ダンジョンに喰種がいるのは間違っているだろうか   作:緋蜘

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リュー・リオン

「シル、逃げてください。私が引き付けます」

 

彼女、リュー・リオンが友人のシル・フローヴァに向かって叫ぶ。

 

「ダメ!リュー、逃げよう!」

 

「何度言ったらわかるのです。私は元冒険者だ。こんなモンスターなど…ゔっ…」

 

リューは目の前の、食人花の触手で振り回されたときに、捻挫をしてしまった。

 

そんなこともお構いなく、食人花はどんどん増え、リュー達が囲まれたときだった。

 

シュッと、リュー達の目の前に奇妙なマスクをした青年が立っていた。

 

「なっ…逃げてください。見たところレベル1の冒険者なのでしょうが、あのモンスターはレベル1の冒険者では歯が立たない」

 

足を引きづりながらも、喉を枯らす勢いで叫ぶ。当然マスクの青年。金木研にもその声は当然として聞こえていた。

 

「下がっててください」パキッ

 

親指で人差し指の第一関節を鳴らす。

 

そして、赫子を出し禍々しいオーラを纏ったソレは、勢い良く、食人花の触手へ向かっていく。

 

「なんですか…あれは…」

 

「私も見たことない…」

 

2人は金木が戦っている姿に圧巻されていた。まず彼女達が驚いたのは、腰辺りから出ている赤い触手のようなものだった。やわらかそうに見えるソレは、硬く、どんな攻撃も弾き返せる…そんな雰囲気、いや、実際にそうだった。食人花の触手さえもソレで弾き、食人花を貫いていた。

 

一掃すると、リューは金木に近づく。

 

「あなた、豊穣の女主人でレベル5の冒険者を黙らせてた人ですか?」

 

リューは確信めいていた。なぜなら片目だけでも分かる、その世にも残酷な…何かを経験した。悲痛な目。冷徹な目。なかなかこの街にはいない…。

 

「(どうしようかな…。絶対、違いますなんていったら、彼女の持ってる木刀で殴られるよなぁ…まあ痛くはないんだけど…)」

 

リューはしっかりと、金木の目をそれ以上何も言わずにじっと見る。金木は顎をさすりながら、目をそらす…。

 

「…。言いたくないのなら、無理して言わなくてもいいです。ただ、お礼はさせてもらいます」

 

シルとアイコンタクトを取ると頷き、

 

「私たちが働いている店、知ってますよね」

 

まだ、彼女は気づいてないのだろうか?それとも気づいててわざと店の名前を出さないで聞いているのかわからなかった…。ただ、何かを察してくれたのはわかった。

 

その答えに何も言わずに頷き、その場を去る直前に彼女に耳打ちした。

 

「(金木研です。迷惑かけました)」

 

金木はただそれだけ言うと、ギルドに向かって飛び立っていった。

 

なぜか彼女にはバラしてもいいような気がした。ただそれだけの理由だった。

 

日が沈み、今日の終わりを告げる鐘がオラリオに鳴り響く。




今回も短くてすいません。
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