オレ達は医療班に回収されてアースラの病室に連れて行かれた。そこでオレはフェイトについて聞いていた。
「それで……フェイトの容態は?」
オレがエイミィに尋ねる。
「命に別状は無いよ。でもリンカーコアが少し削れているから魔法はしばらく使えないね」
――やっぱりなのはと同じ症状か……
思わず握っている拳に力が入る。
――オレは……無力だ……仲間も護る事も出来ずに……
オレはフェイトの病室に入る。そこにはなのはとアルフと西園寺がいた。
「あっ…悠牙…」
「…おう」
オレは掛ける言葉が見つからずただ黙ってフェイトの隣に座った。
するとなのはが「先に出てるね」と言ってアルフと一緒に病室を出て行った。
2人が出て行ったためフェイトの病室は更に静かになり、ますます話しづらくなった。
「悠…「ゴメン…」…えっ?」
オレは謝った。それしか選択肢は無いと思った。
「お前を……バックアップするつもりが、全くの逆効果だったな……」
「…そ、そんな事無いよ。実際悠牙は私を助けてくれたし……それにほら!怪我はしてないから!」
フェイトが自分の両腕を広げて見せる。
――やめてくれ……
「そ、それに、私もちゃんと周り見てなかったのも悪いし、悠牙はやっぱり悪く無いよ!」
――やめてくれ……
「それから悠牙も魔獣の相手大変だったろうしさ…やっぱり自分の身は自分で守れる様にしなきゃね!」
――やめてくれ…
「だから――……」
「やめてくれ!!!」
オレがいきなり大声を張り上げたのでフェイト達もビクッと肩を震わす。
「やめてくれよ……そんなに優しい言葉を掛けないでくれ……オレは……オレは……!!」
その時、オレの周りが一瞬にして暖かくなった。首に柔らかい何かが巻きつき、オレの顔が何かに包まれた。
フェイトがオレを抱きしめていた。きつくきつく、しばらく離してもらえなさそうなぐらい強く抱きしめていた。
「……悪く無いよ……悠牙は悪く無い……どんな事が起きても私を護ってくれる…どんな時も私を助けてくれる…だから悠牙は悪く無い…誰がなんと言おうと悠牙は悪くないんだよ……」
オレの頬に水滴が落ちる。
フェイトの涙が落ちる。
なぜ泣いているかは分からない。
だけど、一つ分かる事がある。
――オレは……二度とコイツを……フェイトを泣かせたくない……
オレはフェイトの体に手を回し、少し強く抱きしめた。
「……ありがと、フェイト……」
「……うん!」
オレはフェイトから離れると頭を軽く叩く。
「なんか吹っ切れた!サンキュなフェイト。今度は絶対護ってやる。それくらいの力を手に入れてやるから!」
「分かった……待ってるよ…」
「……おう!」
オレは病室を出てからルナに尋ねる。
「なぁルナ」
【なんでしょう?】
「
【もちろんです。練習をすれば、の話ですが】
なら決まりだな。
「今日1日で虚閃を会得する!異論は認めねえ!!行くぞ!」
【どこまでも、
絶対護ってみせる。二度とアイツの涙なんか見たくねえんだ!!
〜数日後〜
「虚閃!!」
仮面を着けているオレの人差し指から青白い霊圧の砲撃が的を撃ち抜いていく。
「まだだ!!卍解!!」
赤黒い霊圧がオレを包み込み、卍解装束になって出て来る。
「
天鎖斬月の切っ先から赤黒い霊圧の砲撃が放たれ、的が掛かっている木ごと撃ち抜く。
【命中率 95%】
「ふぅー…なんとか様になってきたな」
オレは虚化と卍解を解き、地面に座り込む。予定通り1日で虚閃を覚え、数日で虚閃の命中率上げる事と黒虚閃の完成と命中率を上げる事に成功した。
【私も驚きです。悠牙の成長スピードは並大抵の人のそれより遥かに上です】
「……これで少しは強くなれたか?」
【はい、おそらくは。戦闘での応用が効くでしょうし、虚化の保持時間も大幅に上昇。それに何しろ技のレパートリーは多くて悪い事はありませんよ♪】
――そりゃあごもっとも。後は鬼道か……鬼道に関してはゆっくり覚えてくか。
その時オレのケータイに着信が入った。
「? フェイトからだ。もしもし?」
『あ!繋がった!よかったぁ〜なかなか繋がらなくて心配してんだよ』
「あ、ゴメン。ちょっと繋がり難い場所にいるからさ」
繋がり難い場所とは森林、山の中であるからだ。
というかどんな用事だったんだ?
「ところで要件は?」
『それなんだけど、八神はやてって友達のお見舞いに今まで何回か行ってたんだけど、一緒に来ない?』
「はやて?どうかしたのか、アイツ?」
確かに車椅子だったが、原因はもっと別か?
『なんか体の調子が悪いみたい………悠牙、はやての事知ってたんだね』
「あー…前に図書館で一度会ったぐらいな」
『へえ……そうなんだ……』
――あれ、なんかスピーカーの向こうから『ゴゴゴゴゴ……』っていう音が聞こえるんだけど……それに『カシャン』っていう音も聞こえるんだけど……気のせい…だよね?
なんか怖くなったオレは話を(無理矢理)逸らした
「はやてのお見舞い、オレも今から行く」
『分かった。それじゃなのはの家で○時に待ち合わせね』
「分かった。またな」
そう言うと電話を切った。
――さて、この状態で行ったら迷惑だな。
服は練習による土埃で泥だらけや汗でドロドロになっていた。
――一回家に帰ってから出直した方がいいな。
「帰るかルナ」
【はい悠牙 Set up】
バリアジャケットを展開してオレは家に帰った。
〜数時間後〜
オレは家に帰った後とりあえず体を洗い、服も着替えた。
待ち合わせの時間までまだ余裕があったため、郵便ポストに入っていた学校の宿題をやっていた。そしてお見舞い&差し入れという事で水筒にオレの作った紅茶を入れて持って行く事にした。
「そろそろか……」
【はい。行きましょう悠牙】
オレは家を出て鍵を閉める。
だがオレは知らなかった……
今日がオレの12年の人生の中で最も最悪な1日だという事を……
〜なのは宅 翠屋〜
翠屋に入るとそこにはいつもの面子が揃っていた。
オレはフェイトの傍に行き座った。
「悪ィ遅れた」
「ううん、大丈夫」
そう言うとフェイトは微笑んだ。
――よかった……元気になったのか……
そんな事を思っているとバニングスが席を立った。
「さ、行きましょ」
『うん!(おう)』
〜病院 廊下→はやての病室前〜
病院の廊下を歩き女性陣ははやての病室まで小さな声で話していた。だがオレはそれどころではない。
――この霊圧……やっぱりはやての所の奴らだったか……
奴ら――シグナム、犬耳、赤服、シャマルははやての関係者だった。
はやてとの繋がりに確信はなかったが、一緒にいたシャマルとシグナムの霊子がほぼ同じだった事から徐々に確信に近づいていった。
考え事をしていると西園寺が念話を繋いできた。
《どうかした?》
《いや、実は………》
《〜シグナム達とはやての関係を説明中〜》
《えっ!そうなの?》
《あァ、ほぼ間違いない》
少し間を置いて西園寺が尋ねてきた。
《それ、なのはちゃんとフェイトちゃんには?》
《…言ってない》
《なんで!?》
《言える訳ねえだろ!!バニングスと月村がいるのに………》
《そっか……》
そこで念話は途切れた。
少しして、はやての病室の前に到着した。
バニングスがドアをノックして開ける。
「おじゃましま〜す」
「あ!いらっしゃーいアリサちゃん、すずかちゃん!」
先にバニングスと月村が先に入り、続いてなのはとフェイトが入る。
「おじゃましま――あっ……」
「あっ………」
シグナム達となのは、フェイトの目が合う。
――やべえ……!
オレはなんとかその場を取り繕うと2人の前に飛び出る。
「よ、よう!久しぶりはやて!覚えてるか?」
「あ!悠牙君やないの!久しぶりやなぁ〜」
――よし、はやてには挨拶を済ませた……後は……
「シャ、シャマル、ちょっといいか?他の奴らの紹介がてら………」
「……! いいわよ、分かったわ…」
そう言うと部屋の片隅に寄る。
自己紹介をしてるように見せかけて話をする。
「……すまない、助かった黒木」
「いや、こちらこそ。話合わせてくれて助かった」
なんとかこの場は乗り切った……
それにしてもなのはもフェイトも大した対応力だ。すぐに冷静になって話に合わせてくれた。
するとシャマルがオレに話しかけてきた。
「悠牙君、今夜全て話すわ……」
その夜病院の屋上にはシグナム、シャマル、犬耳、赤服。そしてオレ、なのは、フェイト、西園寺がそれぞれバリアジャケットを展開して向かい合っている。
そして、シグナム達がなぜ魔力を蒐集しているのか、その真実が明かされる。
「はやてちゃんが……闇の書の…主……」
「悲願はあと少しで叶う…」
「もし邪魔をするなら…はやてちゃんの友達でも…」
「待って!ダメなの!闇の書が完成したらはやてちゃんが!」
「はぁぁ!!!」
ガンッ!
なのはに届く前に斬月で止める。
「うるせえよ」
オレはそのまま斬月を振り抜き無理矢理引き下がらせた。
「あとちょっとで助けられるんだ…だから……邪魔すんなぁぁぁぁ!!!!!」
赤い服の奴は泣きながらオレ達に訴えかけながら手に持ってるハンマーで殴りかかってくる。
「!! なのは!」
オレは咄嗟になのはを庇う。
ドゴォォォォン!!!
「なのは!悠牙!」
「はぁ…はぁ…これで……「手応え、在ったか?」……!!」
オレはなのはを抱えてフェンスの上に立っていた。
当たる直前になのはを抱き抱えたまま瞬歩をした。そのおかげで攻撃も当たらずに済んだ。
オレはなのはをフェイトの近くに下ろした。
「今度はこっちの………!?」
「「悠牙(君)!!」」
オレの体に縄状の魔力が巻きついた。
――この感じ………奴らか!!
オレは上を見上げるとそこには仮面を着けた野郎がいた。
「……てめえ……」
すると仮面の野郎はシャマルの所に行くと彼女の胸の所に手をかざした。
「闇の書の礎となれ」
「う…わあぁぁぁぁ!!!!」
シャマルは悲痛な叫び声をあげると光となり消え去った。