なんとかA’s篇を(無理矢理な気もしますが)終わらせました
それではどうぞ
「……あれ?ここは……?」
目が覚めると自分の部屋のベッドで寝ていた。
【お目覚めですか悠牙】
「あァそうだな……どれくらい寝てた?」
【ざっと1日です】
「それ、『ざっと』っていらなくね?」
オレは伸びをしてベッドから降りる。
「もうちょい寝ててもバチは当たらなかったかな」
少しおどけてみせるといつもはツッコミを入れてくるルナが黙り込んだ。
「……どうした?」
ルナに尋ねると重い口を開く様に話し始めた。
【……実は、夜天の書であるリィンフォースの破壊が、決定したんです……】
「っ!!?なんだと!?……なんで早く起こしてくんねーんだよ!!」
オレは板になったルナをひっつかみ外へ出た。
丘の入り口に近づくと車椅子の奴――八神はやてが急いでいた。
「はやて!!」
「悠牙君!急がへんとリィンフォースが!」
「分かってる!!車椅子じゃ間に合わない……抱えるぞ!!」
オレはルナをセットアップしてはやてを抱える。すると西園寺がそこを通りかかる。
「あれ?何やってんの黒木君?」
「西園寺!丁度いい!お前もバリアジャケット展開して車椅子持って来てくれ!!」
「えっ!?なんで?」
「話は後だ!!今は頼む!!」
そう言い残してオレははやてを抱いて空を駆ける。
丘の上――頂上に行くとデバイスを構えているなのはとフェイトの姿、そしてリィンフォースの姿がそこにはあった。
「リィンフォース!皆!」
「…っ……きっちぃ……」
「や……やっと追いついた……」
西園寺は車椅子を置く。そしてオレははやてをそこに座らせてなのは達の所に向かう。
「はやてちゃん…」
「はやて!」
「動かないで!儀式が終わってしまう…」
「夜天の書なら私が抑える!だからやめて!」
はやてが訴えかける様に叫ぶ。すると銀髪がはやてに近づいて優しく語りかける。
「良いのですよ…主はやて」
「良くない!全然良くない!」
「私は随分と長い時を生きてきて…あなたからこの名前を貰いました…ですから私は笑って逝けるのです」
「ダメや…逝ったらあかん!リィンフォース!」
「大丈夫です……私は……短い間でしたが幸せでした……」
「リィン…フォース…」
するとリィンフォースはオレに近づき、こう語り掛けた。
「ありがとうございます、黒木悠牙……アナタのおかげで主はやてと和解ができ、ほんの少しだけ、仲間という物を感じさせてもらいました………本当にありがとう」
頭を深く下げてお辞儀をするリィンフォース。
はやては目に涙を浮かべてリィンフォースを見つめている。
コイツにはコイツなりの覚悟があって言っている…………けど……けど……
「………こんな……」
「?」
「こんな……こんな終わり方ってありかよ!!!!」
泣かなかった。
泣けなかった。
何もできない自分の無力さに苛立ちを覚えた。
はやてを悲しませてしまった自分に腹が立った。
するとリィンフォースはオレに微笑みかけ、こう言った。
「いいんです……これが私にとっての……“ハッピーエンド”なんです……」
「………くっ!……」
オレは思わず目を背ける。
リィンフォースは再びはやての所に行き話し始めた。
「主はやて…お願いがあります…」
「グスッ……なんや……?」
「私が消えて小さな欠片になります……その欠片ではなくいずれ手にするであろう魔導書に私の名前を与えてくれませんか……」
「リィンフォース……」
「祝福の風……リィンフォースは……常にあなたと共にあります………」
「グスッ……わかった…約束や…」
しっかりとした返事ではやてはリィンフォースを見る。
「ありがとうございます…我が主……」
リィンフォースははやてにそう言ってなのはとフェイトの所に向かいながら呟いた。
「主はやて、守護騎士達、小さな勇者達、そして死神代行達……ありがとう……そして…さようなら……」
そう言い残すとリィンフォースは俺達の前から消えた。
その後はやての近くに黄色い十字架の形をした物が空から落ちてきた。
「それがアイツの……リィンフォースの残された欠片か……」
オレはボソッと呟いた。
「そうや…リィンフォースの欠片や……」
そう言ってはやては泣き崩れる。その周りになのは達が駆け寄る。
「はやて!」
「はやてちゃん!」
するとシグナムははやてに静かに語り掛ける。
「お体が冷えます、我が家に帰りましょう……」
「……そうやね…シグナム…」
「悠牙君も帰ろ……」
「悪りィ……暴走体だ……」
「そうなの?……分かった。先、帰ってるね」
「……すまない」
ザッ……
オレはどこかの家の屋根の上に立っている。
【何故嘘をつく必要があるんですか?】
「……1人……いや2人だけになりたかったからな……」
そう言ってオレは振り向く。
「西園寺………」
そこにはオレと同じ黒い着物を着ている女性がいた。
「あれ?バレてた?」
ペロッと舌を出しておどける西園寺。
「バレバレだよ。目が赤くなってる。それに必死に泣くのを堪えてる顔だったし」
すると西園寺は下を俯いた。
トン……
そしてオレの所に瞬歩で近づき、オレの死覇装に顔を埋めた。
「お、おい、西園「……借りていい…?」……あァ…いいよ……」
しばらく無言になっていた西園寺。するといきなり話し始めた。
「私……ああいうの……苦手なんだ……なんていうか……心がキュッと締め付けられる感じ……」
「……………」
オレは何も言わずにただ黙っていた。西園寺が続ける。
「私悔しい!なんではやてちゃんが悲しまなくちゃいけないの!?なんで家族になったのに離れ離れにならなくちゃいけないの!?分かんないよ!!教えてよ!!!」
死覇装をギュッと握り締めてオレに訴え続ける西園寺。生暖かい滴がオレの胸に落ちる。
「だったら……そうならない様に強くなればいい……もう誰も悲しまない様に、誰も傷つかない様に……」
オレは西園寺の頭をクシャクシャと撫でた。
「…強くなるしかないんだ……オレも…お前も……」
「……うん…そうだね………ありがと、スッキリした……」
「そうか、良かった」
リィンフォースが消滅し、その後『闇の書事件』と呼ばれる事件は事実上幕を閉じた。この一件により銀髪のアイツに受けた傷は二度とは消える事は無い。しかし、その傷を永遠に癒やす薬もまた同様に銀髪のアイツから貰ったと思う。少なくとも……オレは……そう思う……
追記だがなのはは魔法を世の中のためになるよう管理局に入局する事となった。
フェイトは元々管理局で執務官をしていたため、もっと精進して働いていきたいと言っていた。
はやてと守護騎士達も管理局に入局すると言っていた。今までの罪滅ぼし、そしてこれから先も家族と楽しい日々をおくりたいとも言っていた。
……ん?オレ?
オレは管理局には入る気はさらさらない。それに、オレにはあの街を護る義務がある。だからここを離れる訳にはいかない………とはただの言い訳で、本当は逃げたかったのかもしれない……
ま、そんなこんなでオレは中学、高校を死神業と平行に生活していた。
そして、22歳になり、大学に進学せずに隣のなのはの実家である翠屋で働いているオレに人生を揺るがしかねない2回目の事件に巻き込まれる…………
A's篇完結
CONTINUED on “StrikerS”