東方慟哭観   作:えのころぐさ

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ケーララの赤い雨

     †

 

 場所はかわり、場面もかわる。

そこには何もなく二人の女の声だけが聞こえる。

 何かを話しては皮肉と揶揄が飛びかっていた。

『それで、貴方はどうするの? 成り損ない』

『時期が来れば動くわよ。紅白』

 お互いを名前ではなくあだ名らしき名で呼ぶも互いを嫌っていることが分かる

『有る程度は能力を与えた。飢えないだけではこの先は厳しいからね。紅白』

『なにをやったんだ? 成り損ない』

『それは、…………程度の能力とかさ、夢想天生がこなきゃまず負けないわ。紅白』

『もう、全部力を与えてやった方が楽だろ? 成り損ない』

『相変わらずね。絶望したり負けたり喜怒哀楽があるから本の主人公は強いのよ』

 一人の女性の声のトーンが高くなる。喜々としているだろう。

『相変わらず、成り損ないの考えはわからないな、だからこそ怖いのだが』

『生前は人の身ありながら、妖魔関係なく殺していたりしていた奴の言葉とは思えないわ。紅白』

『無敵を誇っていたのは成り損ない、貴方も、でしょう!』

 生前。つまり彼女達は死んでいるのだろうか。

 なら、ここはどこであるのか。白玉楼だろうか地獄だろうか。

 答えは違う。もっと別の場所である。

『……そこまで彼女を心配するならいざという時に貴方が出られるように設定するわよ。』

『そうかい、それなら私はもう何も言わない、だけど、その設定が起動する条件はなんだ?』

『だから、言ったじゃぁない、ピンチの――』

「それ以上、こちらへの干渉はしないでいただけないのかしらね。死人達よ」

 その声、八雲紫。

『あら、誰かと思えば紫のようね。お久しぶり、でもどうしてここへ?』

「不思議なことではないわ、ここは境界なのよ。私にこられない訳がないでしょう。成り損ない」

「無理ですよ紫様、この二人に私達は太刀打ちできませんって」

 その声、八雲紫が式神、八雲藍。

『そうでもないかもよ? 今回の私は能力あまりないから足止め位はできるんじゃないかしら、紅白ここは任せておいて、貴方は奥に向かって』

『いいのか? 三人相手だろうと協力してやれば関係ないぞ?』

『久々のお客様よ。もてなさないと失礼でしょ? 滅多にない三人の御来客だもの、直々に出迎えるわ』

 三人と成り損ないと紅白は言う。

「三人? そう、橙ね!」

「――ッツ!」

 何処からともなく橙は姿を現した。スキマの後ろに隠れでもしていたのだろう。

「紛れて来たのね。叱りたいところだけど、今は多くいた方が心強いわ」

「すみません……」

 その声、八雲藍が式神、橙。 化け猫であり式神の猫。

『何人でも変わりはしないわ。さて、遊びましょうか、スペルカードでいいわよね? 殺したくないし』

「私としては大歓迎よ」

 紫はスペルカードを構え臨戦態勢を取る。

「紫様が言うのなら構いません」

『じゃ、遠慮なく!』

《源符「弾幕」》

 成り損ないが放つスペルカードは弾ではなく波。その波に逃げ場はなくも当っても目立つような身体に変化はない。だが、変化は内側に起こった。

《魔眼「ラプラスの魔」》

 魔眼は変化を知らせる。変化の内容を知った途端、紫は苦虫を噛み潰したような顔に変わった。ワザとニヤ付き余裕を見せ、扇子を取りだし広げる。

本当は余裕はない。

《魍魎「二重黒死蝶」》

 紫のスペルカードは淡い光を放つ蝶の弾。四方へ飛ぶも幾つかの蝶は成り損ないの方へとホーミングを開始する。

 紫の放った一枚のスペルカードがこれから起こる全ての始まりである。幻想郷の一大事異変をもたらす引き金となった最初の事件である。

しかし、この戦いのちに号外として出された文文。新聞が伝えた報道に八雲紫の名前は無く。一部の妖怪たちの妖力の減少と、能力を発動できる確率の低下。

それと、幻想郷の一部の地域で赤い雨が降ったことだけであった。

 




誰もが知らない所でがんばる紫さん素敵だと思います。
寝ているだけが紫ではないんですよ!
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