カネキが斬る!   作:古典悠璽

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少し読みにくいかもしれませんが許してください。


カネキが斬る!2話

僕が幼い頃に餓死した母さんによく言われた『傷つけるより傷つけられる人になって』ということば。優しい人はただそれだけで幸せがだと母さんは言った。

僕はその言葉を信じて生きてきた。

村の為にこの体を捧げてきた。村長の為に帝都に来た…

母さん…あさん…

 

激痛によってカネキは目を覚ます。胸元には数えきれない傷痕、指の先にあるはずの爪は既に1つも残っていない。純黒の髪は白髪が混じっていた。

拷問をされる生活が今日で11日目を迎えた。呻き声は既に聞こえなくなり鉄の臭いがより酷くなった。

僕自信からも臭う。隣にいた男は病で死んだ。最後に残した言葉はタツ…ミという言葉。それが何を意味するのかは分からない。

ただ…ただただ僕は毎日アリアに鞭を打たれ汚物のような物を食わされる生活。

 

「どこまで数えたっけ…?」

 

毎朝聞かされるその言葉。それにカネキは無意識に答える。

 

「500…50…があ"ぁ"ぁ"…9ぅ"ぅ」

 

最初にアリアは「1000から7ずつ数を引いていってその数字を口に出して言え」と命令した。初めは分からなかったその意図は直ぐに分かった。

僕が…僕がぁ……正気を出来るだけ正気を保っていられるようにだ。

サイド鞭を胸元に打たれ血が地面に吹き飛ぶ。

そしてまたカネキは無意識に叫ぶ「552」と。

 

「がぁぁあ"あぁぁあぁあ"あ"」

 

アリアは僕が壊れないように鞭を打ち続けた。

 

なんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんども………

 

僕のことをまるで玩具のように思っているようだ。今日は何回打たれるのだろうか。この10日で何回僕は鞭を打たれただろうか。百回?千回……?

もう殺してくれ…殺して…下さい

 

「なんか飽きちゃったなぁ…」

 

カネキにはその言葉が救いであった。やっと僕も死ねる。やっと死ねる殺される。この地獄から抜けられる。

しかしアリアの次の言葉はカネキを絶望のドン底に落とし入れた。

 

「ねぇ?カネキ。人間って意外と脆くてね直ぐに死んじゃうのよ。カネキ…自分で自分で気づいてるか知らないけどね、カネキの生命力もだけも精神も意外とタフね…」

 

フーフーとカネキは呼吸を続ける。そんなカネキを無垢な笑顔でアリアは見ながら続けた。

 

「だからね趣向を変えてみることにしたのよ。」

 

そう言ってアリアが火バサミで何かを掴み取りカネキに見せる。

ウネウネ動くそれが何か直ぐに分かった。ムカデだった。

鞭ち打ちに10日間耐え続けたカネキでさえも叫び怯える。

 

「いやだ…やだ…それだけはいやだ…お願いしますそれは無理…無理無理無理無理」

 

「トビムカデって言うのコイツをね貴方の耳に入れてみるね」

 

そのままアリアはカネキに近づいて来る。逃げようにも体が激痛で動かない。

やだ止めてくれ…止めて下さい。

 

耳の中がゴソゴソなるとアリアは直ぐにテープを僕の耳を包むように頭に巻いた。

 

「おっおお"えぇぇぇぇぇあああっあ」

 

その時誰かの笑い声が聞こえた。

 

ははははははははははははは

 

誰?誰が笑ってるのアリア?違う…アリアの両親?違う。誰?誰?誰だ?

遠くで聞こえると思っていた笑い声の主は僕だった。

このまま狂ってしまえば、どんなに楽だろう

 

「殺して…殺して下さい…」

 

息を吐くようにその言葉がもれた…

 

「じゃあまたね!カネキ♡」

 

アリアは数十分苦しみ笑い続ける僕を見て満足したのかムカデを耳から取り除き拷問室からスキップをして出ていった。

 

それから鞭打ちにプラスしてムカデが追加された。鞭を打っている時よりムカデを僕の耳に入れた時の方がアリアは幸せそうだった。

 

収容されてから20日が経過した。痛みが感じられなくなっていた。瞼の裏で村の皆の顔が浮かぶ。村長ごめんね…僕何も出来なかったよ。

 

「あさん…かあさん…」

 

傷つける人より傷つけられる人に…

僕はあなだが望んだように成長できたかな…

カネキがそう心の中で聞いた、その時だった。

 

「なにそれ退屈」

 

「…!」

 

既に死体以外ないここで声がするはずがない。アリア達は寝ているはずだ。それにアリア達の声ではない。カネキは問う。

 

「…だ…れ…?」

 

見えない誰かが僕を抱きしめるような感覚を感じた。優しく慰めるように…

 

「クソくらえって思わない?ねえカネキくん」

 

気づくとカネキの視線の先には眼鏡をかけた清楚な女性がいた。

会ったことがないはずなのにどこか懐かしい。

 

「あなたは…誰で…すか?」

 

弱々しい声で女に問う。

 

「そうかぁ、カネキ君は私に会うのは初めてのよね。私はずっとあなたの側にいるのよ」

 

クスクスと女は微笑みながら続けた。

 

「あなた髪の毛真っ白じゃない」

 

女は少しの間をあけて「笑える」と少し狂気じみた声で言った。僕はこの人は知らない。だけどこの人は僕を知っている。そして僕の側にいた。分からない。誰…誰だ?

 

「傷つける人より傷つけられる人に?あなた本当にそう思って生きているの?」

 

「母さんがそう教えてくれた…だから」

 

カネキがそう言うと同時に女は突然笑顔を崩し何の興味もないとでも言うよな冷酷な表情になった。

 

「だから言いつけを守って生きてるの?」

 

さらにカネキを追い詰めるように女は問う。

 

「その教えがあなたをここまで苦しめたんじゃないかしら?」

 

「…」

 

カネキには言い返すことが出来なかった。母さんは優しかった。母子家庭で僕が寂しくなかったのは母さんのおかげだと思う。

母さんは凄く立派な人で仕事も家事も一人で嫌な顔を見せずやりこなしていた。

誰にでも平等に優しい僕の自慢の母親だ。そんな母さんだったか村長が僕を引き取ってくれたんだと思う。

 

「あなたの母親は本当に優しく立派だったのかしらね」

 

カネキの心を読んだのか女がそう呟いた。

そんな女をカネキは睨み付ける。

 

「あなたのお母さんはあなたを一人にして死んじゃったのよ」

 

母さんは優しかった。優しすぎた。そのせいで死んでしまった…病気でも、何でもない過労だ。ただの働きすぎ。

僕は10歳で一人になった。

そして数年が経ち僕は村長に引き取ってもらった。それだけで僕がどれだけ救われただろう。

 

「寂しかったでしょうねカネキ君」

 

「そうだね」

 

女はカネキを下から覗きあげるように見てこう言った。「でもあなたそんな大事な村長も失ってしまうかもね」

 

[自分のせいで]

 

女が何を言ったのかカネキには分からなかった。ただ、え?と返す他なかった。

そんな彼に女は絶望を告げる

 

「ご主人様が来たわよ、また後でね」

 

女がそう言って指を指した所にはアリアがいた。

「カネキくん」と彼の名前を呼ぶと女は消えた。

 

「あなたよく壊れないわね。だからねあなたの大事な物を壊すことにしたの」

 

「え?」

 

「勘づいた?そうあなたの大事な村長をあなたの前で殺そうと思うの」

 

女がそう言って鎖を引っ張る。ジャラッと音がなり一人の男がカネキの前に押し出される。

僕の…僕の大事な人…村長…

どうやら気絶しているようだ。

 

「なんで…なんで村長を…関係ないだろ!やめろォォ!」

 

カネキが涙を流しながら子どものように泣き叫ぶとアリアは狂喜じみた顔でよろこび笑う。

 

「やっぱりカネキあなた面白いわ!こんなにた~のしー!!!」

 

最悪だ…最悪だ。僕のせいでなんで…村長がこんなことになるんだ…!

やめろやめろやめろやめてくれ…

 

「村長をやるなら僕をやれってェ」

 

カネキが満面の笑みを浮かべるアリアにそう泣き叫ぶとアリアは笑うのを止めカネキの顎を人差し指と親指で掴み上げた。

 

「分かったわよ」

 

「え?」

 

アリアはカネキを哀れみの目で見つめ再度「分かったわよ」と言った。

助かった?村長を助けれた…よかった…よかった

心の底からカネキ喜んだ。村長だけは…自分の大事な人は守れた…

 

「な~んちゃって!」

 

そんな声が聞こえた。何が何だか分からない。何も聞いてない、何も見ていない、これは僕の血だ…僕のだ…僕のなんだ…

 

ズトっと何かが落ちた。

 

だ…僕の…せいだ…僕の…何で僕ばっかり…けて…誰か助けて

絶望している彼に女の声が聞こえた。

 

「助けに来るわけないじゃない…」

 

つまらないもの見てため息をつくように女は言った。

そんなことは分かってる。でもそうでも言っておかないと自分の心がクリスタルのようにパリンと割れてしまいそうだった。

 

「不運不運…でもその不運は誰が呼び込んでいるの?ねぇ?ねぇ?ねぇ?オメーに言ってんだよカネキ」

 

やめろやめてくれ…それ以上何もいうな

 

「この世の全ての不利益は当人の能力不足…その通りじゃない。そもそもの始まりもあなたが世間知らずで馬鹿だから金髪の女に騙され、あのお前の大事な人をお前の前で殺した女に騙された全部あなたのせい」

 

女はカネキの耳元でそう呟くように言った。

 

「うるさい…」

 

「傷つける人より傷つけられる人に?優しくて素敵ね…だからこんな目に遭う」

 

女はカネキの頭を2、3回撫で続ける。

 

「あなたが騙されていなかったら村長は死ななかったかもしれないのに」

 

寂しい…一人は嫌だ。もう嫌だ。もう…もう…いや…だ

 

「あの女はあなたの大事な人を殺した。あなたはそんな彼女を許せる?あなたはまだやられる人でいられる?」

 

いられない…許せない。

信じていたのに。いつかは心を改めてくれると信じていたのに。僕はずっと続けていたのに。あの最初に手を差し出してくれたアリアが本性だと信じていたのに。

村長を殺したあいつが許せない。僕を苦しめたあいつを僕は許せない。

クズは僕が殺さないと…

女はカネキに微笑む。

 

「イイ子…だったら私を受け入れなさい」

 

その言葉を最後に女は消えた。

 

「いいわ…いいわぁその絶望に満ち溢れたその顔最高…もうカネキには飽きたから死んでもらうね」

 

アリアの声がする。カネキ無意識にボロボロになった服から村長に貰った最後の餞別,眼帯マスクをつける

 

「何してるの?それ何よ。気持ち悪いわね」

 

パキッという音が鳴り響く。

 

「君も僕を殺そうとしたんだ…僕に殺されても仕方ないよね」

 

カネキの眼帯で隠れていない左目の結膜が黒く染まり瞳孔が赤くなる。

流石のアリアでも怖じ気づきヒッと恐怖の悲鳴を漏らす。

カネキは人差し指を親指で押しポキッと鳴らす。

 

「何よこの化け物!ヘタレのくせに!!」

 

アリアがそう叫びカネキに向かって鞭を振る。カネキの胸元を鞭は打つ。今までなら皮膚をえぐったそれが今ではカネキに傷ひとつつけることができなかった。

 

「今更こんなの痛がると思った?」

 

その言葉をアリアの耳元でカネキは言った直後アリアの首と胴体が別々になった。

 

・・・・・

 

宮殿内は混乱していた。これはカネキがアリアを殺したからではない。さらに言えばまだ誰もアリアが殺されたことには気づいていないだろう。

ただアリアの母親と父親は殺されていた。

 

「護衛は3人標的だぜアカメちゃん」

 

緑色の髪の少年がそう言うとその隣に立つアカメという少女は目をギラッとさせ「葬る」た呟いた。

少女は剣をギリっと持ち標的に向かって走り近づく。その後ろには鎧に包まれた者もいた。

 

「言い返すあの刀に、少しでも触れるなよ」

 

標的にの一人がそう仲間に言ったのを合図にしアカメに襲いかかった。

しかし数秒後には3人のうちの二人がアカメと鎧の者によって殺される。

 

「なっなんなんだよコイツ等」

 

残った一人は一目散に敵前逃亡をするのだがそれもつかの間頭をどこからと飛んできたエネルギー派によって貫かれる。

 

「まったく情けないわねぇ」

 

残り一人を撃ち抜いた本人ピンク髪の女が呆れたような呟いた。

 

「こっちも終わった?じゃあ帰ろう」

 

手に付着した血を払いながらアカメのもとに金髪の女がやってくる。女の頭部には猫耳が付いており尾骨辺りには尻尾が生えていた。

 

「レオーネまだ一人を残っているアリアだ」

 

アカメは帰ろうと準備をする金髪の女レオーネを止めてそう言った。

それを聞くとレオーネは面倒くさそうに「じゃあ行くかどうせあそこだろ」と言いアカメと二人で目的地に向かって駆けて行った。

 

・・・・・

 

カネキはアリアを殺し扉を開け外に出る

20日ぶりの外だ。

村長の死体を木の根本に埋め涙を流す。

僕のせいだ…ごめん村長。

カネキが手を合わせた時だった。殺気を感じた。

二人か…もう気づいたのか。まあどうせこの家の人間は全員殺す予定だったから好都合だな…

数日前のカネキが絶対に言わない言葉だった。

 

「標的ではない」

 

駆けて来たアカメがカネキに向かって言う。その横を一緒に駆けて来たレオーネがアカメに「本当だ」と言った。

 

レオーネを見たカネキの表情が曇る。

あの女…あの時の…僕を騙した女。あの女さえいなければ…いなければ…村長は死ななかったのに!

 

「あ"ぁ"ぁ"」

 

突然奇妙な声を発したカネキにアカメとレオーネは咄嗟に構える。

顔が眼帯マスクで隠れており全ては見えないが、この人間おかしい…

じっとカネキを、見たレオーネは既視感を感じた。

この少年どこかで見たことがある気がする。どこでだっけ?

ふとレオーネの脳内に飲食店が思い浮かぶ。雰囲気があの少年に似てる…でも黒髪だったしなぁ。

 

「レオーネどうする?」

 

アカメがレオーネに尋ねる。標的ではないものに攻撃するのは気が引けるがこの少年からは危険な匂いがする。

レオーネが判断を下すより先にカネキが行動した。

バタリと倒れたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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