空白   作:葩多

1 / 1
君のその笑顔

奏多にとって大切なものは何?

 

友達?家族?恋人?お金?命?

 

私には大切なものはないんだ

だからといって毎日がつまらないってわけじゃないんだよ

 

時々大切なものが見つかるからね 思い出せないだけで

あるけどない

とても矛盾してるかもしれないけど 私には普通のことだよ

 

ねえ この何もない世界で 奏多はなにをしたい?_____

 

 

なんだろう これは

過去の記憶? 

「っ・・」

何とも言えない激痛が走る

 

「あぁ そうか、あの子だったんだね」

 

これはあの子の言葉だったね 忘れてたよ

僕と同じ障害を持つ十愛(とあ)だったね

 

僕たちはアルツハイマーで物事をすぐに忘れてしまう

まさか十愛のことさえ忘れてしまうとは

この病気は怖いよ 改めて身にしみた

 

 

「ごめんね十愛、約束を果たすことができない挙句君のことも忘れてしまってたよ」

 

本当の事を言うと思い出したくなかった 君のこと思い出すと涙が止まらなくなってしまうじゃないか

 

会いたい 会いたいよ

 

彼女の言葉一つ一つを思い出してくと愛おしくて悲しくなる

 

心から愛おしい

僕は彼女の心を満たすことができたのかな

 

彼女と一緒にいてよかったのかな

 

ほら、思い出さない方が良かった

 

心臓が張り裂けるように痛い

 

君のところに逝きたいな・・・

 

 

 

 

 

__これはあの一年間の物語__

 

「きみが奏多くんだね? 生きる気力がないで有名な」

誰だろう まあどうだっていいや

僕はもうじき死ぬ予定だからきっと忘れてしまう

 

「ねえねえ無視ですかー?傷つくなー」

 

「君は誰なのさ 僕に何か用ですか」

若干キレ気味に聞いた

 

「おお、怖い怖い 私は十愛よ ねえなんで自殺しようとしてるのさ 君はメンヘラか何かかなー?」

 

うるさい なんなんだよこいつ 僕の何を知ってるんだよ

「君には関係ないよね、僕が死にたいって思うのは僕の勝手だよね? 何にも知らないくせに 頼むから僕の前から消えてくれ!」

しまった 初対面の人になんでこんなこと

 

「奏多くん 君はつまり 毎日が退屈で仕方ないんだね!? な~んだ はやくいってよ

しょうがない 毎日私がそばにいて君を楽しませてあげるよ~」

 

 

は? 大丈夫かこの人 くそ 調子が狂う

「あのさ人の話を・・・」

 

「だから聞いた結果だよ! じゃあ明日また会おうね!絶対だよ!」

 

はあ なんでだよ

僕って運ないよなー・・

 

でも悪い気がしなかった

あの笑顔をみると心のモヤモヤが消えていくみたいだ

 

まあ少しだけ十愛のわがままに付き合ってあげてもいいかな

付き合ってあげるだけだから

僕が望んでるわけじゃないし

 

 

こうして僕と十愛の物語がスタートしたわけなんだけど

この時はまだ彼女の秘蜜をしらなかった 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。