「ウチは八神はやてや!」
「よろしくな、はやて」
そんなこんなではやてという子に出会った訳だが、見たところなのはやフェイトと同い年ぐらい。車椅子の女の子が1人で図書館に来ているのは少しおかしい。という事はどこかに親がいるはずだけど……
「親……お母さんはどこにいるんだ?」
するとはやては一瞬悲しそうな顔をしたがすぐに笑顔になって言った。
「両親はいないんやけど、今はシャマルが一緒におるで!」
「シャマルって………!?」
その時、後ろからどこかで感じた事のある物に似ている霊圧を感じた。
反射的に後ろを振り向くとそこにはすらっとした綺麗な女性が立っていた。
「もう、勝手に何処でも行かないで下さいはやてちゃん!」
「あははは……ゴメンなシャマル」
その女性ははやてをたしなめるとオレ達2人(西園寺は後でついて来た)に一つお辞儀をした。オレ達もそれに釣られてお辞儀をする。
「はじめまして。八神シャマルと言います」
「ども。黒木悠牙です」
「西園寺由樹です」
どうもシャマルって人ははやての親戚にあたるらしく、親がいないはやてのために一緒に生活しているらしい。
この度は……から始まって謝罪の嵐だった。
別に迷惑をかけた訳じゃないから謝らなくてもいいんだが。
それより気になるのは、シャマルって人の霊圧だ。人には指紋と同じように同じ物が無い。それによって個人を特定する事が可能なのだが、シャマルと昨晩出会った女性の霊圧がほぼ一緒なのだ。姉妹とかなら話は別だが、目の色、髪、体格などから考えると姉妹とは考えづらい。様々な理由があったとしても可能性は0に等しい。
《ルナ、シャマルの霊子サンプルを取って昨日の奴と比べておいてくれ》
【? 分かりました。霊子トリミング開始します】
するとはやてがオレに話しかけてきた。
「なぁなぁ悠牙君、今日ウチに寄らへんか?」
「お前んち?」
「せや!!」
この感じだと『ウチ○る? 行く行く!!』てきなノリになりかねない。そもそも最近出会ったばっかの子の家に行くというのはあまり気が乗らない。
「わりぃけど今日は遠慮しとくよ。借りた本を読みたいしな」
「……そうなんか……」
はやてががっかりしてうなだれた。そんなはやての頭を撫でて言った。
「だからまた明日行く。明日ここ来るからその時誘ってくれ」
「……うん!!」
オレ達は図書館の出口で別れた。途中までは西園寺と一緒に帰っていたが、どうやら用事があるらしく「じゃあね!」と言って別れた。
とりあえず良かったのは騒がしい奴がいなくなって静かになったのは間違いない。
~悠牙の部屋~
【悠牙……】
「分かってる。暴走体だろ?」
【……はい】
「はぁ~しょうがねーな。しかしやけに今日は出現率たけーな」
オレはバリアジャケットを展開し、部屋の窓を開けて外へ出た。
しばらく移動して目標までの距離が近くなってくると、途端に霊圧が消えた。
――来た!!あの時よりも近いから正体が分かる!!
【悠牙!!】
「飛ばすぞ!!」
オレはスピードを上げて現場に急ぐ。
今まで出した事がないほどのスピードで向かった結果、どうやら間に合ったようだ。
目の前には暴走体を切り捨てている人間がいた。姿は黒いフードを被っているためよく分からないが、膨大な魔力――いや、
暴走体は叫び声を上げながら霧散していった。
『グオォオォォ……』
オレは霧散した暴走体の近くにいた人間に斬月を向けた。
「お前か、ここら一帯で暴走体を斬る捨ててるのは」
「…………」
「なんとか言ったらどうだ?」
相も変わらず黙っている人間はしばらく間を取ったと思いきや、刀を抜いてオレに斬りかかる。ギリギリ斬月で防いだが、並みの人間では対応できない速さだった。
「!?いきなり何しやがる!!」
「………」
相手は何も言わない。何も言わないまま、また斬りかかってきては、何度も何度も刀をぶつけてくる。
「チィッ!!」
オレは瞬歩で間合いを取って体制を立て直す。
そして足で霊子の地面を思い切り蹴って相手に斬りかかる。
キィン!キィン!という甲高い金属音が鳴り響く。
「オラッ!」
あまりにも決着がつかないため、オレは足を使い相手のバランスを崩してみた。
すると転びそうになったが瞬歩で逃げて転ばなかった。
だが逃げた反動でフードが落ちてローブ自体脱げる。
「!!?――お前それ……!」
オレが驚いた理由は三つある。
一つ目はローブの下に着ていたのがオレと同じ黒い着物、つまり死覇装だった事。二つ目は体型からして女性だという事。三つ目はその顔についていたのが白い骸骨の様な仮面――虚(ホロウ)の仮面を付けていたからだ。
相手は突然瞬歩をしてオレの頭上で聞き覚えのある言葉を呟く。
「啼け『紅姫』」
「!!」
そう言ったのと同時に紅色の斬撃が飛んできた。オレは反射的に月牙を放ちダメージを緩和させた。
相手も相当霊圧を籠めたらしい。月牙で相殺はしたものの、バリアジャケットの左腕の袂は破れて無くなってしまった。
「クッ!(今のは紅姫……何故アイツが使える……?……まさか……!!)」
彼女はまた紅姫の斬撃を放ってくる。それをオレはまた月牙で打ち消す。
――斬月と同じで遠距離が多い。って事は攻略法は……
「近距離のみ!!」
オレは月牙を放った瞬間に敵向かって走りだした。
月牙と紅姫がぶつかり爆煙があがっているため、その隙に意表をつく攻撃を仕掛ける。煙を抜けると彼女が見えた。どうやらまだ気づいてくれていないらしい。
――よっしゃ!!今だ!!
そう思って斬月を振り下ろす……
「――散れ『千本桜』」
……が、しかし敵に当たる事なく桜の花びらの形をした複数の刃によって受け止められた。
――なん…だと…?アイツ紅姫だけじゃなく千本桜まで使えるのか?!
冷や汗をかきながら千本桜による攻撃を避けていた。すると敵は千本桜を日本刀の形に戻して、刃を地面に向けて持った。その姿を見て一つの予測が頭をよぎる。
――お、オイ……まさか……?!!
ハズれるように祈ったが、予測は的中してしまった。
「卍解 千本桜景厳」
彼女の周りの足元から刀の列が発生して、それが桜の花弁となり散った。
――卍解も使えんのかよ!!
とりあえず間合いを今までよりも多く取る。
すると彼女は手掌で操りオレを攻撃してきた。
最初の攻撃はなんとか避けられた。が、二回目はそう簡単には避けさせてくれなかった。
上から桜の花弁の刃が滝の様に降ってきた。オレの体はボロボロに斬り刻まれ、バリアジャケットの上半身は既に無くなっており、体中から血が流れていた。
「……っ
肩で息をしている状態のオレ。霊圧はまだまだ沢山残っている……やるっきゃないっしょ!!
「ルナ、霊圧解放」
【了解】
ルナは霊圧のストッパーを5段階の内の2段階まで解放した。
オレは息を整え霊圧を徐々に上げていく。次第にルナが解放した霊圧に達する。すると一気に体から霊圧が噴き出した。
しばらくして霊圧の奔流が収まると、オレは右手の斬月を前に突き出し左手を添える。
「卍解!!!」
ズドォォォォン!!
解放した霊圧が外に溢れ出る。青白い霊圧が一瞬にして赤黒い霊圧となりバリアジャケットと斬月の姿が変わる。
「天鎖斬月」
彼女は卍解したのを見計らってオレに攻撃を仕掛けた。だがオレの卍解はスピードに長けているため、千本桜じゃ追いつけない。
右から左へと千の刃が襲ってくるが、軽々と避けきり空中に逃げる。だが彼女はそうなると見越していたらしく、オレの周りには四方八方、千本桜が待ち構えていた。
「はあっ!!」
彼女は手掌で攻撃をする。だがオレはそんなんで簡単にはやられない。
「ウォラァァァァ!!!」
天鎖斬月で千本桜の刃をすべて叩き落とした。
「う、ウソっ!!」
――チャンス!!
オレは一瞬だけ攻撃に気を取られていた所を狙い瞬間的に後ろを取る。
「そんじゃあそろそろその顔……拝ませて貰おうかい!」
斬月の刃を仮面につけてパキン…という音をたてて割った。
彼女は仮面が割れたのを確認した後、ゆっくりと振り向いてオレを見た。
「!!?――お前は!!」
そこにいたのは少し雰囲気が違うが、今朝オレ達の学校に転校してきた西園寺だった。
「西園寺!!」
「えへへ……バレちゃった」
苦笑いを含んだ顔で頭を掻く。よくよく考えれば頭の後ろにあるお団子の様に結んだ髪を見て気付けるはずだった。
オレは一度卍解を解いて話を聞く。
「どうして……お前が……」
「うーんとね、私がアナタの同類だから」
「……何?」
そう言うと西園寺は肩をすくめて続いた。
「だから、私はアナタと同じで神様から死神の能力を貰った転生者なんだよ」
「……は?――……はぁぁぁぁ!!?」
転生者?西園寺も?つまり、あの幼女(ロリータ)天使はオレだけじゃなく、コイツも転生させたのか?
だが確かに今までの能力について考えると辻褄が合う。紅姫や千本桜、更には卍解や虚化ができるという事は、やはりオレと同じ転生者を意味している。
西園寺が転生した
「お前はオレの仲間か?それとも敵か?」
「モチ仲間です!!」
返答速っ!!0コンマ1秒だぞ!
「仲間になるんだったらなんで攻撃してきた!!」
「ちょっと試したくなったから♪」
舌をピョコっと出して言う西園寺。あまりの自由奔放さにオレは頭がクラクラしてきた。
【はじめまして、悠牙のデバイスのルナと申します】
【オレは由樹のデバイスのアンリだ。よろしくたのむ】
デバイスはデバイス達で挨拶を交わしていた。
「兎に角、詳しい話はオレんちで――」
言いかけた時、周りの景色が変わった。いや、詳しく言うとオレ達を囲む空間が変わった・と言うべきだろう。
「なんだこれ?」
【魔導師の結界だと思われます】
「魔導師!?なんで魔導師が私達に用があるの?」
【さぁな、分からん。だが戦わねばならんのは確かだ】
オレ達は刀を構えて背中合わせになる。すると目の前に犬の耳を付けた大柄の男性と以前手合わせしたピンク髪の女性が立っていた。
「お前らは……」
大柄の男は拳を構えてオレを見据える。
「貴様の魔力、貰い受ける!!」
「やらねぇよ。つかオレの魔力じゃねぇし!!」
オレは斬月で斬りかかり、大男との戦闘に入る。
一方の西園寺達は………
「アナタは……誰?」
ピンクの綺麗な髪をした女の人が自分の武器である刀を高く構えて言った。
「私は守護騎士(ヴォルケンリッター)烈火の将 シグナムだ」
相手が名前を言ってくれたのにコッチが名乗らないのはダメだよね。
「私は西園寺由樹 死神代行よ」
調子に乗って言ってみたかったセリフを言った。
……やりすぎたかな?
「「ハァァァァ!!!」」
私とシグナムは同時に走り出し、互いの刀がぶつかり合った。
オレ達はそれぞれの相手と戦闘を開始した。