魔法少女リリカルなのは 月夜の死神 【凍結中】   作:雨蓮

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第1章
Sail in the same boat (一蓮托生)


ピピピッ…ピピピッ…ピピピッ

 

 

【悠牙、起きる時間です】

 

「ん……あァ、分かったよ…」

 

 

デバイスのルナがアラームモードでオレを起こす。ついでにルナは女性である。

 

オレが転生してからまるまる12年が経った。

赤ん坊から始まり、幼稚園に入園、卒園して小学校に入学。そして今は1人で生活をしている。

どうやらオレの設定というのは産まれた時に母が死に、父が病に倒れたという設定らしい。結果オレには家族が1人もおらず、1人で生活している形だ。

 

ま、困りはしないからいいんだが。

 

 

【悠牙、今日はお隣の高町さんが遊びに来るのでは?】

 

「あ…そうだっけ?」

 

 

何故だか分からないがオレの住んでいる場所はある喫茶店の隣だ。そこのマスターの高町士郎さんには可愛がってもらっている。

たまに学校の後輩、高町なのはとフェイト・テスタロッサってのが遊びに来る。それも1ヶ月に4回。……って事は一週間に1回か。

 

そんな事を考えていると、インターホンが鳴った。

 

 

\ピンポーン!/

 

 

「えっ!?もう!?」

 

 

時計を見ると、短針は9時を指していた。

オレは自室に戻り、慌てて服を着替えた。

 

 

「やっべー!寝坊した!」

 

【(今頃気づいたんですか…)】

 

寝間着をベッドに脱ぎ捨ててタンスから服を取り出す。

 

ピンポーンピンポーン…!

 

着替えている間もインターホンは鳴り続けた。

とりあえず適当に服を着て、玄関に向かいドアのカギを開ける。

 

 

「はいは~い!今開けま~す」

 

 

ドアを開けるとそこには栗色の髪をした少女――なのはが目の前に立っていた。

 

 

「こんにちは!悠牙君!」

 

「おう。後ろのフェイトもな」

 

一瞬ビクッと肩が震えたかと思うと、なのはの後ろから恐る恐る出てきたのは、金髪の少女――フェイトだった。

 

 

「こ、こんにちは…悠牙…」

 

「おう。とりあえず立ち話もなんだから中に入りな」

 

「「はい!!」」

 

 

 

 

~悠牙の部屋~

 

「悠牙君、コレ」

 

「コレって…なのはの所のケーキか?」

 

「うん!そうだよ!」

 

 

なのはから貰った細長い箱を開けると、中にはショートケーキがいくつか入っていた。

 

オレは開けた箱を閉じてなのはに感謝を述べた。

 

 

「ありがとな、なのは」

 

「ううん、気にしなくていいの!」

 

「それじゃ、みんなで早速食べるか!」

 

「「うん!!」」

 

 

オレは一旦ケーキを冷蔵庫に入れて皿や飲み物を用意する事にした。

 

 

「2人とも何飲む?」

 

オレは台所に立って部屋にいるなのは達に尋ねた。

 

 

「悠牙君特製の紅茶!」

 

「はぁ!?また飲むのかよ!…フェイトもそれでいいか?」

 

「え!?あっ、う、うん…」

 

 

フェイトの方は何があるのかが分からないから仕方ないか。さっさと作って行くか。

 

特製紅茶というのは、茶葉やお湯の湯加減などに細かく気を配った紅茶である。

何故かは知らないが、入れるタイミングが良く、風味がいいらしい。そのためよく士郎さんに呼ばれて隣の喫茶店で作らされる。

 

紅茶を3人分作るのはそう時間のいる物じゃない訳で、数分で出来てしまった。

紅茶をカップに入れてケーキを皿に乗せた物をおぼんに乗せて2人の所に持って行った。

 

 

「はい、おまちど~」

 

 

なのはから順番に紅茶とケーキを渡した。

 

 

「わぁ~!ありがと悠牙君!」

 

「……あ、ありがとうございます…」

 

 

2人はまず初めに紅茶から飲んだ。

オレは2人の反応をジッと見つめる。

 

 

「どうだ?」

 

「うん!いつも通りの悠牙君の味だよ!」

 

 

なのはが笑顔でそう言った。

 

 

「そうか、よかった~。それでフェイトはどうだ?」

 

「ふぇ!!?わわわわわ私!!?」

 

「そ。おいしかった?」

 

 

オレが尋ねると下を少し見てどこか懐かしそうな目で言った。

 

「なんか……あったかかった………優しく包まれているような…」

 

 

オレは思わず吹き出してしまった。

 

 

「………ぷっ!」

 

「え、えぇ!!?なんで笑うの!!?」

 

「いやぁ悪い悪い。今までそんな事言った奴はお前が初めてだからさ。」

 

 

そう言うとフェイトは顔を真っ赤にして俯いた。自分がズレた発言をした事について恥ずかしがっているのだろう。

 

オレはフェイトの頭に手を乗せて言った。

 

 

「でもまぁ、ありがとな。そういう風に思ってくれて」

 

「う、うん…」

 

 

その時オレは微かに違和感を感じた。

まだ顔赤いし…頭も熱くてフラフラしてたけど熱でもあんのか?とりあえず聞いてみよう。

 

 

 

「フェイト、熱あるのか?」

 

「えっ!……な、なんでそう思うの?」

 

「いや…顔真っ赤だし、熱いし」

 

「そそそそそんな事無い…よ…」

 

 

そう言った途端フェイトはその場に倒れた。

 

 

「フェイト!!」

 

「フェイトちゃん!!」

 

 

オレはフェイトの額に手を当ててみる。そして慌てて引っ込めた。

 

――あっちぃ!!コイツこんな状態なのに無理してたのか!そういえばよくよく考えると反応が鈍かった理由も辻褄が合う…

 

 

 

オレはなのはに強い口調で言った。

 

 

「なのは!士郎さんに頼んで医者呼んでもらって来い!医者!!」

 

「う、うん!!」

 

 

なのははオレの家から出て、自分の家に向かった。

 

 

フェイトの熱を計るため体温計を使った。

しばらくして体温を計り終えた音を聞いてそれを見る。

 

 

40℃

 

 

よ、40℃!?

こりゃ本格的にヤバいな…オレがフェイトにしてやれる事は……

オレはフェイトをベッドに寝かせ、布団を被せたり、冷たいタオルで冷やしたりした。

 

 

 

「悠…牙…」

 

「ん?どうした?」

 

 

フェイトが布団から手を出して言った。

 

 

「手…握って…くれる…?」

 

 

えっ……?手、握るの?

 

言われるがままにオレはフェイトの手を握る。

するとホッとしたのか、フェイトは深い眠りに堕ちた。

 

 

――フェイトって意外と積極的なんだな…

 

オレの頭にそんな事が浮かんだが慌てて振り払った。

何考えてんだオレ?

 

 

それから数分もしない内になのはが医者を連れて戻ってきた。しばらく安静にしていたらすぐに治るらしく、今日はそのままフェイトを置いて帰るそうだ。オレは帰ろうとするなのはを止めた。

 

 

「ちょっと待て。何故フェイトをオレの家に置いておく必要がある?」

 

「だって、ねぇ~?」

 

「『ねぇ~?』じゃ分かんねーよ!!自分の家で看病してやりゃあいいじゃねーかよ!!」

 

「女の子はこういう体験した方がいいんだよ悠牙君♪」

 

「知るか!!」

 

オレの説得(?)も虚しく、結果1日だけフェイトを預かる事になった。コイツの親にはもう連絡が行っているらしいが……

 

 

 

そして数時間後……

 

 

今までぐっすり寝ていたフェイトが布団から出てきた。

オレはその隣でずっと本を読んでいた。

 

 

「…ぅ…うん……あれ?ここは?」

「お?気づいたか?」

 

「え?……悠牙…?」

 

「そ。正真正銘黒木悠牙だけど?」

 

 

そう言うとフェイトが周りを見渡した後、みるみるうちに顔がまた紅潮していった。

 

 

「お、おい、大丈夫か?」

 

「だだだ大丈夫!!大丈夫だから!!」

 

 

フェイトはブンブンという音が鳴るほど首を振った。

本人が大丈夫って言ってんなら大丈夫か。

 

 

「ならいいんだけど。でもあんま無茶すんなよ?熱あんのに無理無理ウチに来やがって」

 

「ご、ゴメン…私も気づかなくて…」

 

 

熱があるのを知らなかったってどうよ?

色々ツッコミをいれようとした時、ルナが念話を繋いできた。

 

【悠牙、暴走体です!】

 

「《分かった。行こう》とりあえず今日は休めよ!!」

 

「え!?あ、ちょっと!!」

 

 

オレはフェイトに言い残してその場を後にした。

 

 

~ビル屋上~

 

今オレは街中のとあるビルの屋上にいる。そして目の前には人の形した化け物が複数いた。

 

 

 

「よし、じゃあ暴走体狩り始めるか」

 

【了解】

 

 

 

そう言うとルナはバリアジャケットを展開してくれた。

もちろんそれは黒い着物――死覇装を着て、背中には巨大な出刃包丁の形をした刀――斬月を背負っている。

今までと少し違うのは、展開した後の姿が少し成長した後の姿だった事だ。ルナ曰わく、【そっちの方が戦いやすいですから♪】だそうだ。

 

 

「練習的な物はやってたけど、実戦は初めてだな」

 

【無茶しないでくださいね?】

 

「わーってるよ!」

 

 

オレは瞬歩を使い、化け物の懐に入り込む。

 

 

「はっ!!」

 

 

斬月を下から上に斬り上げて1匹目を倒した。

すると後ろから暴走体の腕がオレ目掛けて飛んできたのをギリギリの所を斬月で止める。

だが暴走体の方が力が強く吹き飛ばされた。

 

 

「ぐっ!!……んにゃろぉ…」

 

 

また瞬歩を使い上空に霊子を構築した床に立った。

 

 

「一気に片付ける!!ルナ!霊圧調整頼んだ!」

 

【はい!!】

 

 

オレは霊圧を徐々に上げて目に見える程放出した。

そしてそれを斬月の刃に圧縮して放つ。

暴走体も何か感じ取ったのだろう、攻撃を仕掛けてきた。だがそれを斬月で受け止めてそのまま攻撃をする。

 

 

「――月牙…天衝!!!」

 

 

青白い霊圧の斬撃が残りの暴走体を真っ二つに切り裂いた。

そして後に残ったのは掌サイズの宝石だったが、ヒビが入って粉々に破裂した。

 

 

「よーし、今日はこんなもんか!」

 

 

斬月を仕舞って帰ろうとした時、ルナが警告音を鳴らした。

 

 

【大変です悠牙!!9時の方向数km離れた所に暴走体の反応を感知!!】

 

「はあ!!?なんでそんなとこにいんだよ!!」

 

【分かりません…ですが戦闘中の人がいます】

 

「なっ!?…それを早く言えよ…!」

 

 

オレは瞬歩をして現場に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

なのはside

 

 

フェイトちゃんを悠牙君に任せて帰ろうとしたらレイジングハートがいきなり話しかけてきたの!

 

【魔力反応です!】

 

「え!?ウソ!どこに?」

 

【ここから数m離れた所です。行きましょう】

 

「うん!」

 

 

私は急いで向かったの。そしたら私達より大きな巨人が3体いて建物を壊そうとしていたの。

 

「レイジングハート、セーットアーップ!!!」

 

 

レイジングハートをセットアップした私は巨人を倒すために空を飛んだ。

 

 

「なんなのあれ?!」

 

【おそらくあれらはロストロギアの暴走体でしょう。最近この地域一帯で出現率が高いそうです】

 

「とにかく倒さなきゃ!!」

 

 

私は巨人……じゃなかった。暴走体に魔力弾を撃った。

だけど相手の体には傷一つ付いていなかった。

 

 

「えぇ!!?ウソでしょ!?」

 

【危ないマスター!!】

 

「えっ……?ぐっ!!」

 

 

いつの間にか背後にいた暴走体に蹴られて、私はビル屋上に落とされてしまった。

 

 

「いったー…!? しまった!!」

 

私の頭上には暴走体が集まって攻撃して来る体制になっていた。

 

 

【マスター!!】

 

 

レイジングハートが私に叫んだけど、思うように体が動かない……

 

――私…このまま死んじゃうの……?やだよ……まだ気持ち…伝えてない……のに………

 

その時、目の前が真っ白になった。それは攻撃して来る何体か暴走体を切り裂いてくれた。その後、黒い和服が見えた。

霞む視界の中、はっきり見えたのはそれだけ。でもはっきりと聞こえた声が聞き覚えのあるあの人の声だった。

 

 

 

「あっぶねー 間に合った!!」

 

 

 

なのはside out

 

 

 

 

 

オレはなんとか間に合うために全力で走っていた。しばらくすると数匹の暴走体がビルの屋上で何かに攻撃をしようとしていた。

 

 

「いた!!あそこか!」

 

【間に合いません、悠牙!!】

 

「これなら間に合う!!月牙天衝!!!」

 

 

オレは斬月に自分の霊圧を乗せて放った。

今までより小さくしてスピードを上げた。威力はあまり大きくないが暴走体を1体ぐらいは倒せるはずだ。

 

案の定、なんとか間に合い暴走体を運良く2体倒せた。

他の奴らが驚いてのけぞってる間に倒れている人との間に割り込んだ。

 

 

 

「あっぶねー 間に合った!!」

 

周りを見るとデカいのが2体とすばしっこそうなのが1体いた。

 

――このままじゃ後ろの奴を巻き込みかねないな……

 

オレは怪我人を移動させようとして後ろを向くと、そこには見覚えのある栗色の髪の少女、なのはが倒れていた。

 

 

「な、なのは!!?」

 

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