「もう、どういうことなの!!」
「わからない!!」
「とりあえず逃げないと!!」
夕暮れ、3人の少女はなにかから逃げるように走っていた。そしてその少女の逃げ道を塞ぐように1人の男が現れる。
「な、なんで!?」
「おやおや、そんなに必死に逃げないでくださいよ」
「逃げるに決まってるだろ!!」
「ふむ、そういうものですか」
「と言うよりあなた誰なの?」
少女の一言に男はクククと笑う。そして上げた顔はステンドグラスのような模様が浮かび、その目は人ではありえないような光を灯していた。
「「「ひっ!!」」」
「有名な貴女達です。せいぜい礎となってください、マガイモノの王をうつ狼煙を上げる礎に」
そう言うと同時に男の姿が馬のような青い異形へと変わった。
初めて見る、いや日常では絶対に見ることのない怪物に体が硬直したように3人は動きを止める。そしてそれに手を伸ばそうとした瞬間。
赤いバイクが間に割り込むように停車した。
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ファンガイアと襲われそうになっていたであろう3人の間に割り込んだ響希はひとまず息をついた。
間に合った……
響希はマシンキバーを完全に停車させヘルメットを外すとファンガイアの方を見る。
ファンガイアは急の乱入者の響希に驚くもののすぐさま殴りかかってきた。
響希はその手を掴み、逆に顔面を殴り飛ばす。そして裏拳で軽く吹き飛ばした。
「す、すごい……」
「君、この”行為”を理解した上で行ってるのかい?」
驚きの声を上げる少女を無視し、響希はファンガイアに声をかけた。ファンガイアはその問に体表に顔のような輪郭が浮かぶ。
「同族ですか……えぇ理解しています。しかしなぜその様な事をしないといけないのですか?人間は餌。なぜそのような家畜同然の存在に私達が頭をさげなければならない」
「それがキングの、いや全てではないにしろファンガイアの200年前からの共存の意志だから」
「ふん、あんなファンガイアの誇りを失ったものたちなど必要はない!!」
「そっか。わかってたけどさ……残念だよ」
響希は目を閉じ、そしてファンガイアを見る。
「キバット!!」
「おっしゃ!!キバっていくぜ!!ガブッ!!」
響希は飛んできたキバットをキャッチするとそのまま左手を噛ませた。
その瞬間、顔にステンドグラスのような模様が浮かび上がり、そして腰に銀の鎖が巻き付き、赤いベルトに変化する。
「変身」
キバットをベルトにはめると銀色の金属のようなものが体を覆い…弾けた。
そこには赤と黒を基調とした外見、両肩と右足を鎖、カテナにより封印した黄色い複眼の異形者…
「な、なにあれ?」
「……き、貴様は…キバ!!」
「「「キバ?」」」
響希はゆっくりと歩き近づく。互いに拳の届く距離になった瞬間、ファンガイアは腕を振るってくる。それを響希は軽くかわすと、
「はっ!!」
「グヲッ!?」
怪物を殴り飛ばした。
「グゥウウ!!」
しかし相手も負けるわけには行かないようで殴り返してくる。響希はそれを掴むと連続で腹部に膝蹴りを畳み込み、追撃を入れようとしたところで霧のようなものをはいたのに反応して距離をとった。
「フン!!」
ファンガイアは近くにあったベンチを持ち上げ投げ飛ばしてきた。
避けるか?
そう響希は考えるも、後ろには少女達が居ることもあり手刀でベンチを叩き落とす。
しかしそれが隙になってしまった。
「もらった!!!」
「っ!!」
剣を作り出したファンガイアは高速で響希に近寄り、斬りかかってくる。響希もそれに対応するように腕ではじくも、
「ぐっ!!??」
「きゃああぁ!!!」
突きに対応が間に合わず剣が腹部を捉えた。その光景に少女が驚いたように悲鳴を上げる。
「へへへっ…」
「!?」
「残念でした!!」
しかしそれをベルトに止まっていたキバットがくわえ込むようにしてして受け止めていた。
驚いているファンガイアの隙を見逃さず、響希は剣を持つ腕に手刀をたたき込み、連続で殴ると最後にアッパーで吹き飛ばした。
「ウ……グッ……」
「よし、いくぜ!!」
響希は腰から赤い飾り付の…フエッスルを取る。そしてそれをキバットの噛ませると、
「ウェイク、アップ!!」
綺麗な笛の音が鳴り響き、腕を組むように構えを取る。周りは闇に追われ、後ろには満月…しかしその月は欠け、三日月となる。
響希が右足を振り上げるとキバットがカテナを砕き、中から三つの宝玉が埋め込まれた赤い外装が顕になる。そして左足の力だけで上空高くまで跳躍し、
「はぁあああ!!!!!!」
「グアアアアア!!!!」
飛び蹴りを叩き込んだ。ファンガイアはガラス状に変わり地面にめり込むように叩きつけられ、地面には不可思議な文様が浮かび上がる。
そして響希はそれを踏み抜くように砕き、そこから光球が現れ空を舞った。
そこ上空に洋館?を纏ったようなドラゴンが現れ、その球を飲み込み、またどこかへと飛んでいった。
「「「……」」」
少女達は怪物、それと戦う者。それだけじゃなく景色が変わり、挙句にはドラゴンのようなものと状況が理解できず言葉を失う。
響希は変身を解き、マシンキバーにまたがって走り出した頃に、
「あ、あれはなんだったのだろうか?」
ひとりの少女がつぶやいた。そしてそれに反応するように2人が動く。
「た、助けてくれたんだよね?」
「多分……」
「いけない、頭が追いつかないわ……」
あまりの非現実に3人は頭を抱え、
「とりあえず急いで帰りましょう」
そう言って歩きだし、ひとりの少女は響希の去った方をじっと見ていた。
「ほら、急いで帰りましょう?ツバサ!!」
「え、えぇ」