遊戯王ARC-V~緋色の英雄~   作:《陽炎》

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お久しぶりです。まさか1年半振りの更新が遊戯王になるとは私も驚いています。まさか息抜きとリハビリがてらに遊戯王の二次小説を書いていたらこんな事になるとは……後、今回はルールがOCGと異なります。詳しくは後書きの方をご覧ください。ルビの方は最初のみに降っていますので御了承ください。


プロローグ
恩師の試練!英雄VS古代の機械


デュエルモンスターズ。それはモンスター、魔法、罠カードを駆使して遊ぶ世界中で人気を集めるカードゲームだ。今や少年少女のみならず、大人達にも熱中する面々が多い。町内大会果てには世界大会が年中デュエルの熱気は冷める事を知らない。デュエルモンスターズで行う勝負をデュエルと呼び、それを行うデュエリストと呼ばれる。デュエリストの中にはプロデュエリストとして活動する者も少なからず存在する。最早デュエルモンスターズはカードゲームの枠に留まらず、世界規模のエンターテイメントと化している

 

「ではこれより、デュエルアカデミア高等部入学試験を始める!」

 

そして此処でもデュエルが行われている。此処はデュエルアカデミア。孤島1つが丸々学校という事も驚きながら、此処は名前の通り、デュエルモンスターズ乃学校というデュエリストにとっては夢のような学校である。そして今、此処デュエルアカデミアでは高等部への入学試験としてのデュエルが始まった。このデュエルに勝てるかどうかでアカデミアへの入学が決まる学生にとっては一世一代のデュエルである。デュエルモンスターズのルールは簡単に言ってしまえばライフポイント4000を0すれば勝利である。勿論ルールはそれ程簡単ではない。数千枚あるカードを組み合わせ思考を凝らして勝負するのがこのゲームの最大の醍醐味である。

 

「セニョール遊代!いくらキミとは言ーえデュエルで手を抜く訳にはいきませーん。このデュエル、全力で勝ちに行かせて貰うノーネ!」

 

「へへっ。そうこなくっちゃな!いくぜ、クロノスセンセー!」

 

「望む所ナノーネ!」

 

「「デュエル!」」

 

そして此処でも高等部への入学を賭けたデュエルが始まる。赤いアカデミアの制服を着て、その制服にも負けない緋色の髪の瞳をした少年の名前は緋紅 遊代(ひいろ ゆうだい)。現在はデュエルアカデミア中等部の3年に在籍している。遊代の様に中等部に在籍する生徒の場合は進学試験にもなっている。遊代の試験相手は遊代とは色とデザインが異なる青い制服を着た色白でカタコト言葉の中年男性。名をクロノス・デ・メディチ。デュエルアカデミア高等部の実技担当最高責任者であり現在は校長の職にも就いている。

 

「先行は貰うノーネ。私のターン、ドロー!私はフィールド魔法、歯車街(ギア・タウン)を発動!このフィールド魔法の効果で私が『アンティーク・ギア』モンスターをアドバンス召喚する時に必要なリリースが1体少なくなるノーネ」

 

クロノスはカードをドローし、元々手札にあったフィールド歯車街を発動した。ソリットビジョンにより歯車によって作られた街がフィールド全体に現れる。

 

「私は更にフィールド魔法、歯車街を発動するノーネ!これによーり1枚目の歯車街は破壊されるノーネ」

 

そしてクロノスは今ドローした既に発動しているフィールド魔法を再び発動する。これにより既に発動していた1枚目の歯車街は破壊された。しかしそれこそクロノスの狙いだ。

 

「歯車街が破壊され墓地へ送られた時、手札・デッキ・墓地かーら『アンティーク・ギア』モンスター1体を特殊召喚できるノーネ!私はデッキから古代の機械巨竜(アンティーク・ギア ガジェルドラゴン)を特殊召喚!」

 

上書きされ破壊された歯車街の効果により攻撃力300の機械仕掛けの巨大な竜が、デッキからクロノスのフィールドに現れた。そう、クロノスのデッキは暗黒の中世デッキとも呼ばれる『アンティーク・ギア』中心の機械族デッキである。

 

「オイオイ、まだ先行1ターン目だぜ。流石クロノスセンセー、最初から飛ばしてくるねー」

 

デュエルモンスターズでモンスターにはレベルがあり、一定以上のレベルを持つモンスターはモンスターをリリースしてアドバンス召喚するのが普通。レベル5以上で1体、レベル7以上ならば2体のリリースが必要なのだ。しかしクロノスは本来2体以上リリースが必要なレベル8の古代の古代巨竜をデッキから特殊召喚したのだ。モンスターを召喚するには召喚・反転召喚・特殊召喚・裏側守備表示でセットが基本のルールだ。遊代はデッキから高レベル且つ高い攻撃力を誇るモンスターを呼び出すクロノスのタクティクスに素直に感心する。

 

「私はカードを1枚伏せてターンエンド。さあ、セニョール遊代、キミのターンナノーネ」

 

先行は最初のターン攻撃できない。よってクロノスは魔法・罠(マジック・トラップ)ゾーンにカードを1枚伏せてターン終了を宣言。魔法カードには通常魔法、速攻魔法、永続魔法、そして先程クロノスが発動したフィールド魔法の合計4種類。この中でセットして相手ターンに発動できるのは速攻魔法のみ。罠カードは通常トラップ、永続トラップ、カウンタートラップの3種類。全てセットしたターンには発動できないが、セットして1ターン過ぎればどれも相手ターンでも発動できる。つまり魔法・罠ゾーンにカードをセットして相手にターンを渡すという事は文字通り罠を仕掛けている可能性が高い。そしてクロノスがターンを終えた事でターンは遊代へと移る。

 

「じゃあ行くぜっ!オレのターン、ドロー!」

 

しかし遊代はそんなカードが来ても屈しない。どんな状況だとしても自分のデュエルをして、大好きなデュエルを楽しむ。それが緋紅 遊代のポリシーだからだ。

 

「オレは手札から魔法カード、融合を発動!手札のE•HERO シャドー・ミストとE•HERO フォレストマンを融合!」

 

遊代が発動したのは今ドローした魔法カード融合。手札・フィールドのモンスター2体以上を素材に融合モンスターを融合召喚する特集召喚の方法の1つである。

 

「姿無き影の英雄と、偉大な自然が1つとなり、1人の英雄が今目覚める!大地を揺るがす偉大な力で、如何なる敵をも薙ぎ倒せ!融合召喚!現れろ、E•HERO ガイア!」

 

2体のヒーローが融合され、新たな英雄ガイアがフィールドその姿を現した。そう、遊代のデッキは『E•HERO(エレメンタル・ヒーロー)』モンスターを中心に構築されたヒーローデッキだ。

 

「あいつ融合召喚したけど出てきたモンスターの攻撃力2200じゃん」

 

「あれじゃあ攻撃力3000の相手モンスター倒せないぜ」

 

試験会場にいたの他校からの入学受験者2名が感想を述べる。確かに融合召喚されたガイアのレベルは6で攻撃力は2200。3枚のカードを使って出したモンスターにしては割が合わないと思うのは当然かもしれない。

 

「ガイアの効果発動!融合召喚に成功した時、相手フィールドのモンスター1体の攻撃力を半分にして、その分ガイアの攻撃力はターン終了時まで上がる!フォース・ドレイン!」

 

「おぉ!古代の機械巨竜の攻撃力が半分の1500になって、ガイアの攻撃力が3700になったぞ」

 

そう、ガイアは融合召喚された時に相手モンスターの攻撃力を半分奪う効果がある。これにはギャラリーも狙いはこれだったのかと納得する。

 

「そしてシャドー・ミストの効果発動!このカードが墓地へ送られた場合、デッキから『HERO』1体を手札に加える。オレはE•HERO ボルテックを手札に」

 

そして遊代は融合素材として墓地へ送られたシャドー・ミストの効果でデッキから『E•HERO』モンスター、ボルテックを手札に加える。

 

「そしてオレはボルテックを召喚して、魔法カード、ミラクル・フュージョンを発動!墓地のフォレストマンとフィールドのボルテックを除外して『E•HERO』を融合召喚する!」

 

「あいつ、また融合召喚を!?」

 

「しかも墓地のモンスターと!?」

 

今度はモンスターを除外、しかも墓地のモンスターを利用しての融合召喚。これにはギャラリーは再び驚く。

 

「偉大な自然の英雄と、激しき稲妻が1つとなり、1人の英雄が今目覚める!眩き輝き解き放ち、全ての敵を滅殺せよ!融合召喚!現れろ、EHERO The シャイニング!」

 

現れたのは輝きの名を持つに相応しい光の英雄、The シャイニング。攻撃力2600の光のヒーローの効果は既に適用されている。

 

「シャイニングの効果、このカードの攻撃力は除外されている『E•HERO』1体につき300アップする」

 

「除外されているのーはフォレストマンとボルテックの2体。つまりThe シャイニングの攻撃力は3200になるノーネ」

 

「マジかよ!?もしかしてあいつワンターンキルやっちゃうんじゃないか?」

 

即座にクロノスは上昇数値を割り出し、状況を整理する。自身のフィールドには攻撃力が1500となった古代の機械巨竜1体のみ。対する遊代のフィールドには攻撃力3700となったガイアに攻撃力3200のシャイニングの2体。ギャラリーの言うワンターンキルとは大まかに言えば相手ライフを1ターンで0にする事である。この状況では、遊代のモンスターの攻撃全てが通れば後攻1ターン目でクロノスに合計5400の戦闘ダメージが発生し、後攻ワンターンキルとなる。

 

「バトルだ!オレはガイアで古代の機械巨竜を攻撃!コンチネンタル・ハンマー!」

 

「そうは問屋が卸さないノーネ!カウンタートラップ、攻撃の無力化!ガイアの攻撃を無効にしてバトルフェイズは終了ナノーネ!」

 

しかし大陸をも揺るがすガイアの鉄槌はカウンタートラップ攻撃の無力化によって無効となってしまい、不発となる。それだけならまだしも攻撃の無力化はバトルフェイズを終了させる効果を持つ。これにより、残ったシャイニングも攻撃はできない。

 

「やっぱ簡単にはいかねーな。オレはこれでターンエンド。ターン終了時にガイアと古代の機械巨竜の攻撃力は元に戻る」

 

そう簡単には決まりはしない。クロノスの実力は知っている遊代だ、こうなるだろうという予想はできていた。しかしシャイニングはともかくガイアの攻撃力は元の2200に戻ってしまった。これでは次のターン破壊されてしまう。

 

「私のターン、ドロー!私は古代の機械巨竜をリリースして古代の機械巨人(アンティーク・ギア ゴーレム)をアドバンス召喚!」

 

「でたな!クロノスセンセーのエースモンスター!」

 

古代の機械巨竜をリリースしてアドバンス召喚されたのはクロノスのエースモンスター、古代の機械巨人。そのレベルと攻撃力はレベル8、攻撃力3000。歯車街の効果により1体のリリースであらわれた巨人は正に名の通りアンティークの様な雰囲気すら漂う。

 

「でも、何で同じ攻撃力の古代の機械巨人をアドバンス召喚したんだ?」

 

「確かに。同じ攻撃力なんだからそんな事しなくてもそのまま攻撃すればいいのに」

 

わざわざ召喚権を使ってまで同じ攻撃力のモンスターアドバンス召喚したのか疑問に思うギャラリーだが、その疑問はすぐにクロノスにより解かれた。

 

「私は手札から魔法カード死者蘇生を発動!私の墓地の古代の機械巨竜を特殊召喚するノーネ!」

 

「そうか!死者蘇生で復活させる為にあえて古代の機械巨竜をリリースしたのか!」

 

これを見てギャラリーも納得した。死者蘇生は墓地のモンスターを蘇生する名のしれた魔法カード。その強力さから制限としてデッキに1枚しか入れられないカード。一見無駄かと思えるアドバンス召喚だが、このカードを持っていたからこそ、クロノスは古代の機械巨人をアドバンス召喚したのだ。

 

「そして私は古代の機械巨人に装備魔法古代の機械戦車(アンティーク・ギア タンク)を装備。古代の機械巨人の攻撃力は600アップするノーネ」

 

これで古代の機械巨人の攻撃力は3600。シャイニングの攻撃力を上回った。

 

「バトルなノーネ!私は古代の機械巨竜でE•HERO ガイアを攻撃!」

 

死者蘇生により文字通り蘇り、前のターンで弱体化されたお返しとも言わんばかりの機械のブレスがガイアを襲う。そしてガイアはそのブレスにより破壊されてしまった。攻撃力の差800のダメージがソリットビジョンの衝撃として遊代を襲う。

 

「ぐっ……」

 

「更に古代の機械巨人でThe シャイニングを攻撃!アルティメット・パウンド!」

 

機械仕掛けの巨人が振りかざす拳の一撃によるインパクトは究極の質量とも言える。この攻撃によってざTheシャイニングは破壊され、400のダメージが発生。

 

「くっ、The シャイニングの効果!フィールドから墓地へ送られた時、除外されている『E•HERO』2体を手札に加える!オレはボルテックとフォレストマンを手札に」

 

2体のヒーローを破壊され、このターン合計1200の戦闘ダメージを受けたが、シャイニングの効果によりミラクル・フュージョンの効果で除外されていた2体を手札に加えた。

 

「私はカードを1枚セットして、ターン終了ナノーネ」

 

「オレのターン、ドロー!」

 

クロノスがターンを終え遊代のターンとなる。2体の融合ヒーローを破壊された遊代だが、次の手はまだ残っている。

 

「オレは魔法カード融合回収(フュージョン・リカバリー)を発動!墓地の融合と、融合素材に使用したシャドー・ミストを手札に加える」

 

融合と融合素材としたシャドー・ミストを回収するこのカードを発動した事で、遊代の反撃は唸りを上げる。

 

「オレは融合を発動!手札のボルテックとシャドー・ミストを融合!激しき稲妻の英雄と、姿無き影が1つとなり、1人の英雄が今目覚める!正しき闇の力にて、悪しき敵をその手で討て!融合召喚!現れろ、E•HERO エスクリダオ!」

 

現れたのは闇の力を司る英雄、エスクリダオ。そして融合素材となった闇属性のモンスターはシャドー・ミストである。

 

「リバースカードオープン!速攻魔法、終焉の地!相手がモンスターを特殊召喚した時、デッキからフィールド魔法を発動できるーノ。私はデッキかーら3枚目の歯車街を発動!」

 

「相手ターンにフィールド魔法を発動!?」

 

しかしクロノスはエスクリダオの特殊召喚に対しセットしていた速攻魔法、終焉の地を発動。3枚目の歯車街がデッキから発動された。本来自分のターンでのみ発動できるフィールド魔法を相手ターンに発動するというプレイングに他校からの受験生は仰天する。

「お、おい……歯車街が破壊されたって事は……」

 

「私は更ーに歯車街の効果で、デッキから2体目の古代の機械巨竜を特殊召喚するノーネ!」

 

ギャラリーの考え通り、フィールド魔法の上書きにより2枚目の歯車街は破壊された事で効果が発動。これによりクロノスのデッキから2体目の古代の機械巨竜が姿を現す。これでクロノスのフィールドには攻撃力3000の古代の機械巨竜2体と、攻撃力3600の古代の機械巨人と、攻撃力3000超えが3体も並ぶ圧巻の場と化した。

 

「やるなーセンセーは。だけど俺もまだまだこれからだ!シャドー・ミストが墓地へ送られた事で、オレはデッキから『E•HERO ブレイズマン』を手札に加える。そしてブレイズマンを召喚!ブレイズマンの効果発動!デッキから融合を手札に加えて、発動!」

 

ブレイズマンは召喚・特殊召喚された場合、デッキから融合を加える効果を持つ。その効果で融合を加えると、遊代はすぐさま発動した。

 

「手札のフォレストマンとフィールドのブレイズマンを融合!偉大な自然の英雄と、灼熱の炎が1つとなり、1人の英雄が今目覚める!激しく燃える正義の炎で、仇なす悪を焼き尽くせ!融合召喚!現れろ、E•HERO ノヴァ・マスター!」

 

現れ出たのは、灼熱の炎の力を操る新たな炎の英雄、ノヴァ・マスター。その体からは激しく燃える正義の炎がたぎっている。

 

「エスクリダオの効果、このカードの攻撃力はオレの墓地に眠る『E•HERO』1体につき100アップする」

 

「でも、それだけでは私にダメージは与えられないノーネ!」

 

そう、クロノスの指摘は最も。エスクリダオの攻撃力は2500であり、墓地に眠る『E•HERO』は、ガイア、Theシャイニング、ボルテック、ブレイズマン、シャドーミストの5体、よって攻撃力は500アップして3000。これでは古代の機械巨竜と相討ちが関の山。そしてノヴァ・マスターの攻撃力は2600。相討ちにすらならない。

 

「……オレはカードを2枚セットして、ターンエンド」

 

「おいおい、2体も融合召喚して何もできないのかよ……!?」

 

「あいつ、結構ヤバいんじゃないか?」

 

ギャラリーの感想通り、次のクロノスのバトル次第では遊代の負けが決まってしまう。

 

「私のターン、ドロー!では、バトルフェイズに……」

 

「ちょっと待ったあ!リバースカードオープン!」

 

クロノスはカードをドローしたカードを確認すると、モンスターを召喚は行わずに、そのままバトルフェイズに移ろうとする。しかし遊代はその瞬間に動いた。

 

「トラップカード、和睦の使者!このターン、オレのモンスターは戦闘では破壊されず、オレに発生する戦闘ダメージは0となる!」

 

「ナルホード。『アンティーク・ギア』が攻撃を行うダメージステップ終了時まで相手は魔法・罠の発動ができないノーネ。だからバトルフェイズ前に和睦の使者を発動し、このターンを耐え抜こうという訳ナノーネ」

 

そう、『アンティーク・ギア』モンスターは攻撃する際に相手に魔法・罠の発動を封じる効果をもっているモンスターが多く、現在クロノスのフィールドにいる全てのモンスターもその効果をもっている。それを知る遊代は、バトルフェイズ前に戦闘破壊もされず、ダメージも発生しない和睦の使者を発動したのだ。これならそもそもクロノスが攻撃をする意味はないのだから次のターンが回ってくる。

 

「だけど、そうはいかないノーネ。私は手札からトラップカードを発動!」

 

「げっ!嘘だろ!?」

 

「手札からトラップカードを発動!?」

 

しかしクロノスはこれに対してなんと手札から罠を発動させた。これには遊代もギャラリーも度肝を抜かれた。本来セットしなければ発動できない罠カードを手札から発動という事態。相手ターンにフィールド魔法を発動したり、手札からトラップカードを発動したりと、デュアルアカデミア実技担当最高責任者は伊達ではない事を嫌という程遊代や受験生にわからせる。

 

 

歯車の誤作動(ギア・マルファクション)!私のフィールドにレベル8以上の『アンティーク・ギア』が存在するなーらこのカードは手札から発動できるーノ!このカードは私のフィールドに『アンティーク・ギア』があるなら相手の魔法・罠・モンスターの効果の発動を無効にして破壊するノーネ。これにより和睦の使者は無効となり破壊!」

 

「くっ……」

 

和睦の使者が無効とされた事で。遊代にダメージは発生する。これによってクロノスが攻撃しない理由は無くなった。

 

「こりゃあ……あいつ終わったな。」

 

「ああ。しかし、流石はアカデミアの実技担当最高責任者だな。相手は4体も融合召喚してるのに1ポイントもライフを削れないなんて」

 

最早ギャラリーはクロノスの勝利でこのデュエルは決まりだと確信してしまっている。それだけ遊代の状況は不利、リバースカードで迎撃しようにも 『アンティーク・ギア』の効果によりそれさえできない。最早打つ手はないだろうと。

 

「おいおい、冗談言うなよ。まだ、オレは終わってないし、デュエルの勝敗も決まってない。それに……このまま終わっちまったらオレのヒーロー達が活躍できねーじゃんか」

 

自分がもう負けと思われた遊代はそうギャラリーに返す。遊代の言う通り、デュエルが勝敗が付かない限り遊代が終わる事もこのデュエルに負ける事も決まらない。周りが『決め付けている』だけで、まだこのデュエルは『何も決まっていない』のだから。

 

「その心意気、見事ナノーネ。しかし、セニョール遊代、このままではキミの敗北はかなり決定的。でも……」

 

しかしクロノスの言う通り、このままではエスクリダオもノヴァ・マスターも倒され、直接攻撃で残りライフ2800の遊代のライフポイントは尽きる。しかも『アンティーク・ギア』の攻撃には魔法・罠は発動できない。しかし

 

『あのリバースカード、何かあるノーネ』

 

クロノスが注目するのは残った1枚の伏せカード。遊代が自分のモンスターの効果を対策しているならばわざわざ発動できないカードを入れている訳がない。クロノスはあの伏せカードは必ずこのターン発動できるカードだと確信した。

 

「ああ!まだオレにはこのカードが残っている!リバースカードオープン、融合解除!」

 

「やはり……」

 

「オレはノヴァ・マスターをエクストラデッキへ戻し、墓地から融合素材としたフォレストマンとブレイズマンを守備表示で特殊召喚する!そしてブレイズマンが特殊召喚に成功した事で、デッキから置換融合を手札に加える!」

 

クロノスの確信は当たっていた。遊代が伏せていた最後のカードは速攻魔法、融合解除。このカードは融合モンスターを持ち主のエクストラデッキへ戻し、自分の墓地の融合素材としたモンスターが揃っていれば特殊召喚できるカード。これによりフォレストマンとブレイズマンの2体が守備表示で現れ、直接攻撃される事はない。そしてブレイズマンの効果により『融合』として扱う置換融合を手札に加えた。

 

「しかしこれでもう伏せカードはないノーネ、バトル!私は古代の機械巨竜でエスクリダオを攻撃!」

 

エスクリダオの攻撃力は墓地の『E•HERO』の数だけ上がる。フォレストマンとブレイズマンが特殊召喚された事で攻撃力は3000から2800にダウンしていた事で古代の機械巨竜の放つ攻撃によって戦闘破壊され、200のダメージが発生する。

 

「更にもう1体の古代の機械巨竜でフォレストマンを攻撃!」

 

フォレストマンも2体目の古代の機械巨竜の攻撃により破壊。しかし守備表示なので戦闘ダメージは発生しない。しかし

 

『それが通用しないんだよな。古代の機械巨人には……』

 

そう、それが攻撃を残したあの巨人には通用しない。遊代はその事を知っている。

 

「最後に古代の機械巨人でブレイズマンを攻撃!この瞬間、古代の機械巨人の効果発動!守備モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えた分の戦闘ダメージを相手に与えるノーネ」

 

「ぐっ…うぅっ……!」

 

そう、古代の機械巨人は守備モンスターを攻撃しても、攻撃力が守備力を上回ればその分戦闘ダメージを与える効果を持っているブレイズの守備力は1800、古代の機械巨人の攻撃力は装備魔法、古代の機械戦車で強化され3600。その差1800が戦闘ダメージとして遊代を襲い、このデュエル1番のソリットビジョンによる衝撃が遊代を襲う。

 

「私はこれでターンエンド。セニョール遊代、キミのフィールドにはカードは無く、手札は置換融合のみ。これがキミのラストターンナノーネ」

 

「ああ、行くぜ!オレのターン!」

 

クロノスの言うとおり、遊代のライフは残り800でフィールド・手札併せてカードは置換融合のみ。このターンで決めなければ恐らく次のターンは回ってこない。しかし遊代には諦めの様子は見られない。寧ろこの状況化をひっくり返し、勝利を掴もうとその服と緋色の髪と瞳のように魂が燃えている様に見える。まるでヒーロー番組を見ている子供が劣勢に立たされているヒーローの逆転劇を信じて疑わないように。

 

「ドロー!」

 

このデュエルを左右する運命のドロー。そして遊代はドローしたカードをその目に焼き付ける。

 

『よしっ!』

 

ドローしたカードを見て、遊代は微笑む。それはヒーロー達の逆転劇を告げうるカードを引いたからだ。

 

「オレは魔法カード、貪欲な壺を発動!墓地のモンスター5体をデッキへ戻し、その後デッキからカード2枚ドローする!」

 

この状況で救いの一手となる手札増強カード。遊代は墓地からブレイズマン、シャドーミスト、ボルテック、ガイア、The シャイニングをそれぞれデッキ・エクストラデッキへ戻し、シャッフル。そしてデッキからを2枚ドローした。

 

「っ!来たぜセンセー。オレを勝利に導いてくれるカードが!」

 

「ホゥ。ならば見せてみるノーネ。その勝利をワタシが打ち砕いてみせるノーネ!」

 

ドローしたカードを見て遊代は笑みは強まる。そのカードはこの劣勢を逆転し、自分を勝利へと導く希望の1枚となる始まりの1手なのだから。

 

「オレは召喚僧サモンプリーストを召喚!サモンプリーストは召喚に成功した時、守備表示となる。そしてサモンプリーストの効果発動!1ターンに1度、手札の魔法カード1枚をコストに、デッキからレベル4のモンスター1体を特殊召喚する。オレはデッキからE•HEROエアーマンを特殊召喚!エアーマンの特殊召喚に成功した時、デッキから『HERO』1体を手札に加える事ができる。オレはブレイズマンを手札に加える」

 

召喚僧の効果で置換融合をコストにデッキからエアーマンを呼び出し、更にそのエアーマンの効果でブレイズマンを手札に加える。

 

「オレは魔法カード、ミラクル・フュージョンを発動!墓地のフォレストマンとフィールドのエアーマンを除外して融合召喚する!」

 

「あいつ、あの状況から融合召喚を!?」

 

「てか、一体何回目の融合召喚だよ!?」

 

そしてドローした最後の1枚ミラクル・フュージョンでフォレストマンとエアーマンを除外し、置換融合だけという先程までの状況を見てたら信じがたいギャラリーも驚くこのデュエル5回目の融合召喚を行う。

 

「偉大な自然の英雄と、疾き風が1つとなり、1人の英雄が今目覚める。嵐の如き激しき力で、全ての敵を吹き飛ばせ!融合召喚!現れろ、E•HERO Great TORNADO!」

 

2人のヒーローが融合され現れたのは、全てを吹き飛す嵐を操る英雄、Great TORNDO。攻撃力2800を誇る英雄の力は融合召喚された瞬間に発動する。

 

「Great TORNDOが融合召喚に成功した時、相手モンスター全ての攻撃力守備力は半分となる!タウン・バースト!」

 

その効果は正に相手モンスターの力を吹き飛ばす暴風。Great TORNDOの効果により2体の古代の機械巨竜の攻撃力・守備力1500、古代の機械巨人の攻撃力は1800守備力は1500と弱体化した。

 

「くっ、これでーは……!」

 

ソリットビジョンが起こす暴風に耐えながらクロノスが焦りを見せ始める。全てのモンスターが弱体化してしまったら流石にまずい。しかしまだ手はある

 

「私は墓地のトラップカード歯車の誤作動を発動!」

 

「墓地からトラップ!?」

 

ギャラリーはまたまた驚かされる。先程は手札から発動した罠を今度は墓地から発動。最早デュエルのルールがこんがらがって来ている。

 

「墓地のこのカードを除外し、デッキから『アンティーク・ギア』カードを手札に加えるノーネ。しかしその後、自分フィールドのカード1枚を破壊しなければならないーノ」

 

「って、事は」

 

その説明を聞いて遊代は……いや、ギャラリーですらクロノスが何を破壊するのか予想できた。

 

「私はデッキかーら魔法カード古代の機械爆弾(アンティーク・ギア ボム)を手札に加え、歯車街を破壊!そしてその効果で古代の機械巨竜を特殊召喚!」

 

このデュエル3度目の歯車街の効果により、3体目の古代の機械巨竜が現れた。

 

「そして古代の機械爆弾は『アンティーク・ギア』1体を破壊し、破壊したモンスターの元々の攻撃力の半分のダメージをキミに与えるノーネ」

 

「えっ?て事は攻撃力3000含むモンスター4体全てを破壊しなきゃ次のターンで終わりって事かよ!?」

 

ギャラリーの説明通り。3体の攻撃力は効果でダウンしてはいるが、古代の機械爆弾によって発生するダメージは元々の攻撃力の半分。そしてクロノスのフィールドの4体の『アンティーク・ギア』の元々の攻撃力は全て3000。このターンで全て破壊しなければ次のターン1500のダメージが遊代を確実に襲う。

 

「ならオレも墓地の置換融合の効果を発動!」

 

「あいつは墓地から魔法カードを発動!?」

 

しかし遊代もお返しとばかりに墓地の置換融合の効果を発動。置換融合はフィールドのモンスターしか融合素材にできない代わりに墓地で発動できる効果がある。

 

「このカードを除外して、墓地のエスクリダオをエクストラデッキに戻す。そしてオレはカードを1枚ドローする」

 

その効果は自身を除外し、自分の墓地の融合モンスターをエクストラデッキに戻して1枚ドローするという効果。この効果により墓地に眠っていたエスクリダオはエクストラデッキに戻り、遊代はドローの権利を得た。

 

「ドローォ!」

 

普通なら手札・フィールドに存在するカードが置換融合のみという状況から此処まで持ってきたのが凄い。もうこれ以上のドローは厳しいだろうとギャラリーは思う。しかしクロノスだけは違う。

 

『遊代のドローは並外れた引きを誇るノーネ。そう、彼のように……』

 

浮かぶのは嘗ての教え子。逆恨みという教師にあるまじき理由からドロップアウトボーイと蔑んだ自分を尊敬し、自分が教師としての道を正すキッカケとなった遊代と同じ『E•HERO』使いにして、遊代にデュエルを教えた男。

 

「っよし!」

 

遊代はドローしたカードを見て思わず喜ぶ。ドローしたそのカードによって勝利への道は繋がれた。

 

「行くぜ、バトルだ!オレはE•HERO Great TORNDOで古代の機械巨竜を攻撃!スーパーセル!」

 

Great TORNDOが放つ凄まじい竜巻が攻撃力が半分となっている古代の機械巨竜を襲う。攻撃力の差は1300、この攻撃により古代の機械巨人は吹き飛ばされ破壊。クロノスに1300ダメージが発生する。

 

「1体は破壊したけど、もうこれで……」

 

「まだオレのバトルフェイズは終わってないぜ!オレは速攻魔法、コンストレック・エレメントを発動!オレのフィールドの『HERO』融合モンスターをエクストラデッキに戻し、戻したモンスターと同じレベルで違う属性の『E•HERO』モンスターをエクストラデッキから融合召喚扱いとして特殊召喚する!」

 

「ナント!?」

 

「融合召喚扱いで融合モンスターを特殊召喚だと!?」

 

遊代が置換融合の効果でドローしたコンストレック・エレメントは『HERO』融合モンスターを別の『E•HERO』融合モンスターに再構築する速攻魔法。これには他の受験生やクロノスも驚く。融合モンスターを融合召喚を無視して特殊召喚するという方法なら自分も利用しているが、バトルフェイズ中に融合召喚扱いとして特殊召喚するカードとは流石に驚いた。

 

「Great TORNDOが今、新たな英雄へ生まれ変わる!激しく燃える正義の炎で、仇なす悪を焼き尽くせ!再び現れろ!E•HERO ノヴァ・マスター!」

 

エクストラデッキへ戻ったGreat TORNDOの代わりに現れたのは、貪欲な壺の効果によりエクストラデッキに戻っていた新たな炎の英雄、ノヴァ・マスター。このデュエル2回目の登場である。

 

「バトルだ!ノヴァ・マスターで2体目の古代の機械巨竜を攻撃!ボルケーノ・ナックル!」

 

「グッ……!」

 

最初の登場では攻撃できず、敗北を免れる為に融合解除によって退却したノヴァ・マスターだが今回は違う。炎の放った一撃は1500の攻撃力となった2体目の古代の機械巨竜を倒す。衝撃には耐えるが男性のライフは関係なしに1100削られ、残りライフは1600となる。

 

「そしてノヴァ・マスターの効果発動!相手モンスターをバトルで破壊した場合、カードを1枚ドローする!」

 

ノヴァ・マスターの効果で新たなドローを得た遊代は勢い良く、デッキからカードをドローする。このドローでこのデュエルの明暗を左右するキーカードを引けるかどうかに遊代の明暗がかかっている。しかし遊代は勝利へ繋がるカードが来ると確信している。それは此処まで繋いできたヒーロー達と自分が作った魂のデッキを信じているからこそ。

 

「ドローォ!」

 

周りは思わず唾を呑む。恐らくこれが遊代のラストドロー。ドローしたカード次第で遊代の負けがほぼ決まる。

 

「!このタイミングで来てくれたか!」

 

そしてドローカードをその目にした瞬間、その顔に最大の笑みが零れた。引き寄せたカードは正に自分を勝利に導く鍵となる最後の1枚。それは、自分にデュエルを教えてくれた人が託してくれたカード。

 

「オレは手札から速攻魔法、超融合を発動!手札のブレイズマンを捨てて、オレのフィールドのノヴァ・マスターと、クロノスセンセーのフィールドの古代の機械巨竜を素材に融合召喚する!」

 

「はあ!?相手のモンスターを融合召喚の素材にするだとぉ!?」

 

「何なんだよあいつは!?」

 

遊代の説明を聞いたギャラリーも驚愕する。いや、せざるを得なかった。相手モンスターを素材に融合召喚、しかもバトルフェイズ中にだ。最早ギャラリー達はこのデュエルに驚きっぱなした。

 

「新たな炎の英雄と、古の機械が1つとなり、1人の英雄が再び目覚める!大地のを揺るがす偉大な力で、如何なる敵をも薙ぎ倒せ!融合召喚!現れろ、E•HERO ガイア!」

 

炎の英雄と機械仕掛けの竜が超越せし力にて、1つとなり大地の英雄ガイアがこのデュエルに再びその身を投じた。

 

「ガイアの効果発動!古代の機械巨人の攻撃力を半分して、その数値分ガイアの攻撃力をアップする!」

 

後攻1ターン目でも見せたフォース・ドレインが、今度は古代の機械巨人の力を奪い取り、自身の力とする。

 

「これで古代の機械巨人の攻撃力は900、そしてガイアの攻撃力は3100だ!」

 

2体の攻撃力の差は2200、そしてクロノスのライフは1600。前のバトルとは違い、最早クロノスに残されたカードは手札の通常魔法、古代の機械爆弾のみ。

 

「……見事ナノーネ」

 

もう自分に打つ手はない。このデュエルの敗北は確定したクロノスだが、その表情には満足した感情に遊代の成長を心から喜ぶ嬉しさが溢れていた。

 

「さあ、遠慮なく来るノーネ!遊代!」

 

「ああ!オレはE•HERO ガイアで古代の機械巨人を攻撃!」

 

最早このデュエル、遊代の全力を受け止める以外に道は無い。クロノスのその気持ちを理解した遊代は声高々にガイアの攻撃を宣言する。

 

「コンチネンタル・ハンマーァ!」

 

正しく大地の女神と同じ名を持つ英雄に相応しい大陸をも揺るがす鉄槌によって生じるソリッドビジョンによる衝撃が、古代の機械巨人を超え、クロノスにも襲いかかる。そして、そのライフポイントは0となった。

 

「勝者、緋紅 遊代!」

 

「っ~~よっしゃあー!クロノスセンセーに勝ったぜ!」

 

審判による遊代の勝利宣言、それが遊代に尚更

手札もフィールドもライフも劣勢。ドローしたカード次第では次のターンでほぼ遊代は負けていた。しかしそれを覆して勝利を手にする事ができるからこそ、デュエルモンスターズというゲームはデュエリストを、人々の気持ちを高ぶらせる。

 

「見事なデュエルだったノーネ。あそこまで融合召喚を巧みに操り、全てのカードを生かしたデュエル、私も勉強になったノーネ」

 

敗れたクロノスは拍手をしながら遊代に歩み寄り誉め称える。1度のデュエルで融合召喚を6回も行い、尚且つ融合召喚でか特殊召喚できない『E•HERO』融合モンスターを7回も呼び出した遊代のプレイングには素直に感服した。デュエルアカデミアの教師として長年デュエルに携わっているクロノスでもこれは驚かされたのだ。

 

「ありがとーございます。このデュエル、オレが勝ったって事は……」

 

「うむ。緋紅 遊代!文句なしにデュエルアカデミア高等部進学試験、見事合格ナノーネ!」

 

「よっしゃー!」

 

クロノスより改めて合格を言い渡された遊代は三度喜ぶ。これで遊代は4月から晴れてアカデミア高等部に進学できる。

 

「それにしても遊代、初めてあった時ーはあんなに小さかったキミがこんなに大きく立派になって……私は、私は嬉しいノーネェェェ!」

 

ビシバシ指導すると言いながら、突如として感極まって泣き出してしまうクロノス。実は遊代は身寄りがおらず、嘗てのクロノスの教え子であり、遊代を拾った男からクロノスは遊代の面倒を託された。クロノスはそんな彼の後継人として幼い頃から見守っていた。そんな彼が立派に成長した事が嬉しくて嬉しくて堪らないのだ。

 

「ちょ、泣くなよ!センセー、こっちまで恥ずかしいじゃねーか」

 

「だって、だって……オロローン!」

 

クロノスが泣き止むまで間、遊代は困り恥ずかしそうにしながらも嬉しそうな表情でクロノスを慰めていたのを他のアカデミアの面々が目にしたという。そして他校から受験にきた生徒達を始め遊代とクロノスのデュエルのレベルの高さには目を奪われ、デュエリストとして成長できると期待に胸馳せる者が増えたのは余談だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやー、久しぶりの旅はワクワクすんなー」

 

公園のベンチに座り、背をぐーっと伸ばしながら遊代は感想を漏らす。あれから遊代は中等部を無事に卒業し、現在は春休みの真っ只中。現在は休暇を利用して入学式までの間、気になった所を旅して回っている。旅に出ているというのにアカデミアの制服なのはズボラだからという訳では無く、単純にカッコいいと気に入ってるからだ。尚足元には出発前にクロノスから持って行くように強く進められた着替えや日用品が入った赤いキャリーケースが立って置かれている。

 

『昔は色んな所を回ってたけど……まあ、今は学生だからな』

 

そう、今より幼い頃。アカデミアで世話になる前までは色々な所を巡っていた。自分を拾い、名前の無い自分に名前を与え、デュエルの楽しさを教えてくれた人と共に。

 

「さてと、次は何処へ行こうかな……ん?」

 

ベンチから立ち上がり、リュックを背負いキャリーケースを引きずり新たな目的へと歩き出した遊代だが、ふと有るものが目に止まる。

 

「あれは……カードか」

 

道の端っこにぽつんと落ちている1枚のカード。デュエリストである遊代はそれがデュエルモンスターズのカードだとすぐにわかった。

 

『誰かが落としたのか?』

 

そう思いながらそのカードの下に駆け寄ってそのカードを拾い上げる。

 

「あれ?なんだ、このカードは……」

 

しかし拾ったカードを見た遊代は驚いた。そのカードはカード名に『光輝く言葉』だけが書かれており、カードの絵もテキストも書かれていない。

 

「何々……?ようこそ、ス……」

 

遊代はその言葉は言えなかった。何故ならその瞬間にカードの文字が一際強く光り、気がついた時には遊代がもう『このせ世界に存在していない』からだ。そして遊代が消えた事に気付いた人間は誰も存在しない。そして遊代が立っていたその場所にひらりひらりと落ちていくカードは地面に落ちる前に静かに消えていくカードにはこう書かれていた。

 

Welcome to

 

 

 

 

 

 

 

standard

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ、なんだったんだ!?今のは……」

 

これまで不可思議な現象には多少関わってきたからかそんなに驚く素振りを遊代は見せていない。しかしそれは周りを見て一変する。

 

「あれ?此処どこだ!?」

 

そう、さっきまで自分が存在していた場所とは明らかに違う場所に自分は立っていた。周りに誰も居ないが、取り敢えず此処はどこなのかと見渡す。どうやら此処は路地裏みたいらしい、多少入り組んではいるが、空から光は差し、近くが大通りなのか人々の声が賑やかに聞こえてくる

 

「取り敢えず、あそこに出てみるか」

 

取り敢えずは人がいる所に出てみよう。遊代はキャリーケースを引きながら路地裏を壁づたいに歩いていく。すると予想通り、すぐに人々が行き交う大通りへと出る。そしてこの大通りを見渡して見ると、ある文字が目に止まった。

 

「舞網、市……?」

 

舞網市。聞いた事のない名前の地名を遊代は疑問に思いながら、確かに呟いた。此処は舞網市、デュエルが発展した都市。別名『スタンダード』と呼ぶ。




前書きでも書いた様に今回のデュエルのルールはマスタールール2の頃を採用しました。よってフィールドの張り替えもって先行ドローもあります。これはお気づきの方もいるでしょうがアニメ版のGXの後の世界だからです。そこから未来の5Dsでも先行ドローがあるのでマスタールール3ではなく、当時の形式を取らせていただきました。

しかし息抜きとリハビリがてら書いた話が15000文字超えとは……今まで書いた小説の1話での文字数を更新するとは思っていませんでした。実は私遊戯王の二次小説は見たことが皆無なんですよね……(クロスオーバーでデュエル描写がある作品なら多少見たこと有)最初の時はプロローグなのでデュエルは漫画版GXみたいに省略して書いたんですが、やっぱり全部書こうと書き足していったらこんな文字数に。完全に予想外でした。これは一々カードのテキスト載せていたらとんでもない事になので定期的にオリカが貯まったらまとめを載せようと思います

そしてGXの世界なので最初のデュエルはクロノス先生が勤めました。遊代も慕っていますし、クロノス先生はやや過保護です(笑)

そして皆さんの予想通り、遊代にデュエルを教え、名付けたのは……もう言わなくてもお分かりですよね(笑)分かりやすいですし。

次回からはARC-Vの世界でのデュエルなのでマスタールール3でのデュエルとなります。その辺りへの遊代の反応もお楽しみください。
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