The Genius Jockey   作:抹茶小豆餅

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 どうも! 抹茶餅です。

 もうすぐ春、クラシックが近づいてまいりました!
皆さんはどの馬に夢を託しますか? サトノ? エア? いろいろでしょうね!
僕はリオンに頑張ってほしいです!!

 この作品はウイニングポストから名前は借りますが、内容はオリジナルをお約束します。
いやダメだろと思う方はご意見お願いします。その時は変えさせていただきます。


 またあとがきには、競馬用語を簡易的にですが説明いたします。とはいえ作者の解釈なので間違う場合もあります。なのでその時は感想などで教えてください……!!


 ではどうぞ!!


天才は、鮮烈なデビューを果たす。

 

 

『さあ、第4コーナーを回って最後の直線に向かいます! 先頭はブレイクランナー、ブレイクランナーが逃げる! 2番手追走するのは1番人気、グレイトバスターですが先頭との差は2馬身、3馬身と開いていく!!』

 

 

 秋が深まり、もうすぐ冬に差し掛かろうかという最中、京都競馬場。

お昼が過ぎ、レースもいよいよメインの第11レース。秋のマイル王を決める大一番――マイルチャンピオンシップ。

 春のマイル王が、スプリント界の猛者が、そして秋に向けて成長した上がり馬たちが一堂に会するこの舞台。その大レースもいよいよ終盤、最後の直線。

 

 

『逃げ切り体勢に入ったブレイクランナー! 鞍上の結城、ここで鞭を一発入れた! ぐんぐん伸びていくブレイクランナー、道中のハイペースの中、どこにそんな力が残されていたのか!? 2番手はグレイトバスターと後方から追い込んできたサクラマイペースの争いか!』

 

 

 ここまでハナを一度も譲らず、ここまで逃げてきたブレイクランナー。ハイペースの中を逃げた同馬に、観客も、ジョッキーたちもが直線で落ちるだろうと思っていた。だが、今にして思えば、ブレイクランナーの鞍上は一度も追っていなかったのだ。

 馬の走りたいように走らせ、それでいてハイペースを作り上げた――ブレイクランナーとは、それほどのポテンシャルを秘めていた。

 

 

 そして驚くべきは、この判断をしたジョッキーが――

 

 

 

 

 

『先頭独走態勢に入った! ブレイクランナーだ! ブレイクランナーゴールイン!! 2着には1番人気、グレイトバスターが入ったか。8番人気のブレイクランナー、まんまの逃げ切り勝ち!! 鞍上の”新人”結城に、初G1をプレゼントしました!! 今、ゆっくりとブレイクランナーの頭を撫でています』

 

 

 

 新人、今年デビューした……ということだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日のスポーツ新聞にはでかでかと書かれていた。

 

 

 ――天才鷹の再来か!? デビュー年に初G1制覇!!

 

 

 ――天才現る! 穴馬をG1馬へと導いた!

 

 

 ――鷹は一言。「ようこそ、こちらの世界へ――」

 

 

 

 

 確かに、うまい騎手ではあった。道中馬を気持ちよく走らせる術を最初から持っていて、いつもその馬のベストを出して帰ってくる。結果勝ち星はぐんぐんと伸びていき、いつしか新人が目指すボーダーライン、30勝を軽く超えていった。

 しかし、G1はマイルチャンピオンシップが初挑戦だった。単に騎乗依頼に恵まれなかっただけなのだが……。

 

 

 結局天才は、104勝のG1を一つ勝ち、JRA賞最多勝利新人騎手の栄冠を手に入れた。この時は、世間は新たな波の再来を疑いはしなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ♪~♪

 

 

 

 

 時は過ぎて春、青葉賞。このレースは、5月末に開催される競馬の祭典である東京優駿、またの名を日本ダービーに出走する馬のトライアルレース。このレースで2着までに入った馬には、ダービーへの優先出走権が与えられる。

 このレースにも、天才が出ていた。天才が騎乗する馬は、天才が所属する厩舎の期待する馬で、体調不良などでここまで出遅れたが、無事ならばクラシックもとれるといわれた馬だ。

 

 

 当然天才は、並々ならぬ闘志を秘めていた。世話になっている厩舎の期待の馬で、ここまでの3戦すべてに騎乗してきている。それだけではなく、調教から追い切りまですべて管理してきたいわば相棒だ。

 

 

「よし! 絶対勝とうぜ、相棒!!」

 

 

 ――ぶるるっ!!

 

 

 天才の鼓舞に応えるように、相棒のデスティニークライも鼻を鳴らす。この時の天才は、去年ほど勝ててなく、またG1勝利もなかった。焦りもあったし、何より乗るのが相棒だ。気持ちが変な方向に高ぶっていた。

 ……だからだろう。ゲートに入る際、脚が少し浮ついていたことに気づかなかった。

 

 

 

 

 ――よしっ! いい感じだ……!!

 

 

 第3コーナー手前。手前替えもスムーズに決まり、第3コーナーを回る。残りは第4コーナーと直線のみで、現在4番手。閃光場のこいつならベストなポジションにつけれてる!

 だがこの時、気づくべきだった。デスティニーの鼻息が、いつもよりも荒い……。

 

 

 そんなことに気づきもせずに迎えた第4コーナー、大欅の向こう。

 

 

 ――さあ最後の直線だ! 行くぞデスティニー!!

 

 

 鞭を一発、打った。

 

 

 

 

 

 その瞬間、世界は反転した。

 

 

 

(あれ? 何だ、この感じ……)

 

 

 周りがスローに流れていく。

 

 

 

 そしてその後にやってきた衝撃。

 

 

「ッガハッ!!」

 

 

 そして激痛が天才を襲う。肺の中の空気がすべて出されただけではなく、骨にも嫌な鈍痛がある。肋骨か、腕か、脚か……どこか骨折、ないしひびが入っているだろう。

 

 

(……いてぇ。なんで、こんなことに……?)

 

 

 確か俺は、レースの真っ最中だった。大欅の向こうに差し掛かって、いよいよスパートをかける。そんな時だったはずだが……。

 

 

(そのあとに、デスティニーに鞭を入れて――……!! そうだ、デスティニーは!?)

 

 

 痛む体に鞭を打って、起き上がる。地面は芝のチクチクする感覚が残っている。そうか、俺は落馬したのか。他の馬たちはゴール板を通過しようとしていた。

 

 

 そして――

 

 

「ッ!? デスティニー!!」

 

 

 それの相棒、デスティニー……デスティニークライが、横たわったまま動かないでいた。その顔は痛みなど感じずに安らかに、まるで眠っているようだった。天才はそっと痛みに耐えながらデスティニークライに近づいた。

 

 

「デスティニー……大丈夫か?」

 

 

 ……。

 

 

「なんか言えよ、デスティニー……。頼むよ……」

 

 

 しかし天才の声もむなしく、デスティニークライは反応を見せない。目は完全に閉じられて、ピクリとも動かない。天才は虚ろな笑みを浮かべながらデスティニークライに触れる。

 

 

「なぁ……なぁ!! なんか反応しろよ!! 起きてくれよ!!」

 

 

 懇願するように、まるで現実を受け入れたくないかのように。

 

 

 

 

 

 

「デスティニー!! 起きてくれよぉぉおおおおぉおおお!!」

 

 

 

 

 

 

 

 デスティニークライ号、左後ろ脚の複雑骨折により、回復は不可能と判断。予後不良の診断を下され、安楽死にとられた。

 

 

 

 

 




・マイル……およそ1600m~2000mまでを指す。この距離を主戦場にする有名馬はニホンピロウイナー、タイキシャトル、スズカフェニックス等々。


・スプリント……およそ1000m~1500mを指す。この距離を主戦場にする有名馬はダイタクヤマト、カルストンライトオ、ロードカナロア、カレンチャン等々。


・ハナ……先頭。ハナを切るとは先頭に立つということ。


・上がり馬……夏場で急成長してきた馬の事。


・ハイペース……レースの流れが速いこと。ペースは他にスロー、ミドルとある。ミドルペースが基準になる。


・穴馬……人気のない馬。目の節穴の奥に潜んでいる馬から来たとされる。


・30勝……新人騎手が目指す数字。30勝を挙げるとG1に騎乗することができる。


・JRA賞最多勝利新人騎手……いわゆる新人賞。30勝を挙げ、なおかつ同期の中で一番多く勝つことで得られる賞。30勝にだれも達しない場合は該当なしとなる。


・クラシック……桜花賞、皐月賞、優駿牝馬、東京優駿、菊花賞の5レースを指す。


・トライアルレース……クラシックへの優先出走権が与えられる前哨戦の事。


・追い切り……レース直前に行う調教。最高の状態で臨めるよう3~4日前に行う。


・手前替え……コーナーを曲がる際に適切なタイミングで曲がる方向に扶助を与えること。馬が重心を移すときに足や手綱を使って曲がるのを手助けする。


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