僕達はグループ名を決めるため、放課後の図書館に来ていた。
ほかのグループ名を見て考える?とかイニシャルを?とかデザートはとか……
あれ?今関係ないのがあったな?
「う~ん、中々思いつかないよねぇ」
「何か私達に、特徴があればいいんだけど……」
「3人共性格はバラバラですし……」
確かにバラバラすぎるかな?穂乃果は言うなら活発なのだが暴走車的一面があり、ことりは意外とだが意志が強いとこがあるもののほんわかとしている。海未に関してはよく『冷静』『クール』とか校内で聞くが、根はかなりの恥ずかしがり屋で寂しがり屋。
いや、意外とこれでつり合いはいいんだろうけどね。
「じゃあ、単純に3人の名前を使って穂乃果!海未!ことり!」
いやそれだと……
『ど~も~!!穂乃果!』
『海未!』
『ことりで~す!』
「……完璧に漫才師だな」
「だよね~」
今鮮明にそのシーンが頭に浮かんでしまったぞ。
「なら……そうだ!!」
今度は何だ?
「海未ちゃんは『海』!!ことりちゃんは『空』!!穂乃果は『陸』!!名づけて、陸海空!!」
『『『守れ!!市民の平和を!!』』』
あかん……顔出し切り抜きパネルで3人が真剣な顔で宣伝してるとこを思い浮かべてしまった……
「全然アイドルっぽくないけど……」
「だよね~」
「響希は何かありますか?」
「う~ん?何かね~」
僕はじーっと3人を見る。名前……ね……
2個ほど案は浮かんだが、どうもしっくりこない。いや、いい名前かな?とは思うんだが、本能的にこれは今つけるべきじゃないとうったえかけられる。
「悪い、ネーミングセンスがない様だ」
「そうですか……」
「あれ?突っ込みなしかよ……」
「アハハハ……」
「うぅ~……じゃあ、じゃあ……あ、そうだ!!」
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「初ライブのお知らせ。そしてグループ名の募集」
「ふふーん、これでよし!」
「結局丸投げですか……」
掲示板に張られた手書きポスターと箱。手かよくこの短時間で書いたな。
「こっちの方がみんな興味持ってくれるかもしれないし!」
「そうかもね」
「さぁ、次は歌と踊りの練習だ!」
そう言って探すこと十分ほど。中庭、グランド、体育館などなど。大体がほかの部活等によって無理だった。そして教室も空いておらず、鍵を借りれるか聞きに行くと……
「空き教室を?なんに使うんだ?」
「スクールアイドルの練習場所に……」
流石の穂乃果も少し恥ずかしいのか、頬を赤く染めてどもる。
「お前らがスクールアイドル?……フッ」
「あー!鼻で笑った!」
「で優月、お前も踊るのか?」
「いや、僕は手伝いですよ。でっ借りれるんですか?」
「う~ん……」
「……穂乃果達、ほかのところを探そう」
「えっでも……」
僕がすぐに移動をそくしたことに穂乃果は不思議そうな表情をする。というよりことりと海未もか。
「考えてみれば部活での使用じゃないからね」
「ははは、理解が早くて助かるよ。先生としては力を貸してやりたいとこだけどね」
苦笑し頬をかく山田先生に礼を言うと僕達は場所探しを再開した。
「……結果、ここになるわけだ」
屋上、ある程度の広さもあり誰も使っていない場所。
「ですねぇ……」
「日陰もないし、雨が降ったら使えないけど、贅沢は言ってられないよね……」
「うん……でも、ここなら音とか気にしなくてもよさそうだね!よぉーし!頑張って練習しなくっちゃ!!」
まぁそれもそうなんだが……
「まずは歌の練習!!」
「「はい!」」
そして、
「「「「…………………………………………………………………」」」」
沈黙が屋上を襲った。
「…………えっと、曲、は……?」
「……私は、知りませんが……」
「私も……」
「……」
いや、そりゃ歌う歌作ってないんだから歌えるわけないだろ。
「はぁ~~……ほら、タイミングとるから発声をしてくれ」
「響希君……」
「海未も弓道があるだろ?短い時間になるけど今どれだけ声が出るか確認したい」
「わかりました」
僕は軽く発声練習を彼女達にさせ、歌については穂乃果の家で考えようということで解散した。
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小泉花陽は掲示板の前に貼り出されている手書きのポスター、そして箱を見ていた。
「アイドル……」
ふと声が漏れる。大のアイドル好きである自分が通っているこの学校でも、とうとうスクールアイドルが出来た、そう高揚した感情に目を輝かせながらそれを見ていた。
しかしあくまで好きと憧れは違う。
自分には無理だ。いくら好きで憧れていたとしても、自分じゃアイドルをする事が出来ない。
「かーよちーん!」
「わっ。凛ちゃん」
すると教室から出てきたのは、彼女の昔からの親友である星空凛だった。
「どうしたの?」
「え、あ、や、えと、ううんっ!何でも、ない……」
「んん?……さ、かーえろー!」
「うん…………」
凛に着いて行こうとして、再びスクールアイドルの張り紙を見る。
「……何、これ……?」
「!!さ、さぁ……」
突如として後ろからかけられた声に花陽は動揺しながらも返事をするしかなかった。
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現在、僕はというと……
「ごめんなさいね~どうしても私達の力だと取れなくて……」
「いえ、問題はありませんよ」
帰ろうとしていたところ、運動部の顧問の先生につかまっていた。
なんでも倉庫の道具を取ろうとしたところ、上に物を積みすぎた等で取れないらしい。
「ここなんだけど……って貴方達危ないわよ」
倉庫に入ると女子数名が脚立に上ったりして荷物を除けていた。ただ足場が悪いのか、かなりふらふらしている。
「あっ先生……きゃっ!!!???」
ちょうど脚立に上っていた生徒が反応し、体勢を崩した。
「危ない!!」
「よっと……」
先生が反応するよりも早く、僕は駆け寄り落ちた女子生徒を片手で受け止め、彼女が動かしていたことで落ちてきた道具を受け止める。
「えっえっと……」
「大丈夫か?」
「あっはい……」
てか棚の荷物の上にこの分厚いタイプのマットをなんでおいてるんだよ……
そう思いながら彼女を下す。
「ちょっとみんな出ててください。先生、いるものは何ですか?」
「えっと……そのマットの奥にあるもの……」
「了解」
僕はそのままマットを持ち上げ外に出す。そして奥にある道具を数個手前に寄せ、
「どれですかね?」
「左手のバーです」
指示されたバーを取り出し、近くにいた生徒に渡した。
「貴方、意外と力あるのね……」
「まぁ……」
「いや、まぁ……じゃないですよ!!数人で運ぶマット片手で……」
「ならそんなものを足場の不安な状態でとろうとするんじゃありません」
「「「「すみません……」」」」
流石に勝手にやってたことで危険にあいかけたためか、僕の言葉に彼女達はしゅんとして頭を下げてくる。よく見たら3年もいるようで落ちたのは3年だったようだ。
「まぁ、元々つみ方も悪かったようだし……先生、整理していいですか?」
「えっまぁいいですけど……」
「了解しました」
……フフフ……見たとき思ったがあまりに適当積みされてたし……やるか。
【ある程度時間が経過】
「ふぅっ!!!」
「優月君、どんな感じ……ってえぇ!!!???」
やり切った!!重いものは下に。比較的軽いものは上に。なおかつ足場を整え、棚もところどころガタが来ていたので修理。完ぺきとは言えないが、やれることはやった。
丁度先生も来たようだ。
「あっ先生。片づけ終わったんで帰りますね」
「えっえぇ……一人でやったの?これ」
「ところどころガタ来てた場所も修理しときました。一応理事長にも確認はしてもらってるんで、また何かあれば報告しといてください」
「う、うんありがとう……」
何やら先生という顔が剥がれているが大丈夫だろうか?
僕はとりあえず借りてきた道具を返し、帰ることにした。