遊戯王ARC-V~緋色の英雄~   作:《陽炎》

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2週間振りの投稿です。

『Xーセイバー』シンクロデッキの使い手である刃とのデュエルだけあってまあ展開力が凄いことに……





第14話 シンクロの猛攻!英雄VS剣技の騎士

「負けた……また負けた……」

 

昨日の榊遊矢とのデュエルで敗れエクシーズを習得してから続いていた40連勝が打ち切られて一夜、気持ち新たに遊代とのデュエルに勝ち新たな連勝記録を打ち立てると意気揚々とデュエルを挑んだ結果、連勝記録のスタート所か連敗記録を打ち立てるというエリート意識の高い北斗にとって非常に不名誉な結末となってしまった。そのショックから北斗は席を立つと病室の隅っこに体育座りをしながらぶつぶつと嘆いている。

 

「なんか、勝ったのに素直に喜べねえな……」

 

「志島クン、負けて悔しいのはわかるけど……そんな態度を取ったら遊代クンに失礼だよ」

 

「…………」

 

遊代もデュエリストとして確かな実力を持ってはいるがこれまでのデュエリスト人生では幾度となく負けてきた。だから北斗の負けた事がショックで悔しくなる気持ちも分かるのだがあそこまでヘコまれると罪悪感すら沸いてくる。

 

「北斗ー、俺が仇をとってやるからこっち来て見に来いよ」

 

「ほっといてくれ……」

 

「まったく、何時までもヘコんでないで刃が仇を討つって言ってるんだからデュエルを見なさいよ」

 

既に席に腰掛けてデッキをシャッフルしながら遊代とのデュエルに望もうとしている刃の呼び掛けにもほっといてくれの一点張り。業を煮やした真澄が北斗の下に歩み寄り、北斗の仇を取ると遊代とデュエルするのだから観戦して応援でもしなさいと肩に手を置いて呼び掛ける。

 

「ほっといてくれよ!」

 

右肩に置かれた真澄の右手を、北斗は振り返りながら右手で払いのけようとする。これで払いのけていただけなら真澄も呆れて勝手にしなさいと遊代と刃のデュエルを見に戻るだけで済んだ。

 

「あっ……!」

 

「なっ……!」

 

「げっ……!」

 

「し、志島クン!」

 

その光景を見た北斗、遊代、刃、マルコが驚きの声を上げる。そして北斗以外の3人のその声色は『北斗、お前は何をしているんだ!』という感情が含まれていた。この3人の見ている光景は同じだが北斗の見ている光景は異なる。

 

「きゃっ!?」

 

何故なら北斗の右手は振り払う際に真澄のスカートを巻き込み、彼女のスカートを捲り上げてしまったのだ。不幸中の幸いと言うべきでもないが捲り上げたのは前方のみなので遊代達には見えてはいないが、北斗の視線の先には普段ならば服に覆われ手まず目にする事のない同世代の異性の可愛らしいパンツが真澄の大事な所を覆っている光景が移っていた。

 

「ほ・く・と~ぉ!」

 

日頃から真澄を知る北斗や刃からすれば信じられない女子らしい悲鳴を上げたのも一瞬。捲り上げられたスカートを直ぐさめバッと両手で抑える真澄の褐色の顔は仲が良い同世代の男子にスカートを捲られパンツを見られた羞恥と怒りに満ちているのはその表情と声色から充分過ぎる程伝わってくる。

 

「ご、ごめん!ワザとじゃないんだ……!」

 

「ワザとじゃなくても許すか!バカ!変態!スケベ!」

 

北斗の顔は焦りと申し訳なさも含んでいるが女の子のパンツを見たことから顔も赤くなっている。真澄としては最早土下座して謝ろうが北斗を許すつもりは無く北斗の頬目掛けてビンタを振りかざす。

 

「ちょ……!うわっ!?」

 

「逃げるな!このスケベ!」

 

振りかざされるビンタを避けて北斗は病室を後にして逃げようと試みる。勿論真澄も北斗に一発かまさないと気は収まらず追いかけだす。

 

「待て」

 

「えっ?ちょ、離してくれ!」

 

しかし北斗の逃走は失敗に終わる。理由は学ランの襟の部分を冷淡に待てと発言した遊代に捕まれて脱出を阻まれると、瞬時に後ろから羽交い締めにされ持ち上げられてしまい、抗議しながら無情に足をバタバタさせるしか出来ない。

 

「北斗てめぇ……何て羨ま……何てけしからん真似を……」

 

「今本音出てたよな!?お前の本音出てたよな!?」

 

年頃の少年として遊代とてそういう部分に興味はある。しかしラブコメの様なベタなラッキースケベをしでかした北斗はけしからん存在だ。決して羨ましい気持ちからくる僻みではない。とは言えず、北斗にけしからんと囁く時に本音が出かけてしまった。

 

「さあ、懺悔の用意はできてっか?」

 

「ご、ごめん真澄!謝るから許してくれ!」

 

羽交い締めされて持ち上げられた北斗は拘束されながらも必死に懺悔する。だが目線の先に居る真澄は明らかに許すつもりは無い、逃げられないこの状況下では少なくとも一発ビンタはかまされるのは確定している。

 

「刃、マルコ先生!助けて!」

 

「北斗、諦めろ……」

 

「志島クン、わざとではないとはいえ反省しなさい」

 

僅かにすがった救いの可能性も呆気なく砕け散る。北斗は遊代達の総意を理解した。『大人しく罰を受けろ』。この病室に味方は誰一人いない、無情にもこれが現実だった。

 

パァン!

 

「ぶっ!」

 

パァンッ!

 

「べっ!」

 

左手で左頬に一発、見事にビンタが決まり乾いた音が部屋に響く。そして追い討ちといわんばかりに右手から繰り出されたビンタが北斗の右頬に直撃。より良い乾いた音が鳴った。

 

「ふんっ!」

 

ビンタ2発を繰り出した真澄は振り返るとそのままデュエルの準備が整ったテーブルの前に移動していく。一応お仕置きはビンタ2発で済んだ様だ。

 

「い、痛い……」

 

「自業自得でしょ!」

 

遊代から解放された北斗は涙目になりながら真っ赤な紅葉が咲いた両頬を両手で頬さすりながら痛みを和らげようとする。まあ、真澄の言う通り自業自得なので誰も同情はしないが痛そうとは思っていた。隣に立つのも気まずいので、テーブルを挟んだ反対側の位置で目線が遭わないように立ちデュエルボードを見詰めていた。

 

「さて、真澄と北斗の邪魔が入ったがデュエルと行こうぜ!」

 

「邪魔したのは北斗でしょ!」

 

「わーった、わーったよ。悪いの北斗だけだ! 」

 

一悶着あって始まるのが停止していたデュエルを開始しようと刃が仕切り出して遊代とデュエルをしようとするも真澄に噛みつかれる。なれているのか刃は軽くいなしながら宥めて漸くデュエルが開始しようとする。

 

「先に言っておくぜ、俺は行儀のいい北斗や真澄達みたいには行かねえぞ。なにせ俺は……本当に強いからな!」

 

「なっ……!また刃の奴、僕達が弱いみたいな事を………」

 

遊代が倒した真澄や北斗よりも自分は強いと宣言する刃に気を持ち直してきた北斗がイラっとくる。昨日の遊勝塾とのデュエルで刃が3番手で出る際にも同じ事を言っているので尚更イラついた。

 

「確かにムカつくけど言い訳できないでしょ。負けたのは本当なんだし」

 

グサッ

 

「ぐふっ……!」

 

真澄もカチンとは来るが事実負けているので否定できない。それは北斗も同じだ。しかしメンタルの違いからか北斗は再びダメージを受ける。

 

「特に連敗したあんたは……ね」

 

グサグサッ!

 

「がはあっ!」

 

鋭利な毒舌2連発が北斗の心に深く突き刺さる。そして北斗はその場でまるで死体の様に倒れ込んでしまった。特にキツく感じるのは真澄のスカートを捲ってパンツを見たかのをまだ許してないからだろう。

 

「そんな事言ってやるなよ。2人とデュエルしたオレから言わせて貰うと、真澄ちゃんも北斗もつえーよ。それは間違いねえ」

 

「んな事俺だってわーってるよ。けどな、こうも思ってるぜ。俺が1番強いってな」

 

真澄と北斗に勝利した遊代だがどちらの実力もそのデュエルで分かっている。それは北斗だって同じ事、よく連んでいるから2人の実力は理解している。しかし3人の中では1番強いという自信も持っている。

 

「言ってくれるな……刃」

 

「あんま調子に乗ると私達の後を追う羽目になるわよ」

 

「忠告受け取っとく。じゃあ、いくぜ!」

 

「ああ!」

 

「「デュエル!」」

 

始まるまでにトラブルこそあったがシンクロ召喚の使い手刀堂刃とのデュエルが始まった。先行である遊代は手札を5枚確認すると戦略を練り始める。

 

『シンクロ召喚なら社長さんとのデュエルで見ているけどシンクロに特化したデュエリストは初めてだ』

 

シンクロ召喚専門のデュエリストと戦うのはこれが初めて、エクシーズ召喚と比べて昔話だけ聞いた事はあれど現在はエクシーズよりその知識は疎い。この5枚の手札でどう先手を切るか頭を悩ます。

 

「オレはEーエマージェンシーコールを発動。デッキからE•HERO エアーマンを手札に加えて、召喚!エアーマンの効果、召喚・特殊召喚成功時にデッキから『HERO』を手札に加える事ができる。オレはE•HERO シャドー・ミストを手札に加える。そして融合を発動してエアーマンと手札のシャドー・ミストを融合!疾き風の英雄と、姿無き影が1つとなり、1人の英雄が今目覚める!正しき闇の力にて、悪しき敵をその手で討て!融合召喚!現れろ、E•HERO エスクリダオ!」

 

「またエスクリダオか……」

 

エスクリダオが融合召喚されたのを見た北斗は同じパターンだという意味の感想を漏らす。自分とのデュエルでも真っ先に融合召喚したのはこのエスクリダオ。墓地の『E•HERO』の数だけ攻撃力を上げるこの闇の英雄はzeroやThe シャイニングと並んで先行1ターン目で出す事を遊代は優先する事が多い。

 

「シャドー・ミストの効果、墓地へ送られた場合、デッキから『HERO』を手札に加える事ができる」

 

融合召喚は手札の消費が激しい、なのでデッキから『HERO』を手札に加えられるシャドー・ミストを加えてエスクリダオを融合して以降に備える。シンクロ召喚という召喚方法を警戒してのプレイングだ。

 

「オレはE•HERO ブレイズマンを手札に加える。そしてカードを2枚セットして、ターンエンド」

 

フィールドには効果により攻撃力2700となったエスクリダオが1体。そこに2枚のリバースカードをセットして遊代はターンを終える。

 

「俺のターン!俺はXXーセイバー ボガーナイトを召喚!このカードが召喚に成功した時、手札からレベル4以下の『Xーセイバー』1体を特殊召喚できる。俺は手札からチューナーモンスター、Xーセイバー エアベルンを特殊召喚!」

 

「早速おでましか?」

 

モンスターを召喚すると召喚されたボガーナイトの効果で手札からチューナーを特殊召喚。ボガーナイトのレベルは4、エアベルンのレベルは3。これでレベル7のシンクロ召喚が可能だ。

 

「そう急かすなよ。俺のフィールドに『Xーセイバー』が2体以上存在する場合、XXーセイバー フォルトロールは特殊召喚できる!」

 

「レベル6のモンスターを特殊召喚?」

 

遊代の世界では手札から上級モンスターを特殊召喚する手段は少なくない訳ではない。しかし自身の効果で特殊召喚できるモンスターはそんなに多くない。しかもシンクロ召喚というモンスターを複数フィールドに展開する召喚方法の性質状、モンスターを2体並べるのは前提。恐らく刃のデッキもそう構築されているのだろう。なのでこのフォルトロールの召喚方法は非常に簡単に満たせるのも頷けた。

 

「そんじゃあ行くぜっ!俺はレベル4のボガーナイトにレベル3のエアベルンをチューニング!光差する刃持ち、屍の山を踏み越えろ!」

 

獅子の仮面を付け、爪の様な刃持つ騎士が調和の輪となり、その輪を鎧とサーベルを装備したゴブリンの様な騎士が通り、一筋の光となりて輪と1つとなる。

 

「シンクロ召喚!出でよ!レベル7!Xーセイバー ソウザ!」

 

一筋の光から現れたのは筋骨隆々の大柄な戦士、ソウザ。双剣を手に握りながらボロボロの赤いマントを靡かせてフィールドに不適な笑みを浮かべ戦いに参戦する。

 

「シンクロ召喚してもソウザの攻撃力2500、フォルトロールの攻撃力は2400。エスクリダオに届かねーぜ」

 

「んな事もわからねーで俺がデュエルしてる様に見えんのか?」

 

「いいや、寧ろ次の手を繰り出す様に見えるな」

 

エスクリダオの攻撃力ならばソウザにもフォルトロールにも負ける事は無い。しかしシンクロ召喚しておいてエスクリダオを何とかする方法が無い筈が無い。恐らく次の一手をこのターンで出してくると本能が把握した。

 

「そんじゃあ、お望み通り次の手を見せてやらぁ!フォルトロールの効果発動!1ターンに1度、自分の墓地からレベル4以下の『Xーセイバー』1体を特殊召喚できる。蘇れ、Xーセイバー エアベルン!」

 

「シンクロ素材にしたチューナーを効果で復活させた?てことは……まさか」

 

フォルトロールの効果は特殊召喚条件だけではない。1ターンに1度、墓地の仲間を復活させる蘇生効果も備えている。今みたいに墓地からチューナーを復活させれば次はどんな手を繰り出すのかは大体予想が付く。

 

「そのまさかだぜ!俺はレベル6のフォルトロールにレベル3のエアベルンをチューニング!白銀の鎧輝かせ、刃向かう者の希望を砕け!シンクロ召喚!出でよ、レベル9!XXーセイバー ガトムズ!」

 

レベル6のフォルトロールにフォルトロールの効果で蘇らせたエアベルンをチューニングしてシンクロ召喚されたのは、正しく輝く白銀の鎧と綺麗な赤いマントを纏い、大剣を持つ戦士。

 

「攻撃力3100……エスクリダオを上回ったか!」

 

「さてと、準備は整った。バトルだっ!XXーセイバー ガトムズでE•HERO エスクリダオを攻撃!」

 

バトルフェイズに入ると刃は攻撃力3100のガトムズでエスクリダオを倒しにかかる。ガトムズの鍛え上げられた身体から繰り出される大剣の斬撃はエスクリダオを見事に切り倒した。そして遊代にガトムズとエスクリダオの攻撃力の差400のダメージを与える。

 

「これでフィールドはがら空きだ!ソウザでダイレクトアタック!」

 

「悪いがそれは通さねーぜ。トラップ発動!ガード・ブロック!オレの戦闘ダメージを0にしてカードを1枚ドローする」

 

ソウザのダイレクトアタックで更に2500のダメージを狙う刃だったが遊代はガード・ブロックでダメージを防ぎつつ手札を補給した。

 

「ちっ、そう上手くは行かねえか。俺はカードを2枚伏せて、ターンエンドだ」

 

「ならエンドフェイズにリビングデッドの呼び声を発動!墓地のエアーマンを復活させる!そしてエアーマンの効果でデッキからE•HERO ボルテックを手札に加える」

 

「次のターンに備えて来やがったな……やるじゃねえか」

 

刃がリバースカードをセットしてターンを終えようとしたエンドフェイズに遊代は永続罠、リビングデッドの呼び声でエアーマンを蘇生。そしてエアーマンの効果で新たな『HERO』を手札に加えて次の自分のターンに備えるプレイングに刃は感心する。

 

「はー、危ねえ危ねえ。トラップ伏せてなけりゃヤバかった」

 

1ターンで2度のシンクロ召喚を決めてくるとは、流石にシンクロ召喚に特化しているだけの事はある。ガード・ブロックが無ければ直接攻撃を喰らっているところだった。

 

「色んな召喚方法を見てきたけど、上級モンスターの大量展開ならシンクロ召喚は一番特化してるかもな……」

 

エクシーズ召喚はランクに合わせてレベルを揃える必要があり、オーバーレイ・ユニットとなっているモンスターはエクシーズモンスターの下に重なっているからその間は何もできない。融合召喚はモンスターの他に融合召喚するカードを用意する必要があり、そう何度も融合召喚できない。。しかしシンクロ召喚はチューナーさえ採用すれば様々なレベルのモンスターを採用でき、大量展開と蘇生を駆使すればレベルを変えずとも元のレベルで幅広いレベルのシンクロ召喚を可能とし、一気に強力なモンスターを展開できる。これまで目にしてきた召喚方法の中でも融通が効く召喚法かもしれない。

 

「いい所に気付くじゃねえか。特に俺の『Xーセイバー』は展開力が高えからな、一瞬でも気ぃ抜いたら攻め込まれて負けるぜ」

 

「忠告どーも。でもオレは、デュエルの間は気を抜く事なんてないんでね!オレのターン!」

 

刃の言う通り彼の使うデッキはXーセイバーとXXーセイバーからなる『Xーセイバー』デッキ。その展開力の高さでどんどんシンクロモンスターを呼び出してその展開力と効果で相手を圧倒するデッキだ。本人の言うように一瞬でも気を抜けば攻め込まれて負ける、しかし遊代は例え周りが気を抜いている様に思えても一瞬たりともデュエルでは気を抜いていない。

 

「オレはE•HERO ブレイズマンを召喚!ブレイズマンの召喚・特殊召喚に成功した場合、デッキから『融合』を手札に加える事ができる。オレは『融合』として扱う置換融合を手札に加える」

 

とは言っても遊代も融合召喚を使いこなすデュエリスト、手札消費のデメリットを補う事も得意としている。現に先行第1ターンではエアーマンの効果でシャドー・ミストを加え、そのシャドー・ミストの効果でブレイズマンを加えた。そして前の刃のターンではガード・ブロックでダメージを0にしつつドローし、エアーマンを蘇生してボルテックを加え、このターンはブレイズマンの効果で置換融合を加えている。なので融合召喚を行い、リバースカードを2枚発動して3ターン目にも関わらず現在の手札は5枚とデュエル開始当初のままである。

 

「オレはブレイズマンの効果で手札に加えた置換融合を、発動!フィールドのエアーマンとブレイズマンの2体を融合!疾き風の英雄と、灼熱の炎が1つとなり、1人の英雄が今目覚める!激しく燃える正義の炎で、仇なす悪を焼き尽くせ!融合召喚!現れろ!E•HERO ノヴァ・マスター!」

 

手始めにフィールドのエアーマンとブレイズマンを融合しノヴァ・マスターを融合召喚。これが遊代がこのターンに動く鍵となる。

 

「そして墓地の置換融合はフィールドのモンスターでしか融合召喚できない代わりに墓地のこのカードを除外し、オレの墓地の融合モンスターをエクストラデッキへ戻して1枚ドローする効果がある」

 

「融合召喚のみならずドローまで行うカードだって!?」

 

「んなカードまであんのかよ……」

 

「オレは置換融合を除外して効果発動!エスクリダオをエクストラデッキに戻し、カードを1枚ドローする!」

 

遊代は更にドローまで行う融合カードに驚く北斗と刃を尻目に墓地の置換融合の効果を発動。エスクリダオを戻して更に手札を補充。これで手札は5枚となる。

 

「よしっ、オレは魔法カード融合回収を発動!墓地の融合と融合素材としたエアーマンを手札に加える。そしてフィールドに『HERO』が存在する事で魔法カードHERO'sボンドを発動!手札からエアーマンとボルテック、2体の『E•HERO』を特殊召喚!そしてエアーマンが特殊召喚に成功した事でデッキからE•HERO ネクロダークマンを手札に加える」

 

置換融合の効果でドローしたカードを手札に加えると前のターンにガード・ブロックでドローしていた融合回収を発動してエアーマンと融合を回収。更にHERO'sボンドで手札からエアーマンとボルテックの2体を特殊召喚。更にエアーマンの効果でネクロダークマンをサーチ。展開と補充を効率よく繰り返していく。

 

「そしてオレは融合を発動して手札のネクロダークマンとフィールドのエアーマンを融合!黄泉を守る英雄と、疾き風が1つとなり、1人の英雄が今目覚める!嵐の如き激しき力で、全ての敵を吹き飛ばせ!融合召喚!現れろ!E•HERO Great TORNADO!」

 

「2体目の融合召喚か、だが攻撃力は2800。それじゃあガトムズは倒せねえぜ!」

 

「いいえ、Great TORNADOの恐ろしさはフィールドに現れたこの瞬間よ」

 

融合召喚されたGreat TORNADOの攻撃力がガトムズを下回っているのを確認した刃はそれではノヴァ・マスターでソウザを倒せてもガトムズは残る。そう侮る刃にGreat TORNADOの効果を2度も1回のデュエルで経験した真澄が真骨頂は正に今だと解説する。

 

「Great TORNADOが特殊召喚された時、相手フィールドのモンスターの攻撃力・守備力を全て半分にする!」

 

「なにっ!?」

 

「全てのモンスターの攻撃力と守備力を半分にだって!?」

 

その単純且つ豪快な効果に刃と北斗は驚きを隠さない。たった1体で相手モンスターを軒並み弱体化させ、攻撃力あるいは守備力が5600以下のモンスターはこのモンスターで倒されてしまうのだから。そしてGreat TORNADOのタウン・バーストが刃のフィールドに巻き起こり、ソウザとガトムズの攻撃力・守備力は半分吹き飛ばされてしまった。

 

「更に手札からミラクル・フュージョンを発動!墓地のエアーマンとフィールドのボルテックを除外して融合!疾き風の英雄と、激しき稲妻が1つとなり、1人の英雄が今目覚める!眩き輝き解き放ち、全ての悪を滅殺せよ!融合召喚!現れろ !E•HERO The シャイニング」

 

「融合モンスターが3体も……」

 

「これは壮観だね……」

 

ノヴァ・マスター、Great TORNADO、The シャイニング。レベル8の融合モンスターを1ターンで3体も融合召喚した遊代のフィールドには3体の最上級『HERO』が見参しており、その光景はテーブル上の小さなソリッドビジョンとは言え壮観の一言だった。

 

「The シャイニングの攻撃力は除外されている『E•HERO』1体につき300ポイントアップする。除外されているのはミラクル・フュージョンで除外したエアーマンとボルテックの2体、よって攻撃力は3200!」

 

「この状況で攻撃力3000越えのモンスターだと!?」

 

『さて、このまま攻撃すれば勝てるけど……』

 

刃からすれば自分のモンスターを弱体化させられた所に攻撃力3000越えのモンスターを追い討ちで呼び出されたのでこれ以上の攻めはごめん被りたい所だが遊代からすれば刃のフィールドにセットされている2枚のリバースカードが気になる。しかし今の遊代の残る1枚の手札はカードを破壊するカードではない。

 

「オレは魔法カード、フュージョン・ギフトを発動!フィールドの融合モンスターと同じ枚数、デッキからカードをドローする!」

 

「なにぃ!?」

 

「刃のフィールドには融合モンスターは居ないけど、あいつのフィールドには融合モンスターであるノヴァ・マスター、Great TORNADO、The シャイニングの3体が居るから……3枚ドローだって!?」

 

「ホント……ドローしすぎよね」

 

そのカードを破壊するカードではないが、融合使いの遊代にとっては時としてHEROの遺産よりカードをドローできるフュージョン・ギフトを発動。観戦している北斗は自分とのデュエルで発動されたHEROの遺産を凌ぎかねないドローカードに驚き、真澄もドローするカードの多さとそれを使いこなし何度もドローする遊代に驚きを超えて呆れそうになる。

 

「バトルだ!E•HERO ノヴァ・マスターでXーセイバー ソウザを攻撃!ボルケーノ・ナックル!」

 

ドローした3枚を手札に加えるとそのまま遊代はバトルフェイズに入り、ノヴァ・マスターで初陣の攻撃を決めに掛かる。

 

「ただでやられっかよ!トラップカード、セイバー・タクティクスを発動!このカードは相手が攻撃した時、デッキから『セイバー』マジックかトラップを発動できる!」

 

「デッキから直接発動だと!?」

 

「セイバー・タクティクスの効果で俺はデッキからフィールド魔法、セイバー・ヴォールトを発動!」

しかし刃はノヴァ・マスターの攻撃をトリガーにトラップを発動。その効果により相手ターンにデッキからフィールド魔法を発動し、刃のフィールドは剣を収める貯蔵室の様になる。

 

「セイバー・ヴォールトの効果によりフィールドの『Xーセイバー』はそのレベル×100攻撃力がアップする!その変わりに守備力がレベル×100ダウンするがな」

 

フィールド魔法の効果により弱体化していたソウザとガトムズの攻撃力がそれぞれ自身のレベル×100アップする。守備力こそ更に脆くなったが攻撃表示なので大した問題はない。

 

「だがノヴァ・マスターの方がまだ攻撃力は上!そのままソウザを攻撃だ、ノヴァ・マスター!」

 

「ちっ……!」

 

「そしてノヴァ・マスターがバトルで相手モンスターを破壊した時、カードを1枚ドローする!」

 

フィールド魔法の効果で自身のレベル×100、つまりレベル7のソウザは攻撃力が700アップしているが、それでも攻撃力1950。とてもノヴァ・マスターに太刀打ち出来る筈もなく、自身を守ろうと構えた双剣もろとも炎の拳で殴り倒され、刃のLPを650削り取る。そして更にノヴァ・マスターの効果でドローし畳み掛けに出る。

 

「そしてThe シャイニングでXXーセイバー ガトムズを攻撃!オプティカル・ストーム!」

 

続けてThe シャイニングで残るガトムズを倒そうと攻撃を試みる。セイバー・ヴォールトの効果で攻撃力が900アップしているとはいえ、Great TORNADOに半分削られているので攻撃力2450。ソウザと同じ様に弱っているガトムズを倒せば750のダメージを刃に与えられ残りライフは2600、攻撃力2800のGreat TORNADOの攻撃が通ればそれで決められる。

 

「そう上手くいくかよ!トラップカード、身剣一体を発動!このカードは俺の『Xーセイバー』が1体のみの場合に発動できる。そして発動したこのカードは『Xーセイバー』の装備カードとなり、攻撃力が800ポイントアップする!」

 

「なっ……てことは」

 

「俺のフィールドにはガトムズのみ!つまり身剣一体はガトムズに装備され、攻撃力が800アップだ!」

 

モンスター1体のみの場合に発動できる装備カードとなる罠なので必然的にその1体に身剣一体が装備される。現在ガトムズの攻撃力は2450、だが其処に800を足せば攻撃力は3250。The シャイニングの攻撃力を50だが上回った。

 

「攻撃力が変化しても仕掛けた攻撃は止まらない」

 

「返り討ちにしろ!ガトムズ!」

 

マルコの解説通り例え相手モンスターの攻撃力が自分のモンスターの攻撃力が上回っても攻撃は続行のまま。攻撃力がThe シャイニングを上回ったガトムズが己の大剣でThe シャイニングを迎え撃ち、斬り倒した。

 

「くっ、The シャイニングの効果!フィールドから墓地へ送られた時、除外されている『E•HERO』2体を手札に加える!オレはエアーマンとボルテックを手札に加える!」

 

「なら俺も身剣一体の効果発動!このカードを装備したモンスターがバトルで相手モンスターを破壊した場合、カードを1枚ドローする!」

 

遊代も倒されたThe シャイニングの効果でミラクル・フュージョンで除外したエアーマンとボルテックの2体を手札に加えるが、刃もガトムズに装備された身剣一体の効果でドローを行う。例え50でも戦闘ダメージを与えた事には変わらない。

 

「俺はカードを3枚伏せて、ターンエンド!」

 

Great TORNADOではガトムズは倒せない。そして手札には迎撃を行えるカードはないので遊代はバトルフェイズを終了。そしてフュージョン・ギフトでドローした内の2枚とノヴァ・マスターの効果でドローした1枚、併せて3枚のカードを伏せてターンを終えた。

 

「ふー、ヒヤヒヤしたぞ刃。危うくこのまま攻め込まれるかと思った……」

 

「んな訳ねーだろ。俺がんな簡単に負けるかってのっ!俺のターン!」

 

もしかするとこのまま遊代が攻め込んで勝つのではと思った北斗は刃が最小ダメージに留めて切り抜けた事にホッとしていたが、当の刃はこんな所で自分が負ける訳がないと自身満々でドローをする。

 

「さて、俺は墓地のセイバー・タクティクスを除外して効果発動!デッキから『Xーセイバー』か『セイバー』マジックかトラップを手札に加える事ができる。俺は魔法カード、セイバー・ドローを手札に加えて発動!手札のXーセイバー パシウルをリリースしてカードを2枚ドローする!」

 

カードをドローした刃は前のターンにセイバー・ヴォールトを発動するトリガーとなったセイバー・タクティクスのもう1つの効果を使い、その効果で加えたセイバー・ドローをパシウルをコストに発動。このカードは手札・フィールドの『Xーセイバー』をリリースして2枚ドローできる。これにより刃は手札のパシウルをリリースして2枚ドローを行う。

 

「よっしゃあ、ツイてるぜ!俺は永続魔法、セイバー・フォーメーションを発動!このカードがある限り俺は通常召喚に加えてもう1度『Xーセイバー』を召喚できる!」

 

「通常召喚まで増やすだと?」

 

刃はセイバー・ドローで引き込んだ1枚である永続魔法を発動。特殊召喚を繰り返して大量展開を行い、それらのモンスターを起点にシンクロ召喚を次々と行う

だけでも厄介だと言うのに通常召喚を2回もされたらどうなってしまうのか?

 

「俺はXXーセイバー ボガーナイトを召喚!コイツが召喚に成功した時、手札からレベル4以下の『Xーセイバー』を特殊召喚できる。現れろ!XXーセイバー レイジグラ!」

 

「なんだ?今までの奴らと違って随分可愛い奴が出てきたな」

 

2体目のボガーナイトの効果で呼び出されたレイジグラはレベル1、攻撃力200の低レベル・低ステータスのモンスター。しかもこれまでのXーセイバーとは異なり小柄なカメレオンの戦士だ。遊代としては軽く意表を付かれた気分である。

 

「コイツを見た目で判断すると痛い目見るぜ。レイジグラの効果発動!召喚・特殊召喚成功時、墓地から『Xーセイバー』1体を手札に加える事ができる!俺は墓地からXXーセイバー フォルトロールを手札に」

 

「なっ、フォルトロールが手札に戻ったって事は……」

 

別に遊代はレベルと攻撃力が低いからとは言えモンスターを侮る様な真似はしないが、レイジグラのその効果を目にした事で次の戦況が読めてくる。フォルトロールの効果は既にこのデュエルで目の当たりにしているので次にフォルトロールが特殊召喚されるのはもう確信できた。

 

「そうだ!自分フィールドに『Xーセイバー』が2体以上いる時、フォルトロールを特殊召喚できる!そしてフォルトロールは1ターンに1度、墓地からレベル4以下の『Xーセイバー』を特殊召喚できる。蘇れ!チューナーモンスター、Xーセイバー パシウル!」

 

「あっという間に5体のモンスターを並べやがった……」

 

「何時もながら凄い展開力よね」

 

「この圧倒的な展開力、そしてそのモンスターを使ってのシンクロ召喚を行っての攻撃。『Xーセイバー』の恐ろしさを遺憾なく発揮してるな」

 

「本当、この展開力は融合召喚やエクシーズ召喚を上回ってるね」

 

ボガーナイトの召喚を起点に瞬く間に4体の剣士達を並べ刃のモンスターゾーンは全て『Xーセイバー』ーで埋まった。何度も刃のデュエルを見てきた真澄や北斗だがこの展開力とシンクロ召喚のスピードには感心しつつ驚いてしまう。マルコの感想が物語っている様に他の召喚方法よりも展開力は一際抜きん出ている。

 

「モンスターを並べたぐれぇで何言ってんだ?こっからが『Xーセイバー』の恐ろしさだぜ!俺はレベル4のボガーナイトにレベル2のパシウルをチューニング!赤きマント翻し、剣の舞で敵を討て!シンクロ召喚!出でよ!レベル6、XXーセイバー ヒュンレイ!」

 

ボガーナイトにパシウルをチューニングしてシンクロ召喚されたのはゴツい2体の男の戦士を素材にシンクロ召喚したとは思えないヘルメットを被った女の剣士。軽やかに剣を振るい赤いマントを靡かせながらヒュンレイはフィールドに見参した。

 

「ヒュンレイがシンクロ召喚に成功した時、フィールドの魔法・罠カードを3枚まで破壊できる!」

 

「なにっ!?」

 

「当然俺が破壊すんのはお前のリバースカード3枚だ!」

 

ヒュンレイがその手に剣を持ちながらまるで舞でも踊るかの如き剣裁きで遊代のリバースカード3枚を破壊しに掛かる。

 

「しゃーねえ……!リバースカードオープン!速攻魔法、非常食!オレはリバースカード2枚とリビングデッドの呼び声を墓地へ送り、墓地へ送ったカード1枚につきライフを1000回復する!墓地へ送ったのは3枚、つまり3000回復だ!」

 

「ちっ、かわしたか。だがこれでリバースカードは無くなったぜ」

 

非常食でエアーマンを復活させた後は意味もなく残っていたリビングデッドの呼び声と、セットされていた2枚のリバースカードを墓地へ送りライフを3000回復こそしたが、刃の言う通りこれで遊代にはもう反撃のトラップは無くなってしまった。

 

「そして永続魔法セイバー・フォーメーションのもう1つの効果!『Xーセイバー』がシンクロ召喚された場合、カードを1枚ドローできる!」

 

「なっ、シンクロ召喚する度にドローするだと!?」

 

1つ目の効果で『Xーセイバー』の通常召喚を追加し展開力をアシスト。そして大量展開で消費した手札をシンクロ召喚する事でドロー。見事に噛み合っているる。恐ろしいカードだ。最も自分フィールドに1枚しか表側表示で存在できないのが唯一の救いと言えば救いか。

 

「この程度で驚いてんじゃねえ、こっから更に追い詰めてやるぜ!ガトムズの効果発動!自分フィールドの『Xーセイバー』1体をリリースして、相手の手札をランダムに1枚選んで捨てる!」

 

「なっ、なんだと!?」

 

「出たな!刃の必殺コンボ!」

 

刃が発動したガトムズの効果は仲間をリリースする事で相手の手札を捨てさせる恐ろしい効果。仲間をコストに相手の手ズタズタにする非情にして非常に

強力な効果、勝利の為ならば犠牲すら厭わないガトムズの信念を表している。

 

「俺はボガーナイトをリリースして効果発動!さあ、右端のカードを捨てて貰うぜ!」

 

「くっ……!」

 

ボガーナイトをリリースしてガトムズの効果が使い刃は右端のカードを選ぶ。選ばれたのはエアーマン、刃もエアーマンの効果もThe シャイニングの効果で右端に加えたのをしっかり見ていた。故にエアーマンを捨てさせたのだ。

 

「更にフォルトロールをリリースして今度は真ん中のカードを捨てて貰うぜ!」

 

「なっ!?その効果、1ターンに1度の制限がないのかよ!?」

 

「わりぃな。ガトムズはこの効果しかない代わりにコストがあれば何度でもこの効果を使えんだよ」

 

「くそっ……」

 

そう。XXーセイバー ガトムズの恐ろしい点はリリースできる『Xーセイバー』さえ居れば1ターンに何度でもその効果を使い、相手の手札がどれだけ有ろうが全て捨てさせる事ができるのである。

 

『手札を捨てられるのは完全に予想外だ。けどオレの残り1枚の手札を捨てさせるにはあと1体リリースする必要がある。刃のフィールドにはガトムズ、フォルトロール、ヒュンレイの3体。例え2体のモンスターを倒して直接攻撃をしようとしてもコイツで何とか……』

 

遊代の残る手札1枚はフュージョン・ギフトでドローしていたモンスター、ダメージ・リフレクター。自分のモンスターが攻撃された時、手札から捨てる事で自分モンスターはこのターン戦闘では破壊されず、そのモンスターの戦闘で発生するダメージを半分にしつつ相手にもその戦闘ダメージを反射する効果を持つ。これならば1体だけは守り抜ける。

 

「そして更にフォルトロールをリリースしてガトムズの効果を発動!残り1枚の手札も捨てて貰うぜ!」

 

「なっ……攻撃しないでガトムズの効果を!?」

 

フォルトロールの攻撃力はセイバー・ヴォールトによりレベル×100アップしており、レベル6の自身の攻撃力は2400から3000となっている。ならば攻撃してモンスターを倒してからヒュンレイかフォルトロールをリリースしてから効果を使った方がいい。驚きながらも遊代は最後の1枚であるダメージ・リフレクターを墓地へ捨てる。

 

「何で攻撃しないでガトムズの効果を使ったか不思議そうだな?」

 

「あ、ああ。それが分かってるならなんで……っ!」

 

刃自身もその点は理解している様子から尚更何故攻撃要員を減らしたのかと聞こうとしたその瞬間、遊代の紅い瞳に刃のフィールドの『あのカード』が目に入る。

 

「そうか!まだその効果が……!」

 

「どうやら気付いたみてえだな。そうだ、確かに俺はもう通常召喚をしたが、セイバー・フォーメーションの効果でもう1度通常召喚ができるんだよ!」

 

そう。このターン既に刃はボガーナイトを召喚しており本来ならばもう通常召喚できない。しかしセイバー・フォーメーションの効果でまだ刃は『Xーセイバー』を召喚できるのである。

 

「オレは2体目のXXーセイバー レイジグラを召喚!召喚したレイジグラの効果で墓地からフォルトロールを手札に加える!そしてフィールドに『Xーセイバー』が2体以上いる事でフォルトロールを特殊召喚!フォルトロールの効果で墓地からXーセイバー パシウルを復活させる!」

 

「くっ……!」

 

刃はセイバー・フォーメーションの効果でドローしていた2体目のレイジグラを召喚すると、そこからフォルトロールをサルベージし特殊召喚。更にフォルトロールの効果で墓地からパシウルを復活させ、再び5体の『Xーセイバー』をフィールドに揃えた。

 

「そしてレベル6のフォルトロールとレベル1のレイジグラにレベル2のパシウルをチューニング!白銀の鎧輝かせ、刃向かう者の希望を砕け!シンクロ召喚!出でよ!レベル9、XXーセイバー ガトムズ!」

 

そしてフォルトロールとレイジグラにフォルトロールの効果で蘇生したエアベルンをチューニングさせて2体目のガトムズをシンクロ召喚。セイバー・ヴォールトの効果でレベル×100攻撃力が上がりその攻撃力は4000となっている。

 

「そして『Xーセイバー』のシンクロ召喚に成功した事によりセイバー・フォーメーションの効果でドロー!これで準備は整ったぜ。バトルだっ!」

 

シンクロモンスター3体を揃え攻撃の布陣を整えた刃はいよいよバトルフェイスに突入し、猛攻を仕掛けにかかる。

 

「まずは2体のガトムズで行くぜ!1体目のガトムズでGreat TORNADOに、2体目のガトムズでノヴァ・マスターを攻撃だ!」

 

「くっ……」

 

先陣を切るのは2体のガトムズ。攻撃力4000のガトムズがノヴァ・マスターをその大剣で一刀両断すると、身剣一体を装備した攻撃力3250のガトムズが続いてGreat TORNADOを薙ぎ倒す様に斬り伏せる。合わせて合計1850のダメージが遊代のライフ6550から引かれる。

 

「そして1体目のガトムズに装備している身剣一体の効果でドロー!これでテメーのフィールドはガラ空きだ!やれヒュンレイ!」

 

「手札もフィールドにもカードは無い。このダイレクトアタックも通るな」

 

遊代のフィールドにはモンスターもリバースカードも無く、手札も0。このままならば北斗の言うように攻撃力2900となったヒュンレイの剣戟の舞は遊代に直撃する。

「それはどうかな?」

 

「なに?」

 

「墓地のダメージ・リフレクターの効果発動!」

 

「墓地からモンスター効果……っ!」

 

北斗の解説に被せる様に否定的な言葉を紡いだ遊代はガトムズの効果で墓地へ捨てられたダメージ・リフレクターの効果を発動させる。

 

「このカードを除外して、オレに発生したダメージを相手に跳ね返す!」

 

「んだどっ!?」

 

ダメージ・リフレクターは反射の名を持つ通り、ダメージを跳ね返す2つの効果を持つ。手札から発動できるのはそのターン自分のモンスターに戦闘破壊耐性と戦闘ダメージを半分にしつつ相手にも跳ね返す効果だが、墓地から除外発動できるこの効果は1度だけだが効果ダメージも無効にでき全てのダメージを相手に跳ね返す事ができる。

 

「つまりヒュンレイのダイレクトアタックで発生するオレへの2900のダメージは代わりに刃、お前が受ける!」

 

「くそっ!やってくれるじゃねえか……」

 

「おいおい、刃。僕の仇を取ってくれるんじゃないのか?これじゃあ昨日の二の舞じゃないか」

 

「そうよ。このままじゃ北斗みたいに引き分け所か負けるわよ」

 

「僕みたいには余計だっ!」

 

2900の戦闘ダメージを与えるつもりが逆にその戦闘ダメージをモロに跳ね返されてしまい、残りLPは450。いくら遊代の手札もフィールドにもカードが無いとは言えどもこれでは危険ラインである事に変わりない。昨日の遊勝塾との対抗デュエルでも3戦目に出た自分は今回の様に追い詰めつつガトムズの効果で相手の手札を全て捨てさせたが、捨てさせたカードを墓地から発動され結果引き分けに終わってしまった。それにこのままでは真澄の指摘通り引き分け所か北斗に次いで敗北の可能性すらある。

 

「何言ってんだ?このまま終わる訳ねーだろ!手札から速攻魔法、セイバー・リフレクトを発動!俺のフィールドに『Xーセイバー』が存在する時に俺がダメージを受けたなら、その数値分俺はライフを回復する!」

 

しかしそう何度も同じ手を連続で喰らわない。手札から発動した速攻魔法セイバー・リフレクトでダメージ・リフレクターによって跳ね返された戦闘ダメージ2900分のライフを刃は回復してダメージを受ける前の3350にまで戻した。

 

「ちっ……帳消しか」

 

「そいつは違うぜ。セイバー・リフレクトの効果はまだ続いてんだ。俺が回復した分だけ、テメーにダメージを与える!」

 

「なっ……!?」

 

何と跳ね返したダメージを帳消しにされたかと思えさ更にその数値分のダメージを自分に与えるという効果。ダメージ・リフレクターの効果がほぼ何の意味も無い物となってしまった。

「俺はセイバー・リフレクトの効果で受けたダメージ2900分ライフを回復して、テメーに2900のダメージを与える!」

 

「くそっ、結局こうなるのかよ……」

 

「そしてデッキから『セイバー』マジックかトラップ、『ガトムズ』カードの中から1枚を手札に加える事ができる。俺はデッキから2枚目のセイバー・リフレクトを手札に加えるぜ」

 

遊代が現在反撃できる唯一の手段であるダメージ・リフレクターの効果すら対処され、手札を使わせたと思いきや2枚目のセイバー・リフレクトを加えられ結局ダメージ・リフレクターの効果が不発に終わった様な結果となってしまう。

 

「俺は魔法カード、セイバー・レクイエムを発動!俺の墓地に眠る『Xーセイバー』1体につき200ポイントのダメージを与える!」

 

バトルフェイスを終えた刃は自分の場に『Xーセイバー』が存在する場合に発動できるセイバー・レクイエムの効果で墓地の『Xーセイバー』×200のダメージを与え更に遊代を追い詰める。墓地に眠る『Xーセイバー』はボガーナイト、レイジグラが2体ずつ、パシウル、エアベルン、フォルトロール、ソウザが1体ずつの合計8体。

 

「俺の墓地に眠る『Xーセイバー』は8体、つまりテメーには1600のダメージを喰らって貰うぞ!」

 

「くっ……!」

 

「そしてカードを1枚セットして、ターンエンドだ」

 

残りライフ1800の遊代に追い討ちを掛ける1600のダメージにより遊代のLPは残り200。そして刃は残る1枚の手札をセットしてターンを終えた。

 

「これは刃の勝ちで決まりだな。相手はフィールドも手札も0。加えて刃が伏せたのはセイバー・リフレクト。刃の勝ちは見えている」

 

「そうね……流石にこれは」

 

北斗が解説した様に遊代の手札もフィールドにもカードは無く、墓地にも友好的なカードが有るとすればネクロダークマンのみ。しかもセイバー・リフレクトが伏せられているので3350以下のダメージを与えればその瞬間ライフを回復されその数値分のダメージを受けて敗北するので仮に『HERO』を連続で融合できたとしても連続攻撃でフィニッシュとなる前に自分のライフが尽きる。

 

「だから言ったろ北斗、仇は取ってやるってなっ」

 

「ああ、流石は刃だ。シンクロ召喚コースのエースなだけはある!」

 

「まあ、お前が負けたのには変わらねえけどな」

 

グサッ!

 

「そ、それはわざわざ言わなくてもいいだろ!」

 

普通に賞賛を受け止めればいいのにこうして人の敗北を弄ってくる刃に文句を言いつつも北斗は刃の勝利を確信している。いくら何でもこの状況を1ターンでひっくり返すのは不可能だ、北斗も刃もそう確信した。

 

「なぁ?なんでオレが負けた事になってんだ?」

 

「なんでって……お前のフィールドには1枚もカードは無いし、おまけに手札も0」

 

「しかもセットしたセイバー・リフレクトの効果でテメーが俺にダメージを与えれば、その瞬間にライフを回復してその数値分のダメージをテメーに与える」

 

「貴方が勝つには一撃で刃のライフを0にするしかないのよ?」

 

遊代が勝つには一度のダメージで刃のLPを3350削る必要がある。しかも残りライフ200の遊代は例えセイバー・リフレクトのダメージを何とか対処したとしてもこのターンで決めなればならない。でなければ次のターン間違い無く刃の勝ちだ。同じ融合使いとして遊代の実力を評価している真澄でもこの圧倒的不利な状況下を1ターンで覆して勝利するなど不可能と感じていた。

 

「ならこのターンで決めればいい。そうだろ?」

 

「んなの無理に決まってっだろ。どれだけ不利だと思ってんだ?」

 

「確かに今のオレは誰がどう見ても圧倒的に不利だ。けど……まだ負けちゃいねぇ」

 

遊代とてこの状況が劣勢極まりない事が分からない程アホではない。だが負ける寸前にまで追い詰められてこそいるがまだ負けていないし、『負けが確定した訳でもなければ不可能と決まってもいない』。

 

「ヒーローってのは、例えどんだけ追い詰められて、絶体絶命のピンチに陥っても、土壇場で奇跡の逆転勝利を飾るのさ!」

 

「なら起こしてみろよ。起こせるもんならな」

 

「ああ、見せてやるぜ!オレのターン!ドローっ!」

 

遊代はこれまで幾度となく画面の向こう側でどれだけ追い込まれても最後は勝利で物語に幕を下ろすヒーローの姿を見て来た。そして同じ位、自分と同じ『HERO』使いの2人が『HERO』と共に逆転劇を起こして勝つ光景も見てきた。そして自分もこの『HERO』達と共に何度もピンチを切り抜けて勝利を手にしてきたのだ。そしてその逆転劇となる奇跡を起こすのは自らのこのドロー。

 

「……まさか」

 

この中では遊代のデュエルを一番目にしているのは真澄だ。そして彼女には人の目や表情からその人物がどういう心境をしているか等を把握できる特技がある。そして彼女が緋紅遊代というデュエリストについて把握している点を上げるとするならば、『E•HERO』を中心とした融合・変身の2つの方法で融合モンスターを呼び出すのを得意としている事。そしてもう1つは……

 

「オレはE•HERO バブルマンを特殊召喚!バブルマンは手札がこのカードだけなら特殊召喚できる!」

 

「やっぱり……!」

 

自分がこれまで目にしてきたデュエリストの中でもトップクラスに引きが強いという事だ。そして彼女の瞳に映った遊代の目や口元の緩みといった点から予想通り引きの強さを遊代は見せてきた。

 

「そしてバブルマンがフィールドに現れた時に手札とフィールドがバブルマンのみなら、カードを2枚ドローできる!」

 

「コイツ、この状況で……!」

 

まさか手札とフィールドにカードが無い状況で『手札がこのカードのみ』ならば特殊召喚でき、召喚・反転召喚・特殊召喚時に『手札・フィールドがこのカードのみ』の時に効果を発動できるバブルマンをドローしてくるなど刃もその引きの強さに驚かざるを得ない。

 

「よっしゃあ!オレは魔法カード、マスク・チャージを発動!このカードは墓地から『HERO』と『チェンジ』速攻魔法を1枚ずつ手札に加える!」

 

「なっ、テメーの墓地に『チェンジ』速攻なんざ……」

 

墓地から『チェンジ』速攻魔法を回収すると言っても遊代はこのデュエルで1度も『M•HERO』を変身召喚していない。ガトムズで捨てさせたのは全てモンスターなのでそこから墓地へも行っていない。

 

「忘れたか?オレが非常食の効果でリバースカードを墓地へ送ったのを!」

 

「っ、そうか!あの時の……!」

 

ヒュンレイの効果でリバースカード3枚を破壊されそうになった際にチェーンして発動した非常食で遊代はリビングデッドの呼び声の共にリバースカードを2枚墓地へ送っていた。1枚はトラップカード、ヒーロー・シグナル。そして残るその1枚こそ、マスク・チェンジ・セカンドなのである。

 

「マスク・チャージの効果でE•HERO ボルテックとマスク・チェンジ・セカンドを手札に加える!そしてマスク・チェンジ・セカンドは手札を1捨てる事でオレのモンスターをよりレベルが高い『M•HERO』に変身召喚させるカード」

 

「ナルホド。ヒュンレイの効果や非常食に対して発動しなかったのは出し惜しみではなく、ヒーロー・シグナルで下級モンスターを呼び出してから使う為に伏せていたからか……」

 

マスク・チェンジ・セカンドは『HERO』以外のモンスターも変身させる事が可能だがそのモンスターよりレベルが高い『M•HERO』しか呼び出せない。あの時、遊代のフィールドに居たのはレベル8のThe シャイニングとノヴァ・マスターの2体。なのでマスク・チェンジ・セカンドでは変身召喚できず、どちらかが戦闘破壊された時にヒーロー・シグナルでレベル4以下の『E•HERO』を呼び、そのモンスターを変身召喚する手筈だった。しかしその戦略こそ妨害されたがこうして意表を突いて反撃の狼煙を上げている。

 

「そのカードの効果でバブルマンをアシッドに変身召喚するつもりか……」

 

「だが、アシッドで俺の魔法・罠カードを一掃して、攻撃力が1番低いガトムズを倒してもオレのライフは削りきれねえ!どっちにしろ次の俺ターンで終いだ!」

 

北斗や刃の推測通り確かにこのままアシッドを変身召喚すれば、厄介なセイバー・リフレクトを含めた4枚の魔法・罠を除去もでき、Great TORNADOの効果で弱体化している攻撃力をフィールド魔法とトラップで強化している1体のガトムズの攻撃力はアシッドの効果で更に攻撃力がダウンし1250にまで下がる。しかしそのガトムズを攻撃しても1350のダメージしか発生せず、刃のLPは2000残る。しかもそれでターンを終えれば、攻撃力2800にダウンしたガトムズにアシッドを攻撃されればその差200のダメージで遊代のライフは丁度0だ。

 

「それはどうかな?オレは手札のコンバット・トリッカーをリリースして効果発動!バブルマンを手札に戻して、戻したバブルマン以下のレベルのモンスターを手札から特殊召喚する!」

 

「なっ、アシッドじゃねえだと?」

 

しかしその予想は外れだ。コンバット・トリッカーは自身をリリースする事で自分フィールドのモンスターを戻して、新たにモンスターを手札から呼び出す効果を持つ。そんな効果を今発動したのは勿論、このデュエルに勝利する為の布石。

 

「バブルマンのレベルは4!オレは手札からレベル4のE•HERO ボルテックを特殊召喚!そして、手札に戻したバブルマンをコストに速攻魔法、マスク・チェンジ・セカンドを発動!ボルテックを墓地へ送って変身召喚する!」

 

「水属性じゃなくて、光属性の『M•HERO』だと!?」

 

バブルマンの効果でドローしたその時から遊代はアシッドの変身召喚を狙っていなかった。変身召喚で呼び出すのは光り輝く仮面の英雄なのだから。

 

「激しき稲妻よ、光の輝きその身に纏い、仮面の英雄へ姿を変えよ!変身召喚!眩き光を拳に宿し、逆境さえも打ち砕け!M•HERO 光牙!」

 

「攻撃力2500……」

 

「そんな攻撃力じゃあヒュンレイすら倒せねーぞ!」

 

ボルテックをマスク・チェンジ・セカンドで変身召喚させて光牙を変身召喚、再び手札は1枚もなくなった構わない。北斗はこれならまだアシッドを変身召喚した方がマシだという感情を持ち、刃は攻撃力2500ではヒュンレイすら倒せないと告げるがこの場で使用者である遊代のみが知っている。逆境を打ち破る光牙の力を。

 

「光牙の攻撃力は相手フィールドのモンスター1体につき、500ポイントアップする!」

 

「なにぃ!?」

 

「刃のフィールドにヒュンレイと、ガトムズが2体の合計3体だから攻撃力は1500する。って事は……!」

 

「攻撃力4000……ホント、油断も隙もないわね」

 

あれだけ逆境に立たされたこの状況で攻撃力4000のモンスターを呼び出すとは……真澄が口にした様に油断も隙もあった物ではない。

 

「くっ、だがそのモンスターで1体でも俺のモンスターを倒せば攻撃力は500下がる。どう足掻こうが次のターンで俺の勝ちだ!」

 

「それはどうかな?バトルだ!M•HERO 光牙でXXーセイバー ガトムズを攻撃!」

 

「なっ、ヒュンレイじゃなくてガトムズだと!?」

 

「てか、これならアシッドを変身召喚させておいた方がマシだったんじゃないか?」

 

遊代が攻撃するのは身剣一体を装備した攻撃力3250のガトムズ。このまま攻撃して倒しても750のダメージ、身剣一体のドロー効果を警戒している余裕など無い筈、それならばまだ攻撃力の低いヒュンレイを攻撃する。しかもまだセイバー・リフレクトがあるのだ、北斗からすればこれならばまだアシッドに変身しておけば刃の魔法・罠を全滅させて与えるダメージも光牙より多いのに此処へきて攻撃力を優先させたプレイングミスかと思い込む。

 

「この瞬間、オレは光牙のもう1つの効果発動!墓地のE•HERO ノヴァ・マスターを除外して、ターンの終わりまでガトムズの攻撃力を除外した『HERO』の攻撃力分下げる!スピリット・グローリー!」

 

「んだとぉ!?」

 

「ノヴァ・マスターの攻撃力は2600、それを攻撃力3250のガトムズから引いたら650しかない!」

 

「そして光牙の攻撃力は4000、ガトムズとの攻撃力の差は『3350』……!」

 

「そして刀堂クンのLPも……『3350』だ!」

 

そう。バブルマンの効果でコンバット・トリッカーとマスク・チャージを引き、墓地には発動できずに終わったマスク・チェンジ・セカンドとガトムズの効果で捨てられたボルテックに高い攻撃力を持つ融合『HERO』。そしてエクストラデッキにはM•HERO 光牙。これらのピースが揃った瞬間に刃のライフを1ターン、しかも一撃で削りきる遊代の逆転勝利のストーリーは完成していたのだ。

 

「行けぇ!光牙!レイザー・ファング!」

 

「ち、くしょおぉ……!」

 

ガトムズへと積極する光牙の腕に装備されている牙状の武器が力強い輝きと力を放つ。そして光牙はその光輝く牙でガトムズを貫かんと拳を握り締め、大剣で攻撃を防ごうとしているガトムズをその牙で大剣諸共貫いた。

 

「俺の、負けだ……」

 

光牙のレイザー・ファングでガトムズは倒れ、3350のダメージが刃のLPから引かれて調度0となり尽き果てる。この瞬間、遊代の勝利が確定した。

 

「刃まで、負けた……!?」

 

「本当に一撃で決めちゃうなんてね……」

 

「……刀堂クンのプレイングにミスはなかった。そして相手の反撃にも対処する手を伏せていた。それを遊代クンはドロー1つで全てひっくり返してしまった……」

 

刃は確かに遊代を追い詰めていた。それは前の北斗も同じだ。しかし遊代はたった1ターン、そしてそのドローで逆境を打ち破ってしまった。勿論ただ運が強いだけではない。自分とのデュエルも北斗と刃とのデュエルも自分のカードを最大限まで生かしているからこそだ。マルコを含めたこの病室に居るLDSの面々は遊代の引きの強さ、そして融合召喚を含めたデュエリストとしての実力の高さを改めて認識する事となった。




刃にも勝った事で遊代はLDSトリオ3人に勝利しました。

北斗とのデュエルでも光牙は終盤の決め手の1体登場していましたが、指摘によるミスを無くす改訂により出番が無くなったので刃とのデュエルのフィニッシャーとなりました。

やはり大量展開に特価した『Xーセイバー』だけあってシンクロ召喚を次々と行えるので次々と大型モンスターがフィールドに……

でもまあ、よく考えたら零児とのデュエルでは互いに1ターンで最上級モンスター5体特殊召喚とかやらかしてますからね……『DD』が環境入りしている事を考えるとそりゃあのデュエル文字数が多くなりますよ。

そして北斗が真澄にラッキースケベをやらかすという遊戯王らしからぬワンシーンも……その事について軽くオマケを後書きに書きましたのでご覧ください。

では、また次回お会いしましょう!

オマケ









「なあ、北斗1つ聞いてもいいか?」

「なんだよ?」

「真澄ちゃんのパンツ、どんなんだった?」

「どんなんって……フリルのつい」

ゴンっ!

「ぎゃっ!?」

「ほ、北斗!?」

ゴンっ!

「がっ!?」

遊代の質問に北斗が答えている最中、北斗は襲われて倒れ、遊代も襲われてその場に倒れ込んでしまった。





「おい……何があった?」

遊代と北斗を探していた刃が見つけたのは2人が大きなタンコブを作ってノビている光景だった。
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