健康な体をください(切実
次の日の朝。少女達は神田明神に来ていた。体操着でなのはもちろん朝練をやるためだ。
「しかし驚きました。私はてっきり穂乃果は遅刻ギリギリで来るものかと……」
「海未ちゃんひどいよ!!」
「ふふふ、すいません」
海未が心底意外そうに言うと穂乃果はぶすくれながら反論する。しかしいつもの穂乃果を知っていればこの発言も仕方ないと思う。
「ところでひーくんは?」
「えっともうついてるはずだけど……」
「連絡したのですか?」
「うん、そしたらメールで一応もう着くって……」
朝が弱いのは何も穂乃果だけではない。少女達からすればある意味完璧超人?に見える響希も寝起きが悪く、練習開始の5時半に間に合うか少し心配だったのだ。
すると海未が近くの木に寄りかかる人物を発見する。
「Zzzz……」
「寝てますね……」
「寝てるね……」
「うん……」
「ほら響希、起きてください!!」
「あっ海未ちゃん!!」
海未が肩を揺らすと響希はうっすら目を開き……
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「マジですまん」
「い、いえ。忘れていた私にも非がありますから」
「ははは……」
海未ちゃんもいいって言ってるんだし、落ち着いてひーくん」
只今僕は土下座している。うん、やっちまっただけ。気にしないで。
「ところで海未、トレーニングメニュー考えたのか?」
「はい、ちゃんと考えましたよ?」
「……穂乃果達でもできることだよね?」
「大丈夫です」
「ちょっと見してもらっていいか?」
「はい」
内容を見してもらうと階段ダッシュ、ランニングと。まぁ見ようによっては問題ないって言いたいんだが……
「海未、まだ今の穂乃果達じゃ階段ダッシュをこの回数は逆に危険だ」
「えっ?」
「海未みたいに部活や家柄上鍛えてるなら問題ないんだが、穂乃果達みたいにまったく運動してない人だと下手したらひざ壊すぞ?」
「まさか……すいません。自分基準で作ってましたか……」
「とりま階段ダッシュは半分にするとして……ちょっとすまん、3人とも座って足を広げてもらっていいか?」
「「「足を広げる?」」」
「おう早い話開脚してくれ」
足を開いた3人に近づき、試しに穂乃果の背中を押してみた。
「!!??いたたたたっ!!!???」
「やっぱ固いな」
その後、意外と海未もそれなりには行けたが予想より硬かった。逆に意外とことりがお腹が足を開いたままつけれていた。
「すごーい!!!」
「ちょっと海未が意外と硬かったな。柔軟性がないと危ないから2人もことり並みに出来るようにしとこう」
「ところで響希はできるのですか?」
「ほい」
僕は座ると開脚し、そのまま腹まで地面にくっつけた。
「すごいね、ひーくん」
「まぁできるようになると思うよ。さっ時間も少ないし始めよう」
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「はっ、はぁっ、はぁ、……っ、はぁ……っ!」
「はぁ、ひぃ……っ、は、はぁっ、はぁ……!」
目の前には2つの死体、もといメニューを行い死にかけている二人。いや、まさかここまで体力がないとは思っていなかった。
「はぁっ、はぁっ……!もう、キツイよぉ……!」
「もう足が動かないっ……!」
「ちょっと大丈夫か?」
2人に飲み物を渡すと飛びつくように飲み始める。
「あれ?少し薄い?」
「まぁそこら辺は気にするな」
「やっぱりすごいね~海未ちゃんもだけど、ひーくん息切れもしてないし」
「仮にも弓道等でトレーニングしてますので。それよりこれから毎日、朝と晩、ここでダンスと歌とは別に、基礎体力をつける練習をしてもらいます」
「1日2回もぉーー!?」
「そうです、やるからにはちゃんとしたライブをやります。そうじゃなければ生徒も集まりませんから」
「……はぁ~い」
文句を言いながらもやめはしないみたいだ。これなら問題はないだろうかな?
「よし、あと1セットだ。できるか?」
「うん!!」
「よぉっし!」
「君たち―――」
穂乃果達が立ち上がり、始めようとすると、聞きなれた声が聞こえた。
そちらを見ると見慣れた顔。
「副会長さん……」
「東條さんか……なぜに巫女服?」
「ここでお手伝いしてるんや。似合う?」
「まぁ似合うか似合わないかで言うと似合ってるけど」
「ふふふ、ありがとう」
うん、似合ってるんだけどな~見惚れないかと言われれば見惚れますって言えるんだが、後ろの寒気のせいで下手なことは口走れない。
「しかしバイトね……」
「神社は色んな気が集まる、スピリチュアルな場所やからね」
「まぁ確かにいろんなモノがいるしね」
「「「え?」」」
「それより4人共、階段使わせてもらっているんやから、お参り位していき」
「あっはい!!」
「僕はもう来たときしたから」
3人がお参りに向かっていると東條さんがこちらに近寄ってくる。
「あの3人、本気みたいやな」
「そうだね~」
「なんちゅう曖昧な返事やな……それにしても優月君も意地悪やな~」
「何が?」
東條さんはにししと笑みを浮かべ、
「あんなかわいい子3人に囲まれていながらえりち口説いたり」
「口説く?口説いたっけ?」
僕は頭に疑問符を浮かべ、首をかしげる。
はて、そんな口説くようなことがあっただろう?どっちかと言うと嫌われてる可能性は否めないが。
「あっ……うん、そうやったな。相変わらずで」
「???」
「まぁええわ。ところで優月君はなんてお願いしたん?」
「……寝起きがよくなりますように。ただ意味はなかった」
「……そこは彼女たちの成功を願うものやないん?」
不思議そうに東條さんが見てくるがそれこそ不思議だ。
「なんで?だってはなからあの子達が失敗するとか思ってないから」
「え?でも昨日は……」
「あぁ今回のライブはどうしても厳しい。時間もだけど知名度とかもなさすぎる。
本職と同じさ。CDとか出して知名度を上げてライブすれば人は来るだろうけど……」
「そういう下地がないってことか?」
「そういう事。だから今回のライブは正直最初のCD出しの部分。当日は人は来ないかもしれないが、そのあとの知名度上げにはなる」
僕は何やらはしゃいでいる3人を見る。そういきなりの1発目で成功するとは思えない。そんな奇跡で解決するようなことでもないし、なんでだかしてはいけない気がする。
「だから今回大事なのは……いや、言わないほうがいいか」
「なんや~?隠し事かいな?」
「そうだよ。今口にすると軽くなってしまうこと」
それはある意味大きな壁。きっと誰もが逃れることのできない壁。でも……
「響希く~ん!!助けて~!!!!」
「こら~!!穂乃果、待ちなさ~い!!!」
「あっまって、海未ちゃん!!穂乃果ちゃん!!」
あの三人ならきっと超えてくれるだろうから。
「だから神頼みはしない。だってあの子達を守る役目を早々と神様なんかにあげられないからな」
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時間が過ぎて、みんなが部活をはじめる。部活に入っていない人たちは何処によるかと話しながら帰っていく廊下。
一人の少女はポスターの下に置かれた箱の前に立っていた。
「守る役目……か」
少女は微笑み、箱に紙を入れた。
「なんていうか悔しいけど……まっいっか」
そう完結した少女は箱から離れ、歩いて行った。
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放課後、歌の練習はできないのでトレーニングを優先させた結果、やはりまだ2回目なのできつかったらしい。
何より心配はことりだ。あの子は昔は足が悪く、手術をしている。今でこそ普通に生活してる分には問題ないらしいが……
まぁそういう理由があったので柔軟の後3人にマッサージをしてあげたんだ。これでも父さんのぎゃk……もとい教育でプロから習っていたのでそれなりに出来ると自負していたのだが……
「いてて……」
終わった後、3人が真っ赤になっていた。と言うかなんか羞恥で暴走した海未から顔面パンチをもらった。
僕、何か悪いことしたかな?穂乃果達は大丈夫って言ってたけど……
「う~ん、何か気に障ったなら謝らないとなんだけどな……」
自宅の椅子に座り考えているとスマホが鳴る。その画面に映し出されていたものは……
『園田海未』
もう時間的に19時前。さてさて、何があったのやら……
少女……いったい誰なんだ(すっとぼけ