リアルでもダメになりたくないなぁ……( ̄▽ ̄;) IFルート 作:先詠む人
今回のサブタイトルはビルマニアで有名な俳優さんが主役を張っていた作品がモチーフですが、そのライダーに変身することはありません。
それでは本編をどうぞ。
大きな音を立てながら非常階段へと繋がる扉を蹴破る。
そしてそのまま外へ飛び出して曲が………れない!?
実験動物なんかにされてたまるか!!と、部屋を飛び出し廊下を駆け抜け階段の方へと飛び出した俺だったが、勢いをつけすぎた。
左足が遠心力によって宙に浮く、上半身はすでに遠心力に負けて手すりよりも離れた空に浮かんでいる。
「(ま………ず!!)」
必死に右手を手すりの方へと突き出すが、その手はかすりもしない。
そしてそのまま
「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああ!?」
……………俺は4階ほどの高さから下へとむけて落ち始めた。
「(落ちる落ちる落ちる落ちる落ちるぅぅぅぅぅぅぅぅぅうううう!!!!!!って人いるしやばい!!!)」
落下し始めてからコンマ一秒でそこまで考え、そして俺の目は下の通路を歩いている人の姿を認識した…………次の瞬間だった。
「なんでさ!?」
と、落ちる俺と目が合った天龍は某正義の味方の口癖を叫び、
「はっ!」
と、気合を入れるかのように叫んでこちらに向かって飛び上がった
「ムグッ!?」
当然目の前がいきなり真っ暗になり、俺は混乱する。
そして、そのまま
相変わらず真っ暗な視界の中で拍手の音と、「「おぉー」」という声がと「ぐぐぅ~」という鳴き声が聞こえる。
どうやら、あの一瞬では全部識別できなかったけれど、今ここには天龍と五月雨、そしてイ級。さらに今もなお俺の顔をその豊満な象徴にうずめさせているあたごんがいるようだ。
「プハッ!!」
俺が完全に埋もれていた顔をどうにか外へ出すと
「大丈夫~?」
と、すぐ耳元で囁くように問いかけられる。
「え、あ、はい」
俺はそれに対して顔を真っ赤にしながらそう答えるのでいっぱいいっぱいだった。そんな中、
「ちょっと~~!大丈夫ですか~!?」
と、階段の上の方から明石の少し抜けたような声が聞こえ、
「あ、下にいますね。愛宕さんそのまま抑えていてくださ~い。」
そう言ってから明石は階段を地上へと駆け下りてきた。
「すいません、お待たせしました。それじゃあ、岡本さん部屋に戻りましょうね~。」
駆け下りてきてからしれっとそんなことを言う明石に対して俺はジト目で睨みながら
「断る。人体実験のモルモットになんざなってたまるか。」
そうはっきりと告げた。そんな俺の対応を見て明石は
「あっちゃ~、やっぱり誤解されてましたか……。すみません。そのあたりも含めてきちんと説明したいんで一度部屋に戻ってくらさい……
「明石お前何した!!!!昨日も大淀に怒られてたろ!!」
誤解を解くやら何やらともごもご言っていたが、その途中で天龍さんが明石の頬を全力で引っ張りながら説教を始めた。
「……あの感じじゃあ長引きそうだし先に部屋にでも戻っておきましょう?」
そんな二人の様子を見てあたごんは俺を抱いたままそう言って動き出し、俺は
「あ、はい。……ってあ…(逃げられん……)」
反射的に受け答えしてしまい、そのままあたごんに抱っこされたに近い状態で部屋へと連れ戻された。
結局、明石と天龍さんが上がってきたのは俺と愛宕んとイ級と五月雨が部屋に戻って(俺からしたら連れ戻されて)から数分後だった。
「弁解しておくと私が依頼した研究所の人物は刈牛羅元帥がもっとも信頼してしかも人の事をサンプルとか冗談言わない非人道的なのを嫌うお爺さんですからね」
「は、はぁ…」
部屋に戻ってから明石は頬を抑えながらこの部屋にいた全員に俺が非常階段から空中散歩をするまでに起きたことを話した後、俺に件の研究所についての説明を始めた。
「ホントにそうなのか?俺も初めて聞くんだけど?」
そうやって明石に尋ねる天龍さんの感じだと天龍さんも件の研究所についてはよく知らないようだ。
「本当ですよ!と言うかそんな事する人に頼む訳ないじゃないですか」
そう聞き返した天龍さんの質問に対して明石は両手を頬から離して憮然とした態度で返した。
そのタイミングで明石が持っていた携帯端末から電子音が部屋に鳴り響く。その電子音に対して明石は
「はいは~い。」
って言いながら端末を操作してまるで空中ディスプレイかのように恐らく電話相手であろう姿を空中に映し出した。
『久しぶりだな明石、新しい鎮守府に着任したそうだが元気にしてるか?』
空中に映し出された通話口の相手の姿は一言で言えば青髪の不愛想なメガネをかけ、だぼだぼな白衣を着た子供。
「ええ、元気ですよ~」
そう答える明石の様子を置いておいて俺は反射的に
「「ちょっと待った」」
と、天龍さんと息ぴったしに突っ込みを入れていた。
『なんだ?人が話しかけてる最中に割り込むマナーのなってないガキどもは?』
当然、俺の予想通りに不機嫌そうな様子で悪態が返ってくる。
「いや、それを言ったらあんたもガキでしょう。」
俺はその悪態に対して正論で答えた。なんで俺が突っ込みを問答無用で入れたのか、それは映し出されている相手に問題があった。
相手の姿は先ほども言ったようにメガネをかけただぼだぼな白衣をまとっている青髪の子供だ。
仮に艦隊これくしょんを知っていても、とある同人ゲームから伝説を作り上げた猛者たちのことを知らなければその答えにはいきつかない。否、行きつけないといった方がいいだろうか。
俺からしたら赤ちゃまと一緒である意味見覚えがありすぎるその姿。
中の人は結構有名な悪魔であるメフィストフェレス卿や、首がもげてるのに平然とそれを戻すエジプトの王様の中身も兼任している。
そしてその答えは……
「「(Fateのアンデルセンだよ;)」」
そのとき、俺と天龍さんのシンクロ率は100%だった。
『躾のなってないガキどもだな…俺は殺生院アンデルセン。かの有名な童話作家の名前を授かっている。主に艦娘や深海棲艦の研究や艦娘の武装の開発に人のメンタルチェックもしている』
「「(名前もまんまなんかい!!)」」
「こう見えても60は軽く行ってる科学者さんですよ」
「そうなんですか!?」
シンクロ状態を維持したまま再び突っ込みを内心入れた俺と天龍さんを無視して話は続けられる。
その流れで、明石から殺生院アンデルセンの年齢を聞いた五月雨は驚いていた。
「(どうやったらサーバントじゃないのに子供の姿のままでいられるんだと思う?)」
ふと、目が合った天龍さんがそう目で語ってきた気がしたので、
「(いや、そんなのわからないです。)」
俺は肩をすくめながらそう心の中で答えた。俺と天龍さんがそうやって顔を見合わせていると明石が
「んで博士、なんであんな報告書を送ったんですか?報告書を見たその対象者である人があわや非常階段から落ちて死にかけたんですよ」
と、画面越しのアンデルセン相手に文句を言って
『あー…それについてはすまん。忙しかったのでウチの牛女が変わって出したんだが…その報告書を見てすぐさまそっちに連絡を入れた所だ。あの女は対象に安心して来て貰う様に報告書を丁重に丁寧に書けとあれ程言ったのに聞かんバカだからな』
その文句に対してアンデルセンは何とも言えない顔でそう返した。すると、
『あらやだ。良くある報告書的な感じで送っただけですよ』
そう言いながら画面の向こうのアンデルセンにいきなり女性が抱き着いた。その女性はあたごんのような省庁を持っていたので一瞬俺は粒状がいないか探したが、幸いなことにいなかった。
その事実にとりあえず一安心してから再び画面を見て、俺は「(あー。)」と内心つぶやくことになった。
『ええい抱き着くな。知らん奴もいるんだからとりあえず自己紹介しろ』
『分かりました。初めまして殺生院祈荒と申します。旦那様と仲良くお願いします』
確かにアンデルセンの相方としてこの人は適正だわ……。画面越しに俺たちに殺生院祈荒と名乗った女性は、月の裏側で魔人になって主人公に凸された破戒僧とその名前も含めて同一だった。
「えっと、お2人は結婚してらっしゃるのですか?」
絶句している俺と天龍さんとは対照的に目を光らせながらそう尋ねた五月雨に対して
『まあな…』
『そうなんですよ。この人は夜はホント激しく…』
『初心なガキどもを惑わすな毒婦が!』
少し困惑したような感じで返したアンデルセンに対して祈荒は何か言おうとしていたが、アンデルセンがその頭をたたいて止めた。
『フン』
嫁?の暴走を止めた後にぐだーと間延びしてしまった場の空気を換えるためかアンデルセンは咳払いをし、
『まぁ、報告書の書き方はともかく、一度俺の研究所に足を運んで検査を受けて欲しい。と言うか受けに来いそこのガキンチョ』
画面の向こうから俺の方を指さしながらそう切り出した。
「命令形!?」
そのあまりの言い方に俺が「(
「えっと、なんで隼人さんですか?」
五月雨がおずおずと聞いた。
確かに明石はアンデルセンに昨日俺の血を送っただけ。にもかかわらず、俺をご指名で研究所に召還とはいろいろと理屈が合わない。
『そんなの簡単だ。あんな血などキザ提督や一緒にいる丁髷にバカレズを除いてお仕置き男はともかく特殊なものはそうそうない。さらに言うならば送られて来た血が男のでお前たち以外に人間の男が写っていると言う事はそいつが血の持ち主と言う事になる。と言うか明石!貴様また有無を言わさず血を抜いただろ!ちゃんと患者の体を考えろ!だから貴様は大淀に怒られるのだ!』
それに対してアンデルセンは懇切丁寧?に説明した後にそのまま一連の流れ化のように明石への説教を開始した。
「ちょ、止めてくださいよ。それでホントに昨日も送った後に怒られましたし;」
そう言って顔を青ざめさせる明石を見て俺は
「(あ、前科があるのか)」
と、何とも言えない気持ちになった。そんな俺の様子をだれも気にせずに説教は続いていて、
『とにかく、お前がいる鎮守府の提督に話しは通しておくから明日に数人の護衛艦娘にキザ提督と丁髷を護衛にして俺の研究所に来い。どうして自分の体がそうなっているかガキンチョ自身も知りたいだろ?後、明石も来い。お前の了承なしの献血でウチの医療担当のフローレンスがご立腹だ。また説教されろ』
いつの間にか俺の召還が確定していた上に明石がさらに説教されることも確定していた。
「ひえぇぇぇ!?あの人とことん怪我とか医療関係だと厳しいし、しかも怖いから嫌ですよ!」
『そうされる事をした浅はかな昨日の自分を呪うのだな』
顔をさらに青ざめて召還を拒否する明石だったが、その抵抗をアンデルセンはズバッと切り捨てる。そんなアンデルセンの対応に、明石は「マイガー!!」と叫んでその場に頭を抱えて座り込んだ。
なんか、コントみたいな空気になってきたところで俺はおずおずと
「あの、妹も連れて行って良いですか?」
と、聞いてみた。
一応
『ん?別に良いぞ?検査を受けてる間に見学して貰えば良いからな…ただし祈荒、貴様はこいつの妹には近寄るな声をかけるな変な事を教えるな』
幸いにも、その提案は断られることなく受け入れられて俺が小さくガッツポーズをしているとアンデルセンは嫁?に厳重注意をしていた。
『あら~なんでですか~』
その厳重注意に対して風に吹かれるのれんのように対応する祈荒の様子を見て俺は「(苦労してんな…)」と、内心同情したが、ふと視界に入った天龍さんの顔も似たようなものだったから恐らく同じ考えをしていたのだろう。
『教育上、お前は普通に悪いからだ…とにかくホントに明日すぐに来い。カウンセリング的な意味でも来い!貴様、相当ため込んでるだろう。毒抜きしないと倒れてしまうから吐き出した方が良い。これでもメンタルカウンセラーの資格を持ってるからな。もう一度言うがちゃんと来い!良いな!』
そう言って再度念を押す形で来るように言ってから通話は切られ、頭を抱えて小刻みに震えながら何かを呟いている明石以外の部屋にいる俺たち全員は顔を見合わせた。
それから数分後に、俺と天龍さんは執務室に呼ばれ、研究所へ俺を搬送するために護衛艦隊を含めた指定された艦娘は港に30分後に集合するように命令された。そして30分後。
「よ~し、行きますよ!!!」
「この長門に続け!!」
「もう、ドジっ子なんて言わせないんだから!!」
「五月雨ちゃん、誰もそんなこと言ってないわよ~。愛宕、抜錨しま~す♪」
「一航船、出撃します。」
「大事になってきたな。それじゃ、行くか。」
港に停泊していたラバウル鎮守府に所属してるらしい小型船のそばには、信濃提督に出撃するよう要請された艦娘たちと、俺と玲奈。そして……
「嫌だ死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。」
壊れたレコードのように「死にたくない。」と連呼する今にも死にそうな様子の明石がいた。
ハーケンさんたちも研究所に行くようだが、ハーケンさんはハーケンさんで自前の移動手段があるそうでそちらの準備をしている。
「………これどうします?」
俺が腐った魚のような目をして重たい空気をまといながら三角ずわりしている明石を指さし、天龍さんに聞くと、
「ん~、とりあえず船に積み込んどいて。」
「了解です。」
容赦ない返事が返ってきて、俺は明石の首を掴んで船の方に
「そ~い。」
と掛け声を上げながら投げ飛ばした。放物線を描いて明石が船の方に飛んでいくのを見送った後に何かが崩れるような音と、「グヘッ!」というカエルがつぶれたような声が聞こえてきたが無視した。誰が何を言おうと、向かった先でどんな目にあおうと、それは明石の自業自得である。
「それにしても<
俺がこれから乗る船の船体に書かれていた船名を見てどこか感慨じみたものを感じていると、
「ん?船の名前がどうしたの?」
と、レ級であることが露見するのを避けるために今回は俺と一緒に船で移動する玲奈がそう聞いてきた。
「あぁ。艦これを起動するときのロード画面に出てくる船の絵があるんだけどその名前がぷかぷか丸っていうんだってさ。だから、ちょっとね。」
「へ~。」
「ま、それはいいとして。さっき放り込んだ明石大丈夫かね…?」
「お兄ちゃん……それ言えた義理じゃないでしょ…。」
ジト目で睨んでくる玲奈を放置して俺は
「さ~って、そろそろ船に乗りますかっと。」
船のタラップの方へ歩き出した。
「う~ん、やっぱり私は自分で海を往く方がいいかな…。」
船が出向してからかれこれ30分立ったタイミングで玲奈がそうポツリと漏らした。
「気持ちはわからなくもないけど我慢してくれ。な。」
「ちょっとお兄ちゃん!やめてよ!髪をわしわししないで!」
俺はそんな玲奈の気持ちもわからなくはなかったから、玲奈の頭を少し強くなでながらそう言って甲板へと続く扉を開いた。
「海の上を直接往くよりかは物足りないかもしれないけど、甲板で風に当たろうか。」
そう言って俺は甲板へと続く廊下を歩きだした。
「ねぇ、お兄ちゃん。」
甲板に出て、風に当たること数分。そのきれいな白い髪を風になびかせながら玲奈が俺の方を見て話し始めた。
「もし、お兄ちゃんの体に何か起こっていてそれの原因が私たちのせいだったらお兄ちゃんはどうするの?」
不安げな顔でそう聞いてくる玲奈を見て俺は
「どうもしない。変わんないよ。結局俺はある意味で
「
「秘密だ。」
「えー!!教えてくれたっていいじゃんけち!」
「ハハハ。まぁ、玲奈が誰かの嫁さんとかになるころには教えてあげるよ。」
「本当!?じゃあ、早く大きく…なれてた。そうだ今なら既成事実も…「させねーよ。」……叩かなくてもいいじゃないのぉ!!」
話の途中で玲奈が一時的に成長して戦艦巫姫になっていたことを思い出したのか不穏なことを言い出したので、軽く手のスナップを効かせて玲奈の頭をたたいた。
そんなこんなで会話をしていると、
「お~い、そろそろ着くってよ!!」
後ろの方から護衛もかねて船の周囲を航行していた天龍さんが船の上に上がってきてそう叫んできた。
「……荷物まとめに行こうか。」
「うん。」
俺と玲奈は荷物を置いていた狭い船室の中へと戻り、カバンをもって船室から出、タラップの方へと手をつないで歩き出した。
「よっと。ほら玲奈、手。」
「うん、ありがとうお兄ちゃん。」
船が岸に着岸してからまず俺が船から飛び降り、玲奈の方へと手を伸ばした。それから目の前に広がっているものへと視線を移したのだが……
「いいって。それにしても……」
「うん。すごく」
「「大きいな(ね)。」」
俺たちの目の前にはラバウルの鎮守府なんて目じゃないほどの横幅を持った建物が鎮座していた。
「お~い、隼人!!こっちだとよ!!」
俺も玲奈も目の前に鎮座する建物の威圧で動けなくなっていたが、そんな天龍さんの呼び声で漸く動き出した。
「あ、はい今行きます!!行こうか玲奈。」
「うん!!」
仲良し兄妹のように手をつないで歩くその姿を、
「フム、やっと来たか……待ちわびたぞ。」
薄暗い部屋の中で大量のモニターに囲まれて青髪の子供がモニター越しに見て、不敵な笑みを浮かべていた。
「ここでお待ちくださいね。それと、そんなに睨まないでください。緊張して濡れちゃい「うっせえ、黙れ。玲奈の前で卑猥なこと言ってんじゃねぇ。」……見かけによらず鬼畜な人なんですね。もぅ。」
研究所に到着してから数分後。俺は玲奈をかばうようにどこかのシスターのような服をまとった女性の前に立ち暴言を吐いていた。
「(ったく、この世界はどーなってんだ?艦これの世界なのにFateに出てきたキャラクターが普通にいるし、原作通りなキャラとそうじゃないキャラの判断がつかねぇ。カリギュラはまともなのに対して赤ちゃまは赤ちゃまだったし、目の前のこれも完全に同一じゃねぇか。つってもまだ聖杯がないだけマシか……)」
俺は内心そう愚痴りながらも「(これいつか沖田さんとかに会いそうだな。というか、沖田さんに会いたい。喀血している沖田さんの背中をこすってあげたい…って何考えてんだ俺ぇぇぇぇぇぇぇぇぇええ!!!!)」と完全に自分の欲望がはみ出てきて混乱していた。
「(はっ!?まさか、これ目の前の祈荒が出してるフェロモンが
その混乱の先に俺は何となく真実のようなものを見つけ呆然としていたが、そんな俺の背中に
「おい、ぼーっとしてないでこちらを見ろ。180度反転して下を見るんだ。」
そんな怒りと呆れがこもったような声が届けられた。
「あ、すいません。(………ってやっぱりちっせー……)」
「ふぅ、とりあえず貴様が失礼なことを考えていそうなことはわかった。だがまぁそこまで思考が顔に出るほど疲れたのは俺の連れが原因でもあるだろうからな。特に触れずにいてやる。」
「………ありがとうございます。」
どうも、俺の周りにいる人は俺の考えていることを読んでしまうらしい……。
そんな思いを抱きながら俺は不機嫌そうに歩くアンデルセンの後ろをついていった。
「ここだ、入れ。」
アンデルセンはある部屋の前で立ち止まり、そう言いながら扉を開いた。
「失礼します…」
「失礼します…」
俺と玲奈はそう言いながら部屋に入ったが、
「ほ~、結構いろんなものが乱雑に積み重なってんな。」
と、護衛としてついてきた艦隊の中でただ一人俺たちについてきた天龍さんはそう言いながら俺たちに続いて部屋に入った。
「貴様ら兄妹はそこに座れ。そんでもって変な天龍は棚を触るのをやめて部屋から出ていけ。いいな。」
「いや、なんでだよ!!」
「そもそも貴様に聞かせるつもりはないんだ。それにどちらかというとお前の場合は………アリーシャ!!」
部屋に入って偉い人が座ってそうな椅子に座ったアンデルセンはまず最初に俺らを椅子に座らせた。そして天龍さんを追い出そうとしたが、天龍さんが抵抗したのをみていきなり誰かを呼び出した。
「はいは~い。」
アンデルセンの読んだ声を聴いたのか部屋の奥から褐色のビキニみたいな露出が激しい服を着た女性が出てきて、
「あなたはこっち♪」
と言いながら「やめろ!!離せ!!」と抵抗する天龍さんの腕をきっちりとキメて、引きずる形で去って行った。
「「……………」」
俺と玲奈がその光景を見て固まっていると、アンデルセンが
「それじゃあ、話を始めようか。」
と、切り出し。かけているその眼鏡の鼻あてを一度だけクイッと持ち上げた。
「それじゃあ、一番に聞きたいんだが。貴様は一度でもいいから深海棲艦あるいは艦娘と濃密な粘膜接触をしたことがあるか?」
「…………?濃密な粘膜接触……ですか?言ってる意味がよくわからないです。」
「えぇ~い!やはり初心には遠まわしだと説明がしがたい!ようはセッ○スしたことがあるのかと聞いてるのだ!!!」
「・・・はぁ!?「うきゅぅ~」あ、玲奈!!」
そうしてアンデルセンが聞いて俺が答える問診は、最初からぶっ飛びすぎたものだった。俺は顎が外れるかと思うぐらい驚き、玲奈は顔を真っ赤にして椅子からずり落ちた。そんな俺たちの反応を楽しそうに見ながらアンデルセンは「で?どうなんだ?」と聞いてきた。
「してませんよ!!第一、俺は異世界の人だから艦娘は妹たち以外そんなに触れあえる機会なんてないです!!だからそんなこと不可能ですよ!!!」
「ふむ、だったらキス程度はどうだ?したことあるんじゃないか?」
「…………えぇ、ありますよ。それがどうかしたんですか?」
「そうか、なら粘膜接触で……。とりあえず、お願いがあるんだがもう一度血液を採らせてもらえないだろうか?時間の経過とともにどうなっているのかによって俺が建てた仮説が正しいのか証明できるからな。」
「わかりましたよ。俺もその仮説に興味がわきましたし、俺の体に何が起こっているのか知りたいですからね。」
「そうか、ならついて来い。無菌室へ行ってから血を取ろう。」
俺は気絶したままの玲奈をおんぶし、移動を始めたアンデルセンの後ろをついていった。
「それじゃあ、この服に着替えてくれ。」
「フブッ!?何でですか?」
無菌室につくと、アンデルセンはいきなり俺の顔めがけて病人が来ているような服を投げつけてきた。
「貴様の体がどうなるのかわからないからだ。もし貴様の体に何かがあってその際に大量に出血した場合を考えたらわかるだろう?」
「ウグッ………わかりましたよ。わかりました。それじゃあ着替えますよ!!」
「着替えるならあっちだ。ここでお前のぶつをさらすんじゃない。」
「え?下着まで脱ぐのかよ………。」
俺はアンデルセンに指定された部屋で服を病人服に着替え、出てくるとアンデルセンが玲奈の腕から血を取っていた。
「おい!!!何してんだよ!!」
俺が慌てて駆け寄ってアンデルセンを問い詰めると
「一応サンプルだ。貴様の血液の中には人間のものと艦娘のもの。そして深海棲艦のものと思われるDNAが混ざっていたが、それでも一部何かわからないものが混ざっていてな。もしかしたらこの娘のものかと思っただけだ。一応中身は艦娘でも
「かなりの量って……どんだけですか?」
「一応、予定としては1リットルを予定している。」
「……いや、それ俺失血死になりかけるじゃないですか!!」
「別に問題はない。しばらく貧血で死にたくなるだけだ。」
「いや、そういうわけじゃなくて!!」
「うるさいな。そんな奴にはこれをプレゼントしてやろう。」
アンデルセンがそう言ってポケットから何かを取り出し、操作した次の瞬間、俺の真下からガスが飛び出してきてそれを大量に吸い込んだ俺の意識はかすんで消えた。
「ん………。」
「もう気が付いたのか。となると回復力も上がっているとみるべきか…。DNAの変異も見る限りやはり俺の仮説は正しかったようだな。」
ぼやける視界の中で見えたのは俺の方を見て何かに気付いたかのような雰囲気をまといながら一人ぶつぶつ呟くアンデルセンと
「んー!!!んんーーー!!!」
さるぐつわをはめられて、すさまじい表情で俺がいる場所とを仕切るガラスをひたすら叩く玲奈の姿だった。
「あんた………何…が……したかったんだ………」
俺がかすれそうな声でそう呟くとアンデルセンは
「無論。抵抗なく血を抜きたかっただけだ。」
そう言って大きな真空パックに入れられた赤い液体を俺の前で振った。
「それと分かったことを知るのは今すぐがいいか?それともいったん落ち着いてからがいいか?」
俺の意識がある程度まで回復したことでアンデルセンはそう俺に聞いてきた。俺は
「今………は……しんどいから………後……に………して…………く…………れ…………つか……あんたも……明石……と……同類だ………よ」
大量に血を抜かれた弊害なのか、ひどい寒気と頭痛に襲われながらそう答えた。
「わかった。なら、もう少ししてから話そう。それと、増血剤を出してやるから感謝しろ。それに俺はきちんと貴様から了承を取ってから動いたぞ?だから、どういう風に血を取るかは俺の自由だ。貴様に文句を言われる筋などない。」
俺の答えに対してフンと鼻で笑ってからアンデルセンはそう言って少し離れたところに座ったのを見たところで俺はまた意識を失った。
意識を失ってからどれほど経ったのだろうか。それはまったくわからないけれども俺はアンデルセンに肩を強く揺さぶられたことで気がついた。
「遅い。目上の人が起こしたのならばすぐに起きるべきだ。」
俺が目をこすりながら開けると視界には不機嫌そうなアンデルセンの顔があった。
「そろそろ大丈夫だろう。貴様の意思は先ほど聞いたから説明を始めさせてもらう。」
そう言いながらアンデルセンはメガネのフレームを再びクイっと動かし、
「まず最初に言っておく。貴様はもう
「え………。なんで!!ウグッ………」
「落ち着け。まだ完全には回復しきってはいないはずだ。元が人間なだけに流石に。な……」
「………ウググググ………俺は生まれも育ちも艦娘と関係ないところだったし、工廠で生まれた記憶もない。だからそんなはずはない。」
「フム。そこまで言うのならば簡単に教えてやろう。今の貴様の体に起きているすべてのことをな。」
「貴様の体を構成するのは遺伝子だというのはさすがに知っているだろう。
「その遺伝子の組み合わせが貴様の場合は問題なのだ。」
「今貴様の体は性別を決める遺伝子の組み合わせXX以外のほぼすべては人のものではなく、艦娘とそこの娘などの遺伝子の配列と全く同一のものになっている。」
「最初に見たときは驚いたぞ。一瞬深海棲艦と艦娘のハイブリッドが生まれたのかと思ったぐらいだ。」
「まぁ、すぐに性別を決める染色体の組み合わせが男のものだと気づいて違うと思ったのだがな。」
「深海棲艦の血液を飲めば深海棲艦と同一のものになって生き延びれると、昔どこかの阿呆が言いふらしてそれをまねしたバカが沢山出たことがあったが真実だったとはな。」
「最初にしたことがあるのか聞いただろう。あれは艦娘とした女性提督の一部が艦娘のような状態になった例があってな。それでだ。」
「まぁ、その女性提督は……まぁ、いわゆるユリというやつだ。言わせるな阿呆が。」
「コホン。話がそれたな。それで貴様もしたのか聞いたのだが、どうやら貴様は経口摂取で艦娘たちの遺伝子を摂取していたようだな。」
「それで深海棲艦側のものは恐らく返り血とあの娘から来たのだろう。」
「なぜ艦娘たちの遺伝子を摂取したら貴様のような状態になるのかというとな。発情したり異様に興奮した艦娘たちの遺伝子は単純に言うとほかの遺伝子を取り込んで作り変えてしまうのだ。」
「それがよく分かっていない頃は返り血をよく浴びる近接戦闘用の艤装を扱う艦娘たちが深海棲艦のようになった例が多数あった。まあ、その結果軽巡棲姫のような艦娘によく似た深海棲艦が生まれることになったのかもしれないがな。」
「そして、その遺伝子の効果は人間にも作用することがまれにある。恐らく貴様はその稀な方なのだろう。」
「それと、もう一つ言っておく。これ以上艦娘、深海棲艦どちらとも興奮した状態のものと接触するな。それ以上貴様の遺伝子が書き換えられた場合貴様がどうなるのか全く予想がつかない。」
「もしかしたら貴様自身が深海棲艦ないしは艦娘になるかもしれないぞ。現時点でも貴様の遺伝子はあの娘のものに酷似した状態で一部を鈴谷や雷といった艦娘のものと置き換えられている。」
「そのために貴様がなる可能性が高いのは現時点では艦娘よりも深海棲艦の方が高い。」
「それを念頭に置いたうえでこれからの付き合いを考えるのだな。」
アンデルセンはそう言って説明を終え、「えぇーい!うるさいぞ!!」と言いながらガラス越しの玲奈を黙らしに向かった。
そんなアンデルセンに対して俺は………
「じゃあ、一体俺はどうすればいいんだよ…………」
先ほどまで寝かされていたベッドの上で三角座りをして考え込むしかできなかった………。
感想、評価をもらえると先詠む人はうれしいです。