魔法少女リリカルなのは 月夜の死神 【凍結中】   作:雨蓮

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A once in a lifetime chance (一期一会)

~翌朝~

 

 

雲一つ無い青空の下、オレの瞼はとても重かった。

 

 

「ふぁ……ぁ~あ……嗚呼眠い」

 

【昨日から今朝まで高町さんから質問責めでしたもんね】

 

 

ルナがクスッと笑いながら言う。

昨日の一件でオレが魔導師である事を明かしてしまい、それによってなのはの部屋で質問責めに逢っていた。デバイスの名前から何故魔導師になったのかまで根掘り葉掘り聞かれた。流石に転生者とは言ってないが。

色々聞かれた結果、なのはは納得してくれた。だが既に東の空は明るくなっており、結局数時間しか眠れなかった。

 

 

「ったくよ、只でさえ睡眠時間がねぇって言うのに…なのはの奴……」

 

【まぁそう怒らずに悠牙。これで高町さんに隠し事をしないで済むじゃありませんか】

 

「……そりゃあ…そうだけどよ……」

 

また大きな欠伸をする。するとまたルナがフフッと笑い続けた。

 

 

【そんなに眠いのであれば今日の授業中は睡眠をとられては?】

 

「……そうすっか。授業は録音しといてくれ」

 

【了解】

 

 

 

オレは1人通学路を歩いていた。その時、オレは異常な霊圧を感じた。それと同時にルナが警報音を出す。

 

 

【悠牙!!】

 

「暴走体だ!行くぞ、セットアップ!!」

 

【Set Up】

 

 

オレは黒い着物のバリアジャケットを展開し、霊圧の発生源に向かう。

 

だがしばらくするといきなり霊圧が消えた。

 

 

「!? 霊圧が…消えた…?」

 

【おかしいですね……とりあえず向かってみましょう】

 

「言われなくても!!」

 

 

オレは更にスピードを上げた。

 

 

現場に到着すると、やはり暴走体はいなかった。

 

 

「やっぱりいないな…」

 

【ですが、確かに暴走体はいたようです】

 

 

現場に残っている残留霊圧を確かめると、確かに暴走体の物が残っていた。そして心当たりのない霊圧も残っていた。

 

 

「ここに誰かいたのか…?」

 

【おそらく。そして暴走体を倒したのもその人物かと】

 

「なのは…の物でもなさそうだし、オレの知り合いの物でもなさそうだ。つまりどこかの魔導師……!?」

 

 

ふとオレの頭の中にある違和感に気づいた。

 

――オイちょっと待て……そもそもなんで霊圧(・・)なんだ?普通魔導師なら魔力の痕跡が残るはず。なのになんで魔力(・・)が残ってない……?

 

 

【どうかされましたか?】

 

 

どうやら難しく考え込んでいたらしい。気になったルナが心配そうに尋ねる。

 

 

「い、いや何でもない。さ、学校に行こう」

 

 

オレはなんとかルナを誤魔化してその場を切り抜けた。

まだ証拠が少なすぎる。結論を出すのはそう急がなくてもいいだろう……

 

オレはバリアジャケットから学校の制服に戻り学校に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~小学校~

 

 

「ゆ~う~が~!!!」

 

「オーッス」

 

 

オレに突進してきた友人――優斗にラリアットを食らわせる。

 

「痛い!!今回のは痛すぎるぞ悠牙!!」

 

「うるせーよ。お前がいちいち面倒な事しなきゃそんな目には会わねーよ」

 

 

すると優斗の後ろからもう1人の友人の雅紀が出てきた。

 

 

「おはよ、悠牙」

 

「オッス雅紀。んじゃ行くか。オラ立て優斗!」

 

「ねぇ!!ちょっと酷くね!?オレの扱い酷くねーか!!」

 

「「いつもだろ」」

 

「酷いっ!!」

 

 

いつも通りにワイワイ騒ぎながらオレ達は教室に向かった。

 

 

 

 

 

~教室内~

 

 

オレ達はオレの机で駄弁っていた。昨晩のテレビや流行りの音楽など他愛もない話だった。

すると優斗が話題を変えた。

 

 

「そういえばよ、今日転校生来るらしいな」

 

「らしいね。どうやら女の子らしくてクラスの男共は興奮しっぱなしだよ」

 

 

雅紀は肩を竦めて言った。

 

――通りで男子がうるさい訳だ。

 

周りを見るとワイワイガヤガヤやっている男子ばかりが目につく。女子も新しい友達を迎える準備している。

 

たかが転校生でそんなに騒がなくても……

 

 

 

\キーンコーンカーンコーン/

 

教室のドアが開き担任が入ってきた。

 

「ほら~席座れ~ロングホームアローン始めるぞ~」

 

『ロングホームルームだろ!!』

 

担任のどうでもいいボケにツッコミを入れるオレ達。

 

 

「そうとも言うな。ハイ、今日は転校生を紹介しまーす。ほら入れ~」

 

 

そう言うとドアから入ってきたのは、赤い髪を後ろに纏めてお団子にしているオレより少し小さい女の子が入ってきた。プロポーション……って言うのか?それは小学生にしてはいい体つきをしてると思う。顔も優しそうな顔をしている。

教卓に立つと黒板に自分の名前を書いた。そして書き終わるとオレ達に向き直り自己紹介をした。

 

 

「西園寺由樹(さいおんじ ゆき)と言います。よろしくお願いします!」

 

 

そう言うとぺこりと頭を下げる。なかなかキャピキャピしてる子だな。

すると誰かが声を上げた。

 

 

「か……」

 

『カワイイィィィ!!!』

 

 

大音量が一気に耳元で聞こえたため思わず耳を塞ぐ。

 

 

「たかが美少女ぐらいでうるせぇよテメェら!!!さっさと黙らんかい!!!カワイイのは認めるけど!!」

 

 

先生、その発言は色々危ないけど。という言葉をグッと呑み込み黙っていた。

担任の一括によって騒ぎは静まった。そして気を取り直して続ける。オレは頬杖をつきながら見守る。

 

 

「はい、じゃあ西園寺君は黒木の隣の席な~」

 

「はい!」

 

 

そう言ってオレの隣に来る。

 

 

「よろしくね黒木君!」

 

 

俗に言う可愛い笑顔でオレに挨拶をする西園寺。こりゃあ他の男子が落とされる訳だ。

 

 

「ん?お…おう、よろし…」

 

 

と言いかけたその時、外で大きな霊圧を感じた。

 

 

【暴走体発見です悠牙!!】

 

 

念話で語りかけてくるルナ。

 

 

《分かってる》

 

 

オレは急いで席を立って廊下に出る。

 

「オイ黒木!!どこへ行く!!」

 

「トイレです!!」

 

 

そう叫んで走る。

 

 

「……思ってた通りね……」

 

 

オレにそんな呟きが聞こえるはずもなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「せいっ!!」

 

 

オレは斬月を振り抜き暴走体を切り裂く。

 

 

『グギャァァァ!!』

 

 

暴走体は叫びながら消えていき、後に残った宝石も砕け散った。

 

 

「よし…これでいいか」

 

 

学校に戻ろうとした時後ろから聞き覚えのある声がした。

 

 

「あれ?もう倒したの?」

 

「あァ、あれくらいならすぐに倒せる。ていうか……」

 

 

オレはなのはに詰め寄って続ける。

 

 

「お前は来なくていいんだよ!オレが全部倒すから、お前は勉強に専念しやがれ!」

 

「なっ!?悠牙君だって勉強しなきゃダメなの!!」

 

「オレはお前と違って、卒業したら中学行ってそこで勉強すっからいいんだよ。でもお前はど真ん中だろ?今の内にやっとけよ」

 

「そ、そんなのズルいの~!!」

 

腕をブンブン振り回してこっちに寄ってくるなのは。オレはなのはの頭を掴んでそれを止めた。

 

 

「それじゃ帰るぜ。お前も遅れないようにな」

 

「え?あ、ちょっと!!」

 

 

オレはなのはを置いて先に帰った。

 

 

 

 

 

 

 

~小学校 3時間目~

 

 

オレが帰って来た頃には既に2時間目の途中で、そこからの記憶はあまり無い。寝てたからだ。

はっきり言って眠すぎる。昨日から朝にかけての質問責めと、今朝の暴走体消失事件(命名オレ)と、授業が始まってからの出現による疲れによって授業など聞いていられる状態ではなかった。

オレが寝る代わりにルナに授業の内容を録音してもらい、あとで復習しようと思った。だが、隣の席に来た転校生の西園寺が1時間目と2時間目のノートを代わりにとっていてくれたらしい。

 

 

「コレ、書いておきました!」

 

「……オレのために?」

 

「はい!」

 

「そうか…ありがとう」

 

 

オレは差し出されたノートを受け取り2時間目を終えた。もちろん周りの連中から嫉妬の目で見られたのは言うまでもない。

 

 

 

~放課後~

 

 

「なぁ~悠牙~今日どっかで遊ぶ?」

 

「いや、わりぃな。今日はちょっと寄るとこがあるから」

 

 

オレは優斗の遊びの誘いを断り図書館に向かった。

前々から予約していた小説が届いたため借りに行こうと思っていた。

オレと優斗と雅紀は校門から出て別れた。すると後ろから何やら声が聞こえてきた。

 

「僕と付き合ってください」

 

「ごめんなさい」

 

「僕と付き合ってくれるかな?」

 

「良くないです」

 

「オレのここ空いてるよ」

 

「知りません」

 

 

 

転校して来た西園寺が年関係なく猛アプローチを受けていた。それに対して西園寺はいい笑顔で全て即効却下していた。

人が増えていくにつれて段々冷たい言い方で断っていく。それに比例して男達の姿は見るに耐えない物だった。

 

――ま、オレには関係ないからな。

 

そう言って先を急ごうとすると、全く有り得ない現象が起きた。

 

 

「あっ!黒木く~ん!」

 

『黒木!!?』

 

 

「………え?…オレ?」

 

 

なんと西園寺はオレの所に走ってきた。

すると西園寺は走って来る最中に何も無いとこで躓いた。

 

 

「あっ!!」

 

「!? オイ!!」

 

 

オレは急いで西園寺の所まで走って行き、転びそうになった彼女を受け止めた。

 

 

「……ったく大丈夫か?」

 

「え?あ、そのー…大丈夫です……」

 

 

 

真っ赤になりながら答える西園寺。何も無いとこで躓いたのが余程恥ずかしかったんだろうな。

オレは受け止めた彼女を立たせる。その後、後ろの男達から殺気の籠もった目で見られ、足早にここから立ち去りたかった。

 

 

「じゃ、じゃあまた明日な」

 

「あ、あの!どこ行くの?」

 

「ん?図書館だけど」

 

「そ、それじゃ私も……」

 

いやいやいや!!空気読も!!明日オレに死ねと言ってるのか?死刑宣告か!?

 

あからさまに嫌な顔でもしたのだろう、西園寺の目がウルウルっとし始めて上目遣いで言う。

 

「ダメ……かな……?」

 

 

この言葉でオレの後ろにいた奴等が数名鼻血を出して倒れた。もちろんこの発言と濡れた目での上目遣いが原因だが。

 

この場で断ったらそれこそ死刑宣告だ。という事は残った答えは一つしか無い。

 

 

「分かったよ……一緒に行こう」

 

 

そう言うと彼女の顔がパァッと明るくなり「はい!」と元気な返事が返ってきた。

 

という訳で一緒に行く事になった。

 

 

 

 

 

 

 

~図書館~

 

 

 

「それじゃコレ、貸し出しで」

「ハイ、承りました」

 

 

スタッフが図書館の本のバーコードを読み取る作業をして返却日を言ってくれる。

 

 

「返却日は○月□日です。ありがとうございました」

 

 

オレは本を受け取りカウンターをあとにした。

 

 

「終わったの?」

 

「あァ。貸し出し作業なんて時間かかんねーだろ。ところでお前は何か借りたのか?」

 

「うん。借りたよ」

 

 

そう言うと本を右手に持って見せてきた。

そして本をカバンに仕舞うと何か思い出した様に話し出した。

 

「そういえば、ホントはあの時何処言ってたの?」

 

「………え?」

 

 

唐突に話を振られて驚いた。あの時とは暴走体が出たのを感じて出て行った時だ。

 

 

「だ、だからトイレに「行かなかったよね?」……!?」

 

 

西園寺は続ける。

 

 

「私もあの後トイレに行ったんだ。でもあそこの男子トイレは使用禁止(・・・・)だったよ」

「なっ……!」

 

 

コイツ…そんな事まで調べたのか……?だがらあの時オレと一緒に行くって言ったのか……!

そうして西園寺は詰め寄って来る。

 

 

「ねぇ…どこ行ってたの?」

 

「…………」

 

 

逃げ道が無くなってしまいお手上げ状態。

なんとか誤魔化そうとしても周りにはなんにもない。途方に暮れていたがオレの目にふと、目に留まる物があった。

 

 

「う~……ん」

 

 

車椅子の女の子が本棚の上の方にある本を取ろうとしていた。だがあともう少しの所で取れなかった。

 

 

「わりぃ、その話は後で」

 

「あっ!!ちょっと!!」

 

 

オレは車椅子の女の子の所まで行って取ろうとしている本を取って彼女の膝の上に置いた。

 

 

「ふぇ……?」

 

 

不思議そうな顔をしてオレを見つめる。

 

 

「コレが取りたかったんだろ?」

 

 

そう言うと女の子はコクンと頷いて言った。

 

 

「おおきになぁ~…えっと…」

 

「あぁ名前ね。黒木悠牙だ」

 

「悠牙君か。よろしゅうな」

 

 

そう言うと右手を差し出してきた。オレはそれを握り返して握手をした。

 

 

「それで名前は?」

 

「ウチは八神はやてや!」

 

 

 

オレ達は自己紹介を終えた。

 

 

そんなオレにはまだ知るよしもなかった。

 

この子がどんな不運を抱え込んでいるのか。そしてこれから起こる戦い。ましてや西園寺の正体など分かるはずもなかった。

 

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