「……眠い」
「ほら響希君、早く!!」
響希は用意を済ませ、玄関にいた穂乃果と合流した後ある学校の前にいた。
それは、
「す、すごーい!!これ本当に学院!?」
それはまさにビルといっていい建物。
UTX学院。エスカレーター式女子高校であり、今一番人気の学校である。
「すごいよ響希君!!なんかパスみたいにスマホで……響希君?」
先程から引きずっていた響希の反応がないことに気づいた穂乃果は覗き込むとそこには立ったまま軽く寝息を立てる響希の姿。
「ほら、響希君!!寝ちゃダメだって!!!」
「「「「きゃあ〜〜〜〜!!!」」」」
「な、何!?」
いきなり沸き立つ歓声に、穂乃果は振り返る。
そこには人ごみができており、何かを見ていた。穂乃果は響希を引きずりそこまで行くと巨大なスクリーンが有り、何やら衣装を着た3人組が映し出されていた。
「あっえっと……この人達だ」
穂乃果がいきなりここに来た理由は簡単だった。
きっかけは妹の雪穂がここを受けると言い出したこと。そしてその人気の一つに……
”スクールアイドル”
穂乃果はそれを見るために来ていたのだ。ちなみに響希は本当にそれに巻き込まれただけである。
「ほら、響希君起きて!!」
「う~ん」
穂乃果の言葉に響希は目をこするもまだフラフラしており、穂乃果の後ろから抱きつくように顎を頭の上に乗せる。
「もう、まだ寝ぼけてるの?」
穂乃果自身気恥ずかしさはあるものの、響希が寝起きが悪いことはとうの昔から知ってることであり、覚醒するまで時間かかることも承知していた。
ちなみになんでそれで連れてきたという突っ込みは無しだ。
「~あれは?」
「えっとね」
響希は寝惚け眼でスクリーンを見て穂乃果に質問し、穂乃果はパンフレットで調べようとする。そしてふと穂乃果はとなりを見ると、そこには場違いとも言うべきコートにサングラスとマスク姿の少女。完全に変質者である。
「……A-RISEね」
穂乃果が驚いている間にある程度目覚めた響希はパンフレットを見て納得したようにスクリーンを見る。
「スクールアイドルってやつだよね?芸能人?」
「まぁ部活に近いけど、ご当地アイドルのようなものだね。
たしか人気なとこだとプロ並みにかなり人が来てるって聞いたことあるよ」
「へ~」
響希は意識がはっきりして来たのか体を伸ばし、そのまま穂乃果と一緒にA-RISEのライブを眺める。よく見ると音ノ木坂学院の生徒もいるようだ。
「しかし、確かに上手いな」
「……」
「穂乃果?」
響希はスクールアイドルトップと聞いていただけにうまいと思っていると穂乃果はフラフラと歩きだし、近くの手すりに寄りかかった。
「どうかしたの!?」
「……れだ……」
「え?」
「これだ!!!!」
この時穂乃果にある名案が浮かんだ。それは確かに音ノ木坂学院の命運の、物語の確かなピースだった。
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「見て見て、みてぇ~!!」
穂乃果はそう言うと机にどさっと雑誌の束を置く。その内容のほとんどがスクールアイドル。
あの後僕達は急いで登校した。だが途中この雑誌を買うために穂乃果がいきなり寄り道し、遅刻しかけたりした。
「なんですか?この雑誌は。まさか穂乃果、これのために遅刻しかけたわけでは……」
「そんなことは後でいいから見てよ~!!!」
「良くはありません!!結果的に響希に迷惑をかけてるでしょ!!」
実際そうである。雑誌を買ったあと、時間がやばいことに気がついた僕は穂乃果を抱え走った。結果遅刻にはならなかったものの授業中眠気で死にかけてたりする。いや、眠気は単純に睡眠不足か。
「ひーくん、眠いの?」
「あ~うん、大丈夫だよお?」
「なんか目の焦点とか口調おかしいよ?」
大丈夫だ、問題しかない。
思考が少し回ってない頭で考えていると穂乃果が雑誌について説明しているようだ。
ちなみに頭にタンコブができている。海未に怒られたんだな。
「それで私、考えたんだぁ!」
考えた?何を?やばい、眠気が……
「あれっ?」
「海未ちゃんは……?」
穂乃果とことりは海未を探すものの……あっ逃げたな、わかってたけど。
ドアから出た海未を見つけ、穂乃果が追い掛ける。
「海未ちゃん!!まだ話終わってないよー!」
「わ、私はちょっと用事が……」
明らかに逃げだ……あ~本格的に眠気が……
「良い方法思い付いたんだから聞いてよぉー!!」
「はぁ……。私達でスクールアイドルをやるとか言い出すつもりでしょ?」
うん、雑誌とか出てきて説明してれば誰だってわかるよね。
「おぉ、海未ちゃんエスパー!?」
ごめん、分からない子いたわ。ある意味この4人で一番のアホっ子いたわ。
「本当に大丈夫?ひーくん」
「……かなりやばいかも」
眠気が、昼の暖かい日差しが!!
「誰だって想像つきます!!」
「だったら話は早いねぇ。今から先生の所に行ってアイドル部を!!」
「お断りします」
「なぁんで!?」
それにしてもお二人さんや、廊下で騒ぐんじゃありません。
「でことりはことりで何してるのでござんしょ?」
「よし、ひーくんどうぞ♪」
いや、よしって。
「だってこんなに可愛いんだよ!こんなにキラキラしてるんだよ!?こんな衣装、普通じゃ絶対着れないよ!?」
「それより、そんな事で本当に生徒が集まると思いますか!?」
「うっ、そ、それは……人気が出なきゃだけど……」
「その雑誌に出てるスクールアイドルは、プロと同じくらい努力し、真剣にやってきた人達です。穂乃果みたいに好奇心だけで始めても上手くいくはずないでしょう!」
「それはそうだけど……響希君はどう思う?……ってあ~~!!!」
眠気には勝てませんでした。何やら椅子を並べたかと思うとことりが膝を貸してくれました。
うん。まともな意識なら断ってただろうが、この時の意識は睡眠欲に勝てなかったんだ。小鳥の膝枕の誘惑に勝てなかったわけじゃ……いや言い訳しない、勝てなかった。
「はっきり言います。アイドルはなしです!!」
眠りかけの意識にはっきり聞こえる声でいう海未の言葉とことりの頭を撫でる優しい手に後押しされ僕は意識を手放した。
まだ結成できない。