帰り、穂乃果のところによろうと進んでいると見慣れた背中を見つける。
「お~い、海未」
「あぁ響希ですか、遅いですね」
「あぁ、片づけとかしてたら時間がかなりすぎてたみたい」
「ふふ、そうですか」
二人で並び穂乃果の家に向かっていると、
「しかし穂乃果には困ったものです」
「ん?」
「講堂の件を話したり、いきなりポスターをはったり……今日は驚きの連続ですよ」
「あぁ~まぁ穂乃果だしね?突発的なのは昔からだろ?」
「そうですね、だからこそ良いところもあるのですが……ある程度場自粛してほしいものです」
「うん、無理だな」
「……ですね」
海未も言いながら無理だと完結したらしい。実際あの天然で暴走してる穂乃果が自粛したらそれはそれで恐怖だ。
そう話していると穂むらについていた。
「こんばんは。夏穂さんまたつまみ食いですか?」
挨拶をしながら中に入ると、団子を頬張っている夏穂さん。昔からよくつまみ食いしているな……
「あふぁぁ、んくっ…、いらっしゃい!」
「こんばんは、穂乃果は?」
「上にいるわよ。……そうだ、お団子食べる?」
「いえ、結構です。私達ダイエットしないといけないので」
ダイエットか……
階段をのぼりながら、
「海未、あんまり根気入れてダイエットするなよ?」
「え?」
「あんま痩せすぎてもそれはそれで体力落ちになるし。それにあんまガリガリってのはね?」
「!!!響希、破廉恥ですよ!!」
「あれ~?どこに破廉恥って言われるとこあった!?」
実際問題、彼女達は十分細身だと思う。これ以上細くってなると逆に心配だ。
そう言いながらドアを開けると、
「「お疲れ様~」」
団子を食べ、お茶を飲む二人がいた。海未、残念ながら二人は忘れているようだ。
「………………………」
「お団子食べる~?」
「今お茶淹れるね~」
僕達は座り、団子を食べる(僕だけ)。うん、やっぱりおいしい。
すると海未はため息をつき、
「あなた達、ダイエットは……?」
「「ぁぁああああ!!」」
「はぁ……、努力しようという気はないようですね……」
「海未、わかってたら食わないよ」
ちなみに僕はしないと明言している。と言うより僕の場合体脂肪率等は低いので丁寧にお断りした。まぁある程度の間食は目をつむるだろう。
「それで、曲のほうはどうなりました?」
「うん、1年生にすっごく歌の上手い子がいるの!ピアノも上手で、きっと作曲も出来るんじゃないかなぁって、明日聞いてみようと思うんだ」
「あ~あの時音楽室にいた子か?」
「うん……ってあ~団子なくなってる!!!」
「あっすまん、食べ過ぎた」
おいしくてパクパク食べちゃいました。
「そっそれで、もし作曲をしてもらえるなら、作詞は何とかなるよねってさっき話してたの!」
「ほう?」
「何とか、ですか?」
「うん!ね?」
「うん!」
そう言った穂乃果とことりはにっこりと顔を合わせ、何故だか海未の方を見ながらゆっくりと詰め寄っている。
「「んふふふ~」」
「な、何ですか!?」
戸惑う海未とは違って、未だに海未に詰め寄る2人。
もしかして……
「海未ちゃんさぁ……中学の時ポエムとか書いた事あったよねぇ~」
「えぇ……!?」
「ほう……それは……」
「読ませて貰った事もあったよねぇ……」
なるほどそれはそれは……からかうネタができたな!!
あぁ~でもからかい過ぎると反撃来るしな……
「ああ……、くっ!」
「あ、逃げっ!」
逃げ出そうと立ち上がった海未を即で捕まえる。
「なっ!!響希、離してください!!」
「だが断る。話してる途中だろ?にげちゃだめだよ~」
「絶対楽しんでますね!?」
「うん」
「お願いですから帰らせてください~~~~!!!!!」
___________________
「お断りします!」
「えぇ~、何で何で!?」
「絶対嫌です!中学の時のだって、思い出したくない位恥ずかしいんですよ!」
「アイドルの恥は掻き捨てって言うじゃない」
「言いません!!」
うん、それは絶対言わないと思う。ところで……
「へ~そんな詩を……」
「ねっすごいでしょ?」
「ことり!?何を話してるんですか!!」
「えっ詩の内容。気になるじゃん?」
「響希も響希で聞かないでください!!!」
「しかし作詞ね」
「私衣装作るので精一杯だし……」
衣装作りを開始するとたぶん練習とで作詞は流石に厳しいだろう。
何よりこの子には衣装作りに集中してほしいし。
「穂乃果がいるじゃないですか!そもそも言い出したのは穂乃果なんですよ!」
「海未、思い出すんだ。この子が小学時代出した作文は……」
『饅頭、うぐいす団子、もう飽きた!』
「あっ……」
「無理だと、思わない??」
「……てへっ」
「なっなら響希が……」
「僕も僕でほかの用事とかで厳しいかもだし、ことりの衣装作りも手伝うしね」
「おねがい、海未ちゃんしかいないの~!」
「私達も手伝うから!何か、元になるようなものだけでも!」」
「うぅ……ことり?」
海未はふとことりのほうを見る。そこには目を潤ませ、胸元でぎゅっと手を握り締めることりの姿。
あぁ、決まったな。
「海未ちゃん……、おねがぁい……!!」
ことりのお願いが発動した。親であるひなたさん譲りのこれには……
「っ!もう……ずるいですよ、ことり」
勝てませんよね。
「やったー!そう言ってくれると思ってたんだぁ!」
「ただし……ライブまでの練習メニューは私が作ります」
「「練習メニュー?」」
そこで、穂乃果のパソコンを起動させ、今有名のA-RISEの動画を再生する。
「楽しく歌っている様ですが、ずっと動きっぱなしです。それでも息を切らさず笑顔でいる。かなりの体力が必要です」
「まぁ確かにダンスだけでもかなりの体力が必要だ。それに歌うってなるとね」
幾分かダンスのみではなく歌での表現も入るから量は減るが、たぶん体力的には変わらないだろう。
「穂乃果、ちょっと腕立て伏せしてもらえますか?」
「え?」
そう言って穂乃果は腕立て伏せの態勢になった。
「こーう?」
「それで笑顔を作って」
「こう?」
すぐににこっと笑みを浮かべるあたりすごいとは思う。
不覚にもほっこりしてしまった。
しかしこうなると何するかはわかる。僕はすっとことりの隣、位置的に穂乃果の顔側に座る。
「そのまま腕立て、出来ますか?」
言われた通りに笑顔のまま腕立てをやろうとする穂乃果だが、
「うっ……え……あ……っ、うぉわぁぁぁぁ!!」
見事に顔面ダイブした。うん知ってた。
「いったーい!!」
床でのたうち回る穂乃果に近づき打ったところを見てやる。ほら暴れるな、スカートが捲れる。
「弓道部で鍛えてる私はともかく、穂乃果とことりは楽しく歌えるだけの体力をつけなくてはなりません」
「そっかぁ、アイドルって大変なんだね」
「ですので私がトレーニングメニュー考えますね」
「海未ちゃん?ことり達でもこなせるメニューにしてね?」
「大丈夫です!!」
「ひーくん……」
「あっうん」
こりゃちゃんと見ないと海未も暴走癖あるしな。誰に似たんだか……
「いやっこの子か」
「ふえ?なんでほっぺ引っ張るの!?」
僕は元凶であろう穂乃果の頬を引っ張るのだった。