練習内容書くの難いの~(^_^;)
俺が周りをきょろきょろしてたら、晶也が、高藤学院FC部女子に、人目のない場所へ連行されていた。 俺も一人になっちゃうから、コッソリ着いて行くんだけどね。……ふ、不審者じゃないからねッ!
会話を察するに、高藤のFC部員には話が伝わってないのか?
唐突に、会話に乱入した人物が現れる。
「捜してたよ。 いやー、こんなところに居るとわね」
ふむ。 俺の勘が正しければ、この人が真藤一成。 当代最強のスカイウォーカーだな。
「憧れのスカイウォーカーに会えて、僕も光栄だよ」
「え、どういうことですか?」
市ノ瀬さんが、そう言う。
真藤さんが一拍置いてから、
「……言ってもいいかな」
晶也も観念したのか、選手だった頃の話をしてOKということになった。
いや、待て。 必然的に俺のことも挙がるよな。
「日向君はね。 少し前までは、もの凄いスカイウォーカーだったんだよ。 日向君に対する選手もいたんだけどね。 この二人は、伝説を残したまま引退してしまったんだよ。――そう。 妖精姫とね」
まじかああァァああ――!!と、俺は心の中で絶叫した。
真藤さんは、俺が隠れてる樹を見つめた。
「僕にはバレてるんだし。 姿を見せてくれないかな?――如月君」
俺はしぶしぶ姿を現す。
「……よう、晶也。 ナンパはいけないぞ」
「ナンパじゃねぇし。 市ノ瀬は、オレのお隣さんだ」
「お、おう。 そうか」
「どうしてここにいるんだ?」
このやろう、わかってるくせに。
俺は息を吐いた。
「あの視線に耐えられると思うか?」
「……いや、まったく」
「だろ。――と、それより。 俺を巻き込んで?何の話をしてるんだ?」
真藤さんが口を挟んだ。
「いや、君も伝説のスカイウォーカーじゃないか。 日向君と君は、僕の憧れでもあるんだよ。――如月翔くん」
「……はは、何を言ってるんですか」
真藤さんは、笑みを浮かべながら目を細めた。
「いや、僕の目に狂いはないよ」
……まあ、うん、あれだ。 これは完璧にばれてるわ。
人気者は辛いぜ。……はい、すんません。 冗談です。
「まあいいや。 合同合宿、頑張ろうね」
真藤さんは、ニコッと笑みを浮かべて去って行った。
……よし! 気持ちを切り替えて練習頑張ろう!
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
俺と晶也は、皆が居ると思われる校門前に戻った。
「はあ~、色んな意味で、もう疲れちゃったよ……。 晶也は、俺の正体知ってたんか?」
「半信半疑だったけど。 今ので確信に変わったよ」
「……まああれだ。 この事は黙っててくれ。 晶也のことも黙っておくから」
「……了解」
久奈浜学院に飛翔姫が居るなんて、予想外だったけど。
その時、着替えが終わった部員たちがやって来た。
「あれ~、何やってたの。 まさか……高藤学園のハーレムに混ざったり」
「おりゃ」
「痛い!?」
窓果が意味のわからない事を言い出したので、窓果の頭にチョップを入れる。 窓果は涙目になっていたが。
窓果は頭を擦りながら、
「翔やん、痛いよ……」
「いやいや。 力は入れてないし、嘘泣きはやめような」
「てへぺろ☆」
「おい!」
再び、俺のチョップが炸裂する。
まあうん。 やっぱりと言うべきか。 ここでも温かい視線が向けられる。
……やめて! ぼく茹でダコになっちゃう。
「う、うっ、翔君のバカ……」
「バカって言った方が、バカなんやで」
「……翔君。 温かい視線が凄いから、やめよっか」
「……そだな。 漫才をやりに来たんじゃないしな」
その後、全員が高藤の練習場へ向かった。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
練習広場に来て一言……設備が凄い。
久奈浜とは比べ物にならなかった……。 悲しい真実やで。
ま、久奈浜にも良い所はあるはずだ。
「晶也。 まずは柔軟からか?」
「そうだな」
「ふむ。 やっぱりゲーム形式の練習がいいかな?」
「「うお!?」」
真藤さんが、俺と晶也の後ろから、にょきっと出て来た。
てか、まじでビビりましたよ。
「あ、ごめんね。 驚かせるつもりはなかったんだけど……」
真藤さんは、あははと笑い頬を掻いた。
「佐藤くん、ちょっといいかい?」
真藤さんがそう言い、その人物が姿を現す。
「佐藤院ですわ。 部長」
「みんなを集めて、先に柔軟を始めてくれなかい。 僕は、彼らと一緒に今日の練習内容を考えるから、僕ら以外で任せられるのは、副部長の佐藤くんが第一候補だ」
あ、また佐藤っていいましたね。真藤さん。
「お任せあれ、真藤部長。 あなたの期待には、十二分に応えて見ましょう。 それと、――佐藤院ですわ」
「うん、君が居てくれて助かる。 これからも頼むよ。 佐藤くん」
……もう突っ込むのはよしますぜ。
佐藤院さんの話だと、戸籍上の名前は佐藤と言うらしい。
佐藤さんは院の字が好きだから、苗字の後ろに院をつけてるらしい。 よし、俺も今日から佐藤院さんに統一しますぜ。
さて、皆の柔軟が終わり、練習に入った。
「ファイターの皆には、シザーズの指示を出しといた」
シザーズは、前に進みながら左右に急旋回を繰り返す飛び方だ。
要は、後ろから追われてる最中に、前後を入れ替える練習である。
この急旋回を行うことで、背中を追って来てる相手選手を前に押し出せる事が出来るのだ。
「それでいいと思うぞ。 シザーズは、ファイターには必要な練習になるからな。 ま、スピーダー向けの練習じゃないのも確かだしな」
スピーダーは小回りが利かないので、この練習には向かないのだ。
対戦相手がスピーダーなら話は違ってくるが。
「そこからスラロームだな。 なるべくカーブの角度を狭めて、鋭角飛ぶようにとも言ってある。 相手を押し出せる練習にもなるから」
スラロームとは、蛇行のことである。
晶也と話している内に、徐々に選手たちが飛翔していく。
ふむ。 見た感じ、みさきには才能があるな。 てか、まだ力を隠してそうだな。
真白は直感がものを言う、スピーダーの方が合ってるような?
「晶也。 見た感じなんだけど、真白は、スピーダーの方が向いてるんじゃないか? これは俺の意見だから、聞き流しても構わないけど」
「うーん、オレも同じこと思ってたんだよ。 でもなあ、勝つためにやってるんじゃなきゃ、このアドバイスは必要なのか?」
「おい、其処はコーチしろよ」
……いや、勝つためなのか? みさきが飛んでるから、飛んでるだけとか?
「この合宿が終ったら聞いてみるよ。 この合宿で、自身のスタイルも分かると思うしな」
「少し遅い気もするが……。 その方が確実なのは間違いないな。 んじゃ、ここは頼んだ。 俺はスピーダーの練習を見てくるわ」
「了解だ」
「頼んだぞー」
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
俺は、スピーダーの練習元に向かった。
すると、パシャ、というシャッター音が聞こえた。
「どうもー、放送部の保坂実里って言いまス」
「って、おい。 何撮ってんだよ」
「まあまあ、堅いこと言わないで、一枚くらいいいじゃないっスか。 日向さんの写真も頂きましたし」
この子に何を言っても無駄な気がしてきた。
……うん、諦めよう。
「乱用だけはしないでくれよ」
とまあ、釘は刺しておく。
「大丈夫っス。 そこらへんは、弁えてるっスから」
「……ならいいけど。 で、何のようだ?」
「久奈浜学院FC部コーチに、高校生にして就任した如月さんには、何か秘密があると思いまして」
俺は内心、ギクッ!とした。
「……あるわけないだろ。 FCに詳しいだけの高校生だ」
「そうっスかね。 私の取材魂が何かあるって言ってんスけど。 如月さんが一目置いてる選手っていますか?」
「……いないな」
「な、なんスか。 その間は!?」
「何でもないよ。 で、保坂が調べた中には、何かあったのか?」
と、その時。
「あの~、すいません。 そろそろご指導ご鞭撻を賜れると嬉しいのですが」
次の練習は、スピーダーの市ノ瀬莉佳だ。
笑っているが、底知れぬ笑みで怖いです……。
てか、忘れてしまって申し訳ない……。
「す、すまん。 すぐに始めようか」
「はい、お願いします」
と言い、市ノ瀬さんはぺこりと頭を下げる。
スピーダーの市ノ瀬さんには、ローヨーヨーの練習を選んだ。
ローヨーヨーとは、斜め下に飛んでから、重力を利用し、その加速を利用して上昇、スピードを上げることだ。
ローヨーヨーとは別に、逆に斜め上から飛んで、斜め下に飛ぶ、ハイヨーヨーというものもある。
この二つは、スピーダーに必要なテクニックになる。
ちなみに、姿勢制御も重要になってくる。
「まずは、オレから行くぜ」
あ、そういえば部長もいたんだっけ。……ごめんなさいです。 部長。
「じゃあ、お願いします。 姿勢制御を意識して飛んでくださいね」
「おう! 任せろ!」
と言い、部長は飛翔を開始する。
「さて、市ノ瀬さn「ちょっと、いいですか!」」
……突然乱入してきた保坂に、言葉を遮られたんだが。
まあ、ここは取材をさせてやろう。
「市ノ瀬莉佳さんっスよね?」
「はい……そうですけど……」
聞いた話だと、市ノ瀬さんは高藤のレギュラーに近いらしい。
厚い層の中、一年生にしてレギュラー入りできれば、凄いことだ。
とまあ、このように取材が進んでいった。
「はい、そこまでだ。 練習しよう、練習」
「えー、今からが良い所っスのに……。 高藤は有望株が居て、将来安泰ッスね」
「久奈浜も負けてないと思うが……」
「目玉選手がいないじゃないっスか?」
「今の所はな……。 じゃあ、保坂は誰か知ってるのか?」
保坂は眼を輝かせた。
「それが自分、FCのことを過去から現在まで洗って見つけたんスよ。 自分たちと同年代に存在した少年たち! 伝説を残したプレイヤーたちを!」
俺は内心冷汗ダラダラだ。
さっきは、ギクッで済んだが……。
「当時、飛翔姫と呼ばれ、各務葵の秘蔵っ子とも言われた麒麟児! そして、飛翔姫のライバルとも言われた、妖精姫!」
「……へ~、よく調べたんだな。 お前、情報屋になれるかもな」
「な、なんすかその反応! 私の情報が間違ってるスか」
……いや、合ってるよ。 うん、凄すぎ。
市ノ瀬さんは、俺の背後で笑っていたが。 てか、市ノ瀬さんにバレてるんだった。
「市ノ瀬選手は、聞いたことないっスか?」
「……残念ながら、聞いたことはないですね」
俺は、ほっと胸を下ろした。
市ノ瀬莉佳さん。 ありがとうごぜいやす。
「私、練習に行きますね」
「おう、気をつけてな」
「はい!」
市ノ瀬さんは飛翔を開始した。
その後、各自練習が終了して、解散となった。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
俺は飛燕四型のグラシュを履き、浜辺に立っていた。窓果と練習する為だ。
もう夕方になる為、練習してる選手の姿は見当たらない。
「翔やん、お待たせ。 それとコーチお疲れ様」
「おう、窓果もマネージャーの仕事お疲れだ」
窓果に、「はい」を渡されたインカムを右耳につける。
俺はグラシュの展開部分から、翼を展開させる。
「じゃあ、やるか!」
「OK。 今から約一時間はできるね」
「そだな。――んじゃ、Fly!」
柔軟してから、俺は空に飛翔した。
フィールドフライで体を慣らしてから、スタートラインで止まる。
『まずは、加速してからローヨーヨーかな』
「おう、了解」
俺はスタートラインから飛び出し、斜め下に飛んでから、上昇しながら加速する。
俺のスタイルは、スピーダー寄りのオールラウンダーだ。
自慢じゃないが、加速には自信がある。
『セカンドブイにタッチしたら、足一点に、全ての力を込めたエアキックターン。』
「え、あれ、もうやるのか?」
この技は、今の所FC選手では俺しか出来ないらしい。
力を込めたエアキックターンは上位選手なら普通に出来るが、全ての力を足一点に集約させたエアキックターンは、俺しか出来ないらしい。
いずれこの技も、俺だけの物じゃなくなると思うが。 蓮は8割がた完成させてるしな。
――新技を考えなければ。
『……だめかな。』
くそッ! こんな時に、可愛い声とか反則だろ。 笑ってても、顔が見られないからって。……このやろう。
「OK。 やろうか」
俺は全速し、セカンドブイをタッチしてから、数㎝すぎた所で急停止。 体を捻り丸めてから、体の柔軟さを最大限に利用し、足に溜め込んだ力を一気に蹴る。
爆発的に加速し、サードブイにタッチをする。
『翔やん、そこから思いっきり下降して!』
「う、海に激突しちゃうんですが……」
『えっと。 今日覚えた技の名前なんだけど、スイシーダ?っていう技。』
「な、なるほど、それを疑似的に作り出そうと」
スイシーダ。 それは相手を海に叩きつけ動きを強制的に止め、体力、精神力を削る技だ。 高等技術でもある。 グラシュの設定で、海面ギリギリで止まるんだけどな。
まあでも、体力が余り残ってない選手には、効果が絶大な技でもある。
『で、すぐに体勢を立て直して、膝を曲げて海を蹴って急上昇。』
「……ま、まじですか」
てか、出来るかな? それが問題だ。
俺は息を吐く。
「よっしゃ! やるか!」
『頑張って!』
俺は加速しながら急降下、体を海に叩きつけ、ドバァァァンンン!!と、もの凄い水飛沫が舞った。 俺はすぐに体勢を立て直し、膝を曲げて海を蹴る。 メンブレンが上昇加速に応じて、青い光の線を描きながらライン上に戻る。
『そこから、ハイヨーヨー。』
「おう! 了解!」
俺は斜め上に飛んで、斜め下に、綺麗な青を描きながら飛翔する。
『翔やん、そこからバク宙して加速できるかな。』
「うーん。 できるかもしれないけど、予備動作が大きいかも。 まあ、やってみるよ」
俺は止まった反動を利用し、バク宙をしてから加速し、フォースブイにタッチする。
とまあ、この練習を五セットした。 まあ、時々技の変更もしたが。
「……窓果のセコンド鬼やな。 てか、今後は、窓果にセコンドを任せようと思うが、どうかな? 窓果と飛ぶのは面白い」
俺の空想かもしれないが、この練習では、窓果と一緒に飛んでる感じだった。
うむ。 面白かったです。
『OKだよ。 今後も、私がセコンドするよ。』
「おう、頼んだ」
数分飛んでから、浜辺に着陸した。 てか、結構ジャージが濡れてしまった。
俺は息を吐く。
「久しぶりの練習は楽しかった。 一応、あれの練習もしないとな」
「あれ?」
窓果は首を傾げる。
「グラシュのバランサーカットだな。 試合で使えるレベルにしとかないと」
まあ、選手には暫く戻らないが。
出来るに越したことはない。
「難しいの?」
「かなり難いな」
「んー、わかった。 その練習にもつきあうね」
「おう、頼んだ。――そろそろ時間だから、戻るか」
「そだね。 行こっか」
俺と窓果は戻る支度をしてから、宿舎に戻った。
こうして、合宿一日目が終了した――。
次回は試合?かな。
うん、上手く書けるかな。メッチャ不安です……。
てか、窓果ちゃんのセコンド鬼やね(笑)
それに応える翔君、凄ッ!
ではでは、感想、評価、よろしくです!!