The Genius Jockey   作:抹茶小豆餅

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 どうも、抹茶餅です。
前書きに書くことがない……あぁ、どうすればいいんだ!!


 そうだ、この小説に出てくる架空馬の情報載せたら楽しいんじゃね? それでいっちゃえよ!!

 てなわけで前書きには出てくる架空馬の情報を書いていきたいと思います。
ウイニングポストなどを基に考えはしますがほとんど適当です。クロスやニックス、インブリードなどは考えませんので悪しからず。

 では手始めにデスティニークライから。


 デスティニークライ(牡)3歳
父…アグネスタキオン
母…パールネックレース
母父…ミルリーフ

 デビュー戦は12月。中山競馬場の2歳新馬戦、芝2000m。
血統の地味さから4番人気と振るわなかったが、類まれな先行力で見事勝利。鞍上は結城響。
 2戦目は2月のゆりかもめ賞を予定していたが、体調不良に陥り回避。その後休養を余儀なくされ復帰した4月中旬、中山競馬場の500万条件の山吹賞、芝2200mに出走。4番手からの好位抜けだしで見事勝利。
 陣営は血統からさらに距離が延びても大丈夫だろうと判断。ダービーへのステップレース、GⅡ青葉賞へと駒を進める。
 鞍上はこの2戦で主戦を務めた結城。陣営は父親譲りの脚元不安を懸念していたが、結城は馬のことを最優先に考えるだろうと強行を決意。結果、最終コーナー手前で落馬。そのまま命を落とした。

 ≪戦績≫

 12月24日―中山芝2000m 2歳新馬   1着
 4月6日―――東京芝2200m 山吹賞    1着
 5月4日――東京芝2400m  青葉賞    中止

 通算成績 3戦2勝

 ≪馬主≫   山村 哲造
 ≪生産牧場≫ 山村新冠牧場
 ≪調教師≫  藤原 和臣
 ≪主戦騎手≫ 結城 響




天才は、悲しみに暮れる。

 

 

 

 茨城県某所。病院。

 

 

 真っ白い部屋には簡易なベッド、棚、そしてカーテンにテレビと最低限なものが置かれていた。そのベッドには、一人の青年が開けたカーテン越しに空を見ていた。

 

 

 

 コンコンコン。

 

 

「……どうぞ」

 

 

 短く挨拶を返す。引き戸式のドアを開けて入ってきたのは、美浦に厩舎を構える青年――響の所属先の調教師、藤原 和臣(ふじわら かずおみ)だった。

 

 

 藤原は一言邪魔するぞ、と言い近くの椅子に腰かけた。

 

 

「……」

 

 

「……よぉ。聞いたぜ? 肋骨折って全治2か月だっけ? 大層に怪我したもんだな、あっはっはっは!!」

 

 

「……」

 

 

 藤原の笑いも、むなしく消えていく。響は外を見たまま、一向に動かない。

 

 

 ガシガシと頭をかいた藤原は、一つコホンと咳払いをして響、と呼んだ。ようやく、静かにではあるが響が藤原の方を向いた。

 

 

 ひどい顔だった。あれだけ自分に自信を持っていたとは思えないほどに、その目からは生気を感じなかった。だがそんなことはお構いなしに、藤原は言葉を発した。

 

 

「お前のことだ。さんざん後悔したんだろう。お前は騎手になる前……子供の時に遊びに来ていた時から、馬の考えてることがなんとなくわかるやつだった。それはこの業界では天賦の才だ。だからこそ、お前は今そうして傷ついている」

 

 

「……」

 

 

「あの時、デスティニーの脚に異変が起きていたことに気づいてやれなかったことを気に病んでるんだろ? なまじ馬の考えてることがわかるお前だ、異変にも人一倍機敏なやつだからな」

 

 

「……っ」

 

 

 響はぐっとした唇をかみしめた。一息置いて、藤原は静かに続けた。

 

 

「気休めにもならんだろうが、聞け。……あいつが死んだのはお前のせいじゃねえ、俺の責任だ。だからお前はもうこのことは忘れろ」

 

 

 この時、冷え切っていた体中の血液が一気に沸騰するのを感じた。バッと顔をあげて藤原の胸ぐらをつかんだ。

 

 

「忘れろ……だと? ……忘れられるはずがないじゃないですか!! あいつは……あいつは、俺に言ってたんです。脚が痛いって、走らせないでくれって、もう走りたくないって!!」

 

 

 今にして思えば、あいつはレースに入る前から異様に発汗していたし、後ろ脚もわずかに引きずっていたように思える。

 だが響は、そんなことにも気づかずにレースに走らせた。追った。鞭を入れた。デスティニークライもそれに応えようと必死に走っていた。

 

 

 だが無情にも、デスティニークライの脚は限界に来ていた。発走前には限界だったのに、まくっていって鞭まで入れて……耐えられるはずがなかったんだ。

 

 

「俺は…っ、ダービーに出してあげたくて! 俺自身がダービーに出たくて!! 俺に任せてくれた先生たちに応えたくて!!! ……そんなことばかり考えていたから、あいつのことを考えてやれなかった」

 

 

「……」

 

 

 力なく、胸倉を掴んでいた手が落ちた。

 

 

「……俺のせい、なんですよ。あいつのことをわかってやれなかった、俺の――」

 

 

 

 

 パァン!!

 

 

 

 

 

 

 乾いた音が、ほとんど何もない病室に響いた。藤原が、響の頬を引っ叩いた音だ。

 

 

「……粋がってんじゃねえぞ、若造が」

 

 

「……ぇ」

 

 

 今度は、藤原が胸ぐらを掴みかかった。勢いよく掴まれた響はくぐもった声を漏らし、壁にそのまま叩きつけられた。肋骨が悲鳴を上げたが、そんなことはお構いなしに藤原は怒鳴りつけた。

 

 

「何が俺の責任だ。何がわかってやれなかっただ!! たかだか二十歳にも満たねえ若造が、知ったような口をきくんじゃねえ!!」

 

 

「ぐぅっ!? ……せ、…せぃ…?」

 

 

「あいつの管理は俺の仕事だ! レースに送り出した時点で、責任は全部俺にあるんだよ!! 追い切り、調教、その段階で気づけなかった俺の責任だ!」

 

 

「…!? ち、ちが……っ!?」

 

 

「違わねえ!! ダービーに出たかった? 自分に期待してくれてる人に応えたかった? いいんだよお前たち若造はそれで!! 自分のことに必死になって、そうやって成長していくんだろうが!! 俺たち調教師は、そんな若造たちに力を貸すのが役目だ!」

 

 

 一滴、ぽたりと、藤原の目から涙が零れた。

 

 

「そんな若造が、こんなことで成長をやめるんじゃねえ……。こういうことの責任は俺たち年寄りがとってやる。お前たちは……ただがむしゃらに、真っ直ぐに、成長していってほしい。若者の道を開くのが、俺たち親父の役目なんだからよ」

 

 

「……ぁ……」

 

 

 するりと、藤原の手から力が抜け、響は壁にもたれかかった。藤原は乱暴に目元をぬぐいさっさと入口へと歩いて行って――振り向きざまに言葉を発した。

 

 

「絶対、戻ってこい。こんなことでいなくなるなんて、ぜってえ許さねえぞ」

 

 

 そうこぼして、病室を去っていった。騒動を聴きつけたのか病室前にはやじ馬ができていたが、藤原が通ろうとすると、皆さっと道を開けて藤原を通した。

 

 

 

 

 

 

 一人残された響は、力なく膝を抱え、ポツリと言葉を落とした。

 

 

「……ごめん、先生……。俺、もう乗れない……」

 

 

 

 

 

 

 藤原の思いは響に届かず、響は退院したその日に姿を消した。

 

 

 

 







 まくり……第3コーナーから第4コーナーにかけてスパートをかけて先頭に立つこと。


 ダービー……正式名称は東京優駿。通称日本ダービー。競馬の祭典として知られ、3歳の頂点を決めるレース。芝の2400mで行われる。


 追い切り……主に水曜日などに行われる週末出走予定の馬に乗って行うハードな調教。出走馬がいるときは必ず行う。





 競馬用語は少ないですがこんなところです。改めて抹茶餅です。2話にしていきなりシリアス入りました。
 シリアス書いてると、自分の文章力のなさに笑いが出るね、あはははは……はぁ。

 
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