東方慟哭観   作:えのころぐさ

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第三章【Roses】
円卓上のイデオロギー


 紅魔館に帰るやいなやフランが照の胸の中に飛び込む。応急処置を施した直後の腕まで巻き込んでしまい激痛が走るが従者として我慢をしなければいけない。

 我慢をしている従者に気が付かない主人でもない。

 すぐさま、どう言った経緯でそうなったのかを求め自分のわかる範囲で考える。

 姉であるレミリアを頼るのが正しいことかもしれないが自分の従者である以上、相談はできない。

 フランが持つ力で壊わすこともできただろうがやる寸前で照に止められた。

 当然と言えば当然だが、フランは顔をしかめた。おやつを取り上げられた子供に似ている。楽しみにいた必要とされる期待を邪険にあしらわれたと解釈する所もまた子供の考えだ。

この場合、邪険はない。

 

「おかえり、照。あら、どうしたのその体、ボロボロじゃない」

 

 レミリアが咲夜も連れずに現れたことに驚きつつも、心配をしてくれる人が二人に心の中で感謝をした。

 事情を説明するに当たってレミリアは門番をする美鈴を呼ぶ。

 照の姿に驚く美鈴。一瞬だがレミリアをきつく睨むが「私じゃないわよ」と両手を挙げた。

パチュリーのいる大図書館へと照を案内する前に照は服を着替えた。

ボロボロになった服をそのまま持っておくようにレミリアに言われたので服を持ち。

初めて図書館に入った。

図書館に入って初めに対面したのはパチュリーではなく小悪魔であった。

 頭に小さな黒羽を生やし赤に近いが黒の強い赤髪のセミロングの髪型に咲夜や照とは違った従者の服装、仕えることより支える。仕事をするパートナーのイメージがある服装。

 悪魔を体現している体だと言える。

 

「初めまして、待宵照と言います」

 

「この人が待宵照。ふ~ん。普通です」

 

 小悪魔がなにを基準にして普通と決めたのか、人からすれば魑魅魍魎の巣窟である紅魔館の魑魅として存在している阿求の本にそうかってある。その怪異から見た照は普通。見慣れた雰囲気の持ち主だと同義であり、紅魔館の魑魅魍魎と肩を並べられている。

 照は人間ではなく化け物なのかもしれない。

 

「こちらでパチュリー様がお待ちです」

 

 案内されたのは大きな円卓。そこにパチュリーはすでに座っていくつかの本の塔を作っていた。

 レミリアはパチュリーと対面する形で座り、照はその隣、フランは照の膝の上に座るような形となった。

 フランに座られて悪いわけではないがあまり動かれると羽が腕に当たり激痛を生む。できるならば動いてほしくはない照だったがフランが期待にこたえるはずもなかった。

 話す前に小悪魔は人数分(照の分も含め)お茶を出し卓の真ん中にお菓子を置くとパチュリーの斜め後ろに座らず待機した。

 話を切り出したのはレミリアだった。

 

「じゃ、照。その傷の原因も含めた今日の出来事を話して」

 卓上にいる人の視線が照に集まる。

 

「では、話せていただきますがその前にみなさんは今日の『赤い雨』をご存じでしょうか?」

 

 今回の議題にはフランは含まれていない。

 ことを起すとは到底思えなかったからである。

 

「「えぇ、知っているわ」」

 

 躊躇いもなく言う。レミリアとパチュリー。

 

「それでは話は早いです。原因はお二人ですか?」

 

「答えはいいえ、この件に関しては全く違うわよ。発端でもなければ元凶でもない。吸血鬼異変の前例があるからそうとらえられてもおかしくはないわ」

 

「――そうですか。お嬢様もこの異変は類似していると思われるのですか、吸血鬼異変に」

 

「えぇ、そうね」

 

 互いを犯人だと言わんばかりの議論であった。

 パチュリーが介入できぬほどの論議である。

 

「私はあの赤い雨を身に受けて能力の減少を確認しました。それは命蓮寺の妖怪にも同じことが起きたそうです」

 

「む、どうしてそこに命蓮寺がでてくるわけ?」

 ことを知らないパチュリーがすかさず疑問をぶつけた。

 

「とあるお方の言付を果たそうとしたからですパチュリー様。これがその証拠であります」

 

 膝の上のフランに立ってもらい、先ほどから手に持っていた赤く染まったボロボロのメイド服を掲げた。

 白生地が赤く変色しているのがわかる。

 

「そう、それで貴方の身に起こった異変につながる訳ね」

 

「はい、今回の赤い雨は変色、能力の衰退に似た減少をもたらし、確証はありませんが『暴走』を引き起こすと考えています。証拠は今掲げているボロボロの服です。ボロボロなのは『暴走』しました『聖 白蓮』によって殺される攻撃を受けたからです」

 

 興味深くパチュリーは手を組んだ。レミリアは驚愕すらなく、眉ひとつ動かさなかった。

 不気味な空間だろう。

 

「信じるわその言い分。でも、雨が長時間或いは短時間のどちらかであるとは――」

 

「私の記憶ですと短時間です。人里についたころにはまだ降ってはいませんでした」

 

「なら、短時間とは言え、霊夢は動かなかったの? 異変でしょう?」

 

「――一切顔も見ません」

 

「「…………」」

 

 動かなかったのならまだ異変の認識であっていた。だが、今回は違う霊夢を見なかった。

 ふと、レミリアは思い返す。最近、霊夢にあっていないのではないのではないか? と。

 疑問は確かなものに変わる。

 ――会ってもない、しゃべってもいない。

 

「それは今回、レミリアの感じる『ズレ』と同じ感じがするのは私だけ?」

 

 パチュリーの発言にレミリアは卓を両手で叩き大きな音とともに立ち上がった。

 何事かと寝ていた美鈴はあわてておきことの収集を行うのをフランは何事かと見ていたが、パチュリー、照は違った。

 会議をのぞいている二人もそれに付け加えよう。

 

「お嬢様、『ズレ』とは?」

 

「えっ、いや。ただ単なる勘違いよ。ほら、紅魔館の門の位置が数センチずれている

ように感じたから『ズレてる』ってパチュリーと相談したのよ」

 

 そうですかと案外あっさりと納得した照だが、パチュリーは小首を傾げた。

 先ほどまでと主張が違う。

 からかったのかもしれないとも思ったがレミリアが私をからかうときはもっと違っている。

 

「話をまとめると、赤い雨が原因で温厚な人でも攻撃的になる。照だったかしら、強さは暴走時に上がった、何らかの変化はあった?」

 

「はい、パチュリー様。スペルカードを持っているのにもかかわらず使用していませんでした」

 

「なら、暴走より『狂化』が妥当なところね」

 

 再び卓上にいるみんなは黙った。

 沈黙を破ったのは小悪魔。

 

「パチュリー様、恐れながら申しますが、侵入者を捕まえました」

 

 いつの間にと一斉に小悪魔のほうを見た。

 

「……ヨッ! 今日もきてやった。魔理沙だぜ!」

 

「うっわ~、馬鹿がきた」

 




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