カネキが斬る!   作:古典悠璽

4 / 5
カネキが斬る!4話

「正式にナイトレイドに加わります」

 

これでいいよね村長。夢の中で村長に言われた「新しい仲間と戦っていけ」という言葉、新しい仲間というのはナイトレイドだよね。

あの夢は僕の望みが見せたものかもしれない…でも今はあの夢の中に出てきた僕の大事な人の言葉を信じたい。いつまでも挫けていては何も変わらない…村長も報われない。新しい仲間と一緒にこの世界を変える…

そんな思いでカネキはナイトレイドに加わることを決心した。

全員がボスの顔を見てコクりと頷いた。

 

「よし…決まりだな」

 

「でも…僕は人を殺したくない」

 

アリアをこの手で裂いた時の感触を思い出すし背筋に悪寒が走る。一度深呼吸をし落ち着きを取り戻し、ですがとカネキは続ける。

 

「食糧調達や料理は任せてください」

 

カネキの数少ない特技が料理だ。村長に養ってもらう代わりに料理を担当していたからだ。その料理を教えてくれたのも村長だった。

 

「よぉーしカネキ任せたぞ!あと俺のことは兄貴かハンサムって呼びな!」

 

ブラートがカネキの肩をバンバンと叩いてニッと笑って言った。

 

「はいブラートさん」

 

流石にどちらも呼びづらかったのでブラートさんと言った。ブラートはまあ最初は緊張するよなと笑ってくれた。

 

「私も炊事担当だ…これからは宜しく頼む」

 

「よろしく、アカメちゃん」

 

「よし今日の会議は一旦ここまでにしよう。明日は重大な作戦があるからな…カネキ明日の朝食楽しみにしてるぞ」

 

そうボスが言い会議が終わる。でも僕にはまだやることがある。

カネキは今日の会議で一言も発しなかった女を呼ぶ。

 

「レオーネさん!」

 

レオーネは僕の声にビクっとした後振り向いた。

 

「話があります。ここで話すのもなんですから、僕の部屋に行きましょう。」

 

ぎこちなくレオーネは頷いた。

 

・・・・・

 

ボスがカネキに与えてくれた部屋にレオーネと戻り机を間に挟んでイスに座る。

レオーネは俯いて黙りこんでいる。暫しの沈黙の後カネキはすぅ~っと空気を吸い込む。

 

「あなたのせいで僕はこうなった…ですが…あなただけに非があるわけではない…僕が世間知らずだったのが一番悪いんだ。だから僕は貴方を許します。きっと村長も母もこれを望んでいるから」

 

カネキは自分の思いを全て語った。そうきっと村長は望んでいない。ずっと一緒にいたからこそ分かる。あの人は僕に仲間を憎んで欲しくないばすだ。母さんもきっと…

ポタリと雫が机に落ちた。またポタリと…僕の目から次々と落ちてくる。どうしてだかは分からなかった。ただ止めることも出来ない。そんな僕をさっきまで僕の前に座ってずっと黙りこんでいた筈のレオーネが後ろから抱き締めた。カネキの首に水滴が落ちた。嗚咽が聞こえた。

あぁ…この人もずっとずっと悩んでいたんだ。

 

「ごめんなカネキ…今はこのままでいさしてくれ」

 

レオーネは嗚咽混じりにそう耳元で言った。

 

僕とレオーネがいる部屋の外で誰かがよかったですねと言った気がした。誰だろう…でも今はそんなことはどうでもよかった。今はこのまま泣いていたかったから。

 

・・・・

 

この帝都にきて初めて心地よく目覚めた。一緒に泣いていたレオーネはいつの間にかいなくなっていた。あのまま寝ちゃったのか…

少し頬を赤く染めカネキはすぐに台所に向かった。

 

「遅いぞカネキ」

 

「ごめんアカメちゃん」

 

台所には警戒心の強いことで有名な怪魚コウガマグロが8匹いた。まだピチピチと動いている。捕まえてきたばかりのようだ。

明日はもっと早く起きないといけないな…自分の心のメモし早速コウガマグロを捌くがアカメにその手を止められる

 

「駄目だもっと豪快にいこう」

 

アカメそう言うとコウガマグロを半分に切り頭部をそのまま焼いた。

豪快な料理だな…止まってないで僕も何かしないと。カネキは残ったコウガマグロを一口サイズに捌いて火を通し味付けをして皿に盛った。

 

「おーっすカネキ」

 

「おぉやってるな」

 

ボスとレオーネが起きてカネキに言った。カネキはおはようございますと返しレオーネがアカメとボスに睨まれていることに気づく。

 

「あの?どうしました?」

 

ボスがレオーネからカネキに視線を移しコホンと咳払いしてからカネキに説明した。

 

「いやレオーネにはカネキに近づかないように言っていたのだがな」

 

理由はすぐに分かった。僕を気遣ってだろう。おそらくレオーネさんが自分の罪を話していたのだろう。

 

「もう大丈夫ですよ。解決しましたので」

 

カネキがそうボスに伝えるとレオーネがそうだぞと便乗し僕の頭に胸をのせて抱きつく。止めてくださいと言うが離してくれなかった。

ボスはその光景を見て「それだけ仲良しなら大丈夫だな。私から皆に伝えておこう」と微笑んで言った。それと同時にぐぅ~と誰かのお腹がなる。

 

「お腹空いたから食べよう」

 

「うん、そうだね」

 

少し苦笑いで僕は出来上がった朝食を机の上に並べ自分の席に座る。

既にアカメはガツガツと食べていた。

その光景を微笑ましく見ていたレオーネが思い出したように僕に聞いた。

 

「そう言えばカネキあの眼帯?マスク?みたいなのはどうしたんだ?」

 

「眼帯マスク?なんだそれは」

 

レオーネの言葉にボスが反応する。

 

「あぁ…あれは今ベッドの隣に置いてます」

 

少し躊躇いながらカネキは言った。正直あの眼帯マスクは思い出したくない。あれを着けたときの僕は僕であって僕ではなかった。記憶はあるものの自分の意思で体は動いていなかった。

 

「見せてくれるか?」

 

ボスが遠慮がちにカネキに頼む。正直なところあれとはもう関わりたくないがボスの願いだ仕方がない。カネキは自室に戻りマスクを手に取った。

何も起きないな…僕の考えすぎかな…

再度ボスたちのもとに戻りマスクを見せる

 

「不気味な形だな」

 

相当な量あった朝食を食べきったアカメが言った。まあそう思うだろうな。僕自身、村長の形見でなければ不気味に思っているだろう。

 

「少し貸してくれ」

 

カネキは眼帯マスクをボスに手渡す。ボスの手にそれが触れた瞬間だった。黒い靄が現れる。ボスはすぐに眼帯マスクを手放すと靄は消滅した。何が起きたのかカネキには理解出来なかった。が…他の3人はどうやら理解できているようだ。

 

「やはり帝具か」

 

「帝具って何ですか?」

 

カネキが質問するとアカメがこういうのだと剣をカネキに見せるが全く分からない。そんな彼にレオーネが教えてくれた。

帝具、それは約千年前、始皇帝によって伝説と言われた超級危険種の素材から作られた兵器。そして帝具どうしが戦うとどちらかが死ぬということ。

どうやらナイトレイドもボス以外皆持っているようだ。

 

「カネキこれを使ってみてどうだった」

 

カネキがこれを使ったとき、体には何の変化も感じられなかった。だがあのアリアの言葉「化け物」…それが意味するのはなんだ…

 

「僕の体には何も変化がなかったと思います。しかし…アリアに化け物と言われました」

 

3人が目を見開く。

 

「カネキ…悪いがこれを使ってみてくれないか?」

 

恐れていたことを頼まれる。断りたい…断りたい…でも…僕について知ってもらうためなら仕方がない。それにこの事で僕自身気づけることがあるはすだ。それに今は仲間もいる。きっと大丈夫だきっと…カネキは決意して眼帯マスクを装着する。

 

あの時のような感情が昂るのは感じない。それよりカネキには気になったことがあった。ボス達の視線が僕の左目に集まっているのだ。落ち着け僕…大丈夫、大丈夫だからきっと…

 

「ど…どうしました?」

 

「いや帝具にはよくあるのだがな…カネキの左目が黒くそして赤くなっているんだ」

 

ボスがそう言うとアカメが自分の皿を手に取りカネキに見せる。そこに映るのは白髪の僕、これにはとっくに気づいていた。そして、気味の悪い左目…なんだこれ…これが僕の目!?無意識に皿をガシっとつかんでしまう。すると皿はバリンと音をたて粉々に割れてしまう。なんだこの握力…そう言えばあの時アリアを殺したとき素手でアリアの首を切り裂いた。まるでそれは刃物のように。

 

「私の帝具と同じようなもんだ!カネキ大丈夫だ落ち着け」

 

レオーネにそう言われ落ち着きを取り戻し眼帯マスクを取り外す。3人の反応をみる限りどうやら目は元に戻ったようだ。握力も元通りになっていた。

 

「レオーネのいう通り肉体強化型の帝具だな」

 

そう言えばレオーネと再会したときレオーネの頭には耳が生えており尾骨あたりにはしっぽが生えていた。それと同じようなことなのだろう。カネキはすこしホッとする。

 

「何?うるさいわね」

 

「おはようございます」

 

不機嫌な声と眠そうなおっとりとした声がする。前者がマインで後者がシェーレだ。マインと目があう。「まだいたの?」と言われた。薄々気づいていたがこの子とは馬があわないようだ。一応「ごめんね」と言っておいた。

二人は空いてる席に座り数秒後カネキの方をじっと見る。

 

「え?どうしたの」

 

「朝食はどうしたのよ」

 

確か皆の分を机の上に出しておいた筈なのだが机の上には皿しかなかった。

カネキが訳がわからずにいると皆の視線がアカメに集まっていることに気がつく。

まさかあれだけの量を?そんなバカな

 

「スマン…お腹がすいてて…つい」

 

食べたようだった。何故か僕はマインに怒鳴られ再度台所に行き料理を作るはめになった。アカメは謝ってくれたし二人は美味しそうに食べてくれたのでまあいいだろう。

しかし…ブラートさんが数分後に汗だらけでやって来た時はビックリした。

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。