセイバーが静かに構えなおす。

 

「繰り返される死闘によって何度も攻撃を叩き込まれる事で、人は学習する。今まで培ってきた経験を元に攻撃を予測して避ける。少年にはこれを徹底的に教え込む」

「それってつまり……」

「容赦はしない。構えろ!」

 

 

それから、何度も何度もセイバーに叩きのめされていた事が鮮明に思い出される。

無論、今もまだセイバーの攻撃に全然反応出来ていない為まだまだだと思い知っている。

 

 

「強くならないとな……」

「何を考え込んでいるの?」

「そりゃあ……ってランサー!?」

 

士郎の目の前には、私服姿のランサーが立っていた。どうやら考え事に没頭して気づかなかったらしい。

何時もの服装だと目立つ為に遠坂からそれっぽい私服をチョイスしてもらったのだが、髪が後ろでポニーテール状に纏められており、水色のワンピースに白いマフラーと、普段とはまた違った可愛さを感じさせていた。

強いて言うのであれば真冬のこの季節にワンピースはどうなのかという位だが、彼女を見てしまうとそんなものは気にならなくなってしまう。

 

「考え事をするのはいいけど、女性を待たせるのは感心しないわよ」

「ごめん、ランサー」

「私はいいのよ。だけど、他の人相手に同じ事をしたら駄目よ。それじゃあ、丁度時間になった事だし行きましょうか」

 

時計を見てみると、丁度待ち合わせの時刻になっていた。

早速、ランサーと一緒に新都の映画館へと向かう。女性とのデートが初めてなのもあってか、少しばかり緊張してしまう。

 

「士郎?」

「あっ……あぁ、そうだな。それじゃあ早速新都に向かうか」

 

気がつけば固まっていた事を不思議に思ったランサーが顔を覗き込んでいた為、慌てて歩き出した。

丁度電車がやってきたので、その電車に乗って目的の映画館がある新都へと向かう。そこまで遠い訳でもなかった為時間はかからなかった。

 

 

 

 

「ここが映画館……凄く賑やかね」

 

映画館に着いてみると、周囲はたくさんの人で賑わっていた。

皆が楽しい時間を過ごす為の施設なのだから当然なのかもしれないが、普通の街よりもずっと活気に満ち溢れている。

映画が始まったら会場内では静かにするのがマナーだが、ここは会場前の受付で、ポップコーンや飲み物、お土産等を販売している場所なのですごく混雑している。

 

「遠坂から貰ったチケットの上映時間はもうすぐだな。ドリンクとか希望はあるか?」

「私は特に希望は無いわ。そこまで私に気を使う必要はないのよ?」

 

ランサーは特に興味なさそうな素振りを見せるが、名残惜しそうにポップコーンをちらちらと見ている。

ポップコーンが食べたいであろう事を察した俺は、そのまま購買へと向かう。

 

 

「すみません、ポップコーンをハーフ&ハーフ、ドリンクは……オレンジジュースを二つ」

「かしこまりました、こちらの番号札をお持ちになって少々お待ちくださいませ」

 

 

少し時間が経って、店員が注文の品を持って来る。ドリンクにオレンジジュースを選んだのはなんとなくだ。

 

 

「お待たせ、それじゃあ早速映画を見るか」

「士郎、私の分は別にいいと言ったのだけれど……」

「そういうのはいいから、今日は思いっきり楽しんでくれ。こういうのがあった方がいいぞ?」

「……そう。ならお言葉に甘えさせてもらうわ」

 

館内の該当席に二人で座り、映画の上映を待つ。ランサーは余程気になっていたのか、ポップコーンを少々遠慮しながらもぱくぱくと食べている。

どうやら、お気に召してくれたらしい。頼んだこちらとしても嬉しいものだ。

と、のんびりしていると急激に周囲が暗くなる。どうやら映画が始まるようだ。

 

「そろそろ映画が上映されるみたいだな、ここからは静かにするんだぞ」

「分かったわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさか黒幕が彼女だったなんて、恐ろしいものね……」

「外の真実とか伝えられた時は凄くびっくりしたけど、設定がよく出来た映画だったな」

 

映画の上映が終わり、新都内で遅めの昼食を食べながら映画の感想を語り合う。

今回視聴した映画は、学園内に閉じ込められた状態で殺し合いを行うというものだったのだが、最終的に黒幕の正体を暴き、生き残った主人公達は黒幕を倒して外へと脱出するという結末に終わった。

序盤でいきなりヒロインらしき女性が死んだ時には色々と驚かされたが、終わってみると良い映画だったと思う。

 

「まだ時間もあるし、もう少し新都を見て回らないか?」

「……士郎、本当に今日はどうしたの? 別に私の事は気にしなくていいのよ」

「そういう訳にはいかない、ランサーは新都に来るのは初めてだろ? だったら、せっかく来たんだし思いっきり楽しんで欲しい」

「…………使い魔に過ぎないサーヴァントにそこまで気遣うなんて、貴方は優しいのね」

 

昼食を食べ終わった後は、バッティングセンターで競争をしたり(何気にランサーがホームランを連発していた事に驚いた)ゲームセンターで対戦をしたりと、平穏な時を過ごした。

映画館から始まった新都巡りは、今までの中でも数年ぶりに楽しいと思える時間だったと思う。

そうこうしている内に日が沈み、周囲の人だかりもまばらになって来た為俺達も帰る準備を始める。

 

「ねぇ、士郎」

「どうした、ランサー。何か欲しいものがあるなら買うぞ」

「ううん、そうじゃないの…………今日はとても楽しかったわ。だから……ありがとう」

 

ありがとう、その言葉と共にランサーは優しい微笑みを見せる。

その笑顔が眩しくて、思わず目線がランサーに釘づけになっていた。

 

「その……どういたしまして」

「ふふ、それじゃあ帰りましょう、士郎」

 

新都から帰ろうと二人で歩きだす。そう、平穏な時間はここまでだ。

楽しい日常の時間は終わり、戦いの時間が再び幕を開ける。

 

 

 

「見つけましたよ、聖杯戦争の参加者……サーヴァントとそのマスターですね?」

 

突然、後ろから声をかけられて慌てて振り返る。

サーヴァント、聖杯戦争、マスター……これらの単語が出てくるならば要件はただ一つだ。

 

「士郎、気を付けて……この人、恐ろしく強いわ」

「あんたは……聖杯戦争のマスターか? 何をしに来た」

「私はバゼット・フラガ・マクレミッツ、聖杯戦争に参加しているマスターの一人です。参加者同士が出会ったならばやる事は一つ……聖杯戦争(ころしあい)を始めましょう」


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。