事の発端は、とある都市にて正体不明の生物と思われるモノが現れたことだった。
その生物と思われるモノは、数件の人的被害を出した後、民間人の猟師によって射殺された。回収されたその骸は生物学的に極めて逸脱した姿をしていた。縦に並んだ複数の目。歪に突出した異常な突起。毛の一本も生えていないつるりとした土気色の肌。
一部のメディアでは、「これは悪魔の到来なのでは?」といったコメントをし、世間の注目を引いた。当然一笑に伏せられ、異常個体の動物と結論付けられた。やがて騒ぎも二、三日で終息した。
事態が変わったのは、二週間後に再び同様の事件があってからだ。こちらは落雷によって感電死したと思われる状態で発見された。頭部に生えた角らしき二本の突起。両腕まで蝙蝠のように広がった膜。姿かたちこそ違えど、先日の生物と特徴が似通っていた。それからというもの、週単位でこの正体不明の生物は現れ、物的・人的被害を出すようになった。その都市のみに関わらず、世界各地の都市でも出現報告が相次ぎ、警察は処理に追われることとなった。学者一味はどうにか奴らの正体を掴まんと調査を行った。肉の体を持ちながら、地球上の生物との関連性は全くなく、彼等はこれらを「悪魔」として取り扱わざるを得なくなった。
そんな中、欧州のある都市にて、その悪魔に対抗し始めた者がいた。その人物は裏社会では密かに噂となっていた妙齢の呪術師であり、彼女は一躍英雄となり、メディアは彼女に持ち切りとなった。
それをきっかけに、世界各地で対悪魔に名乗りを挙げる者が続出した。日本では古くから退魔師として活躍していた大家。イギリスではとある宗教の名誉神父。アメリカではオカルトマニアたちが結集したデビルハンター団体が出てくる始末で、国家は彼らの協力を取り付けることとなった。この時期には、警察のみならず軍事団体を持ってしても手に負えないほど悪魔の出現数は増加し、中には物理的干渉が不可能なものまでが現れるようになっていた。国家治安上、藁にもすがる状況だった。
初期においては効果は微々たるものであったが、一人、また一人と退魔師・魔術師が現れるにつれ、悪魔による被害は減少していった。衰えぬ悪魔の出現に、国家は「悪魔退治稼業」を公式な職業とすることを認める動きとなった。これにより悪魔退治は新たなビジネスとして発展することになった。退魔術の集団講習を始め、退魔師やデビルハンターはスーパースター並みの存在となり、退魔師を派遣する企業までが現れた。
それらの中で、企業や組織に属さず、個人営業として一人店を構えているものも少なくなかった。当然、リスクは高い。仕事は全て自分で持ち込まなければならないし、実りも少ない。彼等が個人営業―所謂フリーランスとして過ごしているのは、それぞれに並の目的があるからに過ぎない。
ある一人は、復讐。悪魔に対する並々ならぬ憎悪。その源は何か。その憎悪は何処から湧いてくるのか。今はまだ定かではない。
ある一人は、賞金稼ぎ。悪魔の中にはその凶悪さゆえ、賞金をかけられているものもいる。それらに目星をつけ、倒し、カネを掴むのが彼の目的。小童悪魔には目もくれず、相手にせず。彼の狙いはただ一つ。更なる高額賞金の悪魔のみである。
ある一人は、家の呪縛からの解放。その者はかつてあるエクソシストの後継者であった。今は一人悪魔を狩るデビルハンター。彼の心境に何があったか。自らの力で何を見せ、何を為すのか。
これは、彼ら悪魔退治稼業人たちの群像劇である。
情報を詰め込みすぎたかもしれない…一応この三人が暫く主役路線になるかも。不定期で、お送りしていきます。