The Genius Jockey   作:抹茶小豆餅

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 どうもお待たせしました。抹茶餅です。
気が付けば一か月……いやぁ、時の流れって早いですなあ(白目)
そしてもう11月も終わってしまう……そう! ジャパンカップの開催です!!
投稿が遅れたことへの反省もそこそこに!! ジャパンカップですよ皆さん!!

 ちなみに自分は17番、シュヴァルグランと12番サウンズオブアースの2頭軸です!!
シュヴァルは前走、アルゼンチン共和国杯を快勝。同じコースでクラシックなら面白いかと。問題は福永が牡馬でどう操縦するか……。
 サウンズはデムーロの手綱さばきに期待したいです。能力では劣ってないと思いますので名手の腕で何とか!!
 後個人的に14番、レインボーラインも期待かな。乗るのも名手ルメールで前走も3000メートルの菊花賞で2着。スタミナは問題ないし、札幌記念で古馬相手に3着というのも面白いかと。メンバーはもちろん強いですが……。
 後勢いと前走で10番、トーセンバジルも見ておきましょうかね。

 というわけで

 ◎……シュヴァルグラン
 ○……サウンズオブアース
 ▲……レインボーライン
 ☆……トーセンバジル

 で、どうでしょうか!!
人気馬のキタサン、リアル、ゴールドを抜いた穴党馬券で勝負!!

 では小説をお楽しみください……!!


天才は、トラウマと向き合う。

 

 

 

「なるほどな、あの落馬が原因か……」

 

 

 教室へと通された響と藤原は、林に響の行方をくらませた理由を話していた。デスティニーの落馬事故と、それが原因で馬に乗るのが怖くなってしまったこと。林は歯切れ悪く話す響に決して急かしたりせず、静かに聞いていた。そして合点がいった。

 

 

「イップスみたいなものだ。お前は前から馬の気持ちがわかると言っていたから、余計にダメージが大きかったのかもしれないな」

 

 

「イップス、ですか……? でも、イップスってやりたくてもトラウマが枷になって無意識に力が発揮できない、心の病気ですよね?」

 

 

「そうだ。お前はもう乗りたくないと言ったな?」

 

 

 コクリ。

 

 

「それはお前の心が、お前にこれ以上傷ついてほしくないと枷になっていると考えられる。もう二度とあんなことを経験したくない……そんな思いが、乗りたいという気持ちに蓋をしているんだ」

 

 

 林は言葉を柔らかく、響が受け入れられるように柔らかくして述べていく。だからか、林の言葉は響の胸にストンと落ちた。なるほど、確かにそうなのかもしれない。実際、競馬を見ていても嫌悪感は感じなかった。ただ、後ろめたさが前に来ていただけだった。

 

 

 そうだ。競馬は今でも好きなんだ。――ただ。

 

 

「でもそれでも、根本の解決になってないんじゃ……」

 

 

(というかそもそも、ここには先生に無理やり連れてこられただけで、別に乗れるようになりに来たわけではないのだが……)

 

 

 そんな響の心中など全く意に介さず、林は「はっはっは!!」と豪快に笑い、おもむろに立ち上がったかと思えば響のもとに来て、頭を乱暴にぐしゃっと撫でた。

 

 

「ちょっ、教官!?」

 

 

「卒業してもお前は俺の生徒だ! そんで、生徒を導くのが教官の仕事。お前の悩みは必ず俺が解決してやる! それが大人の仕事だ!!」

 

 

 

 

 ――お前ら全員、いつまでも俺の生徒だ! 壁にぶつかったり、悩んだりした時にゃいつでも訪ねてこい! 俺が相談に乗ってやる!!

 

 

 

 

(卒業式の後に教官が言い放った言葉、こんなタイミングで思い出すなんてな……。まだまだ俺も子供ってことかな)

 

 

 林に乱暴に撫でられ、気恥ずかしいやら心が温まるやらで、不思議な気分の響であった。ちなみに藤原はその光景をにやにやと眺めるだけだったとさ。

 

 

 

 

 

 

 ♪~♪

 

 

 

 

 午後一時。学生は学科の授業ということで、厩舎周りや走路はたいへん静かなものだった。響に林、藤原はそんな中、厩舎へと足を伸ばしていた。

 

 

「それで教官、何をするんです?」

 

 

 道すがら、教官に尋ねた。

 

 

「あぁ、まずは恐怖心を拭い去ってもらおうと思ってな」

 

 

 止まる。すると厩舎から、1頭の馬を引いてくる人の姿があった。背はそれほど高くなく、柔和な雰囲気を漂わせている眼鏡をかけた教官、石野 文夫であった。思わず背筋を伸ばした響。それに意を介さず、林は頭を下げた。

 

 

「ありがとうございます、石野教官。わがままを言ってしまいすみません……」

 

 

「いやいや、この位はお安い御用さ。リハビリということで気性はそこまで激しくない馬を選んでおいたぞ」

 

 

「助かります」

 

 

 呆気にとられる響をよそに、教官同士で勝手に話が進んでいく。リハビリ? 気性が激しくない? いったい何だというのだ。

 

 

 すると林は、石野から手綱を受け取り、その手綱を響に手渡した。よくよく見れば馬の方には鞍からハミまで一式装備がなされていた。ここまでくると、今から何をしようとしているのか察しがついた。

 

 

「さすがに分かったか。今からお前にはこいつに乗って走路を走ってもらう。まずはウォーキング、ゆっくりでいいから乗ることへの恐怖心を取り除いてもらうぞ」

 

 

 この提案に響は勢いよく頭を横に振る。

 

 

 

「いや、いやいやいやいや!! 乗るのが怖いんですよ!? 今だって、手綱を持っているだけで汗が……」

 

 

「大声を出すな、馬が怯えるだろう」

 

 

「あ、すみません……」

 

 

 そうだ、馬は繊細な生き物だから大声とかに敏感なんだった。そんなことも忘れていたとは……。謝罪の意を込めて馬の鼻を撫でる、ごめんと一言添えて。

 

 

 ――ぶるるっ!

 

 

(……?)

 

 

 ふと、響は首を傾げた。おかしい、いつもならこの馬の声が聞こえてきたはずなのに……。馬の気持ちがわかるはずなのに……。

 

 

(何も――分からない?)

 

 

 聞こえない、分からない。だが同時に響は思った。これは仕方のないことかもしれない、と。

 

 

 完全に馬に乗るのを恐れている響に、馬たちが心を開いてくれるはずがない。イップスにかかっている状況なのだから、仕方ないのだと。

 

 

「ようし、それじゃあ乗ってみろ。まずはゆっくりとだ。落馬の心配はないし、馬が怪我することもないぞ。リラックスして乗ってみるんだ」

 

 

「……はい」

 

 

 逃げ道はない。観念して震える手に鞭を打ちつつ、勢いよくジャンプして鞍に乗る。馬はその衝撃に反応してゆっくりと歩きだした。

 

 

「っ……ふ、うぅ……」

 

 

「そうだ、ゆっくりだ……ゆっくりでいい。怪我をする要素はどこにもないぞ、大丈夫だ結城、恐れることは何もないぞ……」

 

 

「っ、はい……!」

 

 

 怖い。林がぴったり横について励ましてくれるが、心の奥底からくる恐怖心は完全には消えない。それでも……。

 

 

 

(……乗れてる。馬に、乗れてる……)

 

 

 脚が震えても、手が震えても、汗がにじんでも……それでも、逃げずにしっかりと手綱を握る響の顔に、今日初めての笑顔が綻んだ。

 

 

 

 

 




 あとがきでーす!!

 プロットがしっかりと組まれていないせい&モチベ不足でこんなことになってしまい、すみませんでした。
 おい作者、キャラが違うじゃねえか! というところもあるかもしれません、すみません。ひとえに私の実力不足です……。



 だってポケモン楽しいもん(おいっ)
ジャパンカップの説明でも書こうかと思ったけど、それは次回に回します。
 なぜって? この調子だとネタがキレそうだから温存しないと……(何話するつもりなんだ)


 というわけでみなさん、ありがとうございました!! 次回もゆるりとお待ちください。

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