放課後。
生徒が少ない=廃校、なら生徒を増やせば廃校を免れるのでは?と言う穂乃果に、いや穂乃果達3人に引きずられいろいろなところを周り、図書室に来ていた。
いやね?予測できてたよ?ただね穂乃果はまだしも、ことりや海未までここまでアクティブでしたっけ?
「さて、良い所って、例えばどこです?」
「えーと……、歴史がある!」
「おぉ、他には?」
「他に!?えーとぉ……伝統がある!」
「それ意味同じ」
まぁ言われてすぐに出ないのはわかるけど……
「ことりはどう思います?」
「う~ん……強いて言えば……古くからあるってことかなぁ?」
「ことり……話聞いてたのか?」
「響希君は?!」
「来てそう日にち経ってない僕に聞くか。……桜並木が綺麗とかかな」
「あ~確かに綺麗だよね!!」
「しかしそれも時期が……」
「あっさっき調べて、部活動では少し良いとこ見つけたよ!」
「ホント!?」
「と言っても、あんまり目立つ様なものはなかったんだぁ」
はてさて、何かな?
僕と穂乃果はことりの書いたメモを覗き込む。
「珠算関東大会6位っ」
「微妙すぎだね」
「合唱部地区予選奨励賞~」
「もう一声欲しいですねぇ……」
「最後は、ロボット部書類審査で失格……」
「失格かい……あぁ、あと海未の弓道大会優勝か」
「なんで響希がそれを!?」
え、そこで反応するの?
「なんでって七海さんに聞いたからだけど」
「お母様……」
ちなみに聞いたのは母さん経由である。
「だぁめだぁ~……」
「考えてみれば、目立つ所があるなら生徒ももう少し集まっているはずですよね……」
「そうだね……」
確かにそうだと言える。確かに海未の大会優勝はあったが、それだけではダメだったようだ。
「家に戻ったら、お母さんに聞いてもう少し調べてみるよ」
「私、この学校好きなんだけどな……」
ふと、穂乃果が呟く。 それに応えるように、
「私も好きだよ」
「私も……」
「……」
多分僕と彼女たちとでは気持ちの強さが違うだろう。でも……
「なら立ち止まらないだけさ」
「え?」
「伸ばせるものがあるならそれを伸ばせばいい。元のあるもので考えてダメなら新しいことをすればいい。もう廃校っていう最底辺……いやマイナス位置にいるんだからさ」
そうだ、もう廃校かもしれない。それは現状では覆すことはできない。
なら覆すにはどうするべきか。
「時間はたっぷりあるわけじゃない。でも焦って考えてもそれは付け焼刃でしかなくなる」
「じゃあ、どうしたらいいのかな?」
「それはきっと自分自身に問えばわかるよ」
「自分自身にですか?」
「心からやりたいこと。心の奥底から湧き上がる感情を信じればいい。
なに、失敗とかは後回しでいいじゃん。それくらい僕がちゃんと……」
「それじゃダメだよ響希君!!」
僕の言葉を遮り穂乃果は声を上げた。
「響希君がその責任を負うとか、それじゃダメ!!やるならみんなで……そうみんなでやらなきゃ!!!」
「そうですね、やるならば”みんなで”ですね」
「みんなでやれば怖くないだよ、ひーくん」
「……そうだね」
そう、みんなで。一人一人自分のやれることを、心から望むことを。
結果的に現状では案は見つからず、解散となった。
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【深夜】
僕は砕け散り、ガラス片のようになったファンガイアを見つめ、変身を解く。
そして周りを見回すと3人ほどの透き通るように色の抜けた死体があった。
「……守れなくてごめんね」
その三人に祈るように黙祷を捧げる。彼らもなにか夢があったかもしれない。ただ今日偶々外に居ただけかもしれない。そんな偶然がこんな悲劇なんて誰が想像できただろうか?人と夢。それは儚い。
「キバット。なんで戦うんだろうね」
「そうだな。昔から何度も言ってが、”違うから”だろうな」
「そうだね。だけどだからこそ共感できる」
父さんは言った。
ファンガイアは人間を圧倒する力を持つ。故に自分達は共存の決意を示すために命を懸ける。
200年前、これと同じことをほかの同族たちに伝えたらしい。
もちろん反対する者も現れた。暴動を起こすものも現れている。それでも共感を持ち、支持する者たちも現れた。
違うがゆえに争いが起こる。しかし違うがゆえにともに手を取り合える。
父さんは僕をそのたしかな証拠《絆の形》だと言った。
そして、
「キバット、夢って掴むのが難しいね」
「そうだな」
こんな殺伐とした非日常。なのに僕は笑えていた。
おかしな物だ。難しいことを考えても、どうでもいいことを考えても……見当違いなことを僕は考えている。
「さてと、学校の存続頑張らないと……って今こんなこと考えるっておかしいね」
薄情と言われてもいい。
それでも過ぎたことをずっと引きずるより先を見よう。死した者は言葉を発せ無いが、立ち止まることは望まないはずだから。
僕はバイクにまたがり、走り出した。
そして、
「ただいま」
何事もなく家に着き、広間の電気がついていたので覗くと珠紀がいた。
「珠紀、どうかしたの?」
「あっ響希……」
振り返ってこっちを見た珠紀の手には資料があった。
「この付近に住む同族の情報をね。数ヶ月やってなかっただけでこんなに溜まっちゃったわ」
「相変わらず多いね」
僕はその隣に座ると資料を確認し、まとめていく。
「別にいいのに」
「いいよ。なんだかやりたい気分だったし」
「……そう。ふふふ、終わったら背中流してあげようか?」
「は?」
いきなりの言葉に僕はほうけたような声が出る。珠紀はニヤニヤと楽しそうに笑いこちらを見ていた。
「冗談よ」
「洒落にならない冗談だね」
「あら、10年くらい前は一緒に入ってたじゃない」
「えらく昔の話出すね。どうかしたの?」
何やらおかしい。珠紀はハハハと笑うと目から色が抜け始めていた。
「みんなね、結婚してたの」
「えっ……」
「今日ね確認行ったらみんな、同級生だった人たちみんな結婚してたのよ!!」
色が抜け、ハイライトのない目で虚空を見つめ珠紀は少し壊れたように笑いながら続けた。
「いや、わかるわよ?もう29だし?みんな結婚しててもおかしくないってさ。でもさ同族ですら結婚しててさ、えっ?まだ結婚してなかったのって言われたわけよ。ファンガイアからして29なんて若いわよ?それってひどいと思わない?
そりゃそういう相手いなかったしさ、皆からはモテるのに誰とも付き合わないから同性愛者だとか噂されてたりしたけどさ……」
まるで壊れたかのようにブツブツと愚痴を無表情でしゃべりだした珠紀に僕は苦笑を浮かべることしかできない。
事実珠紀は16程から全く姿が変わっておらす(成長はしているらしいが)、16からすれば異常な程の容姿を持っていたためモテてたのは知ってる。しかし彼女はそれをすべて断っていたのも……
「いや、まぁ恋愛に興味がないわけじゃないけどさ……」
「……なんていうかごめんね?」
「……」
謝る僕を目に光を灯し、涙目になっている珠紀が見る。
「ルークって大変だもんね。結果的に……」
ルークという存在であるがゆえに、僕たちに縛られている。結果的に僕達は珠紀の自由を奪っている。
「……何謝ってるのよ」
「だって……」
「別に好きでやってるからいいのよ。それに今のとこ惹かれる相手なんて一人しかいないし」
「え?珠紀って好きな人いるの?」
「う~ん、まぁね。ちなみに相手には言ってないけど親には言ってる」
「ほう」
親が知ってるなら余裕があれば大丈夫なのか?
「告白できるといいね?」
「さぁ?だってそいつモテるし?なんか追加要因増えそうだし?」
「いやいや、それって色々とやばいでしょ!?」
「大丈夫よ、今のとこ誰にも手を出してないというか気づいてないし」
えっ何それ?珠紀なんでそんなに細かい情報を?
「怖っ……」
「響希!!それってどういう意味よ!!!」
そんなどうでもいいことをやりながら資料を片付け、結果深夜遅くに就寝となった。
そして、
ーいま外にいるから学校に言う準備してすぐ来て!!ー
突如のスマホの着信に起こされ、そこには穂乃果からのそんな連絡。
たいして睡眠をとれず、朝早くから僕は登校に準備を始めた。
……眠い。
響希は通常時寝起きが悪い。(起きれるが基本長い時間寝ぼけている