異世界で転生者が現代兵器を使うとこうなる   作:往復ミサイル

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ガルゴニスが汎用機関銃を使うとこうなる

 

 漆黒の刃が、まるで少女の絶叫のような音を響かせながら屋敷の裏庭を呑み込んでいた冷たい風を切り裂いた。俺が右手に持った短剣が痛々しい唸り声を発する原因は、その得物の刃の形状だ。

 

 この短剣は漆黒の刀身を持つ両刃の短剣なんだけど、その鍔の部分にはスペツナズ・ナイフが装着されているため、まるで十手のような形状に見える。このまま敵を斬りつけることも可能だし、スペツナズ・ナイフを短剣本体から分離して短剣とナイフの二刀流で接近戦をすることも可能だ。それに、アサルトライフルやアンチマテリアルライフルの銃身の下に銃剣として装着することも可能となっている。

 

 端末で新しく生産した近接武器だ。スペツナズ・ナイフを装着した状態のまま振り回すと少女の絶叫のような音を発するため、この武器には『スクリーミング・ガール』という名称がついている。

 

 前まで使っていたアンチマテリアルソード改と小太刀よりも当然ながら軽い。リーチは短くなったし、アンチマテリアルソード改のように強烈な剣戟を叩き込むことは出来なくなったけど、こちらは銃剣としても使う事が出来るし、汎用性が高くなっている。そのためOSV-96に搭載していたスペツナズ・バヨネットは取り外していた。

 

 ナイフも悪くないな。

 

 素振りを終えた俺は、スクリーミング・ガールを腰の鞘に戻した。

 

 そして今度は端末を操作し、愛用のアンチマテリアルライフルを装備する。俺が装備したのは、ロシア製アンチマテリアルライフルのOSV-96だ。強烈な12.7mm弾を使用するセミオートマチック式のライフルで、2つに折り畳むことが可能になっている。俺はこのライフルをサムホールストックに変更し、マズルブレーキもT字型のマズルブレーキに変更していた。更に銃身の左側に狙撃補助観測レーダーを搭載しているため、射程距離内の敵の位置と距離が一目瞭然だ。

 

 前までは銃身の下にロケットランチャーのRPG-7を搭載していたんだが、今は別の武器に変更していた。

 

 長い銃身の下に搭載されているのは、まるで無反動砲のように太い砲身だった。漆黒に塗装された砲身の下には大型のバイボットが折り畳まれた状態で搭載されている。

 

 銃身の下に搭載されているのは、ロシア製迫撃砲のBM-37だった。82mmの砲弾を撃ち上げることが可能な迫撃砲で、射程距離は約3kmだ。本来ならば砲身の後ろに搭載されている筈の底盤は取り外されている。迫撃砲専用の照準器も搭載されていないけど、照準は狙撃補助観測レーダーで行う事が出来るらしい。

 

 砲撃の際はバイボットを展開して砲身を支えつつ、銃床を地面につけて砲撃する必要がある。そのため、銃床の強度はかなり強化されているようだ。更に形成炸薬(HEAT)弾も使用する事が出来ように改良されているため、戦車を撃破することも可能になっている。

 

 それにしても、なんで迫撃砲が装着できるんだろうか。普通ならアンチマテリアルライフルに装着することはないぞ。

 

 でも、これならば狙撃だけでなく砲撃で味方を援護する事が出来る。火力も非常に高くなっているんだけど、迫撃砲を搭載したため重量は約60kgになっている。ステータスで身体能力が強化されているから重さはあまり感じないんだけど、普通の人ならばこの重さのライフルを使うのは難しいだろう。

 

「試し撃ちでもするかな・・・・・・」

 

 迫撃砲を銃身の下に搭載したアンチマテリアルライフルを肩に担ぎ、裏庭から草原へと向かおうとしていると、俺の背後で屋敷の裏口のドアが開いた音が聞こえた。

 

 エミリアか? まだ朝は早いから、エミリアが剣の素振りにでも来たんだろう。エリスはいつまでも寝ているからな。

 

「おい、リキヤ」

 

「あれ? ガルちゃん?」

 

 エミリアが素振りに来たと思ってたんだが、どうやらそこに立っていたのは彼女ではなくガルゴニスのようだった。ライフルを担ぎながら後ろを振り返ると、やっぱりドアのところに立っていたのは蒼い髪の凛々しい少女ではなく、俺に少しだけ顔立ちが似ている赤毛の幼女だった。

 

 彼女は俺が分けてあげた魔力の中の遺伝子情報を参考にして人間の姿になったため、顔立ちが俺に少しだけ似ているらしい。もしエミリアやエリスと一緒に彼女を連れて街を歩いたら、俺たちの娘だと誤解されそうだ。

 

 それにしても、随分と目を覚ますのが速いな。もっと寝てるかと思ってたんだが。

 

「どこに行くのじゃ?」

 

「いや、迫撃砲の試し撃ちをね」

 

「迫撃砲?」

 

 そういえば、ガルちゃんはあまり銃や兵器の事を知らないんだったな。彼女もモリガンのメンバーになったんだし、そろそろ現代兵器の事を教えなければならない。

 

 俺は「こいつだよ」と言いながらOSV-96の銃身の下に搭載されている迫撃砲の砲身をこんこんと叩きながら言うと、ガルゴニスは俺の近くまでやってきて、俺が担いでいるライフルをまじまじと眺めはじめる。

 

「そういえば、お主たちはこんな武器を使っておったのう。剣や魔術は使わんのか?」

 

「剣とか魔術も使うけど、主に使うのは銃だよ」

 

「銃?」

 

「そう」

 

 俺は端末を取り出して水平二連ソードオフ・ショットガンを装備すると、アンチマテリアルライフルを肩に担いだままホルスターの中からソードオフ・ショットガンを引き抜き、銃口を空に向けたままトリガーを引いた。

 

 冷たい風が駆け抜けて行く中で、ショットガンの銃声が轟いた。俺の近くにいたガルゴニスはいきなり轟いた銃声にびっくりしたらしく、小さな両手で両耳を押さえながら「キャッ!?」と声を上げた。

 

 俺は笑いながらショットガンをホルスターに戻すと、まだ耳を塞いでいるガルちゃんを見下ろす。

 

「そ、それが銃なのか!? すごい音がするのう・・・・・・!」

 

「この音を小さくする道具もあるんだぜ。サプレッサーって言うんだけどな」

 

「サプレッサー?」

 

「おう。ちょっと待ってろよ」

 

 再び端末を取り出した俺は、ショットガンの装備を解除してから武器の生産のメニューを素早くタッチしてハンドガンの項目を選ぶと、その中にあったコルトM1911A1をタッチして生産し、カスタマイズでサプレッサーを装着してから装備する。ハンドガンが収まったホルスターが腰に装備されたのを確認した俺は、そのホルスターの中からサプレッサー付きのコルトM1911A1を引き抜き、空に向けてトリガーを引いた。

 

 響き渡る筈だった銃声は全く聞こえない。耳を塞ぐ準備をしていたガルちゃんは、恐る恐る手を下ろしながら俺が持っているコルトM1911A1を見上げた。

 

「お、音がしないぞ!?」

 

「そう。これがサプレッサーだ」

 

「す、すごいのう・・・・・・! これが銃か! お主たちはこんな素晴らしい武器を使っておったのか!」

 

「おう。・・・・・・でも、殆どお前に弾かれちまったけどな・・・・・・」

 

 俺は火山でのガルゴニスとの戦いで銃弾や砲弾が殆ど弾かれていたことを思い出すと、苦笑いしながらため息をついた。あの時は信也がM-43を使って160mm弾でガルゴニスの外殻を何とか粉砕してくれたけど、ガルゴニスの外殻は無反動砲の対戦車榴弾まで弾いてしまうほど硬い外殻だったんだ。

 

「の、のう、リキヤよ!」

 

「ん?」

 

「わ、私も銃を使ってみたいのじゃが・・・・・・!」

 

「おう、いいぞ。どんなのが使いたい?」

 

 俺はそう言いながらガルちゃんに端末で銃の種類を見せた。するとガルちゃんは、なんと汎用機関銃の項目を小さな指でタッチし、ずらりと並ぶ汎用機関銃を眺めはじめた。

 

 画面にはアメリカ製汎用機関銃のM60や、ロシア製汎用機関銃のPKMが表示されている。ガルちゃんはどの汎用機関銃を選ぶんだろうか?

 

「うむ・・・・・・たくさんあるのう」

 

「はははっ。使ってみたいのがあったら教えてくれ」

 

「・・・・・・おお、強そうなのがあるぞ!」

 

 どうやらどれを生産するのか決めたらしい。何を選んだんだ?

 

 端末の画面を覗き込んでみると、画面にはバレルジャケットに覆われた銃身を持つ細身の汎用機関銃が表示されていた。銃身の左側にはドラムマガジンが装着されていて、銃身の下にはバイボットが装備されている。

 

 ガルちゃんが選んだのは、ドイツ製汎用機関銃のMG34のようだ。MG34は第二次世界大戦の際にドイツ軍が採用していた汎用機関銃で、命中精度が高い上に連射速度が速い優秀な銃だ。

 

 旧式の汎用機関銃だけど、端末のカスタマイズで補えば問題はないだろう。

 

 それにしても、良い物を選んだなぁ。

 

「おお、MG34か。渋いなぁ」

 

「ふむ。ところで、これはどんな銃なのじゃ?」

 

「ええと、これは汎用機関銃っていう銃で、弾丸を何発も連射できるんだ」

 

 ガルちゃんから端末を返してもらい、MG34を生産する。カスタマイズでドットサイトとブースターを追加し、銃口の下にナイフ形銃剣を追加した俺は、カスタマイズを終えたばかりのMG34を装備してからガルちゃんに手渡した。

 

 俺からMG34を受け取ったガルちゃんは、バレルジャケットで覆われた銃身をまじまじと眺めると、銃身の上に装着されているドットサイトを覗き込む。

 

「ああ、そこで狙いをつけるんだ」

 

「ふむ。・・・・・・撃ってみても良いか?」

 

「いいぜ。じゃあ伏せて、銃身の下のこれを展開するんだ」

 

「うむ」

 

 俺に言われた通りに地面に伏せたガルちゃんは、小さな手を伸ばしてバイボットを展開すると、銃床を肩に当ててドットサイトを覗き込んだ。どうやら火山で戦った時の俺たちの構え方を真似しているらしい。

 

 小さな左手を銃床の上に乗せた彼女は、ドットサイトを覗き込みながら「撃ってもいいかのう?」と聞いてくる。

 

 銃口の先には何もないし、撃っても問題ないだろう。周囲を確認した俺は彼女に「おう、いいぜ」と返事をした。

 

 ガルちゃんはドットサイトを覗いたまま楽しそうににやりと笑うと、ついに小さな指でMG34のトリガーを引いた!

 

 連続で響き渡るすさまじい銃声とマズルフラッシュ。ガルちゃんは驚いてトリガーから指を離そうとしたけど、彼女には最古の竜としてのプライドがあるらしい。そのままトリガーを引き続けながら、ドットサイトを睨みつけている。

 

 やがてトリガーから指を離したガルちゃんは、小さな手で冷や汗を拭い去ると、俺の顔を見上げた。

 

「す、すごい武器じゃのう・・・・・・! 異世界の人間はこんな武器を作ったのか!」

 

 ちなみに、俺と信也がこの世界の人間ではないということは、昨日の夜にガルちゃんが寝る前に教えてある。ガルちゃんは最古の竜だからこの世界の事は知っているけど、さすがに俺たちの住んでいた世界の事までは知らないんだ。

 

「り、リキヤ! このMG34は私に譲ってくれぬか!?」

 

「気に入ったのか?」

 

「うむ! この銃は気に入ったぞ!」

 

「いいぜ。プレゼントだ」

 

「やったぁ!」

 

 起き上がってからMG34の銃身を持ち上げてはしゃぐガルゴニス。俺は笑いながら、幼女の姿ではしゃぐ最古の竜を眺めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――さて、諸君」

 

 会議室に鎮座する巨大なテーブルの周りには、俺を含めて3人の男子が集まっていた。テーブルの上には紅茶の入ったティーカップが置かれていて、その隣には物騒な武器が置かれている。

 

 ティーカップの隣に置いてあるのは、漆黒に塗装された小型の銃だった。ドットサイトやホロサイトを装着するためのレールが装備されたキャリングハンドルを搭載するブルパップ式の銃で、グリップの後方にはやや細めのマガジンが装着されている。

 

 今から会議をするのであればテーブルの上に決して置かれることのない代物をちらりと見下ろしてから、俺は紅茶のカップを拾い上げて紅茶を少しだけ口の中に流し込み、カップを皿の上に置く。

 

「今から、採用予定の新型SMG(サブマシンガン)についての説明をしようと思う」

 

「こいつが新型SMGなのか?」

 

 テーブルの上のSMGを持ち上げたギュンターは、銃身を見つめながら俺に問い掛けてきた。信也も紅茶を飲みながら、テーブルの上のSMGを見下ろしている。

 

「ああ。このギルドで採用ししているSaritch308をSMGに改造したSaritch308SMGだ」

 

 俺たちのギルドではSaritch308を採用している。7.62mm弾を使用するため攻撃力が高いし、汎用性も非常に高い。そのため、依頼によって別の武器を使う場合もあるけど、基本的にそのSaritch308を使用している。

 

「弾薬は? .45ACP弾じゃないよね?」

 

 銃口を見つめながら問い掛けてくる信也。.45ACP弾は、コルトM1911A1やトンプソンM1928で使用される弾薬だ。

 

「ああ。使用している弾薬は――――.50AE弾だ」

 

「はぁッ!? ご、50口径ッ!?」

 

 SMGの銃口を見ながら驚く信也。俺は驚く弟を見ながらにやりと笑った。

 

 .50AE弾は、大口径のハンドガンであるデザートイーグルで使用される強力な弾薬だ。このSaritch308SMGは、その強力な弾薬のフルオート射撃を敵に叩き込む事が可能になっている。

 

「どうだ?」

 

「な、何考えてるんだよ!? 45口径でも良かったじゃないか!」

 

「何言ってるんだ。転生者を相手にするなら50口径の威力とストッピングパワーが頼りになるだろ?」

 

 俺は笑ってそう説明しながら、初めて転生者と戦った時のことを思い出した。あの時、俺と敵の転生者のステータスに差があり過ぎたせいで、俺たちの銃弾はあまり通用していなかったんだ。ステータスがこっちよりも高い格上の転生者と戦う場合は、技術と武器の威力が頼りになる。だから極力大口径の武器が好ましいと俺は思う。

 

 それに、魔物の中には銃弾を弾いてしまうほど堅牢な外殻を持つ魔物も存在する。強力な大口径の武器があった方がいいだろう。

 

「おい、ギュンター」

 

「ん? 何だ?」

 

「でかい方が良い物を3つ言ってみろ」

 

「おう!」

 

 SMGを眺めていたギュンターは、俺の顔を見てにやりと笑うと、SMGをテーブルの上に置いて紅茶を一気に飲んでから立ち上がった。

 

「――――威力とストッピングパワーとおっぱいだッ!!」

 

「その通りぃッ!!」

 

「何言ってるのぉッ!?」

 

 にやりと笑いながらギュンターの顔を見上げる俺。信也は顔を真っ赤にしながら叫んでいる。

 

 何で反論するんだよ。3つともでかい方が良いだろう? ・・・・・・もしかして、信也は貧乳の方が好みなのか? ちなみに俺はでかい方が好きだぜ。

 

「もしかして、お前は小さい方が好きなのか?」

 

「いや、好きなわけないでしょ!」

 

 え? 貧乳も好きじゃないのか? 

 

「そういえば、旦那。姐さんの胸って結構でかいよなぁ」

 

「ああ、エミリアよりもでかいぞ。でもデスクワークをやってる最中に俺の肩におっぱいを乗せてくるのはやめて欲しいんだよなぁ・・・・・・。集中できないんだよ」

 

「う、羨ましいなぁ・・・・・・!」

 

「ちょっと、何言ってるんだよ!?」

 

 顔を真っ赤にしながら信也が叫ぶ。確かにこの会議の本題は新型のSMGについて説明する事だったからな。おっぱいの話は後にしよう。

 

 カップの中に残っている紅茶を全て飲み干した俺は、テーブルの上のSMGを拾い上げると、試しにアイアンサイトを覗き込んでみる。

 

「とりあえず、あとで依頼で使ってみるよ。お前らも試し撃ちしてみてくれ。以上」

 

 アイアンサイトから目を離した俺は、Saritch308SMGを持ったまま席から立ち上がった。俺の説明を聞いていた2人もSMGを持ったまま席を立ちあがり、部屋を後にする。

 

 俺もこの新型SMGにどんなカスタマイズをするべきか考えながら、会議室を後にした。

 

 

 

 

 

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