遊戯王ARC-V~緋色の英雄~   作:《陽炎》

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前回マルコの病室にやってきた北斗と刃、遊代の実力に興味を持った2人はデュエルを挑み……



第13話 エクシーズとの再戦!英雄VS神星の騎士

「それにしても、まさか志島クンと刀堂クンもお見舞いに来てくれるなんてね」

 

「いやー、真澄の奴がマルコ先生が心配だって言うもんなんで」

 

「当たり前でしょ。あんた達だって自分の恩師が入院したらお見舞い位行くでしょうに」

 

「だとしても……なあ、刃?」

 

「だな。北斗」

 

幾ら恩師が入院したとは言えどもあそこまで真澄の様に自分は取り乱したり放課後直ぐ様見舞いに駆けつける程慌てたりはしないと北斗と刃は日頃のお返しと言わんばかりに真澄をからかう素振りを見せる。

 

「あんた達ねえ……!」

 

「イテテテっ!」

 

「悪かった!悪かったからやめろ!」

 

そんな2人の態度にカチンと来た真澄は頬を照れから軽く赤くしながら2人の耳をつねって引っ張る。これまでの接し方を見るにこの2人と仲が良いのだろうと傍観している遊代は場違い感を覚えながらその光景を眺めている。

 

「真澄クン、その辺にしてあげなさい。2人もからかい過ぎだよ」

 

「はい……マルコ先生」

 

「イテテ……」

 

「耳が伸びるかと思った……」

 

マルコの注意により真澄からのお仕置きから脱した北斗と刃はそれぞれ引っ張られて痛む耳たぶをさすりながら痛みを和らげる。

 

「ところで……」

 

「誰だ?コイツ?」

 

入室した時から2人共気にはなっていたのだが、何故に個室であるマルコの病室に自分達ど同世代位の入院患者が居るのか?北斗も刃も疑問に思うのは当然かもしれない。

 

「ああ、紹介するよ。彼は緋紅遊代クン。襲われたワタシを助けてくれた少年なんだ」

 

「マルコ先生を助けた?」

 

「コイツがですか?」

 

目の前の病衣を着た同世代の男が自分達が所属するLDSの講師を助けた恩人と説明された事に2人は驚いてしまう。

 

「はじめまして。緋色遊代だ、よろしく」

 

「あ、ああ。此方こそ、僕はLDSのエクシーズ召喚コースの志島北斗だ」

 

「俺はLDSシンクロ召喚コースの刀堂刃、刃でいいぜ」

 

マルコの後に遊代が改めて自己紹介を行う。それに釣られる様に北斗、そして刃も自己紹介を行っていく。

 

「遊代クンは気絶したワタシを庇いながら襲撃犯とデュエルをしたらしくてね、結果彼も負傷してしまってこうして入院しているんだ。申し訳ない」

 

「いやいや。オレはまだ全身打撲くらいで済んでるんで、骨折したマルコ先生よりは軽傷ですって」

 

「そうです。悪いのは全部襲撃犯なんですからマルコ先生が気に病む必要はありません!」

 

「……ありがとう、そう言って貰えると助かるよ」

 

自分を助に来て庇いながら戦ったた結果、恩人でもある遊代も負傷させてしまった事にマルコは心を痛めている。しかし重傷なのはマルコの方なのだから気にする事はないと遊代と真澄はフォローに入った。

 

「にしても、何でマルコ先生の病室でデュエルを?」

 

「ああ、ワタシがお願いしたんだ。彼の実力は赤馬社長もかなり評価していてね、是非一度手合わせをと思って」

 

「本当ですか!?マルコ先生!」

 

「マジで赤馬社長がそこまで!?」

 

最年少でプロデュエリストとなったレオ・コーポレーション社長にして天才デュエリスト赤馬零児が高評価を出すデュエリストと聞かされて北斗と刃の目の色が変わる。

 

「あ、ああ。彼の融合召喚に関するタクティクスは私より上だと仰っていたよ」

 

「ウソだろ……」

 

「あの赤馬社長が其処まで人を誉めるなんて……一体何があったんだ?」

 

零児は社長という立場もあってかプロデュエリストだがここ暫く公に余り姿を見せない。しかし昨日北斗、刃、真澄の3人は遊勝塾を賭けたデュエルの延長戦で久しぶりに赤馬零児が行ったデュエルでは融合・シンクロ・エクシーズ、果てにはペンデュラムまで操るという過去の彼より遥かにレベルアップしたデュエルを披露した。その零児が自身より融合召喚に関しては上だと目の前にいる遊代を誉めちぎるとは、にわかにに信じがたい。

 

「実際にデュエルしたからでしょ」

 

「えっ?コイツが赤馬社長とデュエルを?」

 

「てか、何で真澄がんな事知ってんだよ?」

 

北斗と刃が唖然と驚愕を繰り返す中、真澄は落ち着いた様子で会話に混ざる。この中で遊代が零児とデュエルした事を知っているのは当事者の遊代を覗けば真澄とマルコのみ。

 

「私が彼とデュエルした後に赤馬社長がやって来て、色々話を聞いた後にデュエルを挑まれたんでしょ?」

 

「ああ。結局一昨日の襲撃事件が起きたせいで中断しちまったけどな……」

 

あのデュエルは本当に白熱したデュエルだった。だからこそ多くの人々に観戦して欲しかったと遊代は思っていたがあの結末になるのなら誰も居なかった方が良かったのかもしれない、今となってはそう思えてくる。

 

「……じゃ、じゃあマルコ先生や真澄は緋紅遊代とデュエルしたんでしょ。2人から見た実力はどうなんです?」

 

「確かに……コイツは融合使いなんだろ。なら融合専門の2人からの評価はどうなんだ?」

 

話を聞く限りLDSと関わる前から遊代は融合召喚を使っている。それはこの際置いておくとして北斗と刃が気になるのは遊代の実力だ。。同じ融合使いでありLDS融合召喚コースの講師であるマルコとその教え子でありジュニアユースクラスの融合召喚コース1位の成績を誇る真澄からの評価はどうなのか?それが気になる。

 

「遊代クンは強いよ。私もデュエルしたけど、負けてしまったからね」

 

「悔しいけど、彼の実力は本物よ。私にも勝ったしね」

 

「この2人に勝った!?」

 

「マジかよ……」

 

業界1位を誇る我がスクールのエリートコースである融合召喚コースの講師とジュニアユースの融合召喚コースの成績1位の真澄をに勝利したという告白に本日何度目かとわからない程に北斗と刃は仰天する。この2人に勝ったという事は赤馬零児が賞賛するのも頷けるかもしれない。

 

「だけど、この目で確かめない事には……なあ、刃」

 

「確かに……そこまで強いんならデュエリストとして戦ってみたくなるよな、北斗」

 

そう言いながら2人は何かをたくらむ様にニヤリと口元に笑みを浮かべる。遊代が強いというのは飽くまでもこの2人にとっては他人からの評価のみ。しかしそこまで自分達が知っているの実力者達が賞賛するのならば操る召喚法こそ違えど同じデュエリスト、その実力を己が試してみたくなるという物。

 

「緋紅遊代!この僕とデュエルしろ!」

 

「いや、俺とデュエルして貰うぜ!」

 

「いや僕だ!」

 

「俺だ!」

 

北斗と刃は同時に遊代へデュエルを申し込む。しかし2人同時に申し込んだ事で自分がデュエルすると言って北斗も刃も譲らない。

 

「落ち着けって、オレは2人とデュエルするからさ」

 

「そうよ2人共、譲り合いの心を持ちなさい」

 

遊代としてはエクシーズ使いとシンクロ使いのデュエリストとデュエルできる機会とあって両者ともデュエルする気満々なのだ、なのでこんな事で揉めて欲しくはない。そんな揉める北斗と真澄は呆れながら遊代と共に窘める。

 

「じゃあこうしよう。遊代クンがどちらと先にデュエルするか決める。それでどうかな」

 

「まあ……それなら」

 

「文句はねえな」

 

マルコから出された提案を北斗と刃、両者共に受け入れる。マルコより軽傷とは言えども入院患者にデュエルを申し込んでいるのだからこれくらいの案は飲むつもりだ。

 

「そーいう事なら……じゃあ、エクシーズ使いの志島北斗、お前から先に相手だ!」

 

「よしっ!」

 

「ちっ、しゃーねーか」

 

マルコの案により遊代は北斗と刃のどちらを先に相手にするか考える。遊代としては昨日エクシーズ使いの襲撃犯と戦ったので記憶が新しい内に改めてエクシーズ使いとデュエルをしてエクシーズの特性をより把握したいという結論に辿り着いた。

 

「じゃあ、椅子動かすか」

 

「いいよ、僕らがやるから」

 

「怪我人にデュエル申し込んでんだ。これぐらいはするぜ」

 

遊代は今マルコと向かい合う形でテーブルを挟んで椅子に座っている。なので痛む立ち上がり椅子の位置を変える必要があるので動かそうとすると北斗と刃は自分達が要求した事だからと率先して椅子を動かしていく。エリート意識の高い彼等だがけして優しくない訳ではない、ちゃんと他人も気遣える。

 

「よしっ、これでいいだろ」

 

椅子をずらし終えると遊代と北斗が座り、テーブルを挟んで向かい合う。今回の北斗、刃との連戦もマルコとのデュエルで使用したデュエルボードを使用してのデュエルだ。

 

「それじゃあ、行くぞ」

 

「ああ!」

 

「「デュエル!」」

 

真澄、刃、マルコが観戦する中でLDSジュニアユースクラス・エクシーズ召喚コース成績1位の北斗とのデュエルが始まる。

 

「先行は貰った、僕のターン!僕はセイクリッド・ポルクスを召喚、ポルクスが召喚に成功したターン、本来の召喚に加えてもう1度『セイクリッド』モンスターを召喚できる。僕はセイクリッド・カウストを召喚する!」

 

「レベル4のモンスターが2体、来るか……?」

 

北斗の先行から始まると早速レベル4のセイクリッド・ポルクスを召喚しその効果により同じくレベル4のセイクリッド・カウストを召喚。これでランク4のモンスターをエクシーズ召喚できる。

 

「レベル4のモンスターを揃えたからってランク4のエクシーズを召喚すると思ったら甘いぞ」

 

「なに?」

 

「セイクリッド・カウストのモンスター効果発動!『セイクリッド』モンスターのレベルを1つ調整できる。僕はポルクスのレベルを1上げる」

 

カウストが弓で矢を引き、天へと射抜くとその矢は光となってポルクスへと降り注ぐ。そしてポルクスのレベルはカウストの効果により1上がりレベル5となった。

 

「レベルを変えた?何の意味が……」

 

折角同じレベルのモンスターが揃ったというのに、北斗はカウストの効果でポルクスのレベルを5にしてしまう。エクシーズ召喚は同じレベルのモンスターを揃えてこそにも関わらず、わざわざレベルをバラバラにするとは何の考えがあっての事なのかと遊代は考える。

 

「ふっ、教えてやろう。カウストの効果は1ターンに2回使用できるのさ」

 

「2回?てことは……狙いはランク4じゃなくてランク5か!?」

 

「その通り!僕はカウストの効果をもう1度使用してカウスト自身のレベルを1上げる!」

 

先程と同じ様にカウストは矢を手に持ち、弓で天へ射抜くとそれは光となり自身へと降り注ぎ自身のレベルを上げる。そう、北斗の狙いはランク4のエクシーズ召喚ではなくランク5のエクシーズ召喚なのだ。

 

「成る程な。エクシーズ召喚を狙うにはどれだけ早く同レベルのモンスターをフィールドに揃えるかだけかと思ってたが……」

 

「確かにその通りだ。けどそれだと同じレベルのモンスターを多数採用してデッキを組む必要があるし同じランクしかエクシーズ召喚できない。けどレベルを変動させる効果を使えばより広いランクのエクシーズを召喚できるのさ!」

 

北斗の言う通り例えばランク4のエクシーズモンスターをエクシーズ召喚するにはレベル4のモンスターを多めにデッキに入れる必要があるので必然的にランク4をエクシーズ召喚する事に特化したデッキとなってしまう。しかし今回のカウストを使えば3~5のランクのエクシーズを呼び出す事ができて戦術に幅も増える上にレベル3や5のモンスターもデッキに組み込める。

 

「そして僕は永続魔法、セイクリッドの星痕(せいこん)を発動。それじゃあ行くぞ、僕はレベル5となったセイクリッド・ポルクスとカウストでオーバーレイ!」

 

すぐさまエクシーズ召喚を決めてくるかと思いきや永続魔法を発動してワンテンポ置いた後にエクシーズ召喚を行い、ポルクスとカウストは光となり渦へと吸い込まれていく。

 

「星々の光よ!今大地を震わせ降臨せよ!エクシーズ召喚!ランク5、セイクリッド・プレアデス!」

 

レベル5となった2体の光属性モンスターを素材にエクシーズ召喚されたのは、牡牛座の散開星団を表す名前をもつランク5の『セイクリッド』。オーバーレイ・ユニットとなったポルクスは双子座のβ星であるポルックスから、カウストは射手座のα星であるカウス・アウストラリスの略から来ている。『セイクリッド』とは黄道十三星座の星々を由来とした名を持つ神聖なる星の騎士団である。

 

「永続魔法、セイクリッドの星痕の効果発動。1ターンに1度、『セイクリッド』エクシーズを特殊召喚した時、デッキから1枚ドローする!」

 

エクシーズ召喚を行う前に発動していたセイクリッドの星痕はエクシーズ召喚を主体に戦う『セイクリッド』をサポートする永続魔法。1ターンに1度しか使用できないが、それでもドロー効果は有り難い。

 

「僕はカードを1枚セットして、ターンエンド!」

 

「出だしとしてはまずまずだな」

 

「そうね」

 

先行である北斗のターンを終えた現状を好調だと観戦している刃と真澄は見ている。何度も北斗のデュエルは見てきた2人はプレアデスの効果も当然知っている。

 

「オレのターン、ドロー!オレは魔法カード、Eーエマージェンシーコールを発動してデッキからE•HERO ネクロダークマンを手札に加える。そして融合を発動して手札のE•HERO ネクロダークマンとシャドー・ミストを融合!黄泉を守る英雄と、姿無き影が1つとなり、1人の英雄が今目覚める!正しき闇の力にて、悪しき敵をその手で討て!融合召喚!現れろ、E•HERO エスクリダオ!」

 

魔法カードでネクロダークマンを手札に加えると、すぐさま手札のシャドー・ミストと融合。2体の闇の英雄は新たな闇の融合体、エスクリダオへと生まれ変わる。

 

「シャドー・ミストが墓地に送られた事で効果発動。デッキからE•HERO エッジマンを手札に加える」

 

「融合召喚しても攻撃力は2500、相討ちが精一杯だね」

 

「馬鹿ね、そんな簡単な事を考えてない訳ないでしょ」

 

融合召喚したエスクリダオの攻撃力は自身のプレアデスと同じ2500、攻撃しても相討ちにしかならないとふんでいる北斗にエスクリダオの効果を知っている真澄が呆れて北斗を見ていた。

 

「真澄ちゃんの言う通りだぜ。エスクリダオの効果は既に発動してる」、

 

「なに?」

 

「エスクリダオの効果、オレの墓地に眠る『E•HERO』1体につきエスクリダオの攻撃力は100アップする!」

 

「攻撃力2700、プレアデスを上回っただと?」

 

エスクリダオの効果ダーク・コンセントレーションはフィールドに現れた時から適用されている。これでエスクリダオの攻撃力は2700となりプレアデスの攻撃力2500を超えて倒す事ができる。

 

「シャドー・ミストの効果で手札に加えたE•HERO エッジマンはレベル7、つまりアドバンス召喚するには2体のリリースが必要だ」

 

「けど……」

 

「遊代クンの墓地には先程融合素材となったネクロダークマンが眠っている」

 

北斗と刃は墓地に送られたネクロダークマンの効果など知る由もない。しかし先程デュエルをしたマルコとそのデュエルを観戦していた真澄は違う。何故ならその効果を生かす所を目の当たりにしているのだから。

 

「ネクロダークマンが墓地に眠る時、1度だけ『E•HERO』をリリースなしで召喚できる」

 

「なにっ!?」

 

「墓地からリリースを無くす効果だと!?」

 

ネクロダークマンの効果は珍しいとあってか初見の人間はまず驚く。それは北斗と刃とて例外ではなかった。

 

「オレはネクロダークマンの効果でエッジマンをリリースなし無しで召喚!そしてバトルだ!E•HERO エスクリダオでセイクリッド・プレアデスを攻撃!dark diffusion!」

 

エスクリダオの三つに別れた刃状の右手がプレアデス目掛けて放たれ、その3つの刃がプレアデスを切り刻もうとする。これが通ればエッジマンの攻撃も恐らく通る筈。

 

「セイクリッド・プレアデスの効果発動!」

 

「なにっ?」

 

しかしその攻撃が通らない事は遊代以外の面々は知っていた。何故ならばセイクリッド・プレアデスのモンスター効果を把握しているのだから。

 

「1ターンに1度、オーバーレイ・ユニットを1つ使う事でフィールドのカード1枚を持ち主の手札に戻す!僕はE•HERO エスクリダオを手札に戻す!」

 

「くっ……」

 

「けど、融合モンスターであるエスクリダオが戻るのは手札じゃなくてエクストラデッキ」

 

「自分のターンに切り札を出してもその効果で戻されちまう。ホント、厄介な効果だぜ」

 

プレアデスの恐ろしさはオーバーレイ・ユニットがあれば相手ターンでもその効果を発動できる事、折角自分のターンでエースモンスターを出してもプレアデスの効果であっさり戻せてしまう。それがエクストラデッキから呼び出すモンスターならば尚更痛い。

 

「さあ、エスクリダオはエクストラデッキへ戻って貰おうか!」

 

「そうは行くかよ!手札から速攻魔法、マスク・チェンジを発動!」

 

しかし遊代とて易々と呼び出したエスクリダオを戻されたりはしない。すかさず手札からマスク・チェンジを発動して反撃に打って出る。

 

「マスク・チェンジの効果によりエスクリダオを墓地へ送り、エスクリダオと同じ闇属性の『M•HERO』を変身召喚する!」

 

「変身召喚!?」

 

「なんじゃそりゃ!?」

 

遊代がプレアデスの効果を知らない様に北斗と刃も変身召喚など知る由もない。今度は遊代が初見の召喚を披露する番だ。

 

「闇夜に生きる英雄よ、闇の羽衣その身に纏い、仮面の英雄へ姿を変えよ!変身召喚!揺るがぬ己の信念の下、全ての敵を今裁け!M•HERO ダーク・ロウ!」

 

「モンスター1体で融合モンスターを呼び出しただと!?」

 

「しかもバトルフェイズ中にかよ!?」

 

モンスター1体のみで融合召喚と同じ様に融合モンスターを呼び出した。しかもバトルフェイズ中にである、融合召喚コースではない北斗と刃だが融合召喚の基本程度は把握しているので驚かざるをえない。

 

「プレアデスの効果は1ターンに1度、もう使えない!バトル続行だ!エッジマン、セイクリッド・プレアデスを攻撃!」

 

「くっ……」

 

エスクリダオがダーク・ロウへと変わった事でバトルは中断となり改めてエッジマンでプレアデスを攻撃し直す。エッジマンの両腕から飛び出した仕込み刃がプレアデスを切り倒して破壊する。

 

「ダーク・ロウの効果、このカードがオレのフィールドにいる限り、相手のカードは墓地には行かず、除外される!」

 

「なんだって!?」

 

「つまりあのモンスターが居る限り北斗のカードは軒並み除外されちまうって事かよ!?」

 

「恐ろしいモンスターね……」

 

ダーク・ロウがモンスターゾーンに存在する限り、相手の墓地へ送られるカードはモンスターも魔法も罠も関係なく軒並み除外されてしまう。正に闇の法の下に全ての敵を裁いていくダーク・ロウの恐ろしい効果である。

 

「つまり破壊されたプレアデスだけじゃなくて、オーバーレイ・ユニットとなっていたポルクスも除外されるのか……」

 

墓地へ送られるのはプレアデスだけではなくプレアデスのオーバーレイ・ユニットとなっていたポルクスもプレアデスが破壊された事で本来なら墓地へ送られるのだが、ダーク・ロウの効果、ディメンション・パージによりプレアデス諸共異次元へと追放されてしまう。

 

「そしてダーク・ロウでプレイヤーへダイレクトアタック!」

 

「くそっ……!」

 

仮にプレアデスが倒された時の為の対策はセットしてはいる。しかしそれはプレアデスが墓地に存在する場合のみに使用できる。除外されてしまったらどうしようもなく、ダーク・ロウのダイレクトアタックを喰らい、先程のエッジマンの攻撃を合わせて合計2500のダメージを喰らってしまった。そしてバトルフェイズを終えた遊代はメインフェイズ2で更に畳み掛ける。

 

「オレは魔法カード、手札抹殺を発動!」

 

「なにっ!?手札抹殺だって!?」

 

手札抹殺を発動された北斗の顔が歪む。手札抹殺の効果ならば北斗だけではなくデュエリストならば知っている。しかし北斗が顔を歪めるのはその効果が理由ではない。この状況で発動されるのが問題なのだ。

 

「手札抹殺は互いに手札を全て捨てて、捨てた自分の手札分ドローするカードだけど」

 

「遊代クンのフィールドにはダーク・ロウが居るから志島クンの手札は墓地には行かずに全て除外されてしまう……」

 

「ドローできるのには変わらねえけど、これは……」

 

「くっ……確かに僕の手札2枚は墓地には行かずに除外されるが、手札抹殺の効果で2枚ドローする!」

 

遊代の手札は速攻魔法1枚、北斗の手札はモンスターと魔法の2枚。それぞれ手札を捨てて遊代は1枚、北斗は2枚ドローする。北斗のカードはダーク・ロウの効果により墓地には行かずに全て除外されるが除外されても手札抹殺の効果でドローはできる。

 

『よしっ!これなら……』

 

引いたカードは死者蘇生とセイクリッド・シェアト。死者蘇生は墓地からモンスターを蘇生させる強力な魔法カード、そしてセイクリッド・シェアトは相手フィールドにのみにモンスターがいれば特殊召喚でき、更に自分フィールドの『セイクリッド』と同じレベルとなれる。

 

 

『これなら次のターンにシェアトを特殊召喚した後にカウストを復活させて反撃できる!』

 

北斗の墓地にはプレアデスの効果を発動した際に墓地へ送られたカウストが居る。シェアトとカウストのレベル変動効果を合わせればエクシーズ召喚で反撃に打って出れると北斗は踏んだ。

 

「この瞬間、M•HERO ダーク・ロウのもう1つの効果発動!」

 

「なっ!?」

 

しかしその戦略も遊代のダーク・ロウ効果発動宣言により崩される事になる。何故ならば既にダーク・ロウのもう1つの効果発動の条件が整ってしまっているのだ。

 

「1ターンに1度、相手がドローフェイズ以外でデッキからカードを加えた場合、相手の手札をランダムに1枚除外する!」

 

「なにぃっ!?」

 

ダーク・ロウのもう1つの効果、それは1ターンに1度だけ相手がドローフェイズ以外にデッキからカードを加えた場合、相手の手札1枚を除外する効果。手札抹殺によるドローもデッキからカードを加えた扱い、例えそれが遊代が発動したとしてもだ。

 

「ダーク・ロウ、右のカードを除外しろ!ハンド・エクスキューション!」

 

「くっ……くそ……!」

 

ダーク・ロウの効果により遊代は2枚ある北斗の手札の内、右側のカードを選ぶと30㎝台のダーク・ロウのソリッドビジョンがその手札を鉤爪で切り裂いて除外する。除外されたのは死者蘇生、これで墓地のカウストを特殊召喚する手段が絶たれ次のターンの戦略がズタズタにされてしまう。しかも手札はシェアト1枚のみ。モンスターは居らず残るリバースカードはこの状況では役に立たない罠カード1枚のみ。

 

「オレはカードを1枚セットして、ターンエンド!」

 

そして同じく手札抹殺で手札を入れ替えた遊代はドローしたカードを確認するとそのカードをセットしターンを終えた。

 

「おいおい北斗、ヤベェんじゃねーか?」

 

「このままだとまた負けるわよ」

 

「くっ……うるさいっ!僕がこのままやられる訳ないだろう!僕のターン!」

 

強がりこそ見せるが刃や真澄の言う通り明らかに自分の劣勢。このままでは次のターンで確実に負ける。命運をかけてドローしたカードを北斗は確認した。

 

「よしっ、これなら……!」

 

ドローしたカードを確認した北斗は笑みを浮かべる。それはこの劣勢をひっくり返すことのできるカードだ。

 

「相手フィールドにのみモンスターが存在する場合、手札のセイクリッド・シェアトは特殊召喚できる。そして僕は魔法カード、強欲で貪欲な壺を発動!その効果によりデッキの上から10枚裏側表示で除外してカードを2枚ドローする!」

 

「この状況でそのカードを引くとは……まだ志島クンにもまだ流れが来ている」

 

シェアトを自身の召喚条件により特殊召喚するとマルコもデッキに入れている強欲で貪欲な壺を発動。このカードはカードを裏側で10枚除外こそするが2枚ドローできるカード。この状況では有り難いカードだ。

 

「ダーク・ロウの効果を忘れてはいねえよな?」

 

「当たり前だ。だけどダーク・ロウの効果は1ターンに1度しか使えない。さあ、どのカードを除外する?」

 

北斗もダーク・ロウの効果はわかってこのカードを発動したのだ。どの道発動しなければ北斗はもう壁モンスターを出すしか選択肢がないのだから。それにダーク・ロウの効果は同名カードを含めて1ターンに1度のみ使用できる。

 

「なら……ダーク・ロウの効果発動!相手がドローフェイズ以外でデッキからカードを加えた時、手札を1枚除外する!」

 

状況からしてドローした2枚のカードに反撃の手があると遊代は践んでいる。その中の1枚、つまり左か右のカードのどちらかを除外するつもりでいる。どちらを除外するかで流れが変わる。そう直感が告げていた。

 

「……………オレが除外するのは、左のカードだ!やれ、ダーク・ロウ!」

 

左側のカードを選択した事でダーク・ロウはそのカード目掛けて飛び上がりハンド・エクスキューションを決めにかかる。しかしその時北斗の顔には焦りはない。寧ろ『かかった』と言わんばかりの表情を浮かべていた。

 

「ならば僕はお前が選んだこのカードを発動する!」

 

「なにっ!?」

 

「手札から速攻魔法、セイクリッド・メテオを発動!」

 

北斗は遊代が選んだ左側の手札をダーク・ロウの効果にチェーンして発動する。これによりダーク・ロウの効果は選んだカードが存在しなくなった事で不発に終わる。

 

「このカードは僕の手札か墓地から『セイクリッド』モンスター1体を特殊召喚する!僕は墓地からセイクリッド・カウストを特殊召喚!」

 

セイクリッド・メテオにより墓地からカウストがケンタウロスの如く4本の足を駆けて墓地よりフィールドに舞い戻る。

 

「そしてこの効果で特殊召喚したモンスターの攻撃力以下の守備力の相手モンスター1体を破壊する!」

 

「なっ……てことは」

 

「カウストの攻撃力は1800、対してダーク・ロウ、エッジマンの守備力はどっちも1800」

 

「つまり、どっちも破壊できるって訳だ」

 

「となれば、ここは当然」

 

遊代の2体のモンスターはカウストの攻撃力と守備力は同じだが1800以下なので守備力1800のダーク・ロウもエッジマンも破壊する事ができる。どちらも破壊できるこの状況で北斗が選択するであろうモンスターは全員読めていた。

 

「僕はM•HERO ダーク・ロウを破壊する!」

 

「くっ……」

 

カウストの上空に隕石が現れるとそれがダーク・ロウ目掛けて墜ちていき隕石が直撃したダーク・ロウはその衝撃で吹き飛び破壊されてしまった。

 

「セイクリッド・シェアトの効果発動!シェアト自身のレベルを1上げる。更にシェアトの効果発動!シェアトのレベルをカウストと同じレベル5にする!」

 

「レベル5が2体……まさか」

 

こうなると北斗は勢いづく。カウストは自ら射抜いた矢によりレベルを4から5にして、シェアトは水瓶座の星の騎士とあってか携える水瓶を自分の上へと上げ、そこから降り注ぐ光で自身のレベルをカウストと同じレベル5とすふ。レベル5の光属性モンスターが2体揃った事で遊代はまたあのモンスターが来るのではと予感する。

 

「僕はレベル5のセイクリッド・カウストとシェアトの2体でオーバーレイ!星々の光よ!今再び大地を震わせ降臨せよ!エクシーズ召喚!ランク5、セイクリッド・プレアデス!」

 

「2体目のプレアデス……!」

 

射手座のα星のシェアトと水瓶座のδ星の名を持つシェアト、2体の『セイクリッド』が1つとなり遊代の予想通り2体目のプレアデスがエクシーズ召喚される。

 

「そして『セイクリッド』エクシーズが特殊召喚された事で永続魔法セイクリッドの星痕の効果発動!カードを1枚ドローする!」

 

最早忌々しいダーク・ロウは居ない。カードを除外される事はないのだ。ダーク・ロウという足枷を取っ払った北斗は更に動いていく。

 

「セイクリッド・プレアデスの効果発動!1ターンに1度、オーバーレイ・ユニットを1つ使ってフィールドのカードを手札に戻す。僕はセイクリッドの星痕を手札に戻す!」

 

「なっ……?エッジマンじゃない?」

 

「何考えてんだよ北斗!」

 

「そうよ!此処はエッジマンを戻してダイレクトアタックでしょ!」

 

プレアデスの効果でエッジマンを遊代の手札に戻してダイレクトアタックするものだと北斗以外の全員が考えていた。刃や真澄は明らかなプレイングミスだと指摘するが当の本人はどこ吹く風だ。

 

「落ち着けよ2人共、僕がプレイングミスをしたとでも思っているのか?」

 

「ああ!」

 

「昨日プレイングミスして負けたのは何処の誰よ?」

 

「んがぼぁ……!」

 

北斗としてはプレイングミスではないと決めて手を進めるつもりだったのだが刃と真澄の厳しい指摘にギャフンと一撃を喰らってしまう。特に真澄の指摘は痛い、昨日のプレイングミスとは榊遊矢とのデュエルで予想以上に追い詰められた北斗はプレアデスの効果発動のタイミングを誤り、その結果敗北へと繋がってしまった。あれによりエクシーズ召喚をマスターしてからの連勝記録が止まったのだから本人としてもショックな敗戦なのである。

 

「ぐぐっ……だけど今回はプレイングミスなんかじゃないぞ!僕は今戻した永続魔法セイクリッドの星痕ともう1枚のセイクリッドの星痕を発動!」

 

「セイクリッドの星痕を2枚……?」

 

北斗は今回はプレイングミスではないと断言し、手札に戻したセイクリッドの星痕と今さっき戻したセイクリッドの星痕の効果でドローした2枚目のセイクリッドの星痕を同時に発動する。

 

「僕はランク5のセイクリッド・プレアデスでオーバーレイ!」

 

「なっ、エクシーズモンスターでエクシーズ召喚だと!?」

 

RUMでエクシーズモンスターをランクアップさせてエクシーズ召喚するのは昨日の襲撃犯が披露した。しかしエクシーズモンスターのみでエクシーズ召喚を行うとは遊代の予想外だ。

 

「1体のエクシーズモンスターでオーバーレイ・ネットワークを再構築!眩き光もて、降り注げ!エクシーズ召喚!ランク6、セイクリッド・トレミスM7(メシエセブン)!」

 

プレアデスを元にオーバーレイ・ネットワークを再構築して現れたの蠍座の散開星団の名を持つセイクリッド・トレミスM7。プレアデスと同様に散開星団の名を持つ神星龍である。星々の輝きは宿す騎士はその姿を星を守護する竜へと変えた。

 

「まさか何のカードもなしにエクシーズモンスターでエクシーズ召喚をするなんてな……完全に予想外だったぜ」

 

「『セイクリッド』エクシーズに重ねてエクシーズ召喚できるのがトレミスの利点さ。最もこの方法でエクシーズ召喚したターンには効果を発動できないけどね」

 

セイクリッド・トレミスM7には『セイクリッド』エクシーズモンスターに重ねてエクシーズ召喚できる効果の他に1ターンに1度、オーバーレイ・ユニットを1つ取り除きフィールド・墓地のモンスター1体を手札に戻せる効果がある。しかし自身の効果でエクシーズ召喚したターンはこの効果を発動できない。

 

「そして『セイクリッド』エクシーズが特殊召喚された事で2枚のセイクリッドの星痕の効果でカードを2枚ドローする!」

 

「ナルホドな。プレアデスで星痕を戻したのはトレミスを呼び出すのに併せて手札を増やす為か」

 

「やるじゃない北斗」

 

「ふっ、だから言っただろ?プレイングミスなんかじゃなって」

 

セイクリッドの星痕を手札に戻したのは1ターンに1度の制約を打ち消す為。例え同じカードでも一旦フィールドから離れれば同じカードとしては扱わない。エッジマンの攻撃力を上回る攻撃力2700のトレミスをエクシーズ召喚と2枚の星痕をコンボする事で手札を2枚増やした。このプレイングには思わず刃と真澄も唸り感心する。

 

「このターン、僕はまだ通常召喚をしていない。僕はセイクリッド・グレディを召喚!グレディが召喚に成功した時、手札からレベル4の『セイクリッド』を特殊召喚できる。僕はセイクリッド・アクベスを特殊召喚!」

 

北斗は強欲で貪欲な壺でドローしていたグレディを召喚すると新たにドローした2枚の手札からアクベスを展開。山羊座のα星アルゲディの2つ名を持つ星の騎士が蟹座のα星アクベンスを由来とする星の騎士を呼んだ。

 

「アクベスの効果発動!召喚・特殊召喚に成功した時、僕の『セイクリッド』モンスター全ての攻撃力を500アップさせる!」

 

「なにっ?」

 

「アクベスの効果により、トレミス、グレディ、アクベス自身の攻撃力は500アップ!」

 

特殊召喚されたアクベスの効果で3体の『セイクリッド』は攻撃力を上げ、それぞれの攻撃力はトレミス3200、グレディ2100、アクベス1300となった。前のターンの劣勢から一点。一気に勝負を決める所まで来た。

 

「そしてフィールドに『セイクリッド』カードがある場合、墓地のセイクリッド・メテオを除外して効果発動!このターン相手のカードを破壊した場合、1枚につき500ポイントのダメージを相手に与える!」

 

「北斗の奴、このターンで決める気だな」

 

「そうみたいね。でもそんなに上手くいくかしら」

 

モンスターの攻撃力を上げ、ダメージ量を増やすカードまで使用したのだから北斗はこのターンで勝負を決めに行くつもりなのは見ていてわかる。真澄も北斗の強さならば可能だとは思っているが、相手は融合コースのエースである自分やマルコを倒した融合召喚のスペシャリストと言っても過言ではない遊代だ、そう思い通りに行くとは考えにくかった。

 

「バトルだ!セイクリッド・トレミスM7でE•HERO エッジマンを攻撃!エッジマンを破壊した事でセイクリッド・メテオの効果で更に500の追加ダメージだ!」

 

「くっ……」

 

攻撃力を強化されたトレミスの放つ星の如く光るブレスにエッジマンは破壊されその差600の戦闘ダメージと500の効果ダメージを受ける。これで残りLPは2900、同じく攻撃力を強化したグレディとアクベスの攻撃力の合計は3400。遊代のフィールドにモンスターは居らずこの直接攻撃を喰えばライフは尽きる。

 

「トラップ発動!ヒーロー・シグナル!オレのモンスターが戦闘で破壊された時、手札かデッキからレベル4以下の『E•HERO』を特殊召喚できる。オレはデッキからE•HERO バブルマンを特殊召喚!」

 

しかしそんな簡単に終わりはしない。遊代はエッジマンの戦闘破壊をトリガーに手札・フィールドに存在する唯一のカードであるヒーロー・シグナルを発動。仲間が倒された事でシグナルが灯り、デッキからバブルマンがフィールドという戦場へと駆けつける。

 

「バブルマンの効果発動!バブルマンがフィールドに現れた時に手札とフィールドがバブルマンのみなら、カードを2枚ドローできる!」

 

デッキから呼んだバブルマンは召喚・反転召喚・特殊召喚した時に手札・フィールドに他のカードがなければデッキから2枚ドローできる効果を発動できる。これにより遊代は手札を補給、次のターンに備える。

 

「まだ僕の攻撃は終わっていない!セイクリッド・アクベスでバブルマンを攻撃!カードを破壊した事でセイクリッド・メテオの効果で500のダメージだ!」

 

アクベスの本来の攻撃力は800だが自身の効果により強化された現在は1300。バブルマンの守備力1200を上回り辛うじてだか倒す事に成功、戦闘ダメージこそ発生しないが効果ダメージで遊代のライフをまた500削る。

 

「そしてセイクリッド・グレディでダイレクトアタック!」

 

「くっ……!」

 

攻撃力2100となったグレディの攻撃が遊代自身へとヒットした事で2100のダメージ。遊代のライフは残り300、何とか残っているが最早風前の灯火だ。

 

「そして僕はレベル4のセイクリッド・グレディとセイクリッド・アクベスの2体でオーバーレイ!」

 

バトルフェイズを終えた北斗はメインフェイズ2でレベル4のグレディとアクベスを素材に新たなエクシーズ召喚を行う。

 

「星々の輝きよ!その威光で全ての星を守れ!エクシーズ召喚!ランク4、セイクリッド・オメガ!」

 

山羊座のα星と蟹座のα星の名を持つ2体の『セイクリッド』をオーバーレイして呼び出したのはセイクリッド・カウストと同じくケンタウロスの様に半人半馬の出で立ちをした星の騎士。その名にはカウストと同じく射手座から来ており、射手座の散開星雲であるオメガ星雲から名付いている。

 

「オメガは1ターンに1度、『オーバーレイ・ユニットを1つ使う事でターン終了まで僕の『セイクリッド』モンスターは魔法・罠の効果を受けない」

 

「それを敢えてバトルフェイズ終了後にエクシーズ召喚したって事は、そのモンスターも相手ターンに効果を使えるって事か」

 

「正解、僕はカードを1枚伏せてターンエンド!」

 

オメガを呼んだ状況から遊代のターンでも効果を発動できる事を呼んだ事を北斗が感心すると、セイクリッドの星痕でドローしていた残り1枚のカードを伏せて彼はターンを終えた。

 

「やるね志島クン、ワタシよりも遊代クンを追い詰めている。エクシーズ召喚コースのエースにして40連勝しているだけはある!」

 

「40連勝?道理でつえー筈だぜ」

 

「いやー、それ程でも……あははは」

 

自分を破った遊代を追いつめている北斗に対してマルコは流石はエクシーズ召喚コースのエースと賞賛を送り、それを受けた北斗もスクールの講師に褒められて気分を良くしていた。

 

「まあ、連勝記録は昨日途絶えたけどね」

 

「ああ、これに勝たねえと連敗記録を作っちまうぞ」

 

グサグサッ!

 

「げふっ……!な、なんだよ!真澄だってこいつに負けたんだろ?何で其処まで言えるんだよ!?」

 

「私負けた事をそこまで引きずらないから」

 

「ぐぬぬ……見てろ!こいつに勝って、お前もギャフンと言わせてやる!そしてまた連勝記録を作り出してやる!」

 

日頃からこんな感じで言い負かされる北斗にとっては真澄と彼女の恩師であるマルコに勝利し、赤馬零児から高評価を得たデュエリストに勝てば彼女も見返してやれる。そして途絶えた連勝記録を1から築き直してやる!そう考えていた北斗はこのデュエルに何としてでも勝とうと決めている。

 

「まっ、こいつのライフは300でフィールドにカードはない。対して北斗のフィールドにはトレミスとオメガの2体とリバースカードが2枚。北斗の有利には違いねえな」

 

「そうね。恐らくこのターンさえ凌げば北斗の勝利だと思う。だけど……」

 

このターンを凌ぎきれば次の北斗のターンで彼が勝利する可能性はグンと高まる。しかしそれはこのターンを凌ぎきればの話。そして緋紅遊代はその1ターンで状況をひっくり返して勝利を手にするデュエリストだという事を実際にデュエルして敗れた真澄やマルコは感じ取っていた。

 

「オレのターン!ドロー!」

 

遊代の手札は2枚、フィールドには1枚もカードはない。そして手札に有るのは攻撃力1500のE•HERO ワイルドマンとフォーム・チェンジ、ドロー次第ではワイルドマンをセットする位しか残されていない。

 

「この瞬間、セイクリッド・オメガの効果発動!オーバーレイ・ユニットを1つ取り除いて、このターン僕のフィールドの『セイクリッド』モンスターは魔法・罠の効果を受けない」

 

そして遊代のドローフェイズとスタンバイフェイズが過ぎた瞬間に北斗はセイクリッド・オメガの効果を発動。これでこのターン北斗のモンスターは魔法・罠を受け付けなくなった。

 

「オレはE•HERO ワイルドマンを召喚!そして手札から魔法カードヒーローズ・エピックを発動!オレのフィールドに『HERO』が居て、墓地にレベル5以上の『HERO』融合モンスターが2体以上いるなら3枚ドローする!」

 

「なっ、3枚もドローだって!?」

 

「フィールドにはワイルドマン、墓地にはレベル6のダーク・ロウとレベル8のエスクリダオの2体!よって3枚ドローだ!」

 

しかし遊代はそれに微塵も怯まない。ドローしたのは起死回生のドローカード、ヒーローズ・エピック。このカードにより遊代は更にカードを3枚ドローする。

 

「よっしゃあ!行くぜ!」

 

ドローした3枚のカードを見た遊代はこの手札からこのターンで勝利する道筋を見つけ出し、これからその道を辿り始める。

 

「オレは魔法カード、ミラクル・フュージョンを発動!墓地のE•HERO ネクロダークマンとバブルマンを除外して『E•HERO』を融合召喚する!」

 

「墓地融合!?」

 

「黄泉に眠る英雄と、湧き出る水泡が1つとなり、1人の英雄が今目覚める!全てを凍らす絶対零度で、この世の悪を打ち砕け!融合召喚!現れろ、E•HERO アブソルートzero!」

 

まずはドローしたミラクル・フュージョンによりネクロダークマンとバブルマンを除外し、アブソルートzeroを融合召喚。しかし、これで終わる筈はない。

 

「そして手札から速攻魔法、フォーム・チェンジを発動!zeroをエクストラデッキへ戻してzeroと同じレベルの『M•HERO』を変身召喚する!」

 

「続けて変身召喚かよ……」

 

「そしてこの瞬間zeroの効果が発動!フィールドから離れた時、相手フィールドのモンスターを全て破壊する!」

 

「なんだとっ!?」

 

zeroのモンスター効果を聞かされた北斗はしまったと言わんばかりの表情となっている。その理由は全員わかっていた。

 

「セイクリッド・オメガの効果で効果を受けなくするのはあくまで魔法・罠カードの効果のみ」

 

「モンスター効果は防げねえ」

 

「その点を突くのもだけど、この状況でそのコンボを打ち出すカードを引くなんて……」

 

オメガの効果の抜け道を突くのも流石だがそれを可能にするカードを引き寄せるのも流石と言える。タクティクスと引きの強さという遊代のデュエリストセンスを披露した結果となった。

 

「絶対零度の英雄は去り際に相手を凍り付かせ、姿を変えてフィールドに舞い戻る!数多の雨をその身に纏い、仮面の英雄へ姿を変えよ!変身召喚!天より落ちる雫にて、全ての敵を浄化せよ!M•HERO アシッド!」

 

そしてフォーム・チェンジの効果によりエクストラデッキへ戻ったzeroはレベル8の仮面の英雄アシッドへと変身し、エクストラデッキからフィールドに参上する。

 

「アシッドが特殊召喚に成功した時、相手フィールドの魔法・罠カードを全て破壊し、相手モンスターの攻撃力を300下げる!」

 

「なっ……今度は魔法・罠カードもか!?」

 

モンスターはzeroの効果により凍り付き粉々に破壊されてフィールドに存在していないので弱体化こそ意味は無いが、それでも北斗の魔法・罠ゾーンのセイクリッドの星痕2枚とリバースカード2枚を一掃できる。

 

「これで北斗のフィールドはがら空き」

 

「オマケに手札もねえ……こりゃあ」

 

「まだだ!僕は墓地に送られた永続トラップ神星の逆光(セイクリッド・バックライト)の効果発動!」

 

アシッドの効果により魔法・罠ゾーンに存在していた2枚のセイクリッドの星痕、最初のターンから伏せていたたが墓地からエクシーズモンスターを復活させ自身をオーバーレイ・ユニットとするトラップカード、エクシーズ・リボーンも発動機会が無いまま破壊、しかし前のターンにセットして、今破壊され墓地へ送られた永続トラップ、神星の逆光は他の3枚とは違う。

 

「神星の逆光には2つ効果がある。1つは1ターンに1度、このカードが魔法・罠ゾーンに存在する時に『セイクリッド』モンスターの戦闘か効果で相手のカードがフィールドから離れた場合、墓地の光属性モンスター1体を『セイクリッド』エクシーズのオーバーレイ・ユニットとする効果。けどその効果の他にもう1つの効果がある!」

 

神星の逆光には北斗が説明した通り、『セイクリッド』エクシーズモンスターのオーバーレイ・ユニットを補給する効果の他にもう1つの効果がある。そしてその効果とは墓地へ送られた時にこそ発動できるのだ。

 

「神星の逆光が墓地へ送られた場合、僕の墓地の『セイクリッド』エクシーズの数までフィールドのカードを持ち主のデッキへ戻す!」

 

「デッキにだと!?」

 

「それだけじゃない!戻したカード1枚につき500のダメージがお前を襲うのさ!」

 

神星の逆光のもう1つの効果とは墓地へ送られれば墓地の『セイクリッド』エクシーズモンスターの数までフィールドのカードを対象を取らずにデッキに戻した上に1枚につき500のダメージを相手に与える効果。そして今現在、北斗の墓地にはzeroの効果で破壊されたトレミスとオメガ、そしてトレミスのオーバーレイ・ユニットとなっていたプレアデス。3体の『セイクリッド』エクシーズモンスターが眠っている。

 

「よって僕はお前のフィールドのM•HERO アシッドとE•HERO ワイルドマンをデッキへ戻す!そして2枚のカードを戻した事で1000のダメージをお前に与える!」

 

墓地に眠るプレアデスとトレミスが光となって墓地からフィールド上空へと舞い上がると、アシッドとワイルドマンの2体目掛けて光は落ちていく。

 

「やるじゃねえか北斗!土壇場で逆転しやがった!」

 

「ふはははっ!残念だったな、これでお前のモンスターは全滅してライフも0!僕の勝ちは決まりだ!」

 

「……北斗、お前……3つ間違ってる事があるぜ!」

 

「なにぃ?」

 

しかし遊代は土壇場で逆転され負けるかもしれないこの状況で北斗が3つ間違ってると反論する。それを聞いた北斗は何を言ってるんだと呆れて遊代を見ている。

 

「まず1つ目の間違いだ、オレのモンスターは全滅しねぇ!速攻魔法、クイック・トリックを発動!」

 

3つの間違いの1つ目を指摘する様に遊代は手札からクイック・トリックを発動する。

 

「クイック・トリックはオレか相手の墓地の速攻魔法を除外してその効果を発動する速攻魔法」

 

「速攻魔法をコピーするってのか!?」

 

「ふはははっ!残念だけど、クイック・トリックで墓地のマスク・チェンジか何かをコピーして『M•HERO』に変身したとしても、そのモンスターをデッキに戻せるから無意味だね!」

 

クイック・トリックの効果を聞いた北斗は遊代が狙うのは墓地の『チェンジ』速攻魔法を除外してその効果でアシッドかワイルドマンを変身させて神星の逆光から逃れようと考えているのだろうと、しかし神星の逆光は後から現れたモンスターだろうが戻せる。よって遊代の足掻きは無駄だと断言する。

 

「誰が『チェンジ』速攻魔法を除外するって言った?」

 

「なにっ?」

 

「オレが除外するのはこいつだ!」

 

しかしそれは北斗の思い込みに過ぎない。遊代が除外するのは『チェンジ』速攻魔法ではなく、手札抹殺の効果で捨てていた『速攻魔法』なのだから。

 

「オレはクイック・トリックで速攻魔法、融合解除を除外してその効果を発動する!」

 

「融合解除を除外だって!?」

 

「こいつ、何を考えてんだ……?」

 

「……っ、そうか!これなら……!」

 

「神星の逆光をかわす事ができる!」

 

遊代が除外したのは融合モンスターをエクストラデッキへ戻す速攻魔法、融合解除。融合解除を除外した事に北斗と刃は何を考えていると驚くが、同じ融合使いである真澄やマルコは遊代の意図に気付く。

 

「融合解除はフィールドの融合モンスターをエクストラデッキへ戻し、その融合素材1組がオレの墓地に揃っているなら特殊召喚できる!オレはアシッドをエクストラデッキに戻す!」

 

「変身召喚したとは言ってもアシッドは融合モンスター、融合解除でエクストラデッキに戻せる」

 

「だけど融合召喚ではないから融合素材はない。よって墓地から特殊召喚する事もできない。遊代クンはこの点を逆手に取って志島クンの効果を交わしたんだ!」

 

今回はフォーム・チェンジでzeroをエクストラデッキへ戻しアシッドを変身召喚しているのでそもそも墓地には居ない。しかし遊代は真澄やマルコの説明通り、融合モンスターでありながら融合素材が存在しない『M•HERO』に融合解除を使う事で神星の逆光を交わしたのだ。

 

「なんて野郎だ……デメリットを逆に利用しやがった」

 

「くっ、だが!まだワイルドマンが残っている!そいつをデッキへ戻せば僕の勝ちだ!」

 

プレアデスだった光は何も戻せなかったがまだトレミスだった光はワイルドマンを捕らえている。ワイルドマンだけでもデッキへ戻せば500のダメージが遊代に発生して残りライフ300の遊代は負ける。

 

「今のが2つ目の間違いだ。オレのライフは0にならねえよ!」

 

「何を言ってるんだ!苦し紛れでアシッドを戻せてもワイルドマンはどうしようもない!」

 

光がワイルドマン目掛けて落ちていき、その力にてワイルドマンをデッキへと押し戻そうとする。だが遊代は全く動じていない。それに呼応するかの様にワイルドマンは鍛え上げられた己の肉体でその光を受け流してしまった。

 

「ば、馬鹿な!何でワイルドマンがデッキへ戻らないんだ!」

 

「これがワイルドマンの効果!ワイルドマンはトラップ効果を受け付けない!」

 

「な、なんですとぉー!?」

 

遊代がワイルドマンに対して何もカードを使わなかったのはモンスターゾーンに存在する限り、ワイルドマンは罠の効果を受けない。つまり神星の逆光に対して遊代はアシッドのみを対処すればダメージは受けないので負ける事などないのだ。これには北斗も完全に想定外だった。

 

「そして3つ目の間違い、このデュエル……勝つのはオレだ!」

 

「あ……ああぁ!」

 

「終わりだな」

 

「ええ。今度こそ、ね」

 

『……志島クンには残念だけど、これで決まりだね』

 

北斗は勝利を確信していたがそれは確定してはいなかった。しかしこの遊代の勝利宣言は確定している。最早北斗に発動できるカードは無く攻撃力1500のワイルドマンのダイレクト・アタックを喰らうしかない

 

「E•HERO ワイルドマン、プレイヤーへダイレクトアタック!」

 

「ぼ、僕が……」

 

「ワイルド・スラッシュ!」

 

「僕が、連敗するなんてえぇぇー!」

 

ワイルドマンは飛び上がると両手に持つ大剣により北斗へと切りかかる。直接攻撃が当たりワイルドマンの攻撃力1500が直に北斗のLPから引かれた事で、残り1500の北斗のLPは丁度0となり、遊代の宣言通り遊代の勝利でデュエルは終わりとなった。

 

「連敗記録更新してどうすんだよ……」

 

「がくっ……」

 

刃の指摘通りだ、新たな連勝記録を作り始めるつもりがエクシーズ召喚を覚えてら初めての連敗を喫してしまった。連敗記録を更新してしまった北斗はその場でガクッとうなだれるしかなかった。




北斗、連敗記録を更新するの巻。次回の話が始まる頃には部屋の隅っこで体育座りをしている事でしょう。

いやしかし、プレアデスの強さはよくアニメに出せたなと思います。あの効果は厄介だ。因みに北斗のエクストラデッキにはプレアデスは3枚あります。セイクリッドのみでもプレアデスは簡単に出せるという恐ろしさ、しかも効果を使い終えたらトレミスになるという……

次回はXーセイバー使いの刃とのデュエルです。北斗とのデュエルで20000文字超えなのにソリティアの代名詞であるシンクロ召喚且つ大量展開特化のXーセイバーときたら……文字数がまた20000文字を超えてしまいそうですね……

そういえば、11話、12話を更新した際に何故か感想が着ませんでした(つд`)今まで更新すれば1つは感想が書かれてたのに……

マルコ「ワタシのデュエル、誰も待ってなかったのかな……」

今回の感想の他に11話やマルコ先生のデュエルがある12話の感想も書いてくださると嬉しいです。


2016年7/17
感想で指摘があった点を改訂しました。
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