Fate/apocrypha 少し違う外典のようです 作:カルナさんお迎えしたマン
1998年7月26日 観布子市
人気の無い路上に1人の少年が佇んでいた。
「どこ、ここ」
そうボソッと呟いて辺りを見回すが自分がどうやってここまで来たのかまったく分からない。いや、正確にはどの道順を通ってここまで来たのかが思い出せない。
好奇心で路地裏に入ったのが間違いだった。
こんな事なら 大人しくホテルで寝てればよかった。なんてことを今更悔やんでいても始まらない、帰り道が分からないからといって足を止めるわけにもいかない。適当に歩いて適当に角をまがる。
「この先は行き止まりかな」
「ちょいとお兄さん、寄ってくかい」
人1人通れるくらいの路地にミセを構える人がいた。
黒い服に身を包み、顔をこれまた黒いヴェールで隠している少し太めの女性がそこにはいた。
「俺のこと?」
「アンタ以外に誰がいるのさ」
さもありなん。こんな夜中の、しかも人気の無い路地裏なんかにいるのは自分以外にいるわけもない。
女性の方を注視しる。これみよがしに置かれた水晶といくつかの宝石が見える。
「占い師、ですか」
そう尋ねると女性は少し驚いたようなそれでいて呆れたような表情をした。
「まさかアタシを知らないでここまで来たのかい」
「こんな薄暗くて人っ子一人いないような路地にミセを構えてる占い師なんて知らないさ」
「…アンタ喧嘩売ってるなら買うよ?手始めに、アンタが昨日まで関わってた事件について当ててやろうか。」
「残念だけど今手持ちがないんだ」
「大の男のくせに情けないねぇ。アンタ名前は」
「壱原侑次まだ12歳だよ」
名前を聞いた途端彼女の顔つきが変わった。それまで何か含みのある笑いを浮かべていた顔が真剣なものへと変わっていた。
「気が変わったよ、さっきのは嫌味でだけど、今度は親切でみてあげる」
そう言うと彼女は俺の手を撫でるように触ってきた。
どうやらこの占い師、置いてある水晶や宝石はまったく使わないらしい。
「そういえば俺はまだあなたの名前を聞いてなかったですね」
「ホントにアタシのことを知らないらしいね。アタシは観布子の母って呼ばれてる占い師さ」
『観布子の母』占いに興味がない自分でもどこかで聞いたことがある名前だ。確か、2年ほど前に。
これから起こる悲劇を言い当てそれを回避する術を教えてくれるとかなんとか。言った通りにすれば100%悲劇を回避でき、しなかった人は例外なく悲劇に直面したとか。
「アンタ、生まれついての強力なチカラがあるね。しかもそれを隠してる。1つはその独特な呼吸法、もう1つは人型の像が見える」
「お、おいどうして波紋とスタンドのことを知っているッ!あんたスタンド使いなのかッ!それより、未来のことを占うんじゃあなかったのか!!」
「興奮するんじゃあないよ。安心しな、アタシはそのスタンド使いってのじゃないよ。そんなことより話は最後まで聞きな、ここからが本題なんだから。」
「これが興奮せずにいられるかッ!!あんたはいったい「アンタ7年後に死ぬよ」あ゛?!?」
…この占い師今なんて言った、死ぬ?俺が?
「占いで人に死ぬなんて言うのは少しタチが悪いんじゃあねえのか!」
「人の話を聞かない子だねえ、死にたくなかったらその時に決断することだよ。」
「決断?いったい何をどう決断すればいいんだよ」
能力を当てられ、自分の死を予言されてどうも口が悪くなっている。いや、まあ、誰だって知らない人間が自分のことをいろいろ知ってたらビビって焦るけども。
素数だ、素数を数えて落ち着かなければ。1 2 3 5 7 11 13...あれ、1って素数だっけ。
「そうさね、その時になれば分かるさ」
「抽象的過ぎる!そんなんじゃいつ決断すればいい判らないじゃないか!」
いかん、また熱くなってしまった。落ち着け俺、ビークール。
「7年後の秋、そこで決断をすることだよ」
かなり曖昧にしか言ってくれなが噂が本当ならその未来は本当におこるのだろう。
これ以上詳しく聞けば今の手持ちでは対価を支払うことが出来ない。
「…もういい。一応未来までみてもらったんだ、それ相応の対価は支払う」
ぶっきらぼうにそう吐き捨て財布を開く。が、中身は2500円しか入ってなかった。
は、恥ずかしい。カッコつけてそれ相応の対価を払うとか言っておきながら最初に呈示された金額すらないなんて。
「じゃあ、お代は2000円でいいよ」
うっ、この占い師、俺の持ち合わせを知っている。それでいて払える分ギリギリを突いてきやがる。
でも仕方ない、最初の値段より値引きされているから文句も言えない。
本来なら対価は過不足なく、それが原則なんだが増やされても払えはしないから余計なことは言わずにさっさと支払う。
「じゃあね婆さん、長生きしなよ。この辺りの夜は物騒だ、年寄りには向いてない。」
「あらまあ、今どきイナセな台詞じゃないか!アンタがあと10年早く生まれてたら惚れてたよ」
「やめてよ気持ち悪い。」
ひらひらと手を振り路地裏を後にする。不思議と迷わずすんなりと大通りに出ることができた。
これもあの占い師のおかげなのかなあ。と、そんなことをぼけーと考えつつ今日で泊まるのが最後になるホテルへと帰っていった。
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1998年3月某日
俺は今イギリスに来ている。何故かというとお婆ちゃんからもっと視野を広げてみなさい。と言われたからだ。
なんでもここイギリス・ロンドンには魔術協会なるものがあり、そこでは魔術師は日々研究に研究を重ね根源
話を戻そう。さっきも言ったようにお婆ちゃんの進言もあるがもう1つ理由があった。何故だか自分に「協会に来ないか」というオファーがあったらしい。
そのオファーを出した人物が昔お婆ちゃんに世話になったとかなんとか。
確か名前はガ、ガーリック・プレース〇ーション・ユグドレヤ。たぶんそんな名前だったような、そうじゃないような。正直に言うと覚えてない。割とどうでもいいや
「無事にロンドンに着いたし、婆ちゃんに電話でもかけるかな」
空港にある公衆電話を使い日本のN県にいる婆ちゃんの家に電話をかける。
「もしもしー、婆ちゃん?無事にロンドン着いたよー」
『そう、よかった。これから知らない土地で生活をすることになるけど、決して無理だけはしないでね』
「分かってるよ。ところで婆ちゃん、俺が住むことになるアパートなり寮は何処にあるの?」
『寮?何のことかしら』
「へ?今なんて?婆ちゃん、今なんて言ったの?!」
『寮とかアパートは借りてないわよ、侑次、アナタまさか…』
…マジか、てっきり婆ちゃんが全部してくれているとばっかり……
この年でホームレスはキツイぞ、冗談なしで。
『ロンドンは学園都市のようになっていて魔術師が多いからその周辺に空き家はもう無いわよ。少なくても半年前、夏休みには決めておかないと…』
知らなかった、ていうか半年前はお婆ちゃんのお使いで観布子市に行ってたのに!
まあ8月は遊んでたんだけどね…
『大丈夫、アナタならどこでだって強く生きていけるから。』ブツン
「もしもし婆ちゃん?!もしもーし!婆ちゃぁぁぁぁぁぁああああん!!!
...切りやがった、孫が海外でホームレスになるかもしれないのに。
どうすりゃいいのさ。
「はあ」
深い溜息を吐き財布を確認する。なんとか2泊ほどできるだけはある、だけどここで使ったら後々野宿するしかなくなる。
どうしよう、どこかで話がわかる日本人を探すか。ロンドンだ日本人くらいいるだろう。いたとしても住まわせてはくれないだろうけどさ。
どうしようもない不安が次々とやってくる
知ってる人が1人もいない。しかも言葉も通じないし。今にも泣き出しそうになる。
熱なった目頭を抑え上を見上げ、涙が出ないようにぐっと我慢する。
「ユージ・イチハラ様ですカ?」
突然どこからか声がした。
どこか覚束無い片言の日本語。それなのに柔らかく澄んだ声。聞く人を安心させるような、そんな印象を与える声だった。
「はぃ?」
それに比べて自分の声は不安と知らない人に話しかけられたことによって酷く震えていた。…かっこ悪ッ。
「ダーニックおじ様からの使いで貴方をお迎えに参りました」
振り返るとそこには車椅子に乗った少女が微笑んでいた。
ーーーたぶん、俺は
そう思えるほどの出会いだった。
「フィオレ・フォルヴェッジ・ユグドミレニアと申します。よろしくお願いしますユージ様」