遊戯王ARC-V~緋色の英雄~   作:《陽炎》

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二週間振りの更新となりました。すいません、知ってる方もいるかと思いますが、よりにもよって緋色の英雄を書く筆がノリに乗っている時にMINISTRY OF JUSTICSというウイルスにスマホをロックされて1日何も出来なくなってしまったせいですっかりリズムが崩れました。

スマホも電池パックを変えても充電スピードが前より落ちており、スマホ自体の充電スピードが劣化している模様。

愚痴で始まりまたが、本編をお楽しみください。


第4話 遊代驚愕!次元と未知の召喚法

「オレに話?大企業の社長さんがか?」

 

真澄とのデュエル後に突如として現れたレオ・コーポレーション社長、赤馬零児に話があると言われた遊代は何故いきなり会ったこともない人間が自分に話があると言われた遊代は何故いきなり会ったこともない人間が自分に話があるのかと疑問に思う。

 

「ああ。是非とも君に聞きたい事がある。君が使う融合召喚の事、そして……アカデミアの事を」

 

「アカデミア!?あんた、アカデミアを知ってるのか!?」

 

「アカデミア…?何なのそれ?」

 

この世界の人間はアカデミアの事など知らない筈。それを目の前の零児は自分にアカデミアの事を訪ねたいと問い掛けた。これはアカデミアを知っているという前提で話しているのかと遊代は驚きを隠す素振りを見せない。そして真澄はこの世界の住民として当然の反応かアカデミアという単語に疑問を持つ。

 

「オレが通う学校だ……けど、何であんたがそれを知ってんだ?」

 

「その件について私も君と話したい。どうだろう、これから我々と来てくれないか?」

 

「……ああ、いいぜ。まさかアカデミアを知ってる人が居るとは驚きだ!」

 

零児の誘いを受けた遊代は、何故目の前の大企業の若社長がアカデミアを知ってる事を疑問に思いつつも、情報が少ない今の自分に取ってはまたとない機会。考える点もあるが、此処その誘いに乗ることにした。

 

「光津真澄、君にも少し聞きたいことがなある。来てくれるか」

 

「私もですか?」

「ああ。」

 

自分が所属する塾を運営する会社の社長が現れ先程まで自分とデュエルしていた男に話があるという状況に戸惑っている所にまさかの自分にまで話があるという展開に真澄は困惑を隠せない。

 

「私は構いませんけど……」

 

「そうか。ならば、2人共乗りたまえ」

 

そう言われた遊代と真澄は零児が此処まで乗ってきた高級車に乗るよう促されると、そのまま公園の入り口に止めてある車に零児、遊代、真澄の順番に乗り込む。

 

「うわっ、如何にも高級車って感じだな」

 

遊代が素直に感想を漏らす様に普通の車よりも長い全長の高級車の内装は普通の座席よりも高級そうな上にに、テーブルに加えてテレビや冷蔵庫まである。遊代がイメージする如何にもな高級車の内装だった。そして乗員を乗せ終えた高級車はエンジンの音も出さずにスムーズに運動を開始した。エンジンの音もしない辺りが高級車だと実感させる。

 

「それで社長さん、一体オレ達を何処へ連れて行く気だ?」

 

「私を社長だと把握しているのなら、大体察しが付くと思うが」

 

「てことはやっぱり……あんたの会社、レオ・コーポレーションか」

 

「ああ。話はそこでじっくり聞かせて貰おう」

 

何となしに聞いてみたが、遊代の予想通りこの車が向かう先は赤馬零児が社長を勤めるレオ・コーポレーションである。一体オレや真澄ちゃんに何を聞く気なのかと思う遊代達を乗せて、車はレオ・コーポレーションへと着実に向かっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『でっけーな。流石は大企業ってとこか』

 

車に揺られる事5分位だろうか、運転を終えた高級車を降り立った遊代の目の前にあるのは正に大企業と言うべき高層ビル、レオ・コーポレーション。大企業ともなれば会社の建築物もそれ相応の出で立ちで来訪者を出迎えると遊代は感心した。

 

「で、あのアリーナみてーなのはなんなんだ?」

 

遊代の目線をビルより釘づけにしたのは、レオ・コーポレーション前に設立されているサッカーもできるであろうアリーナの様な建物。

 

「あれはセンターコート。デュエルする為の場所よ」

 

「マジで!?何でそんな立派なモンが会社にあるわけ?」

 

「LDSはレオ・コーポレーションの直営なの。だからスクールも此処でやってるのよ」

 

「へー」

 

そう。LDSはレオ・コーポレーション直営というだけあってか塾も会社のビル数回分のエリア用いて運営しているのである。そして敷地内にはデュエルする為のデュエルコートが幾つもあり、センターコートは中々順番が回ってこない設備だ。最も島1つが学校のデュエルアカデミアに通っている遊代には余り驚きではなかったが、それでもデュエルする為だけにコートを作ってしまうのには驚いていた。

 

「では、付いて来たまえ」

 

2人より後に車からそう零児に言われ遊代達が付いて行きビル内へと入りると、本来なら社員しかはいれないルートを進んでエレベーターに乗り、エレベーターは最上階まで登っていく。この階には普段零児が仕事を粉す社長室がある。

 

「連れて来ておいて難だが、先に彼女と話を済ませたい」

 

「どーぞ、ご自由に」

 

最上階に着き、自分より先に真澄と話したいという零児の要求を遊代があっさりと受け入れると自動ドアが開いて零児と真澄は社長室へと入っていく。ドアが閉まるとその前にお付きの中島が立ち尽くす。言うなれば遊代の監視だろう。

 

『にしても……オレだけじゃなくて、何で真澄ちゃんにまで話があるんだか』

 

アカデミアの事を聞きたいのであれば自分だけでいい筈。にも関わらず、真澄にまで話があるとはどういう事なのか遊代には疑問だった。移動中に車内で聞いた時には自分とのデュエルがどうだったかを聞くと言ったが、どうにもそれだけでは無い気がすると遊代は考えていた。そのまま10分近く時間が過ぎただろうか、自動ドアが開き中島がドアの目の前を退くと、真澄が社長室から出てきた。

 

「真澄ちゃん、何の話聞かれたんだ?」

 

「……車の中で言ってたでしょう。貴方とのデュエルの感想を聞かれただけよ」

 

社長室から出て来た真澄に遊代が訪ねた問いに返ってきたのは車内で聞いた通りの質問を聞かれたという事。

 

「待たせてしまったな。さあ、入ってくれ」

 

零児に急かされる様に社長室へと遊代は入室する。部屋のインテリアは社長室らしく業務を粉すデスクがあるが、打ち合わせにでも使用するであろうソファーもあり、それらインテリアは大企業の社長室に相応しい高級な物だと遊代にも理解できた。

 

「其処に座ってくれ」

 

零児に勧められる様に背負っていたリュックをソファーに置き、キャリーケースをソファーの横に置いた遊代は高級なソファーに腰掛ける。革張りの感触が高級感を更に感じさせる。

 

「どうぞ」

 

給湯室でも備わっていたのか、若い女性社員がコーヒーが注がれた2つのティーカップを乗せたトレーナを持ってきて遊代と零児が座るソファーの間に設置されているテーブルにそっと置く。湯気がゆらゆらと漂う所から入れ立てなのがわかる。女性社員はコーヒーを用意し、お辞儀をするとそのまま社長室を後にした。

 

「遠慮する事はない。冷めない内に飲んでくれ」

 

「じゃ、お言葉に甘えて……」

 

そう言って零児は湯気が立つティーカップを手に持ちコーヒーを飲む。遊代も用意されていた各砂糖とミルクを1個ずつ投入して混ぜてからコーヒーを一口飲む。香ばしいコーヒーならではの香りと、苦味があるが深いコーヒーのコクから良い豆なのだと把握できた。

 

「……では、本題に入ろうか」

 

ティーカップのコーヒーを半分以上飲み終えた零児が、口火を切る。その言葉を聞いて遊代はよーやくかと思いながら身と心を構える。

 

「先程も彼女に聞いたが、君は融合召喚を使うらしいな」

 

「ああ。そーだけど」

 

話が本題に入るが、零児はいきなり切り込むのではなく、遊代が融合召喚を使うというジャブ的な質問をする。

 

「それは驚きだ。融合召喚は我が社が運営するLDSでも最近教え始めた珍しい召喚法、君はどこで融合召喚を学んだんだ?」

 

「何処って言われてもな……オレにデュエルを教えてくれた人が融合召喚使ってたから、その影響かな」

 

「ほう……」

 

遊代にデュエルを教えてくれた人物も融合召喚を得意としていた。その人の影響から自分が組み上げた初めてのデッキが融合召喚を主軸とする『E•HERO』。そこから融合召喚に磨きをかけて今の『HERO』デッキと融合召喚と変身召喚を使いこなす戦術を作り上げた。

 

「では、単刀直入に聞こう。君は『この世界の人間』ではないな?」

 

「っ!……へー、よくご存知で」

 

「やはりな……」

 

遊代の予想通り、赤馬零児はアカデミアだけではなく『自分がこの世界の人間』でもない事を知っていた。そして零児の予想とまた当たっていた。

 

「そして君はアカデミアの人間で間違いな」

 

「正解。けど何であんたがそんな事まで知ってんだ?この世界にはアカデミアは無い筈だぜ」

 

「ああ。確かにこの世界にはアカデミアは存在しない、だが……」

 

「別世界には存在する。か」

 

2人の言う通りアカデミアはこの世界には存在しない。だが、別世界には存在している。ここまでは両者の考え通りに話は進んでいる。

 

「その通り。この世界にはアカデミアは存在しない、しかし融合次元にはアカデミアが存在している」

 

「融合次元?」

 

「君もアカデミアなら知っているだろう。デュエルの召喚法によってこの世界は違いがあり、4つの次元が存在している。君が所属するアカデミアがある次元は融合召喚が発展した融合次元、この世界はスタンダード次元と言う風にな」

 

「融合次元?スタンダード?」

 

しかし零児の説明を受けた遊代の頭に疑問が過ぎる。確かに自分はアカデミアだし、融合召喚を使うデュエリストも自分が知るだけでもそれなりに居る。が、アカデミアでは其処まで融合召喚を使用する生徒は多くない。にも関わらず零児は自分の世界は融合召喚が栄えた次元だと言っている。

 

「ちょっと待ってくれ、確かにオレはアカデミアの生徒だ。けど、融合召喚が栄えた世界と言われる程アカデミアに融合召喚使う奴はいねーぞ」

 

「……何?」

 

「そもそもオレの世界じゃまだ融合召喚を使うデュエリスト自体そんなに多くない、アドバンス召喚だっりデッキの上級モンスターを繰り出すのがオレの世界じゃ一般的なデュエルだ」

 

そう。遊代の世界では、そもそもエクストラデッキを利用するデュエリスト自体そこまで多くない。だから融合召喚が栄えた次元などと説明されても納得しようがない。

 

「……」

 

予想外なのは零児も同じ。融合召喚を使う遊代ならば融合次元のアカデミアのデュエリストとと思いきやこの返答だ。もしかして嘘を付いているのではと疑る零児は更に質問を重ねていく。

 

「アカデミアにはプロフェッサーが居る筈だが、他の次元や融合次元を教えていないのか?」

 

「プロフェッサー?そんな人アカデミアに居ねーよ」

 

「……本当にか?」

 

「……いや、待てよ」

 

プロフェッサーという単語が出たとたんに零児の雰囲気が鋭くなる。鋭く睨みを利かされても臆す事はない遊代だが1つ思い出した、確かに現在アカデミアにプロフェッサーは居ない。そう……現在は、だ。

 

「確か昔、少しだけプロフェッサー・コブラって人が他校のアカデミアから来た事はある……けど、その人はもう10年以上前にアカデミアから離れたぜ」

 

そう。嘗てデュエルアカデミアには他校からの特別教師としてプロフェッサー・コブラという男が来たことには来た。しかし僅かな在籍の後にアカデミアを離れている。

 

「プロフェッサー・コブラ……?」

 

「ああ。その人以来、アカデミアにプロフェッサーなんて名乗る人は居ねーな」

 

「……では、君の所属するアカデミアにおいて一番の立場に居るのは誰だ?」

 

プロフェッサーはプロフェッサーでも零児の言うプロフェッサーと遊代の答えたプロフェッサーとでは全然違う。そこで零児は質問を変えて責任者は誰だと問う。

 

「現校長のクロノス・デ・メディチ。言っとくけど、その人も前の校長もプロフェッサーなんて名乗ってねーぞ

 

「……なら、この男を見た事があるか?」

 

この質問の答えも自分の想定していた物ではない。明らかに自分の言うアカデミアと遊代の話すアカデミアの違いが有りすぎる。其処で零児はある1枚の写真を遊代を見せる。それには1人の男性が厳格な顔をして映っていた。

 

「誰だこれ?見た事ねーな」

 

しかしそんな写真を見せられても遊代からすれば知らないおじさん以外の何者でもない。何故なら本当に見たこともない中年の男性でしかないのだ。見たこともないおっさんとしか答えようがない。

 

「おい貴様!先程から嘘を並べるのもいい加減にしろ!」

 

「嘘なんかついてねーよ、そっちこそさっきから何訳の分かんねー事言ってんだ?オレの知ってるアカデミアと全然ちげーぞ」

 

此処で中島が遊代に嘘を付くなと怒鳴るが、遊代からすればアカデミアを知っているかと思えば訳の分からない事ばかり聞かれて困惑しかしていないのに嘘を付くなと言い掛かりを付けられたまったものではない気分この上ない。

 

「止めろ中島」

 

「しかし社長……!」

 

「止めろと言っている」

 

2度そう言われた事で中島は引き下がる。納得はいってはいないだろうが社長である零児には逆らえない。自分はそういう立場だからだ。

 

「すまない。話を続けても良いか?」

 

「ああ」

 

「この写真の男は赤馬 零王(あかば れお)……私の父親だ」

 

「えっ?そうなのか?」

 

そう。写真に映っていた男はレオ・コーポレーションの創設者にして前社長、赤馬零王。赤馬という名字でわかる通り零児の父親でもある。そう説明する零児の声と表情は何処か冷淡にも見える。

 

「……その男は我が社の前社長だ。しかし3年前、突然会社と私達を捨ててアカデミアへと、融合次元へ姿を消した」

 

「アカデミアに?……でもこんな人アカデミアに来ちゃいねーぞ」

 

零児の言う事が本当ならば自分のアカデミアにこの写真の男、赤馬零王が来ている筈。しかしそんな人間アカデミアに来た等という話すらないし、姿を見た事すらない。そもそも先程から明らかに話にズレがあると遊代は感じていた。

 

「……そうか」

 

そのズレは零児も感じていた。目の前の遊代は明らかにアカデミアの人間、それは本人自体が認めている。しかし融合次元どころかそもそも4つの次元の事を知らないとは、融合召喚を使う事もアカデミアという事も認めているなら融合次元の存在を知らない等と嘘を吐く必要はない筈。

 

「……どうやら、君が知っているアカデミアと私が知っているアカデミアは違う物らしいな」

 

「そーみてーだな……」

 

お互いに辿り着いた結論は相手はアカデミアを知ってはいるが、それは自分の知るアカデミアとは違う物。遊代は異世界に飛ばされて路頭に迷っていた所にアカデミアの情報を得るまたとない機会立ったので思いっ切り肩透かしをくらった気分だ。しかし零児はというとその様子は見えない。寧ろこの結論に辿り着いた事で更に何かを考えている。

 

「どうだろう、気分転換がてら私とデュエルをしないか?」

 

「デュエルを?」

 

「ああ」

 

意外な事に零児から持ちかけられたのはデュエルの誘いだった。デュエルによって召喚方が異なる次元が存在するという異世界の話の流れからデュエル、これもデュエリストには必然的な流れなのかもしれない。

 

「いいぜ!デュエルなら大歓迎だ」

 

アカデミアの情報を得られなかったのは残念だが3度の飯よりデュエルが好きな遊代にとってデュエルの申し出を断る理由はない。最も3度の飯はデュエルと同じ位好きだが。

 

「そうか。……私だ、至急センターコートを貸切にしてくれ。ああ、頼む」

 

遊代の了承を得た零児は手元の端末を操作すると何処かへ連絡を通すと、その要件を済ませると席を立つ。

 

「では、行くとしようか」

 

「ああ」

 

その一言を受けて零児と共に遊代はデュエルの舞台となるセンターコートへの移動の為、社長室を後にした 。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はー、それにしてもデュエルするだけでこんなコート作るなんてな……やっぱ大企業はスケールがちげーな」

 

自分達以外無人となったセンターコートを見渡す遊代はそう感想を漏らす。デュエルアカデミアを作った海馬コーポレーションといい、レオ・コーポレーションといい大企業はやる事の規模が一々デカいと感じていた。

 

「にしても、こんだけ広いんなら何も貸しきりにしなくてもいいじゃねーか。せっかく真澄ちゃんにオレの勇姿を見せよーと思ったのによ」

 

此処にくる前に零児とデュエルするという事で真澄にも観戦しないかと持ちかけたのだが零児により却下されてしまった。その事が遊代にとっては不満である。

 

「その事に関しては大目に見てくれと言った筈だ。まだ私の話は終わってないのだからな」

 

「はいはい。わかってますよ」

 

その理由はこのデュエルに置いてアカデミアに関する話の続きも有るという事だからだ。それなら仕方がないかと渋々遊代は納得したのである。

 

「それに彼女から聞いているからな。君が我が社のリアルソリッドビジョンを使わずにモンスターを実体化した事をな」

「……それで?」

 

零児が遊代より先に真澄に話を聞いた時に遊代の事を色々と聞いていた。その際に遊代がモンスターをアクションフィールドでもないのにモンスターを実体化させた事を聞き出していた。

 

「此処ならモンスターを実体化しても問題だろう」

 

「成る程なー、つまりオレの『力』を見たいって事か?」

 

「そういう事になるな」

 

零児の発言から遊代もこのデュエルの意図を理解できた。それはデュエルの実力及びモンスターを実体化する能力といった実力の『力』を見極める為の物なのだと。

 

「そーいえば、社長さん、あんたの会社所が運営してるLDSの生徒の真澄ちゃんはオレと同じ融合使いだったけど、そのLDSを運営してるあんたはどんなデュエルをするんだろーな?」

 

「私のデュエルか……もし君の言っている事が本当ならば、未知のデュエルとなるだろうな」

 

「へー、そいつは楽しみだっ!」

 

「では、いくぞっ!」

 

零児の思惑に感づいても遊代は自分と差ほど年が変わらないのに、社長でありこの世界のデュエル塾業界No.1のスクールを運営している零児の実力がどれほどの物なのか気になって仕方がない。零児の返事に楽しみが増してくる遊代はデュエルディスクを起動させる。それは零児も同様だ。もう2人の準備は整っている。

 

「「デュエル!」」

 

遊代と零児のデュエルが始まる。そしてこのデュエル、先行は遊代からスタートする。

 

「じゃあいくぜ!オレのターン!」

 

『確か先攻はドローできないんだよな……なら』

 

真澄とのデュエルでこの世界は先攻はドローできない事を遊代は知った。なので最初の手札5枚から戦略を練らねばならない。

 

「オレは魔法カード融合を発動!手札のE•HERO ボルテックとシャドー・ミストを素材に融合召喚する!」

 

「……」

 

早速遊代は手札に存在していたボルテックとシャドー・ミストを素材に融合召喚を行う。そして零児は掛けている眼鏡を人差し指でクイっとすると、融合召喚を行う遊代を観察し見極めるかの様に見詰めていた。

 

「激しき稲妻の英雄と、姿無き影が1つとなり、1人の英雄が今目覚める!正しき闇の力にて、悪しき敵をその手で討て!融合召喚!現れろ、E•HERO エスクリダオ!」

 

『E•HERO』に闇属性のシャドー・ミストを素材する事で融合召喚できるエスクリダオが遊代のフィールドに融合召喚された。

 

「シャドー・ミストの効果発動!このカードが墓地に送られた場合、デッキから『HERO』を手札に加えられる。オレはE•HERO エアーマンを手札に加える。そしてエスクリダオはオレの墓地に眠る『E•HERO』1体につき攻撃力が100アップする。墓地の『E•HERO』はボルテックとシャドー・ミストの2体、よって攻撃力は200アップする!」

 

シャドー・ミストの効果で新たな『HERO』を手札に加え、シャドー・ミストを素材に融合召喚したエスクリダオは墓地の『E•HERO』の数だけ己を強化する効果を持つ。現在墓地に居るのは2体なのでエスクリダオの攻撃力2500は200アップし2700となる。光属性のボルテックを融合素材としているのでThe シャイニングも融合召喚できたが、その2つのモンスター効果はどちらも除外されている『E•HERO』に関係する効果。ならばこの場面はエスクリダオの方が得策。融合召喚のよる消費の補いと2体のモンスター効果を的確に生かしたプレイングと言える。

 

「オレはカードを2枚セットしてターンエンド!」

 

先攻が攻撃できないのは遊代の世界でもこの世界でも同じ。遊代はリバースカードを2枚セットしてターンを終えた。

 

「早速融合召喚を決めてきたか……」

 

例え自分の知らないアカデミアのデュエリストだとしても、我がLDSの生徒を倒す実力の持ち主ならば、1ターン目からでも融合召喚を決めてきても可笑しくはない。零児はそう思考を巡らせていた。

 

「私のターン!」

 

零児のターンへと移行しているので、ドローフェイズに零児はデッキからドローを行う。そして零児はドローしたカードを手札に加えるとその手札からプランを練り上げ動き出した。

 

「私は永続魔法、地獄門の契約書を発動。このカードの効果により1ターンに1度、私はデッキから『DD』モンスター1体を手札に加える事ができる」

 

「DD……ディファレント・ディメンション、異次元って所か?」

 

「ほう。よく気付いたな」

 

DDとは異次元を意味するディファレント・ディメンションの略語。その単語を含むカードも数枚存在しているのでもしやと思ったが遊代のデュエリストとしての知識と直感が当たる形となった。しかし今の彼の頭にはその単語を聞いてもう1つの存在が浮かんでいた。自分にデュエルを教えてくれた人のライバルであり、自分と同じ『HERO』使いにして学生の頃からプロデュエリストだった男の父親の命を奪い『運命』をねじ曲げたの男。その男の名もDDと言われたプロデュエリスト。そのDDもある出来事により『運命』が狂い最終的に命を落としたのだが。

 

「地獄門の契約書の効果により私はデッキからDDリリスを手札に加える。そして更に永続魔法、魔神王の契約書を発動」

 

「また永続魔法……?」

 

零児が続けて発動したのはこのターンドローしたカード、魔神王の契約書。これまた永続魔法である。遊代も長らくデュエルを経験しているが永続魔法を1ターンに2枚も使用してくるデュエリストはそうそういない。地獄門の契約書の効果で加えられるのが『DD』モンスター、なんとなくだが零児のデッキが把握できてきている。

「魔神王の契約書の効果発動!1ターンに1度、悪魔族モンスターを融合召喚する場合、融合魔法無しで融合召喚できる!」

 

「永続魔法で融合召喚……そうきたか」

 

本来融合召喚には融合が必要、しかし魔神王の契約書は悪魔族モンスターを融合召喚する場合、手札・フィールドのモンスターを素材に融合召喚が行える効果を持つ。しかも永続魔法なので毎ターン召喚できる。

 

「私は手札のDDリリスとDDD制覇王カイゼルを融合!闇夜に誘う妖婦よ、全てを支配する王と混じりて、真の王と生まれ変わらん!融合召喚!出でよ、神の威光伝えし王。DDD神託王ダルク!」

 

先程、地獄門の契約書の効果で手札に加えたDDリリスと最初の5枚の手札に存在していたDDD制覇王カイゼルを素材に融合召喚されたのはDDD神託王ダルク。攻撃力2800を持つ『DD』の格上『DDD』モンスターの1体。

 

「バトルだ!私はDDD神託王ダルクでE•HERO エスクリダオを攻撃!オラクル・チャージ!」

 

神託王ダルクの攻撃力はエスクリダオの攻撃力2700を100上回っている。ダルクの神託を込めたレイピアの一撃によりエスクリダオは戦闘で破壊され遊代は100のダメージを受ける。

 

「くっ、トラップ発動!ヒーロー・シグナル!このカードはオレのモンスターがバトルで破壊された時、手札かデッキからレベル4以下の『E•HERO』1体を特殊召喚する。オレはE•HERO ブレイズマンを特殊召喚! 」

 

エスクリダオを破壊されたが、その戦闘破壊をトリガーに遊代はトラップカード、ヒーロー・シグナルを発動。その効果によってデッキからブレイズマンを特殊召喚する。

 

「ブレイズマンは召喚・特殊召喚にした場合、デッキから融合を手札に加える事ができる。オレは『融合』として扱う置換融合を手札に加える」

 

そして特殊召喚をトリガーにブレイズマンの効果を発動。デッキから置換融合を手札に加えて次のターンの準備を整える。

 

「ほう、タダではやられまいか。私はカードを2枚伏せ、ターンエンド」

 

自分のターンでないにも関わらずモンスターを特殊召喚し、融合も手札に加えて次のターンの布石を整えてきた遊代のプレイングを賞賛しつつ、零児はカードを2枚セットしてターンを終えた。

 

「オレのターン!ドロー!」

 

ターンが移った事で遊代はカードをドローする。そしてドローしたカードを手札に加えると早速動き出した。

 

「さっきは永続魔法での融合召喚を見せて貰ったからな。今度はオレがいくぜ!オレはブレイズマンの効果発動。デッキからE•HERO ネクロダークマンを墓地へ送り、ブレイズマンの属性と攻撃力・守備力をターン終了時までネクロダークマンと同じにする!但しこの効果を発動した後、オレはこのターン融合モンスターしか特殊召喚できなくなる」

 

まずはブレイズマンのもう1つの効果を発動。その効果はデッキからブレイズマン以外の『HERO』を墓地へ送る事でターン終了時までそのモンスターの攻撃力・守備力、そして属性をコピーする効果。この効果により遊代はデッキから闇属性・レベル5の『E•HERO』ネクロダークマンをその効果で墓地へ送り、ブレイズマンはその属性と攻撃力・守備力をコピーする。

 

「これでブレイズマンは闇属性となり攻撃力は1600、守備力は1500になる」

 

「だがその攻撃力では私のダルクには程遠い。しかも守備力に至ってはダウンしているが?」

 

零児の指摘通り攻撃力が1600になった所でダルクの攻撃力は2800。到底かないっこない。しかも元々1800あった守備力が300ダウンして1500となってしまった。

 

「まあそう焦るなよ、オレはE•HERO エアーマンを召喚!エアーマンの召喚・特殊召喚成功時、デッキから『HERO』を手札に加える事ができる。オレはE•HERO エッジマンを手札に加える」

 

しかし遊代はそんな事気にしてはいない、ターン終了時には元に戻る上にそもそも融合召喚の素材にするから問題ない。何よりネクロダークマンを墓地へ送るのが今回の狙いだからだ。エアーマンを召喚すると、その効果で手札に加えたのはレベル7・攻撃力2600の上級『E•HERO』エッジマン。融合召喚を主軸とする遊代のデッキには余り相性がよいとは思えない2体のリリースが必要な上級モンスターである。

 

「オレは魔法カード、置換融合を発動してフィールドのブレイズマンとエアーマンを融合!真闇の炎の英雄と、疾き風が1つとなり、1人の英雄が今目覚める!嵐の如き激しき力で、全ての敵を吹き飛ばせ!融合召喚!現れろ、E•HERO Great TORNADO!」

 

フィールドのモンスターを素材に融合召喚する置換融合によりフィールドに存在する『E•HERO』と風属性のエアーマンを素材に、嵐巻き起こすGreatTORNDOが融合召喚された。攻撃力は2800と神託王ダルクと同じ。だが……

 

「Great TORNDOが特殊召喚された時、相手フィールドのモンスター全ての攻撃力・守備力を半分にする!タウン・バースト!」

 

「くっ……」

 

Great TORNDOが特殊召喚された事でモンスター効果、ダウンバーストが相手フィールドに炸裂。真澄の時とは違い今回はソリッドビジョンではなく零児の望み通り本当に実体化した竜巻だ。実際に発生している吹き荒ぶ風がDDD神託王ダルクの攻撃力・守備力は半減させ、攻撃力1400、守備力1000と弱体化した。

 

「遠慮なく行くぜ、バトル!オレはE•HERO Great TORNDOで……」

 

「永続罠、戦乙女(ヴァルキリー)の契約書を発動!このカードの効果により、私の悪魔族モンスターの攻撃力は相手ターンの間1000ポイントアップする!」

 

遊代が攻撃を仕掛ける前に零児はリバースカード戦乙女の契約書を発動し、その効果によりダルクの攻撃力は1000アップし2400となる。

 

「だけど、それじゃあGreat TORNDOには適わないぜ。バトル続行だ!」

 

1000攻撃力が上がったとはいえ攻撃力は此方が上、構わず遊代はダルクへ攻撃を宣言する。

 

「戦乙女の契約書のもう1つの効果!手札の『DD』または『契約書』カード1枚を墓地へ送る事で、フィールドのカード1枚を破壊できる!」

 

「なんだと!?」

 

「私は手札からDDバフォメットを墓地へ送り、Great TORNDOを破壊する!」

 

しかし零児は戦乙女の契約書のもう1つの効果を発動。その効果は1ターンに1度、手札の『DD』カードか『契約書』カードを墓地へ送り、フィールドのカード1枚を対象にそのカードを破壊する効果。零児はこの効果をGreat TORNDOを対象に発動。このままではGreat TORNDOはその効果で破壊されてしまう。

 

「へっ、そうはいかねーぜ!オレは手札から速攻魔法、マスク・チェンジを発動!Great TORNDOを墓地へ送り、同じ属性の『M•HERO』に変身召喚する!」

 

「ほう」

 

しかし遊代も対策がない訳ではない。このターンドローしたのはマスク・チェンジ。これによりGreat TORNDOを墓地へ送り、同じ風属性の『M•HERO』1体に変身召喚される。

 

「嵐巻き起こす英雄よ、神風の加護をその身に纏い、仮面の英雄へ姿を変えよ!変身召喚!神風を操り、世界を守れ!M•HERO カミカゼ!」

 

マスク・チェンジにより戦乙女の契約書による破壊を免れたGreat TORNDOを使い変身召喚されたのは、神が生み出した風を操る仮面の英雄、M•HERO カミカゼ。『M•HERO』は融合モンスターなので、ブレイズマンの融合モンスターしか特殊召喚できない制約も引っかからない。

 

「これが変身召喚……」

 

モンスター1体のみで融合モンスターを呼び出すそれは融合モンスターを特殊召喚するにも関わらず融合召喚とは異なる召喚法。LDSですら教えていない未知の召喚、移動中に中継させて真澄とのデュエルを見ていたので変身召喚を見るのは初めてではないがそれでも思う所がある。

 

「そして変身召喚したカミカゼでDDD神託王ダルクを攻撃!ディバイン・ウインド!」

 

「くっ……」

 

カミカゼの攻撃力は2700、弱体化を補ったダルクの攻撃力2400を上回っている。神から賜りし風の力を掌の風穴から吹き出し、その攻撃によってダルクは破壊され、零児は300のダメージを受ける。

 

「M•HEROカミカゼの効果発動!バトルでモンスターを破壊して墓地に送った場合、1枚ドローする!更にオレは墓地の置換融合を除外して効果を発動。墓地の融合モンスターE•HERO Great TORNDOをエクストラデッキへ戻して、カードを1枚ドローする」

 

遊代はカミカゼの効果でドローすると墓地の置換融合の効果も使用し、Great TORNDOをエクストラデッキへ戻し手札の補強とこのデュエルでGreat TORNDOを再利用する術も整えた。

 

「オレはカードを1枚伏せてターンエンド」

 

「このエンドフェイズ、私は永続トラップ、リビングデッドの呼び声を発動!墓地のDDD神託王ダルクを特殊召喚する!」

 

「おいおい、せっかく倒したのにもう復活かよ……」

 

そしてカミカゼの効果でドローしたカードをセットすると遊代はターン終了を宣言。しかし零児もエンドフェイズにモンスターを蘇生するリビングデッドの呼び声によりこのターンカミカゼによって戦闘破壊されたダルクを復活させる。

 

「自在に融合召喚を操り、その消費の激しさを補うプレイング。そしてモンスター1体を融合モンスターへと変身させる変身召喚、君は融合召喚を完璧に使いこなしている。実に見事だ」

 

「お褒めに預かり光栄だぜ。そーいえば社長さん、今の所あんたがやったのは融合召喚だけだぜ。未知のデュエルってのは何時見せてくれるんだ?」

 

遊代の融合召喚を使いこなすタクティクスを素直に賞賛する。ここまで融合召喚を使いこなすデュエリストはLDSにも居ない、そう素直に思ってしまった。しかし遊代はまだ零児が魔神王の契約書で行った融合召喚しかこのデュエルでは目にしていない。永続魔法による融合召喚も珍しいのだが、融合使いとして存じている遊代にとってはそれは未知のデュエルとは言い難い。

 

「そう焦らないでくれ」

 

零児とてこのまま融合召喚のみで終わる訳ではない。ちゃんと次の準備、つまりこの自分のターンでの算段は整っている。

 

「お楽しみは、これからだ!」

 

そう遊代に宣言した言葉はアクションデュエルのパイオニア榊遊勝の決め台詞、自身も同じデュエリストとして、そして同じ『プロデュエリスト』として心から尊敬し憧れた男の決め台詞だ。

 

「私のターン!このスタンバイフェイズ、3枚の契約書の効果が発動。契約書は自分のターンのスタンバイフェイズに私のライフを1000ポイント削る」

 

「契約書は3枚だから、合計で3000のダメージ……」

 

零児のドローフェイズ後、スタンバイフェイズとなった瞬間に地獄門の契約書、魔神王の契約書、戦乙女の契約書の効果が発動。これら『契約書』には毎ターン効果を使用できる代わりに共通のデメリットとしてスタンバイフェイズに1000ポイントのダメージが発生する。契約書は合計3枚なので1000×3で3000ダメージが零児に発生する。これは残りLP3700の零児にとって余りに痛いデメリットの筈。

 

『けど、何の対策もしてないとは思えねー』

 

そう、3000のダメージが発生するにも関わらず零児は変わらず冷静で涼しげな表情だった。遊代は何かしらの対策を既に施してあるのではと推測していた。

 

「DDD神託王ダルクの効果、このカードが存在する限り、私にダメージを与える効果は私のライフを回復する効果となる。よって私はライフを3000回復する!」

 

「マジかよ!つまりあのモンスターをなんとかしねーとライフの差がえらい事になるって事か……」

 

遊代の予想は的中していた。ダルクの効果はモンスターゾーンに存在する限り、自身に発生する効果ダメージをLPを回復する効果へ変更する効果。これにより3枚の契約書による3000のダメージはライフを3000回復させる効果になり、零児のLPは6700となる。

 

「そして私は地獄門の契約書の効果発動!デッキからDDナイト・ハウリングを手札に加え、召喚!DDナイト・ハウリングの効果発動!私は墓地のDDリリスを攻撃力・守備力を0にして特殊召喚する!」

 

デメリットを踏み倒した零児は地獄門の契約書のよりDDナイト・ハウリングをデッキから手札に加えると即座に召喚、更にDDナイト・ハウリングの効果が発動。その効果により墓地に眠りしDDリリスを守備表示で特殊召喚。デメリットにより攻撃力・守備力は0となる。

 

「この効果を発動後、このターン私は悪魔族モンスターしか特殊召喚できず、この効果で特殊召喚されたモンスターが破壊された場合、私は1000のダメージを受ける」

 

「つってもあんたのデッキは悪魔族主軸みてーだし、ダメージ受けるつってもダルクの効果で回復に変わるから意味ねーだろ」

 

「ふっ、よく気付いたな。私はDDナイト・ハウリングの効果で特殊召喚されたDDリリスの効果を発動!このカードが特殊召喚された場合、墓地の『DD』モンスター1体を手札に加える。私はDDD制覇王カイゼルを手札に加える」

 

遊代の指摘通り召喚制限のデメリットもダメージ発生のデメリットも零児のデッキとフィールド状況ならばどちらもクリアできる。要するにデメリットがデメリットとして成立していないのだ。そして更に零児はDDリリスの効果でリリスと共にダルクの融合素材として墓地へ送られたDDD制覇王カイゼルを回収する。『DDD』も『DD』のカテゴリーに含まれるので問題なく発動できる。

 

『では見るがいい!これが私のデュエルだ!私はレベル4のDDリリスにレベル3のチューナーモンスター、DDナイト・ハウリングをチューニング!』

 

「チューニング!?」

 

零児はここからが自分のデュエルだと高らかに宣言し、リリスにナイト・ハウリングをチューニングという遊代の知りもしない方法を取る。チューニングという聞いたこともない単語に遊代は驚きを隠せない。そしてナイト・ハウリングは3つの光の輪となり、その輪の中をリリスがくぐっていく。

 

「闇を切り裂く咆哮よ、疾風の速さを得て、新たな王の産声となれ!シンクロ召喚!生誕せよ!レベル7、DDD疾風王アレクサンダー!」

 

輪を通るリリスはそのレベルと同じく4つの星と変わり、やがて一筋の光となる。そしてその光はレベル7、攻撃力2500を誇るDDD疾風王アレクサンダーというモンスターと成り零児のフィールドに現れた。

 

「シンクロ……召喚!?」

 

「素材となるモンスターにチューナーモンスターをチューニングする事で、素材としたモンスターのレベルの合計と同じモンスターを呼び出す召喚法。これがシンクロ召喚だ!」

 

初めてシンクロ召喚を目の当たりにした遊代に零児がシンクロ召喚の説明をする。レベル7のアレクサンダーを呼び出す為に零児はレベル4のDDリリスにレベル3のチューナー、DDナイト・ハウリングをチューニングしてシンクロ召喚を行った。チューナーモンスターが必要な変わりに魔法カードを使わずに強力なモンスターを呼び出すのがシンクロ召喚である。

 

『シンクロ召喚……話で聞いた事はあるけど、これがそうなのか……!』

 

遊代はこの目に焼き付けられたシンクロ召喚に興奮を隠せない。シンクロ召喚という召喚方法が未来にあるというのは自分にデュエルを教えてくれた人から聞いた事があった。その人は自分と出会う前に未来から来たシンクロ召喚を使うデュエリストと共に伝説のデュエリストと力を合わせデュエルモンスターズの危機を救った事があるという話を聞いた事がある。

 

「更に私は魔神王の契約書の効果発動!手札のDDD制覇王カイゼルとフィールドのDDD神託王ダルクを素材に融合召喚する!」

 

「ダルクを素材に融合?」

 

零児の手はまだ止まらない。今度は魔神王の契約書の効果でカイゼルとダルク、2体の『DDD』を素材に新たに融合召喚を決めてくる。

 

「全てを支配する王よ、神の威光を伝えし王よ、冥府に渦巻く光の中で、今1つとなりて新たな王を生み出さん!融合召喚!生誕せよ!レベル6、DDD烈火王テムジン!」

 

カイゼルとダルクが魔神王の契約書の効果で混じり1つとなり、新たなDDD、テムジンが融合召喚された。

 

「2体の上級モンスターを素材にしてレベル6で攻撃力2000……何かあるのか?」

 

2体の王を素材に融合召喚されたのはレベル6のDDD烈火王テムジン。攻撃力2800のモンスター2体を素材に、内1体は効果ダメージをライフ回復効果へ変えるダルクを使用してまで融合召喚した割には攻撃力は2000と不釣り合いな気もしなくもない。遊代も疑問には思うが何か狙いが有るのかと考える。

 

「この瞬間、DDD疾風王アレクサンダーの効果発動!1ターンに1度、このカード以外の「DD」モンスターが特殊召喚された時、墓地のレベル4以下の「DD」モンスター1体を特殊召喚する。蘇れ、DDリリス!」

 

「けど、もうこのターンリリスの効果は使えねーぜ」

 

『DDD』の名を持つテムジンも当然『DD』のカテゴリーに含まれる。よってアレクサンダーの効果も問題なく発動し、レベル4のDDリリスを特殊召喚する。だが遊代の指摘通り、リリスの効果は1ターンに1度しか使用できない。このターン既に効果を使用しているので墓地の『DD』モンスターを回収はできない。

 

「だが、『DD』モンスターが特殊召喚された事でDDD烈火王テムジンのモンスター効果発動!1ターン度、墓地の『DD』モンスター1体を特殊召喚する。蘇れ、DDD神託王ダルク!」

 

「なっ……おいおいマジかよ」

 

テムジンも『DD』モンスターが特殊召喚された場合、自分の墓地の『DD』モンスター1体を特殊召喚できる効果を持つ。しかもアレクサンダーとは違いレベルの制限は無い。よってテムジンの融合素材としたダルクをこの効果で復活させ、再び効果ダメージ対策を整える。2体の王の能力がかみ合った事で墓地に眠りし2体の悪魔が蘇った。

 

「そして私は魔法カード、マジック・プランターを発動!リビングデッドの呼び声を墓地へ送り、カードを2枚ドローする!」

 

マジック・プランターは自分の魔法・罠ゾーンに表側表示で存在する永続罠1枚を墓地へ送る事で2枚ドローするカード。リビングデッドの呼び声はこの効果で特殊召喚したモンスターが破壊されたら破壊されるが、特殊召喚したダルクはテムジンの融合素材として墓地へ送られた為に破壊されずにフィールドに残っていた。このままでは魔法・罠ゾーンを占領し続けるので、コストにして魔法・罠ゾーンを1つ開けると同時に手札を補給した。

 

「私は永続魔法、冥王の契約書を発動し効果発動!1ターンに1度、自分の墓地の『DD』モンスター1体を特殊召喚する。蘇れDDバフォメット!」

 

零児はドローしたカードの内の1枚である4枚目の契約書、冥王の契約書を発動。そしてその効果で前のターン戦乙女の契約書の効果を発動する為に墓地へ送っていたレベル4のDDバフォメットを特殊召喚する。

 

「そして私はこの効果で特殊召喚されたモンスターの攻撃力分のダメージを受け、この効果の発動後、私はこのターン『DD』モンスターしか特殊召喚できない」

 

「デメリットみたいに言ってるけどよー、それは違うんじゃねえか?」

 

「それもそうだな。DDD神託王ダルクの効果により冥王の契約書の効果によって発生するDDバフォメットの攻撃力1400のダメージはライフを回復する効果となる!」

 

遊代がちょっと待て、という感じで零児にツッコミを入れる。確かに攻撃力分のダメージとなれば高い攻撃力のモンスターを蘇生すれば大ダメージとなるが、ダルクが居るなら最早メリットしかない。零児は更にライフを1400回復しLPは8100。デュエル開始時の倍だ。

 

「君も気付いているかもしれないが、例え悪魔族モンスターと『DD』モンスターしか特殊召喚できなくとも何の問題もない!」

 

「だろーなー」

 

そりゃそうだろうと遊代は思った。零児はナイト・ハウリングのデメリットにより悪魔族モンスターしか特殊召喚できない所に冥王の契約書のデメリットにより『DD』モンスターしか特殊召喚できない制約が課せられたが、そもそも悪魔族の『DD』モンスターと『契約書』カードでデッキを構築している零児には枷にもなりはしない。

 

「そして、次に私が出すのも『DD』モンスターだ!」

 

「次にって……もうモンスターを呼び出せるカードがねーんじゃねえか」

 

テムジン、アレクサンダーのモンスター効果も、魔神王の契約書も冥王の契約書も全て1ターンに1度しか使用できず、このターン全て使用している。通常召喚もナイト・ハウリングで行っており、零児のフィールドにはチューナーもいない。この状況で更にモンスターを呼び出せるのかと遊代は疑問に思いつつも楽しみにしていた。

 

「ならば見るがいい!私はレベル4のDDリリスとDDバフォメットの2体でオーバーレイ!」

 

「オーバーレイ!?」

 

オーバーレイというまたも聞いた事もない単語に驚きながらも遊代は興奮を隠せずにいた。これから一体何が起きるのかデュエリストとしてワクワクせずにはいられないのだ。オーバーレイされたリリスとバフォメットは光の球体となって吸い込まれ、その周りが渦を巻いて何かを作り上げていく。

 

「2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!この世の全てを統べる為、今世界の頂に降臨せよ!エクシーズ召喚!生誕せよ!ランク4、DDD怒濤王シーザー!」

 

リリスとバフォメット、2体のモンスターを使用して呼び出されたのはDDD怒濤王シーザー。その周りには2つの光球が円を描く様に動いている。

 

「エクシーズ召喚……!?」

 

「同じレベルのモンスター2体を素材に、そのレベルと同じランクのモンスターを呼び出す。これがエクシーズ召喚だ!」

 

同じレベルのモンスターを2体揃えればシンクロ召喚の様にチューナーを、融合召喚の様に融合も必要としない召喚法。レベルを持たず変わりに素材としたモンスターのレベルと同じ数値のランクを持つエクシーズモンスターを召喚するのがエクシーズ召喚である。今回はレベル4のモンスターを2体使い、ランク4のエクシーズモンスターDDD怒濤王シーザーをエクシーズ召喚した。

 

「スゲェ……あんたスゲェよ社長さん!こんなデュエル初めてだ!」

 

「喜んで貰えたのなら何よりだ」

 

融合召喚だけではなく、話でしかその存在を知らないシンクロ召喚、更には聞いた事すらないエクシーズ召喚まで目の前のデュエリストは披露してきた。これには遊代も驚愕と興奮は隠せない。

 

「これこそDDD、ディファレント・ディメンション・デーモン。異次元を統べる王の姿」

 

ディファレント・ディメンション・デーモン。デーモンとは悪魔の他に守護神等の意味も持つ。遊代が知らない召喚法まで使い呼び出された『DDD』達は正に異次元の王とも言える。

 

「さあ、得と味わうといい。私のデュエルを!」

 

そう、まだこのターン零児はモンスターを呼び出しているだけ。このデュエルはここから益々加速していく、その先には更に驚愕させる事が起こるのを遊代は直に知るのだった。




今回は18000文字越え……デュエルシーンに突入してからだけでも4ターン目の途中で10000文字軽く超えるという。4……Ⅳ……

「得と味わうがいい!私のファンサービスを!」

社長、最近トーマス使ったからって中の人ネタしないでください。ソリティアすると1ターンが長くなるから文章も増える一方。

そして遊代がシンクロ召喚とエクシーズ召喚を初めて見ました。エクシーズ召喚は全くの未知ですが、シンクロ召喚自体は話で聞いた事があります。理由は本編で説明した通りです。

次回は更に遊代が驚く展開となります。その理由とは?

次回をお楽しみください。
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