あのあと、色々とあった。
うん、いろいろあったんだ。帰ったら珠紀が笑顔(修羅の顔)で待ってて説教を食らったり、日曜日に朝早くに来た穂乃果達が珠紀と何やら言いようのない空気を醸し出したり……遊んだり。(後日に楽しみに。たぶんきっと
そして今僕は、
「これでいいかな……」
一応制服についてはひなたさんに言ってたけど、パーカーだからな……場所によってはきついかも知れない。
「うん、時間か」
珠紀は母さんの様子見に行ってる(というか行かせた)。状況見て母さんも近々こっちに帰ってくるらしい。
「行くか」
僕はドアを潜り、鉄柵の門を開ける。
朝早いためか少し冷たい。
「しかしあれだな、女子高だろ?」
「キバット、いきなり声かけないでよ。びっくりしたじゃん」
「ははは、響希が注意散漫なんだぜ」
「まぁそうだね、女子高だね。でも重要なのはそこじゃない」
女子高だからってそこは僕にとってどうでもいい。重要なのは、
「さて穂乃果達はどういう反応するかな……まぁなんとなくわかってるけど」
「ほう、でどう反応すると見る?」
僕はふっと笑い、メガネに触れる。
「海未とことりは驚きで目を見開くだろう。細かく言うと海未は男性が来るって覚悟してたら見知った顔だったということで言葉にできないような表情。ことりは純粋に驚きだろう。そして穂乃果は……
寝てて途中で驚きで声を上げる」
「なぜだろうか、目に見えて分かる気がするぞ」
きっとそうなるだろう。僕はキバットと話しながら、これから通学路になるであろう道を進む。
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学園に到着し、僕は職員室へと向かう。ひなたさんが僕のことは伝えておくと言ってたから大丈夫だと思う。ドアをノックすると中から返事が返ってくる。
「失礼します。共学試験生の優月響希です」
「あ~試験生かこっちね~」
「どうも」
「初めまして山田博子よ」
話はある程度伝えられてたらしく、説明は軽くですんだ。そして教室まで向かってる途中だが、
「そういや理事長と知り合いだったのか?」
「はい?」
「いや紹介の時当たり前だが性格診断あったろ?それでの説明の時理事長が優月のことを率先してフォローしてたからな」
「あの人にしては珍しいですね。まぁ娘さん経由で」
「南さんのこと?」
「しってるんですか?」
「そりゃね。うちの担当クラスの1年からの仲良し3人娘の一人だし」
「あぁ、簡単に言えばその3人と幼馴染なんです」
「あら、それはそれは……」
「……なんですか?」
先生なのだがそのニヤニヤ顔は少しイラッとする。
「いいや、ただ問題は起こさないでね」
「起こしませんよ」
「じゃあ襲われたとしてみちゃんと対処しろよ、女子生徒から」
「先生としてまず止めなさい」
なんということを言ってくれてるんだ。
「しかしまぁ……」
「なんですか?」
「声は良いのにそのメガネが残念ね」
「失礼ですね」
「さて着いたぞ。呼んだら入ってくれ」
先生はそういうとは言っていく。さて挨拶は何にするか。
「はい今日は編入生を紹介するぞ~、この前話してた男子だ。みんな仲良くするように、ちなみに
声はってなんですか声はって。顔見えないのは事実だが、ハードルあげないでください。
「じゃあ入ってくれ」
「……はぁ」
僕は教室に入ると女子生徒からの視線が集中する。海未は笑いかけのような苦笑のような唇をひくつかせ硬直してる。ことりは目を見開き口に手を当て驚いている。
そして案の定穂乃果は寝ていた。
「先生、チョーク借りていいですか?」
「え?あぁ」
「あとで弁償します」
「は?」
出来るだけ小さいチョークを選び、腕を数回スナップさせるように素振りする。そして狙いを定め大きく体をひねる。
「はっ!!!」
「ふえ?はうわっちょ!!??」
「おはよう、穂乃果」
スナップを効かせて投擲したチョークはちょうど良く起きた穂乃果の額を捉えた。
額を抑えうずくまってた穂乃果は顔を上げ、僕と目が合う。
「え?え?なんで響希君いるの!!!???」
「すいません、自己紹介遅れました。名前は優月響希です。
今日から試験生ということでこのクラスに来ました。趣味は音楽で、たしなみ程度ですが楽器演奏も行えます。
拙いところもありますがよろしくお願いします」
「無視!?無視なの!?」
「先生、席はどこですか?」
「あぁ、じゃあ高坂の後ろで、黙らせろ」
「了解黙らせます」
「えっ!!何する気なの!!??」
僕は先生の方を向き、目が合うと同時に親指を立てた。
席に着くと穂乃果は振り向いてこちら向いてくる。
「え~!!響希君なんでいるの!!??」
「さっきと同じこと言ってるよ、まぁ実際いたらおかしいのも事実だけど」
「そっそうだよ!!」
「後で言うよ。ことりと海未にもね」
「絶対だよ?」
そう言うと穂乃果は聞きたそうだが前を向いた。
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昼、僕達は中庭で食事をするついでに転校の経緯を伝えた。
「ほえ~そんなことあったんだ」
「だからお母さん、楽しみにしててねって言ったんだね」
「あぁひなたさん隠す気なかったんだね」
「しかし驚きです。いくら試験生とはいえ3年の響希君が2年に来るとわ」
「それは僕も同意するよ」
ご飯を食べ終わっていた僕は3人を眺める。穂乃果はパンか。
「しかし、だから響希は毎日会えるといったんですね」
「あぁ、同じクラスとは聞いてなかったけどね」
予想はしてたけど。
「しかし、困りましたね」
「そうだね~」
ことりと海未の言葉に僕と穂乃果は疑問符を浮かべる。
「なにが困るの?ことりちゃん」
「それはね……」
ことりが穂乃果の耳元に顔を寄せ、何やらヒソヒソと話し始めた。
「何が困るんだ?」
「えっと、響希はないとは思うのですが……女子高に男子一人ですから……」
「あぁ、僕が問題起こしそうと?」
「「「いえ(いや)、響希(君)(ひーくん)が襲われそう」」」
「おい待て」
3人は声合わせて何言ってる。
「ないよ。3人みたいに可愛いとかでかっこいいならまだしも、こんな見た目だし」
どう考えてもこのメガネのせいで無理だと思う。
「いや、それはないと思います」
「そ、そうだね」
「私もそう思うな~」
「そうかな?てか3人ともどうした?顔赤いけど」
「(誰のせいですか!!)」
「(なんか響希君に言われると不思議と嬉しいかな?)」
「(可愛い……可愛いか~ふふふ)」
海未は額に手を沿え、穂乃果は笑みを浮かべながら頭を掻き、ことりは両頬に手を添えて俯いてる。昔からだがこの3人はどうしてこうも人をひきつけるのだろうか?
そんなありきたりとも言えるような日常。続くような現実。
しかしそれは、
「まだ正式に決まった訳ではないのですが……ここにいる今の生徒をもって、この音ノ木坂学院は廃校になるかもしれません……」
数日後、全校集会でひなたさんに告げられた廃校の危機により変わり始めた。